23 / 84
《23》どっちのペナルティ?(1)
しおりを挟むお互い着物を脱いで下着姿になり、広いベッドの淵に腰掛ける。やっぱり胸は見られたくなくて、サラシは巻いたままだ。
そんな瑛美の気持ちをおもんぱかってか、大和は瑛美を膝の上に乗せながら優しく囁く。
「サラシは瑛美が取っても良いと思ったときに取ればいい。俺はどんな形でもどんな傷があっても、瑛美への気持ちは変わらないから」
「私への気持ちって……」
「好きに決まってるだろ」
さも当然のように言う大和に充てられて、顔が真っ赤になった。
「好きって、そんなこと、今まで一言も……」
「好きな人以外を抱くわけないだろう。俺がそんな遊び人に見えた?」
「そんなことはないですけど。でもそれが私だなんてにわかに信じられないです。会社でもそんな素振りもなかったですし」
「会社で部下に手つけられるわけないだろ。着付けの入会名簿に瑛美の名前を見つけたときは、チャンスだと思った。強引に担当講師の座を取ったんだからな」
瑛美の波打った髪を優しく耳に掛け、頬に唇が落とされる。
「私の匂いが好きだからですか?」
「きっかけはそうだな。前に席が隣同士だったことがあるだろ。そのときに瑛美が隣にいるのがなんか居心地良く感じたんだ。あとは必死に仕事に食らいつく姿や、俺へ言い返したいのにぐっと唇を噛んで耐え忍んでいる姿が可愛くて」
「そ、そんなに前から、ですか?」
「前からもっと近づきたいとは思ってた。でも周りの社員の手前、態度を変えることなんてできないし、もしセクハラやパワハラになったらどうしようって」
「ふふっ、大和でもそんなこと考えたりするんですね」
なんでも完璧にそつなくこなす印象の大和が、まさかこんなに尻込みしていたなんて。想像がつかなくてクスクスと笑ってしまった。
「瑛美にとって俺はどう見えてる?」
瑛美の顔中にキスをしていた大和は、焦げ茶色の瞳をじっと覗き込んだ。
「会社での厳しい顔と、教室での品のある顔、それぞれ違っていて……でもどれも非の打ちどころがなくで。まさにパーフェクトな人という感じです」
「全然完璧じゃないけど……今だって瑛美に逃げられたらどうしようって、そんなことばっかり考えてる」
「そんな、嘘」
くつくつと笑って、大和の瞳をじっと見つめる。
「今からするのに、ですか?」
「体じゃない。俺は瑛美の心が欲しいって言ってる」
じわじわと温かいものが瑛美を包んでいく。甘くて幸せで、少しだけ苦しい何かに浸りながら、そっと目を伏せる。
「私、自分に自信がないんです。見た目もそうですし、中身……性格とかメンタルとかも、全部。だけど」
勇気を出して顔をあげる。至近距離にある黒い双眸を見つめて、はっきりと意思を伝えた。
「大和が私のこと、たくさん……あ、あいして、くれたらっ。自信がつく、かもっ……」
20
お気に入りに追加
233
あなたにおすすめの小説
【R-18】私を乱す彼の指~お隣のイケメンマッサージ師くんに溺愛されています~【完結】
衣草 薫
恋愛
朋美が酔った勢いで注文した吸うタイプのアダルトグッズが、お隣の爽やかイケメン蓮の部屋に誤配されて大ピンチ。
でも蓮はそれを肩こり用のマッサージ器だと誤解して、マッサージ器を落として壊してしまったお詫びに朋美の肩をマッサージしたいと申し出る。
実は蓮は幼少期に朋美に恋して彼女を忘れられず、大人になって朋美を探し出してお隣に引っ越してきたのだった。
マッサージ師である蓮は大好きな朋美の体を施術と称して愛撫し、過去のトラウマから男性恐怖症であった朋美も蓮を相手に恐怖症を克服していくが……。
セックスシーンには※、
ハレンチなシーンには☆をつけています。
【R18】十六歳の誕生日、許嫁のハイスペお兄さんを私から解放します。
どん丸
恋愛
菖蒲(あやめ)にはイケメンで優しくて、将来を確約されている年上のかっこいい許嫁がいる。一方菖蒲は特別なことは何もないごく普通の高校生。許嫁に恋をしてしまった菖蒲は、許嫁の為に、十六歳の誕生日に彼を自分から解放することを決める。
婚約破棄ならぬ許嫁解消。
外面爽やか内面激重お兄さんのヤンデレっぷりを知らないヒロインが地雷原の上をタップダンスする話です。
※成人男性が未成年女性を無理矢理手込めにします。
R18はマーク付きのみ。
副社長と出張旅行~好きな人にマーキングされた日~【R18】
日下奈緒
恋愛
福住里佳子は、大手企業の副社長の秘書をしている。
いつも紳士の副社長・新田疾風(ハヤテ)の元、好きな気持ちを育てる里佳子だが。
ある日、出張旅行の同行を求められ、ドキドキ。
【R18】男嫌いと噂の美人秘書はエリート副社長に一夜から始まる恋に落とされる。
夏琳トウ(明石唯加)
恋愛
真田(さなだ)ホールディングスで専務秘書を務めている香坂 杏珠(こうさか あんじゅ)は凛とした美人で26歳。社内外問わずモテるものの、男に冷たく当たることから『男性嫌いではないか』と噂されている。
しかし、実際は違う。杏珠は自分の理想を妥協することが出来ず、結果的に彼氏いない歴=年齢を貫いている、いわば拗らせ女なのだ。
そんな杏珠はある日社長から副社長として本社に来てもらう甥っ子の専属秘書になってほしいと打診された。
渋々といった風に了承した杏珠。
そして、出逢った男性――丞(たすく)は、まさかまさかで杏珠の好みぴったりの『筋肉男子』だった。
挙句、気が付いたら二人でベッドにいて……。
しかも、過去についてしまった『とある嘘』が原因で、杏珠は危機に陥る。
後継者と名高いエリート副社長×凛とした美人秘書(拗らせ女)の身体から始まる現代ラブ。
▼掲載先→エブリスタ、ベリーズカフェ、アルファポリス(性描写多め版)
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
新米社長の蕩けるような愛~もう貴方しか見えない~
一ノ瀬 彩音
恋愛
地方都市にある小さな印刷会社。
そこで働く入社三年目の谷垣咲良はある日、社長に呼び出される。
そこには、まだ二十代前半の若々しい社長の姿があって……。
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる