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【17】突然の再会(3)
しおりを挟む「フラン、こんなところに居た」
追いかけてきたセノフォンテは座り込んだままのフラミーニアの手を引き、強制的に立ち上がらせた。
気持ちの整理がつかないまま、じっとセノフォンテを見つめる。
「改めて言わせて。俺はセノフォンテ・アプレーア。女神から賜った魔法は【変化魔法】。公爵家の屋根上で会っていた犬も、運び屋の鷹も。全部俺なんだ。……黙っててごめん」
ドクンと大きく胸を打つ。
全魔力を譲渡したときに犬から人間に変化するのを見て、おそらく獣化魔法だろうと思っていた。
「ううん。ちょっと、びっくりして……。変化出来るのは一つだけじゃないんだね」
「うん。生き物なら何でも出来るよ。男でも女でも、動物でも虫でも。魚は……やったことないけど多分出来る」
セノフォンテの言葉を一つ一つ飲み込んでいく。
一度大きく息を吸った。
そしてずっとずっと言いたかったことを伝えるために口を開く。
「セノ。私ずっと、ずっと謝りたかったの。勝手に全ての魔力を転移して何も言わずに逃げ出して。本当にごめんなさい」
深く頭を下げた。謝ったからといって許されるわけではないとは分かっている。
でもあの時は、そうする他に手段がなかった。
「あの夜、目が覚めた時は本当に驚いたよ。だけどフランが【魔力転移】を賜っていると分かって。何故あんな窮屈な生活をしているのか、そして逃げ出した理由もすぐ理解したよ。フランは何も悪くない」
セノフォンテはフラミーニアの肩を掴むと腕の中に閉じ込めた。
「俺こそ、近くに居たのに何も出来なくて、ごめん」
「なんで……。セノが謝ることないよ」
ぎゅっと騎士服を握る。目から溢れそうな雫を必死に留めた。
「それにフランから魔力を貰って、困ったことは何もないから。フランは何も気を負うことはないよ」
厚い胸にそっと顔を埋める。そうでもしないと、情けなく泣き喚いてしまいそうだった。
小さく「ありがとう」と呟いた。
「俺こそずっと【変化魔法】だってこと隠してて……フランは怒ってない?」
「怒るわけないよ。犬のセノも鷹のセノも、人間のセノも、全部大好きだから。ちょっと……いや大分驚いてはいるけどね」
顔を上げながらセノフォンテと密着していた体を離す。
真正面からしっかりとセノフォンテを見つめると、頬が少し赤らんだ。
「それを言ったら私だって大分見た目が変わったでしょう?」
「そうだね」
「よく私がフラミーニアだって分かったね。名前で気づいたの?」
セノフォンテはいや、と小さく首を横に振り、フラミーニアの柔らかな頬に手を添えた。
「笑った顔が一緒だったから」
「……?」
「髪や瞳の色が違っても、笑顔は変わってなかったし、あと犬の俺と鷹の俺への反応が一緒で……すぐに気づいたよ」
「そ、……か……」
何だか照れ臭くて視線を泳がせた。
セノフォンテは改めてフラミーニアの両手を取る。
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