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【24】デート(1)

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 次の日。いつもの朝の時間になり、玄関の扉がノックされる。
 セノフォンテが来たのだと察し、すぐに扉を開けた。

「いらっしゃい、セノ!」
「フラン、誰か確認もせずに扉を開けるのは危険だよ。もし襲われたらどうするの」
「ごめんなさい。この家に来る人なんて滅多にいなくて。今日も来てくれてありがとう!」

 今日もセノフォンテは白い騎士服を着用していた。紋章が飾られた上質な衣裳は何度見ても胸が高鳴ってしまう。

「はじめまして。フラミーニアさん。僕はアルトゥル・カリノヴァーと申します」

 セノフォンテに見惚れていたフラミーニアはハッと隣にいた男性に気づいて膝を曲げた。

「はじめまして。フラミーニアです」

 藍色の髪を後ろで一つに結び、左目には革製の眼帯をしている。紅く煌る瞳が幻想的な男性だった。
 騎士服のセノフォンテに対して、まるで文官のような出立ちだった。服装に関しては知識のないフラミーニアだが、きっと上位貴族であるのだろうと思わせる風格と気品がある。

「フラン、メリッサは居る? まさか逃げたりしてないよな?」
「うん。奥にいるよ。ご案内しますね」

 男性二人を食卓テーブルに案内する。この小さな木の家には来客をもてなす類のものは一切ないのだ。

 台所ではメリッサが薬草茶を煮出していた。

「メリッサ。セノとアルトゥルさんが来たよ」
「わかってるわ。とりあえず、お茶を出してくる」
「…………あ。メリッサ、その薬草って……」

 フラミーニアの呼び止めに見向きもせず、メリッサはお盆にコップを二つ乗せてテーブルに向かう。

「久々ですね。相変わらずお元気そうでなによりです」
「えぇ。宜しければお茶をどうぞ」

 それぞれの前にコップを置くと、メリッサも席に着いた。
 静かにお茶を口に含む二人の所作が、メリッサと同様に品があって綺麗だなとぼんやり思う。

「ゔっ」
「貴方達のためにとびきり苦い薬草茶を淹れたの。体には良薬よ」
「メリッサに苦味なんて分からないだろ?」
「フランに苦い薬草を教えてもらったのよ」

 そういえば昨夜聞かれたな……と思い出してそっと顔を伏せた。……鋭い視線を感じる。

「確かに苦いけど、元気になりそうですね」
「……アル。そんな建前は良いのよ。何しに来たの?」
「勿論、メリッサのお迎えに来たのですよ」
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