48 / 109
第三章 最後の攻略者襲来!
フィリと放課後のんびり日和(5)
しおりを挟む「テオ、フィリ、た、たすけ」
「ああ、妖精交じり、レイラのことは任せて、帰っていいから」
テオは勝手なことを言う。
そして抵抗むなしく、足はだんだんとフィリから離れる。
「うん、またね、テオ君、レイラ」
優しくフィリが言ったのを最後に、私は教室の外に出てしまった。
愛ちゃんに掛けられた魔法と同じ感覚だ。
でも、かけた人間は違う。愛ちゃんのように愛がない。
どんどん生徒会の方向に近づいていっている。
妖精はふわふわとのんきに私の横を浮いている。
「テオ、これどうにかできない?」
「無理だな。この魔法がまず高度だし、場所と使用者が限定されてるからか、強制力が強い。オレじゃ解除できねぇな」
「嘘だ!」
「嘘だな」
「えっ? 解除できるの?」
ならはやくしてほしい。このままだと、クルト君はともかく、生徒会室に直行してしまう。
あの俺様王子様とのイベントが始まってしまう。
こんな、イベントないけれど。
「できることにはできるけど、しない」
「な、なんで!」
「お前が、あの王子と仲良くなっておくのは、悪いことじゃねぇとおもうから。まぁ、これが生徒会室とやらに向かってるものじゃなかったら、手前で解除してやるから」
ニコっと、笑うテオが悪魔に見えた。
王族とのコネでも作っておけというのだろうか。
喧嘩する未来しか見えないのに。
私の妖精は、ディオン様のメイドたちのように私に甘くない。
「理不尽!」
「まあな」
「私の意思を無視してる!」
「最近、オレの意思を無視してたしな」
はっはっは、とテオは笑う。
「テオの悪魔ぁ!」
小さな妖精は、何も言い返すことなく、笑いながら、私の頭の上に乗った。
抵抗むなしく、どうあがいても、強制歩行魔法は解けず、ついには生徒会室の前にたどり着いてしまったのである。
0
お気に入りに追加
436
あなたにおすすめの小説
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい
三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。
そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。
深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~
白金ひよこ
恋愛
熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!
しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!
物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?
悪役令嬢は南国で自給自足したい
夕日(夕日凪)
恋愛
侯爵令嬢ビアンカ・シュラットは7歳の誕生日が近づく頃、
前世の記憶を思い出し自分がとある乙女ゲームの悪役令嬢である事に気付く。
このまま進むと国外追放が待っている…!
焦るビアンカだが前世の自分は限界集落と称される離島で自給自足に近い生活をしていた事を思い出し、
「別に国外追放されても自給自足できるんじゃない?どうせなら自然豊かな南国に追放して貰おう!」
と目を輝かせる。
南国に追放されたい令嬢とそれを見守る溺愛執事のお話。
※小説家になろう様でも公開中です。
※ネタバレが苦手な方は最新話まで読んだのちに感想欄をご覧になる事をおススメしております。
【完結】異世界転生した先は断罪イベント五秒前!
春風悠里
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したと思ったら、まさかの悪役令嬢で断罪イベント直前!
さて、どうやって切り抜けようか?
(全6話で完結)
※一般的なざまぁではありません
※他サイト様にも掲載中
完 さぁ、悪役令嬢のお役目の時間よ。
水鳥楓椛
恋愛
わたくし、エリザベート・ラ・ツェリーナは今日愛しの婚約者である王太子レオンハルト・フォン・アイゼンハーツに婚約破棄をされる。
なんでそんなことが分かるかって?
それはわたくしに前世の記憶があるから。
婚約破棄されるって分かっているならば逃げればいいって思うでしょう?
でも、わたくしは愛しの婚約者さまの役に立ちたい。
だから、どんなに惨めなめに遭うとしても、わたくしは彼の前に立つ。
さぁ、悪役令嬢のお役目の時間よ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる