(R18) 悪役令嬢なんて御免です!

ねねこ

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学園【ゲーム開始】

33 恐怖と不安と…甘美な口付け

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リオンに凭れしがみつきただただ震え自分の思考の中に沈んでいた時、ふわりと包まれる暖かい感覚と落ち着く香りに私は暗い思考から少し浮上した。


「理事長、俺たちはこれで失礼する」
「そうだな、カーリヒルト嬢の様子もおかしい」
「ああ、そうだこれを常に身に付けておけ」
「これは?」
「精神系魔術を防ぐ物だ」
「精神魔術…」
「ああ、今一部の生徒が【魅力】に……………これは教師や護衛も………」
「分かりました……おきましょう…」
「ああ………」


なにか二人が話しているけど何を話しているのかあまり頭に入ってこない、ゲーム補正だけじゃなくてヒロインは攻略対象者や対象者以外にも【魅力】まで使ってると…前リオンが言っていた……リオンは自分はかからないから大丈夫だと言っていたけど…本当に?
補正と【魅力】が一緒になったら?そしたら?
そんな風にまた暗い思考にとらわれ始めていると唇に暖かいものが当たった。


「…?…ん…っな…に?…ふぁ…」


声を出しそれがリオンの唇だと気づくと合わせた唇の間からわずかに漏れた自分の吐息が耳に響いて恥ずかしさがあがる。
僅かに開いた口からぬるりとした生温いものが内側へと侵入した。
それがリオンの長い舌が私の口内を蹂躙し始め、形や感触を一つ一つ確かめていくようにそれが次第に歯列を順番になぞっていきゆっくり動き口内で感じる尖ったリオンの舌の感触に背筋がぞわりと粟立つのを感じ身体が震えた。
それが分かったのかリオンの舌はさらに内側へと進んできて奥の方に引っ込んでいた私の舌の表面をまるで誘導するかのようにゆっくりと丁寧に舐める、それがとても強く…暖かく…甘く……私のさっきまでの恐怖や不安、緊張が解れるように安心させてようとしてる感じだった。
それが分かり、色々と考え込み暗い思考から全身に力が込められ固くなっていた私の身体の力がだんだんと緩み柔らかさと暖かい気持ちを取り戻していく、それを見計らったようにリオンは舌を蔦のように私の舌へと執拗に絡んでき奥へと引っ込められていた舌がリオンに連れられ徐々に外へと引き寄せられていく、それにたいして私の中で抗うという選択肢はなくただただ身を任せ応える、優しく吸い寄せられたかと思えば、逆に強く吸い付けられたり、時には軽く歯を立てられたり、ゆっくりだったり急だったり、優しかったり激しかったり……そんなリオンの口付けに私はいつしか身を完全に委ねていた。

ここまで来てきっと私の精神はおかしくなっていたと思う…だって…

 ――もっとして欲しい、リオンの全てが欲しいーー

と思うだなんて…
そうやってしばらく私と舌を絡めた後、少し瞼を開けると唇が離れ抱き締めていた力を抜き拘束を解いたリオンが何故か離れていこうとした、多分話をしようと少し距離を取ろうとしただけだったのかもしれないけれど私には何処かへ行ってしまいそうな、一人されそうな恐怖と不安を感じ、リオンの首に両手を巻きつけ引き寄せると私はねだるようにもう一度唇を合わせ瞼を閉じた。
それに対しリオンはわずかに目を見開いたけれど、再び舌を口内に侵入させて絡めてくる。
その動きに合わせ私も舌を動かしてみるとリオンは小さく「フッ…」と笑ったのが分かった。


私は何をしているんだろうという思いが脳裏をよぎるけれど…
だけどもうこれ以上余計なことを何も考えたくない…
感じたくなくてただこのままずっとこうやってリオンと唇を重ねて…
舌を絡めあっていたい…
頭がふわふわして…
意識がとろけて…
甘くて…
幸せで…
すごく気持ちがいいから…


だけどもうそろそろ……息が苦しくなってきて…
名残惜しさを感じながらもリオンから唇を離すとリオンの唇との間にキラリと光る糸が伝う、いつの間にか口内に溜まっていたどっちのものかもう判別がつかない唾液をどうにか全て飲み下そうとしてみたけれどそれでも飲み込みきれなかった分がわずかに唇の端から顎を伝って零れ落ちた。
ぷつりと切れた糸をリオンは器用に舐め取り、見せる色気や官能的な行為に私の中で燻っていた何かが更に昂まっていくのを感じた。
不足した空気を取り込むために私は浅い呼吸を繰り返していると、リオンは私の口から零れた唾液を親指で拭い取り自分の舌で舐める、その光景に見惚れボーとしているとリオンは口角を上げ耳元でささやいてきた。


「リア…気持ちよかったか?」


全身からすっかり力が抜け切ってしまっている私はぐったりとリオンに身体を預けたまま半ば夢見心地でコクリとうなずいた。そんな私の様子にリオンは不意に野性味溢れた笑みを浮かべ、肉食獣が獲物を見つけたときのような獰猛な瞳を私に向けた。


「…リアの蕩けた表情………たまらない…リア…」


 もう少し続きをしよう


そう低く甘い声で耳朶を甘噛みされながら囁かれた突拍子もない申し出に私は思わず身体を跳ねさせた。
耳朶から唇を離しこめかみ、瞼、頬、唇に軽くキスされもう一度唇を離した。目を開けるとリオンと視線が重なり私はもう一度唇を重ねに行った。
今度は自然とリオンの舌に自分の舌を絡めていく…ただ気持ち良いという感覚だけが今の私の気持ちだった。
リオンの腕が私の首の後ろと腰に回っていて私もリオンの腰に手を回しそのまま抱き締め合った。お互いの胸を押し付け合う形となり私の胸はリオンの身体でつぶれていく……


甘く…蕩けそうな…甘美な口付けを私たちは繰り返した
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