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第四章

第49話 エメラルドヒドラを捜索中

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 30層に降りてから早1時間。エメラルドヒドラが見つからない。

 エメラルドヒドラはレベル135と低層の守護者並みの実力を持っているが、守護者ではなく普通の魔物だ。故に固定の生息地があるわけでもなく30層を彷徨っている為、僕達も30層を探し回るはめになっていた。

 ここで、セバスさんに聞けばいいのではと思う人もいるだろうが、実は先のサンダーレイス戦の時に、お力をお借りしたため「これも訓練です。今回はご自身の力でお探し下さい」と言われてしまった。正直面倒くさい。一応、近くに来たら教えて下さいとお願いしたら「仕方ありませんね」と、そこは許可してくれたのでいきなり遭遇戦をさせられる事が無くなっただけでも良しとしよう。

 そんな訳で僕達はあても無く30層を探し回る事になったのだ。

 しかし、ここ30層に来てから再び魔物が一気に強力になって来た。大まなか平均レベルが120くらいだろうか。流石にこれだけレベルが高いと1回1回戦う度に全力で戦わないとマジで死ぬレベルだ。

 とは言いつつ僕自身のレベルも、10体のサンダーレイスをほぼ単独撃破した事と、30層での戦闘で115まで上がったで、以前よりも多少は楽に戦えるようになった気がする。


 問題はエメラルドヒドラの実力かな。まあ、オーガロードと比べるとレベルが低いから単独撃破も可能だとは思うけど、油断はできないだろう。というか、ここまでレベルの高い魔物が相手となると、装備補正が無いクラウディアさん達は正直戦力にはならない……。いや、足手まとい的な……。

 実際は戦ってみないと分からないか。一度当たって見て危険と感じたらクラウディアさん達には撤退してもらおう。


 それから2時間ほどエメラルドヒドラの探索を続け、今日はもう諦めようかと思い始めた頃、セバスさんから報告が入る。ちなみにエメラルドヒドラが100m以内に入ればセバスさんから報告が入る事になっていた。

『クラウド様、お待ちください。そこの角を右に曲がり80mほど行った場所にエメラルドヒドラがいます』

 やっとか。ようやくエメラルドヒドラと対面だよ。そうだ、クラウディアさん達にも伝えないとな。

「あそこの角を右に曲がった所にエメラルドヒドラがいるようです。クラウディアさん達も戦闘の準備をお願いします。それから今回の敵はレベル135と今までの魔物とは格が違います。守護者だったあのダイルバイパーよりも更にレベルが10も高い魔物です。僕が危険と感じたら撤退指示を出します。その時は必ず指示に従って撤退して下さい。後は僕が何とかしますから」

 僕の言葉に最初は「私たちがお願いしている事です。クラウド様を置いて先に逃げるわけにはまいりません」とか言っていたが、素直に「実力不足の者が一緒にいては却って僕自身も危険にさらされます」と伝えると悔しそうであったが了承してくれた。

 これで取りあえず、クラウディアさん達は問題無いかな。

『みんな、いよいよエメラルドヒドラと戦うけど準備は良い?』

 俺が装備のみんなに声を掛けるとそれぞれ元気な返事が返って来た。

 では、とその前に、先ずはどんなやつか確認しないとね。ということで、角までコソコソ歩いていくと慎重にエメラルドヒドラのいる方を覗く。

 いました。しかしデカいな。通路の天井に頭が届きそうだ。

 覗いた先には、全身エメラルドのような美しい鱗で覆われた巨体に、凶悪な9つの竜の頭を持ったドラゴンが立っていた。

 あれは見るからに強そうだな。見た目だけならオーガロードよりも強そうに見えるのは、竜種ならではの迫力のようなものなのかもしれない。

「じゃあ、僕から先ず先制攻撃します。クラウディアさん達はなるべく距離を取って僕のサポートに回るようにしてください」

 僕の言葉にクラウディアさん達は頷き各々の武器を構える。ちなみに今回はアンネマリーさんも弓装備で戦ってもらう事になっている。


 それではこれから先制攻撃開始するのだが、その攻撃方法は雷魔法の雷の槍9本セットによりヘッドショットを狙い。同時にクイの『魔炎の矢』により攻撃をしかける。そして先制攻撃の後は与えたダメージによって臨機応変に対応するという事になりそうだ。

 ホント『魔導の深淵』も使いたいが、セバスさん的に「それでは訓練になりませんので今回は許可を出せません」との事らしい。相変わらず厳しい方です。というか、これも訓練のうちのようです。


 そんな訳でホントに戦闘開始だ。クイを構えた僕は同時に雷の槍を展開し、準備万端になった所でエメラルドヒドラの前に躍り出る。

「じゃあ、戦闘開始します!」

 クラウディアさん達に宣言するように一つ気合の言葉を発し、僕は魔炎の矢と9本の雷の槍を一斉に発射した。
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