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獣国編

3 冒険者登録

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にぎやかな街中を迷い無く進むセバスさんの後ろをリオンと並んで歩いて行けば屋根近くにある剣と盾のマークの入った看板が見えてきた。それはともかく、先程からチラチラと冒険者身なりの一体が見てくるのが気になって仕方ない、そんな視線から守るようにリオンが腰に手を添えてエスコートしてくれている。
このままギルドに入ると絶対…異世界あるあるの守られヒロインがお呼びじゃないし彼等から離れろよ的な絡まれパターンが想像できて冷や汗が出そうになる、そんな事を考えているといつの間にか私は冒険者ギルドの真ん前にいた。扉の外にいるのに聞こえてくる賑やかな声にもう少し後でもいいんじゃないかな?と声をかけたいと思うもそんな事お構いなしで躊躇無く扉を開けて入っていってしまうセバスさん、逃げ腰になりかけの私を安心させるように優しく背中を撫でてからリオンは手を離し軽く背中を押した。オドオドとしていれば登録なんてさせてもらえないだろうし馬鹿にされるのは目に見えている…だってここは実力主義の国だから。
1度深呼吸をして気を引き締めてからセバスさんがいる受付へと足を進めた

「こんにちは」
「ようこそ冒険者ギルドへ、護衛依頼でしょうか?」
「いえ、登録しに来ました」
「…ではこちらの用紙に記入をよろしくお願いします、また記入して頂いた後そのジョブに合わせての試験が御座います」
「分かりました」

猫の獣人族の受付の人から紙をもらい記入を始める。
名前と年齢、種族とジョブは必須記入事項になっていて後は属性や出身地武器の種類など合ったが属性と武器の記入は情報が漏れた場合困るため書かない方がいいとリオンに言われ必須記入の所だけを書いて提出した
教えてもらいながら書いているとき受付の猫さんの目つきがなんか怖い…、これはあれですか受付嬢に絡まれる別パターンとか起きる可能性合ったりする?
と少しビクビクしながら書けた用紙を猫の受付嬢に渡した。ちらりと私を見た後用紙を読みもう一度見てくる、、なかなか進まない無言のやりとりにどうしたい以下困っているとセバスさんとリオンが声をかけた

「何をしているさっさと試験に入れ」
「無駄な事をせず済ませなさい」

リオンのざっくり言葉もときめくけれどセバスさんの威圧を含めた言葉も格好いい
2人にキツく言われたことに少し驚き一瞬私を睨んだ後試験会場へと案内してくれた。案内された場所はバスケットコート2つ分の広さの鍛錬場で、そこには2㍍サイズのゴーレムが立っていた

「魔術者はこのゴーレムを制限時間3分で倒して頂きます。どんな技を使ってもらっても構いません、勿論1人で…です」

最後なんか強調されて言われたけど、私そんな何も出来ないような人に見えるのかな? いや、そりゃぁーリオン達に比べられるとあれかもだけど…全く戦えないわけではないし、魔法剣士じゃなくて完全な魔法使いみたいな立場だけど…前世の記憶あるから他の人よりかは属性もあるしこの世界に無い魔術が使えるんだから十分戦えるし…なんて事を思いながら令嬢スマイルで「大丈夫です」と返事したら少しだけ目を見開いて訝しげに見た後鼻で笑って離れていった

「あ、忘れておりました魔道具は使用禁止となっておりますので、そちらのポーチと…首飾りは私が預かりますね」

突然立ち止まり厭らしい顔で戻ってきた猫受付嬢は私に手を出してきた、まるで私に渡しなさい、そのまま貰ってあげるからと言わんばかりの笑顔で…これには私もさすがに切れた

「この国の冒険者ギルドとは、登録に来た方を馬鹿にし更にその人の所持品まで奪い取るような蛮族なギルドの事だったのね」
「なっ!!」
「何か違うかしら?確かに獣国は実力主義の国かもしれませんがその実力を知る前から他者を馬鹿にしさげずみ見下すのはどうかと思いますが?」
「ふ、ふざけるな!!Sランク冒険者に護衛してもらって守られているようなあんたに、私よりも確実に弱いあんたに馬鹿にされたくないわ!!」
「いつ私が弱いと知ったのですか?リオンは護衛ではありませんし何もせず守ってもらっているだけの存在では私はありませんが」
「ふ、ふざけるなぁーーーー!!!!」

今まで馬鹿にした態度をとっていた猫受付嬢は私が言い返しただけですぐに感情的になり怒り狂い襲ってきた、すぐにリオン達が助けに入ろうとするのを彼女をよけながら目線で止めた

拘束バインド

鎖のイメージをして魔力を練り呪文を唱えれば、地面から現れた蔦の鎖が彼女を縛り上げていく彼女を見れば人型だった姿に白い耳とふさふさの長毛種のしっぽが現れていた。長くなかった爪が伸び牙が鋭くなり野生の興奮した猫状態になっている、何とかして蔦を切ろうと頑張っている為もう一つの呪文を唱える

凍止フリーセン

足元が蔦ごと凍っていく腰あたりまで言ったところで凍らせるのを止め彼女に声をかけた

「これでも私があなたより弱いのですか?」
「フーフー、詠唱もなしで呪文なんて唱えられるはず無いわ!?魔道具を使ったのでしょう!!その首飾についている魔石はかなりの魔力が入っているはずだもの!!そんな事は許されるはず無いわ!?これで分かったわあなたは登録できるような人間ではないし月光騎士様と黒氷騎様と共にいられるようなやつじゃ無いわ!!!」
「…………」

チラリと2人を見れば明らかに不機嫌そうな顔でそっぽを向くリオンと苦笑を浮かべるセバスさんがいた
え……二つ名あるかなーとか思ったけど…月光騎士って…黒氷騎って…
獣国では凄い名がついているんですね!!!??これを笑うなとか無理だと思う…

「ぷっ…ふっふふ」
「リア」
「ごめ、ごめんなさい…でも」
「まぁいい…」

少しツボってしまいまだ堪えながら笑っている私をじと目でリオンは見た後、氷付けにされている方を見た、視線を向けられたことに気づいたのか嬉しそうに助けてと言わんばかりに瞳を潤ませ始める彼女に笑いも止まり苛立ちが登る。その彼女の様子はヒロインと同じだったからかもしれない。
冒険者になり私は前世の性格が多くで始めていた、まだ恋愛部分は臆病で恥ずかしくてビクビクしてしまうけれど旅や冒険に関してはファンタジー感があって表向きに大々的には出さずも興奮状態である、ゲームの世界であってゲーム世界では無い、現実だと言うことをしっかり感じるようになった。不安になるとリオンが側にいて愛を囁いてくれるから自信が持てるようになってきたからか、ヒロインに似た性格の人を見ると怒れてきてしまうし挑発的になってしまう。今までが嘘のような性格になってきたはずなのにそんな私がいいと言って抱きしめてくれるリオンに安堵している、セバスさんも執事言葉からたまに素のしゃべり方をしてくれるときがあるのも今のでは無い私があるかららしいし

「見たことが無い顔だと思ったが新しい奴か」
「は、はい!!そうです黒氷騎様」
「目障りだ俺の前から消えろ、2度と姿を見せるな」
「なぜですか!?その、その売女のせいですか??」
「売女だと…リアは、マリアンは俺の妻だ…今ここで塵も残さず消してやる」

慌ててリオンに声をかけるが聞こえていないらしく、リオンが彼女に向かって魔力を高め作った高温度の青い炎を向け始めた時、急に魔力を散らしシャヌを抜き何処から飛んできたのか風の刃を切り裂いた。

「その子は貴族の娘だから殺さないでほしいなぁー」
「ヴェルレーヌ…」
「久しぶりじゃんリオンー」
「そうだな」
「てなわけで、あの子には冒険者ギルドから追放して抗議文だしておくからさー」
「それだけですませと?」
「後、その子の登録試験の合格と昇級試験の許可出すよー」
「…仕方ない、それでいいだろう」
「ありがとねー、さてとー、ジジーとビビー」
「はい」
「あい?」
「この娘ーこのまま家へ連れて行ってー、後この手紙添えてーよろしくねー」
「分かりました」
「あいあいよー」

突然現れたヴェルレーヌと言う人は灰色の髪に翡翠の瞳を持ち頭の上に丸い耳とズボンから見える小さなまん丸い尻尾がある2㍍ちょっとはあるだろう背の高いとても綺麗な女性だった





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