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《28》日本文化と便利グッズ(2)
しおりを挟む着物と帯の展示コーナーが終わり、小物が並べられていた。
着付けに必要な小物だけでなく、扇子やかんざしなどの和小物もある。
「着物を着ていないときでも使えますね。わぁ、可愛い……」
反物の余りで作られた巾着袋を手に取る。丸っこい梅の文様が可愛らしい。
「わぉーう、大和。元気にしてた?」
「あぁ。文太郎も相変わらずだな」
紺青色の着物を着た男性が、へにゃりと笑いながら話しかけてきた。くるんとうねった黒髪に垂れ目な眼が可愛らしい印象だった。
「瑛美、組紐職人の文太郎だ。幼馴染なんだ」
「どうもー。福本工房の福本文太郎です。水と空気以外なら何でも組めます。よろしくねー」
「お前まだそんなこと言ってるのか」
どうやら定番の自己紹介だったらしい。二人のやり取りから距離が近く、とても仲が良いのだなと感じた。
「深谷瑛美です。まだ着物に関して知識が浅いのですが……」
「ねぇねぇ瑛美ちゃん、見てよこの帯締め。僕が糸を染めて編んだんだけど、この浅葱色すっごく綺麗じゃない?!」
「はぁ、綺麗だと思います……」
「でしょ! なかなかこの色に染めるのは難しいんだよ~」
「勝手に言わせておけ」と大和に小突かれる。確かに文太郎が作った帯締めはどれも光沢感があって美しい逸品だった。
「こっちの柄の図案も僕が考えたんだ」
「わぁ、兎の柄ですね。これは追いかけっこをしているんでしょうか。すごく可愛いです!」
「でしょでしょ~」
褒めると嬉しそうに顔をくしゃくしゃにする文太郎はまるでプードルのような愛嬌のある男性だった。
よほど自分の商品に誇りと自信を持っているのだろう。手がけた商品の説明をする文太郎は活気に満ち溢れていた。
「瑛美ちゃんの髪は細くて編み甲斐がある毛質をしているね!」
「あ、編み甲斐……?」
文太郎の言っている意味がよくわからなくてポカンとしているうちに、髪に挿さっていたかんざしが抜き取られる。はらりとパーマをあてた髪が舞い落ちた。
「うん。編みやすいね~」
「あの、ちょっと……」
勝手に髪が編まれていく。助けを求めようと大和を探すが、別の小物を見ていてこちらに気づいていない。
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