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第三章

第25話 コルマ村を守ろう(2)

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 「クレイさん、今から僕は下に降ります。代わりに僕の仲間を召喚して、ペガサスはその娘に任せます。クレイさんはその娘の指示に従ってペガサスに乗っていてください」

 「え? 召喚? その娘って?」

 突然訳が分からない事を言われて、混乱するクレイさん。

 しかし、ゆっくり説明している時間はない。
 
 『クイ! クレイさんの事と援護をお願い。セバスさんは状況報告を。レヴィ、イジスさん行くよ』
 
 『了解です』『畏まりました』『待ってました!』『御意』それぞれ返事を受け僕はペガサスからオーガの密集する中に飛び降りた。

 「なっ! ちょっ……」

 後ろからクレイさんが何か言っているが、構ってはいられない。


 オーガの群れに向けて自由落下しながら、近くのオーガ密集地帯に向けて、爆炎系火魔法を放つ。

 直径50cm程の炎の塊がオーガの群れに向け飛び込んでいく。

 その炎の軌跡を目で追いながらオーガ蠢く大地に着地する。それと同時に周りを囲んでいた3体のオーガを魔剣レヴィで横一閃、瞬時に3体のオーガを真二つに斬り裂く。その瞬間後方で爆音が響き渡り、大きな火柱が上がった。

 僕はその火柱を背に、次の標的に向け襲いかかる。

 突然の襲撃で、完全に混乱状態にあるオーガ達を次々に斬り裂き止めを刺していく。

 中には混乱から立ち直り反撃を試みるオーガもいるが、その攻撃も神盾イジスによって阻まれる。

 上空からは人化したクイがペガサスを操りオーガを次々に射抜いていく。

 オーガは時間が経つにつれその数を減らしていった。

 
 ◇ ◇ ◇


 村の防壁が破られ、オーガが次々に村の中に侵入してくる。家々を次々に破壊し蹂躙が始まった。

 助けを求めにラオ達を出したが、街まで到着するのにあと1日は掛かる。それから騎士団が出発したとしても、村まで到着するのに更に3日は掛かる。はっきり言って絶望的な時間だ。

 次々に家が壊され、村人たちは逃げ惑う。何とかまだ人的被害は出ていないが時間の問題だ。ワシは村長として判断を誤った。奢りがあった。今更言っても詮無ことだが……。

 そして、目の前で村の娘が一人、オーガに襲われようとしている。

 くそっ! ここからでは助けに向かっても間に合わん。いや、間に合ったとしても、何も出来ずにワシ諸共殺されるだけだろう。

 しかし、村娘が今にも襲われようとした時、どこからともなく光の矢が飛来し、オーガの頬をかすめ、その隙に村娘は逃げる事に成功した。

 今のは、なんだ? 誰かオーガに弓でも放ったのか? いや、今のは魔法の矢。そんなもの使える者などこの村にはいない。

 さらにオーガが村娘を追おうとすると、新たな光の矢が飛来しオーガの足を貫いた。


 そこからは何が起こっているのかワシには全く分からない。

 次々に飛来する光の矢によってオーガ達は打倒されていく。

 たとえ木の陰や家屋の陰に隠れていようとも、木や家屋ごと光の矢はオーガを貫き、倒していく。

 一体誰が……?


 「あれは何なんだ?」

 その時、村の若者クレイと共の天馬に乗った1人の少年が現れた。

 そして突如ペガサスに乗って現れた少年は、火柱が上がる中、次々にオーガを打倒していく。

 もう終わりだという絶望の中に、突然救世主が現れたのだ。

 村は……、村は、助かるのか……。

 ◇ ◇ ◇


 次々と襲い来るオーガを切り捨てながら、オーガロードの動向を確認する。

 「セバスさん! オーガロードは?」

 『現在、まだ動きは御座いません。ただ、どうやら我々の方を意識しているようです』
 
 よし、それは好都合だ。オーガロードが僕を意識してくれていれば、村に入って行こうとはしないはず。

 「村に新たにオーガは侵入してない?」
 
 『そちらはクイが、侵入しようとしているオーガを優先的に攻撃している為、問題御座いません』

 流石、食い意地は張っているが、いざ戦闘となると頼りになる。

 「オーガロード以外の残りのオーガの数は?」

 新たに1体のオーガを斬り裂きながら質問する。

 『今倒したのを引きますと、残敵は11体で御座います』

 約半数を倒した訳だ。かなり順調にいっている。

 ただし、これもオーガロードが動き出せばどうなるか?
 
 「セバスさんは引き続きオーガロードの動向を確認! 何か動きが有れば優先的に報告を」

 『畏まりました』

 よし、オーガロードは取り敢えずこれでいいとして、オーガロードと対峙する前に出来るだけオーガを倒しておこう。本命と戦闘中、邪魔に入られると後々面倒だ。

 「レヴィ、イジスさん、一気にオーガ達を殲滅するよ。

 『ほい、きた!』『御意』と二人の返事を受け、オーガの密集点に向け僕は突っ込んで行った。
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