乙女ゲームの世界で、私は平和に暮らしたい。

第三章 最後の攻略者襲来！

フィリと放課後のんびり日和（４）

え、背中に何かついてる？

フィリの帰宅準備を手伝っていれば、テオが何やら変なことを言いだす。

「え、何？　とって」

　ぺり、と紙のはがれるような音がした。
　人型になっていたテオが、私に差し出したのは、真っ白い紙。

「誰かに魔力で貼りつけられたかな、フィリ、つけた？」

　何も知らないというように、フィリは首を横に振った。
　Ａ４サイズの真っ白い紙は、じんわりと、真っ赤な文字を浮かべる。


　『見たな』


さながら、ホラー映画にある、呪いの手紙のように。

「―――え？」

　私は、一体いつからホラー映画に転生したのだろうか。死んでもごめんだ。

「テオ、これって、な」
　言った瞬間、足が自動で動き出す。

「は、え？　なにこれ」

　フィリからだんだん離れていく。私の意思とは無関係に。

　愛ちゃんが、また、私に三次元の愛とやらを押し付けるために、足を勝手に動かしてるのだろうか……？

「レイラ？」
「フィリ、なんか、勝手に足が、動いちゃうんだけど！」

　目で助けを求めるが、フィリは

「……呼び出しかなぁ」
　と、ぼんやりとした顔で言う。

「呼び出し？」

「生徒会からの、呼び出しの魔法。この生徒会の人間であり、かつ学校内にのみ有効な魔法」

　のんびり微笑み、あろうことかフィリは私に手を振った。

　生徒会？
　呼び出し？

　思い浮かぶのは、金髪、青い眼の男。