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学園

25 パーティー

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今私は手を弾かれ会場へ入ろうとしている。
私をエスコートしてくれている隣の人は…マリアンの従兄弟でランディバースト辺境伯…セバスティエル・デルタ・ランディバースト…という設定の人なんだけど…その人はリオンの専属執事で賢者マオの召喚獣であるはずのセバスさんなんだけど…




パーティー当日の午前のお茶時間前…


「お嬢様!ランディバースト様がお迎えに来られました!」
「マリアン…ランディバースト辺境伯が従兄弟として今日のエスコート役を快く引き受けてくださった」
「?お父様?ランディバースト辺境伯様って誰ですの?」
「何を言っている…屋敷前に迎えに来てくださっている方のことだ」
「旦那様、お待たせしていますのでとにかくお嬢様をお連れしましょう」
「ああ、そうだなマリアンとにかくしたまで来なさい見れば分かる」


やや疲れ顔でお父様は部屋から出ていき去っていった


「な、何だったの?お迎えってセバスさんじゃ…ランディバースト?っ誰?」


首を傾げながらほけっとお父様が出ていった扉の方を見ていると、メイドのメルに急いで支度をさせられ屋敷の前まで急がされた、屋敷の前について目に入ったのは真っ黒の馬車。
真っ黒に塗られた壁に銀で獅子と葉蔦の模様が書かれている、そしてその目の前には真っ白な燕尾服に金と赤の刺繍が入り、濃い黒紫の髪をオールバックにしうなじの位置で一纏めに銀の紐で縛り人形の様に整えられた顔、白い肌、そして私の方を向き優しく微笑みながら見つめるのは何もかも見抜いているようなムーンストーンの瞳…
うん…正装してるセバスさんだよねこれ?似合い過ぎでどこの王子⁉️と思えるぐらい格好いいけど…名前違う?


「お迎えに参りました。マリアン・カーリヒルト嬢。セバスティエル・デルタ・ランディバースト辺境伯です」
「ご、御機嫌よう、セバ…(マリアン様本日は私はセバスさんではなくランディバースト辺境伯、従兄として接しさせていただきますけしてセバスさんとはお呼びしないようお気をつけください)…ランディバースト様本日はありがとうございます」
「いえ、麗しいカーリヒルト嬢と共にできること光栄です、時間もそろそろですので王宮へご一緒に」


そう言いながら手を差し出すセバスチャンさんの手を私は静かにのせ、馬車の中へ案内された。
その後何やらお父様達と少し話されたあとセバスさんは同じ馬車の中に乗り合図を送った私達を乗せた馬車は王宮へと動き出した。

ガタゴト…ガタゴト…


「そろそろお屋敷も見えませんね、マリアン様お手を一度研究所へ転移した後またこの馬車の中へ戻ります」
「え?それは以前話したドレスのためですの?」
「さようでございます。馬車の中にずっといたらお疲れになられますし、この馬車には魔法で振動はなくなるようにしてはありますが四刻程王宮までかかりますのでそれまで学園の研究室でお寛いでいかれるよう坊っちゃんに頼まれております。」


そう言うとセバスチャンさんは私の手を取りそのまま研究所へ転移した。
少し歪んだような感覚はするもののすぐに感覚が戻り目を開けるとそこにはいつもと変わらない研究室…が……?……ん…?え?…机上の横に紅いスレンダードレスがあった、胸元と背中が少し開けていて金の刺繍が施されウエストとアンダーが引き締まっているドレス…これ私に似合うの?


「さて、それではマリアン様こちらに着替えていただき髪も直させていだきます。」
「ええ!ちょ!セバスさ……ふぇー!」


淑女としてはありえない声を出しながら私に有無も言わせずセバスさんは来ていたドレスを脱がし、用意されていた赤いドレスを着せられ、ヘアセット、化粧と全て私はあれよあれよとセットされ一時半程でさっきまでとは打って変わって大人びて妖艶さもありながら清楚系に見える仕上がりに…ありえない程の美少女!(自分で言うのもなんだけど)にさせられてしまった。
…こ、これが私?てか、セバスさんに肌が見られちゃったよ(泣)
で、でも元は召喚獣で猫な訳だから気にしなくてもいい…の…かな?…いや…いやいやいや無理でしょ!今は殆ど人姿なんだよ⁉️ある意味これから意識しちゃいそうだよ!私は姿見に写った自分にみとれたあと背後でアールグレイを入れているセバスさんを鏡越しに見て顔が真っ赤になっていった。


「さて、支度も終わりましたしもうしばらくここで寛いだ後馬車に戻りましょう」
「あ、ありがとうございます」


セバスさんはそう言うと「少々失礼します」と隣の部屋に行ってしまった。
アールグレイが飲み終わった頃セバスさんは先程お迎えに来た姿で隣の部屋からまた現れた。


「さてそれでは、坊っちゃんも待っていらっしゃるので向かいましょう」


そういい私の手をとりまたセバスさんは馬車の中へ転移した。

…改めて思うとリオンに負けないぐらいのイケメンなんだよね…ゲームでは出てこないキャラだし、そもそもゲームではリオンに執事などいなかった…
私がこの世界に来てから本編とは色々ずれてる…?こんな舞踏会の招待もなかったしヒロインも転生者何じゃないかってことは事はなんとなくわかったけど此れから本編の補修がされていくと可能性が高い気がする、その一つが今回のパーティー…私は今日どう動けばいいのかな…

そんな事を外を眺めながらもんもんと考えているといつの間にか馬車は止まりセバス…ランディバースト様に手を差し出されエスコートしてもらいながら私は馬車を降りた、王宮の会場へ案内され歩いていくと白の壁に柱…ところどころ高そうな金の壺などが置かれている会場の扉は開かれておりランディバースト様セバスさんにエスコートされたまま私達は会場入りした。
上空のシャンデリアが輝き令嬢達のドレスや髪飾りを照らす、そしてザワザワと賑やかな声が聞こえそれぞれ談話しているのが見えた暫くするとチラチラと多くの令嬢の視線が降り注ぎはじめた。

…うん、セバスさんイケメンですからね、微笑まれたら胸ズキュン!レベルですしてか…所々睨まれているのですが…いたたまれないよぅ…

そんなことを考えながら笑顔で会場の隅へエスコートされながらと歩いていると頭上からセバスさんから声をかけられた


「マリアン様本日はなるべく私から離れないようお願いします、坊っちゃんにも頼まれておりますので私も目を光らせておきますが、関係の無い方々から絡まれる事もございますゆえ」
「分かりましたわ」


小声で私に話しかけてきたセバスさんに微笑み返事をする。
暫くするとセバスさんは様々な方に声をかけられはじめた、多くの上貴令嬢
に「初めてお目にかかりますわ」「カーリヒルト令嬢とはどういうご関係ですの?」等々声をかけられ私の横で愛想笑いをして適当に答え長していく、そして私はその隣で令息達に声をかけられ淑女の笑顔で微笑み続け、話を振られれば「はい、いえ、ええ、それは…」となるべくそれだけの返事でやり過ごしていた。

…社交界辛い… 

少し疲れてきたなと思い始めた頃ふと、リオンが来るはずなのに姿が見えない…それがとても気になった
それに気づいたのかセバスさんは話を切り上げ「少し疲れましたね」と私をエスコートし会場の隅にあるソファーまで案内してくれた。


「カーリヒルト嬢飲み物をお持ちしますね」


そう言うとセバスさんは私から離れていった。
その後ろ姿はやっぱり品があり何処をどうみても執事には見えない…

はぁ…疲れた…セバスさんいなくなったし回りの視線もキツイ…リオンはどこかな?

そう思いながら周りをなるべく顔を動かさず扇で口元を隠しながらキョロキョロと視線を這わせリオンを探したけど見つからず…ため息をついてしまった、セバスさんが手に飲み物を持って帰ってきた頃ファンファーレが鳴り響いた。
私はすぐにソファーから立ち上がりホールの奥にある開いていない扉が重そうに音をたて開いていきそこから現れた陛下や殿下達を見ていた…ふと王子と目があった気がしたけど…気のせいだろう、そうであると信じたい‼️
陛下が挨拶をした後ダンスが始まったため人が隅によったり踊り始めたりしている。


「セ…ランディバースト様は踊られないのですか?」
「そうですね、本日はカーリヒルト嬢のエスコートで忙しいですから」


そう私の方を見て微笑んできた。

…はうぁーーー!そ、その顔甘い!甘いですよ!近くの令嬢目がハートになって頬染めてますって!いや、これは演技だとわかってますよ!この人本当は召喚獣で猫だってことも!私はリオン様一筋なんだけどこっ恥ずかしいです!
私も顔を赤く染めながら心の中で悶絶しながら恥ずかしくて下を向いた、私はその時気づかなかったリオンが反対側の壁で魔道士ローブを羽織り第二騎士副団長と何やら話し込んでいることを…そしてセバスさんにテレパス思念を飛ばしていることも


(セバス…目立たない様にと頼んだはずだ、何故目立っている)
((なんのことでしょうか?マリアン様をエスコートするには周りから有無を言わせない地位と姿が必要ですのでご不満なら早くマリアン様のことを公開されたらいかがですか?))
(お前)
((坊っちゃん殺気を放つのはおやめください、隣の副団長殿が緊張されておりますよ))
(誰のせいだと…まあいい、馬鹿がマリアンをダンスに誘うつもりらしい、なんとか防げ)
((誘われれば私で止めることはできませんが?))
(その前にマリアンを会場から連れ出すなりなんなりしろ…いいな)


リオンはセバス視線をそらし壁に持たれたまま更に深くフードをかぶり直した。


「全く、坊っちゃんは…」
「え?」


セバスさんの呟きに私は顔を上げセバスさんを見た


「リオン様がいらっしゃるのですか?」
「ええ、あちらの壁にもたれフードを深く被った方がリオン様です」


目線でリオンを指すセバスの視線を追っていけば大柄な騎士の横でフードを深くかぶり壁に持たれている魔術師が一人いた。

…確か、リオンの横にいる騎士は遠目で見にくいけど、燃えるような赤い髪つんつんした鳥頭…確かゲームで王子の剣技を教えているとか言うえーと…そう!カレイル・デルストレ!この国の第二騎士副団長の人で確かリオンと同学年でやたらリオンに懐いてる…親友と勝手に言ってるって設定の人だったはず?でも実際ゲームの時より中はいいんだ?
そんなことを考えながら見ているとふと目があった気がした、赤い髪…副団長は前髪をかき上げるようにした後こちらに向かって騎士の礼を軽くしウインクをしてきた、私はびっくりして一瞬キョドってしまったけどその後すぐ隣りに居たフードを深くかぶったリオンに向かって焦ったように何か言っているようだった…首を傾げてみていると


「どうやら坊っちゃんがマリアン様に向かって挨拶したことが気にいらないようで隣の方を威圧しているようです」


さらっとセバスさんがリオン達の現状を教えてくれたことに私は驚きつつも嬉しくてついクスッと笑ってしまった、その時…


(マリアン捕まる前に会場を出ろ、馬鹿王子がお前をダンスに誘うつもりだ)


耳に響いてきたリオンの声…
驚いて反対の壁にいるリオンの方に視線を向けるとフードの奥に見えるリオンの目とあった


(お前がつけているピアスには術式が組まれている、こうして離れていても簡単にそれをつけていれば姿が見えなくとも遠く離れていようと【念話テレパス】をすることができるそれはこれから常に身付けていろ)
((リオン…わかりました))


ピアスを触りながらそう答えるとフッとフードの中で口角が上がったのが見えた。
ドキン!と心臓がなり頬が赤くなっていくのがわかる。
なんとか私は落ち着かせてセバスさんに声をかけて体調が思わしくないため退場したいことを伝え入り口に向かって歩き始めたときだった。


「マリアン・カーリヒルト嬢」


大きな声が響き渡り先程まで賑やかだったはずの会場が静まり返り道を作るように中央から一直線に私に向かって道ができていた、そこから歩いてくるのは…馬鹿もといストーカー…コホン失礼、第二王子でした。

…はぁーーーー何がなんでも補修されるのですか?

私の前にたどり着いた王子は私の手を取り半強制的にダンスを誘ってきた、私の立場では断ることもできずとりあえず一曲だけと心の中で言いながら中央までエスコートされ踊りはじめた


「マリアン嬢久しいな」
「お久しぶりでございます」
「今夜は来てくれると思っていたよ」
「殿下直々のご招待ですものお断りなどできませんわ」
「学園ではすんなり逃げられるのだが?」
「学園では身分は関係ございませんので…申し訳ございません」


ターンをしながら少し頭を下げまた少し顔を上げ一歩を踏み出していた。


「所で殿下ではなくレインと読んでほしいのだが?」
「そんな恐れ多いことなどわたくしには出来ませんわ、どうか婚約者の方に頼んでくださいませ」
「君が良ければ私の婚約者…いや、妃になってほしい」


私はダンス中のまさかのプロポーズに声も出せず王子の目を見たままポカンとしてしまった、丁度そのタイミングで曲が終わり私は意識を取り戻し急いで離れようとするが腰と手をしっかりホールドされ離れられない。


「とりあえず陛下たちにもあってもらいたい。返事はその後でも構わない行こうか」


私はそのまま祭壇の方へ腰と手を当てられたまま陛下のもとへエスコートされていく

…いや…いやいや…いやいやいや…‼️やめてー!NOーー!なにこの人⁉️めっちゃ手に力いれてて離してくれない!陛下の前?もしかして目の前で婚約宣言されるのこれ!?それだけは!ちょ!いやー!

泣きそうになりながら私はなんとかできないかぐるぐると考えていた。
あと少しで陛下の前…死亡フラグ…心の中で私は大泣きしながら_| ̄|○していた。




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