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第一章 運命の悪戯
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オメガに支配された、アルファ、か。
うーん。と考える。
そんな、支配するだのしないだので、惹かれ合うわけじゃない、と思うんだ。
もっとこう、なんていうか、その……それこそ運命の引き合わせなんだ。
「オメガに支配されたアルファ、か。むしろ私は、ルギになら喜んで支配されるな」
ユイスが呟いて、ビクリと身体が跳ねてしまった。
だって、まさにそれを考えていた時だったし。
「俺、は……むしろユイスに支配されたい」
支配するだのどうの、って考えたら、間違いなくアルファの方が支配者だ。
そう思ったら、俺は言葉を零していた。
ちょっと待て、俺今何言った?慌てて口を覆って俯くけど、そんなんでユイスの視線が外れるわけもなくて。むしろ、さっき以上に見られてる。
かぁっと恥ずかしさに、顔が赤くなる。俯いたことで気付いたけど、俺ユイスに治療してもらって、そのまま上何も着てない!ぼんやりしてるにもほどが有る!
「っ、服、着る!」
「着させるわけがないだろう」
俺が慌てて伸ばした手は、ユイスに阻まれて、あっという間に押し倒されて、キス、されてた。
自分の中の熱に困惑して、みっともなくボロボロ泣いて。それでもユイスは俺を離さなかった。
それはすっごい嬉しいことだったんだけど……。
なんか色々すっ飛ばしたけど、何が言いたいって、俺がユイスに抱かれたっていう事実。
そう、俺ユイスに抱かれた。
最初は優しかったけど。その後はもう、俺もなんだかよくわかんなくなって。
気付いたら部屋が変わってた。
多分執事がやったんだろうけど。ユイスが傍に居たから、俺は安心し過ぎてたと思う。
執事か来たりとか、部屋を移ったことにさえ、気付いてなかった。
「……だが、君を愛しているというのは、私が一番だ。誰にも負けぬ」
ぼんやりしてたら、ユイスのそんな声が聞こえた。最初の方、何言ったかわかんなかったけど。でもさ、それはさ。
「俺も、ユイスじゃなきゃ、嫌だから」
なんだよね。だって、ユイス以外と一緒に居るなんて、考えられないんだ。
ユイスは水を飲ませてくれた。
だるい身体は動かなくて、ユイスに申し訳ないと思うと同時に、こうして居てくれる事実が、すっごく嬉しかった。
声かすれてたし。水は有難かったけど。それだけじゃなくて、ユイスが傍に居るって感じられる体勢は、嬉しいという感想しか出てこない。
「すまない。無理をさせた」
さらに水がいるか?と聞かれつつ、ユイスに謝られて、ちょっとびっくりする。
っていうかさ、そのさ。
「え、なんでユイスが謝るんだ?俺だって……えと、その……ユイスが欲しいって言ったのは、俺なんだけど」
そうなんだよ。
ユイスが勝手にしたわけじゃなくて、俺がユイスが欲しいって言った。
その記憶はちゃんと有って。
さすがにこんなに身体が動かなくなるとは思わなかったけど。
それでも、後悔はしてないから、ユイスに謝って欲しくない。
俺を抱いたこと、間違ってたって言われているようで、嫌だ。
なんかユイスが飛躍し過ぎたこと言って、焦ったけど。
「それくらいルギを愛している、という意味だ」
「お、俺も、その……ユイスのこと、好きだ」
愛してるって言うのは、俺にはまだ重くて、言えないけど。
それでも好きだってことは、変わらないから。
だからユイスの想いにはちゃんと答えられてるって、信じる。
ユイスは嬉しそうに笑ってくれてるし。だから、この答えでも間違ってなかったってことだ。
その後に執事が来て、その気配を感知してなかった俺は驚いたけど。驚いて身体が跳ねて、腰の鈍痛がひどかった。
ユイスのことに関して、無理をしないように、って言い含められたけど。
なんで?
ユイスのことで、無理したことなんか、一回もないのに。
俺の部屋にもう戻れるっていうのは、有難いなぁ、とそこだけ受け取ることにした。
だって、わかんないこと考え込んでも仕方ないし。
「ユイス、部屋、戻りたい」
自分では動けないから、ユイスに頼んでみる。体中痛いって、結構不便だ。
でも、後悔してるわけじゃない。
俺は慣れ親しんだ自室が、一番安心できる場所で。その他の場所では、ゆっくりできない。だから、執事も急いで掃除してくれたと思う。
後でちゃんとお礼言わなきゃな。
とか思ってたら、俺の身体はふわりと浮く。
ユイスは、俺のこと、重いとか思わないのかな。結構簡単に抱き上げられてる気がする。
俺自身、筋肉有って、重いと思うんだけど。
ユイスは軽々って感じに俺を抱き上げてしまう。
「ね、ユイス。ずっと傍に居て」
抱き上げられて、ユイスの耳元が近付いたから、小さく囁いてみた。
俺のこと、もう絶対に手放せないって、ユイスは言ってくれるけど。俺ももう、ユイスとは離れたく無かったから。
「嫌だと言っても、離れてはやらない。ルギは私のモノだ。そして私はルギのモノだ」
俺に対抗する様にか、耳元に囁き返してくれるユイス。
自然と笑顔が溢れてた。ユイスと居たら、きっと笑って過ごせるんじゃないかな、と思う。
これからも、二人でずっと笑い合って生きて行くんだ。そんな決意をしてみた。
うーん。と考える。
そんな、支配するだのしないだので、惹かれ合うわけじゃない、と思うんだ。
もっとこう、なんていうか、その……それこそ運命の引き合わせなんだ。
「オメガに支配されたアルファ、か。むしろ私は、ルギになら喜んで支配されるな」
ユイスが呟いて、ビクリと身体が跳ねてしまった。
だって、まさにそれを考えていた時だったし。
「俺、は……むしろユイスに支配されたい」
支配するだのどうの、って考えたら、間違いなくアルファの方が支配者だ。
そう思ったら、俺は言葉を零していた。
ちょっと待て、俺今何言った?慌てて口を覆って俯くけど、そんなんでユイスの視線が外れるわけもなくて。むしろ、さっき以上に見られてる。
かぁっと恥ずかしさに、顔が赤くなる。俯いたことで気付いたけど、俺ユイスに治療してもらって、そのまま上何も着てない!ぼんやりしてるにもほどが有る!
「っ、服、着る!」
「着させるわけがないだろう」
俺が慌てて伸ばした手は、ユイスに阻まれて、あっという間に押し倒されて、キス、されてた。
自分の中の熱に困惑して、みっともなくボロボロ泣いて。それでもユイスは俺を離さなかった。
それはすっごい嬉しいことだったんだけど……。
なんか色々すっ飛ばしたけど、何が言いたいって、俺がユイスに抱かれたっていう事実。
そう、俺ユイスに抱かれた。
最初は優しかったけど。その後はもう、俺もなんだかよくわかんなくなって。
気付いたら部屋が変わってた。
多分執事がやったんだろうけど。ユイスが傍に居たから、俺は安心し過ぎてたと思う。
執事か来たりとか、部屋を移ったことにさえ、気付いてなかった。
「……だが、君を愛しているというのは、私が一番だ。誰にも負けぬ」
ぼんやりしてたら、ユイスのそんな声が聞こえた。最初の方、何言ったかわかんなかったけど。でもさ、それはさ。
「俺も、ユイスじゃなきゃ、嫌だから」
なんだよね。だって、ユイス以外と一緒に居るなんて、考えられないんだ。
ユイスは水を飲ませてくれた。
だるい身体は動かなくて、ユイスに申し訳ないと思うと同時に、こうして居てくれる事実が、すっごく嬉しかった。
声かすれてたし。水は有難かったけど。それだけじゃなくて、ユイスが傍に居るって感じられる体勢は、嬉しいという感想しか出てこない。
「すまない。無理をさせた」
さらに水がいるか?と聞かれつつ、ユイスに謝られて、ちょっとびっくりする。
っていうかさ、そのさ。
「え、なんでユイスが謝るんだ?俺だって……えと、その……ユイスが欲しいって言ったのは、俺なんだけど」
そうなんだよ。
ユイスが勝手にしたわけじゃなくて、俺がユイスが欲しいって言った。
その記憶はちゃんと有って。
さすがにこんなに身体が動かなくなるとは思わなかったけど。
それでも、後悔はしてないから、ユイスに謝って欲しくない。
俺を抱いたこと、間違ってたって言われているようで、嫌だ。
なんかユイスが飛躍し過ぎたこと言って、焦ったけど。
「それくらいルギを愛している、という意味だ」
「お、俺も、その……ユイスのこと、好きだ」
愛してるって言うのは、俺にはまだ重くて、言えないけど。
それでも好きだってことは、変わらないから。
だからユイスの想いにはちゃんと答えられてるって、信じる。
ユイスは嬉しそうに笑ってくれてるし。だから、この答えでも間違ってなかったってことだ。
その後に執事が来て、その気配を感知してなかった俺は驚いたけど。驚いて身体が跳ねて、腰の鈍痛がひどかった。
ユイスのことに関して、無理をしないように、って言い含められたけど。
なんで?
ユイスのことで、無理したことなんか、一回もないのに。
俺の部屋にもう戻れるっていうのは、有難いなぁ、とそこだけ受け取ることにした。
だって、わかんないこと考え込んでも仕方ないし。
「ユイス、部屋、戻りたい」
自分では動けないから、ユイスに頼んでみる。体中痛いって、結構不便だ。
でも、後悔してるわけじゃない。
俺は慣れ親しんだ自室が、一番安心できる場所で。その他の場所では、ゆっくりできない。だから、執事も急いで掃除してくれたと思う。
後でちゃんとお礼言わなきゃな。
とか思ってたら、俺の身体はふわりと浮く。
ユイスは、俺のこと、重いとか思わないのかな。結構簡単に抱き上げられてる気がする。
俺自身、筋肉有って、重いと思うんだけど。
ユイスは軽々って感じに俺を抱き上げてしまう。
「ね、ユイス。ずっと傍に居て」
抱き上げられて、ユイスの耳元が近付いたから、小さく囁いてみた。
俺のこと、もう絶対に手放せないって、ユイスは言ってくれるけど。俺ももう、ユイスとは離れたく無かったから。
「嫌だと言っても、離れてはやらない。ルギは私のモノだ。そして私はルギのモノだ」
俺に対抗する様にか、耳元に囁き返してくれるユイス。
自然と笑顔が溢れてた。ユイスと居たら、きっと笑って過ごせるんじゃないかな、と思う。
これからも、二人でずっと笑い合って生きて行くんだ。そんな決意をしてみた。
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第1章 11
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