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第三章
第29話 思い通りに行かないようです
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この世の中、中々思い通りに行かないようです。
翌日、いつ騎士団が来るか分からないので早めに昼食をとり、いつでも出発出来るよう準備を整えているとセバスさんより報告が入った。
いよいよ騎士団が来たかと思っていると
『魔物が村に急接近しております』
なっ!? このタイミングで魔物ですか?
何て間の悪い魔物だ。
『魔物の種類と数、それとレベルは?』
僕の完璧な計画を台無しにしてくれたのは、どこのどいつだ?
『ワイバーン、数は1体、レベルは115で御座います』
ワイバーンですか。
しかしさすがは、ワイバーン。亜竜とはいえ竜種。レベル100オーバーは立派だ。
この前のオーガロード戦でレベルが108まで上がったが、まともにやったら簡単に勝てる相手じゃないな。
しかし今回はクイがいれば特に問題ないだろう。
『クイ、やれそうか?』
『あの程度なら特に問題ありません』
だろうね。それに普通に撃ってダメなら、アノ技を使えばいいしね。
『セバスさん。ワイバーンが到着するまでの時間は?』
『到着予想時間は約10分後。有効射程距離まで約8分30秒で御座います』
仕方ない、行きますか。1つ気合を入れ外に出た。
◇ ◇ ◇
「セバスさん、視覚補助をお願いします」
『畏まりました』
外に出た僕は早速村の物見櫓に登り、ワイバーンに対し準備を始める。
おお、見えた、見えた、あれがワイバーンか。初めて見た。
セバスさんの視覚補助により、遠方まで目視出来るようになった僕は早速ワイバーンを確認していた。
緑色の細身の体形に大きな翼を持った、やや蛇寄りの竜だ。
しかしあのワイバーン、確かにこちらに向かって来てはいるけど、この村を襲撃するつもりは無いような気がする。ただ単に進行方向に偶々この村があるだけのような……。
さて、どうしよう? 下手に刺激して反撃されても困る。このまま通り過ぎて行ってくれないかな。
そんな期待をしながらワイバーンを観察していると。
「あっ! やばい。この村に気が付いたみたい」
明らかに、この村の方を意識しているように見える。
既に村のまでの距離は1kmを切っている。ワイバーンが本気で移動を開始すれば2分と掛からない距離だ。
さて、どう動くかな?
念の為、クイを準備して、いつでも撃てるようにする。
クイならばこの距離は充分有効射程距離だ。来るなら来い。でも出来れば来ないで。
…………。
「あっ! 来ちゃった」
はあ、これで騎士団から逃げる作戦は、ダメになったかも……。
仕方ない。やるしかないか。
「クイ! いくぞ」
『いつでもどうぞ』
弓形態のクイを構え魔法の矢を番える。
「亜竜とはいえ竜の実力、どんなものか見せてもらうよ」
一言つぶやき頭部を狙って魔法の矢を放つ。
魔法の矢は光を曳きながら一直線のワイバーンに迫る。
しかし、魔法の矢がワイバーンに届こうとする瞬間、爆発したように跡形もなく消え失せてしまった。
「えっ! なんで?」
『おそらく風属性の竜種が、飛行の際に張る風魔法の結界かと』
また、厄介な能力を持っているな。
『クラウド様、ご報告申し上げます。騎士団を確認。村到着予想時間は約1時間後で御座います』
うわ~、最悪のタイミングで騎士団登場って感じだ。これはもう諦めるしかないか。
はあ、騎士団は諦めるとしても急がないなと。ワイバーンが村まで来たら大混乱ってしまう。
仕方ない。アレを使うか。
「クイ! 魔炎を使うよ」
『了解です』
構えた弓に今度は黒く光る矢が現れる。
「ワイバーンさん。これならどうかな? 魔炎の矢!!」
力強い言葉と共に黒き矢は漆黒の炎を上げ、迫りくるワイバーンに向け放たれた。
黒き炎の矢は轟音をあげ、ワイバーンに襲いかかる。
黒き矢が、ワイバーンの結界の触れた瞬間、ドンッ!!と何かにぶつかるような音とがしたかと思うと、ワイバーンの頭は突然黒い炎に包まれた。
さすがに魔炎の矢は効くみたいだ。後は止め……。ん?
魔炎の矢をくらったワイバーンは、飛行の勢いそのままに地面に突っ込み村の近くまで転がってきた。
「へ? これで終わり?」
『ワイバーンの死亡を確認致しました』
マジですか? 魔炎の矢、恐るべし。
ちなみに魔炎の矢は、クイの固有能力で契約者の魔力を使い通常の魔法の矢よりも数倍の威力まで引き上げる固有能力だ。その威力は契約者の魔力に依存する。つまり、レヴィの『オーラソード』の弓版みたいなものだと言えばわかりやすいだろうか。
しかし、あまりに派手に倒した為、村人がどんどん集まってきた。
この状態で、抜け出すのは無理かな。
これはもう、諦めて騎士団の方々と会うしかないか。
はあ、なんか気が重い……。
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この世の中、中々思い通りに行かないようです。
翌日、いつ騎士団が来るか分からないので早めに昼食をとり、いつでも出発出来るよう準備を整えているとセバスさんより報告が入った。
いよいよ騎士団が来たかと思っていると
『魔物が村に急接近しております』
なっ!? このタイミングで魔物ですか?
何て間の悪い魔物だ。
『魔物の種類と数、それとレベルは?』
僕の完璧な計画を台無しにしてくれたのは、どこのどいつだ?
『ワイバーン、数は1体、レベルは115で御座います』
ワイバーンですか。
しかしさすがは、ワイバーン。亜竜とはいえ竜種。レベル100オーバーは立派だ。
この前のオーガロード戦でレベルが108まで上がったが、まともにやったら簡単に勝てる相手じゃないな。
しかし今回はクイがいれば特に問題ないだろう。
『クイ、やれそうか?』
『あの程度なら特に問題ありません』
だろうね。それに普通に撃ってダメなら、アノ技を使えばいいしね。
『セバスさん。ワイバーンが到着するまでの時間は?』
『到着予想時間は約10分後。有効射程距離まで約8分30秒で御座います』
仕方ない、行きますか。1つ気合を入れ外に出た。
◇ ◇ ◇
「セバスさん、視覚補助をお願いします」
『畏まりました』
外に出た僕は早速村の物見櫓に登り、ワイバーンに対し準備を始める。
おお、見えた、見えた、あれがワイバーンか。初めて見た。
セバスさんの視覚補助により、遠方まで目視出来るようになった僕は早速ワイバーンを確認していた。
緑色の細身の体形に大きな翼を持った、やや蛇寄りの竜だ。
しかしあのワイバーン、確かにこちらに向かって来てはいるけど、この村を襲撃するつもりは無いような気がする。ただ単に進行方向に偶々この村があるだけのような……。
さて、どうしよう? 下手に刺激して反撃されても困る。このまま通り過ぎて行ってくれないかな。
そんな期待をしながらワイバーンを観察していると。
「あっ! やばい。この村に気が付いたみたい」
明らかに、この村の方を意識しているように見える。
既に村のまでの距離は1kmを切っている。ワイバーンが本気で移動を開始すれば2分と掛からない距離だ。
さて、どう動くかな?
念の為、クイを準備して、いつでも撃てるようにする。
クイならばこの距離は充分有効射程距離だ。来るなら来い。でも出来れば来ないで。
…………。
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はあ、これで騎士団から逃げる作戦は、ダメになったかも……。
仕方ない。やるしかないか。
「クイ! いくぞ」
『いつでもどうぞ』
弓形態のクイを構え魔法の矢を番える。
「亜竜とはいえ竜の実力、どんなものか見せてもらうよ」
一言つぶやき頭部を狙って魔法の矢を放つ。
魔法の矢は光を曳きながら一直線のワイバーンに迫る。
しかし、魔法の矢がワイバーンに届こうとする瞬間、爆発したように跡形もなく消え失せてしまった。
「えっ! なんで?」
『おそらく風属性の竜種が、飛行の際に張る風魔法の結界かと』
また、厄介な能力を持っているな。
『クラウド様、ご報告申し上げます。騎士団を確認。村到着予想時間は約1時間後で御座います』
うわ~、最悪のタイミングで騎士団登場って感じだ。これはもう諦めるしかないか。
はあ、騎士団は諦めるとしても急がないなと。ワイバーンが村まで来たら大混乱ってしまう。
仕方ない。アレを使うか。
「クイ! 魔炎を使うよ」
『了解です』
構えた弓に今度は黒く光る矢が現れる。
「ワイバーンさん。これならどうかな? 魔炎の矢!!」
力強い言葉と共に黒き矢は漆黒の炎を上げ、迫りくるワイバーンに向け放たれた。
黒き炎の矢は轟音をあげ、ワイバーンに襲いかかる。
黒き矢が、ワイバーンの結界の触れた瞬間、ドンッ!!と何かにぶつかるような音とがしたかと思うと、ワイバーンの頭は突然黒い炎に包まれた。
さすがに魔炎の矢は効くみたいだ。後は止め……。ん?
魔炎の矢をくらったワイバーンは、飛行の勢いそのままに地面に突っ込み村の近くまで転がってきた。
「へ? これで終わり?」
『ワイバーンの死亡を確認致しました』
マジですか? 魔炎の矢、恐るべし。
ちなみに魔炎の矢は、クイの固有能力で契約者の魔力を使い通常の魔法の矢よりも数倍の威力まで引き上げる固有能力だ。その威力は契約者の魔力に依存する。つまり、レヴィの『オーラソード』の弓版みたいなものだと言えばわかりやすいだろうか。
しかし、あまりに派手に倒した為、村人がどんどん集まってきた。
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