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敵さんとの一日目
私が病院に行った理由
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目が覚めたらそこは我が家だった。家事をしてソファベッドで一休み。そのまま、うたた寝してしまったらしい。
それにしても、最悪な夢だった・・・。
必殺技が効かない敵さんと出会って、いくらイケメンでも無理矢理されてしまうなんて、現実じゃなくてよかった。
寝起きでうまく動かない身体はミシミシと音をたてそうなほど凝り固まっていて、ダルおも。
身体を起こして伸びをしたら、生理の時のように下着が濡れる感触がした。
「?!」
一人暮らしだからとここで服を脱いで確認できないから、急いで浴室に向かうけど、身体が痛くてヨロヨロとかフラフラ。どうにかこうにかたどり着いて、下着をおろしたら、遮るものがなくなったとばかりに太腿の内側へと垂れた。
その垂れたものを指で付けて見てみたら、それはどう見ても血じゃない。下り物でもなさそうだった。下り物だとしたら、垂れるぐらいに出た量で病院に行ったほうがいいと思う。
「・・・」
あれは夢じゃなかった・・・?
現実逃避したかったけど、目を背けたままにはできそうにない。
少しでも妊娠する確率を下げないといけない。それにこのままの状態が嫌だった。
私はそのまま中に残っているものを掻き出して、シャワーで洗い流すことにした。ついでに全身も洗って、少しでもあの痕跡を消すことにもした。
思い出したくもない嫌な思い出じゃあ、なかった。
そりゃあ、敵さんはイケメンだったし、痛い思いも苦しい思いもしなかった。
だけど、子どもを産ませたいからって、初対面で無理矢理された。
それなのに気持ちよくなっていた自分が嫌だった。
今まで男と縁がなかったのに、敵さんに触られたら肉食系女子(ビッチ)の気持ちがわかった。イケメンとする気持ちいいセックス。それがどんなにいいものか。
あの時、変身する前はちょうど、自宅にいたから、敵さんが変身を解除して、自宅に戻ったんだろう。
服を脱いで中から掻き出す作業をしていると、ふいに指を入れられた時の感覚を思い出して、身体に火が付く。
敵さんがどんな風にしていたのか、なんとなく思い出そうとしながら真似て指を動かす。掻き出しているはずが、自慰になってしまって(それも人生初)。指は一本なんかじゃ足りなくて、二本でも駄目。三本使ってもなかなかイけない。
だから、敵さんがしてくれていると夢想してしまった。
28年、生きてきて初めてだった。
敵さん自体がどっかイカレていても、女として賞賛されたのは初めてだった。
それも遊びではなく、本気でだ。
「敵さん・・・」
『桃子。気持ちいいか?』
経験がないのも、どこが気持ちよくなれるのかも私が知らないのを知っているだけじゃなくて、私の思っていることまで知ることのできるのに、敵さんは聞いてきた。
「敵さん・・・」
『これがいいのか?』
イけないのがもどかしくて、掻き出していた指は膣の上にある丸いものを口や指でいじられていただけで何度もイけた記憶から、そこを弄っていた。
敵さんを受け入れさせられた時は絶対、イヤだと思った。
でも、あの楽園を目にしてしまったら、もう駄目だった。狂ったようにあそこに行きたくて仕方がなかった。
女として愛されたかった。
女として必要とされたかった。
女として子どもの母親に選ばれたかった。
28になっても、彼氏がいない自分は何の興味も持たれないような女の欠陥品だと思っていた。
自分から告白する勇気がないわけじゃない。告白したことで笑われるのが嫌だった。
だから、私は気にしないようにした。
身近にいる恋人たちを。
街で見かける恋人たちを。
ドラマで見る恋人たちは所詮虚構のもの。
テレビで見る恋人たちも実際は不倫や二股三股の浮気で綺麗なものじゃない。
女として求められないなら、友人として求められるだけでいいと思った。
でも、女として強く求められたかった。
女として生まれてきたからには、子どもが欲しかった。
子どもがいなくても、自分を愛してくれる人が欲しかった。
「『こどもをちょうだい!』」
『今回駄目でも、いつかはやるからな。桃子』
だけど、敵さんとは種族が違う。
能力だって違う。
寿命だって違うかもしれない。
相手はとんでもない能力を持った種族で、私はただの元ペットだった種族。
敵さんがどんなに子どもを望んでも、子どもは私と同じ人間として生まれてくるだろう。
それに敵さん自身はそう思わなくても、他のトロールは私の産んだ子どもを元ペットだった種族として見るだろう。
私のせいで虐げられる不幸な子どもは産みたくない。
でも、中絶なんかできない。
イって、浴室の床に座り込んでいた私は、シャワーの後、webで事後の避妊薬を調べた。
緊急避妊薬は婦人科で手に入るらしい。
自分には関係ないと思っていたそれをもらいに婦人科に行った。
病院に着くまで、緊急避妊薬についてwebで書かれていたことが何度も頭をよぎる。避妊の方法が着床を防ぐと書いてあったのが気になった。
受精してしまった命を着床しないようにするのは、中絶とどう違うのだろう?
往生際の悪い私は病院でもずっとそれに頭を悩ませていた。
女として愛され、子どもの母親として求められるのは嬉しい。
だけど、その結果できた子どもが不幸な人生を歩むからとその命を摘み取ってしまうようなことをしてもいいのか?
もし、今、私のお腹の中で既に受精されていたら、私の身勝手な思い込みで望まれている命を殺してしまっていいのか?
病院で緊急避妊薬をもらったものの、私にはそれが飲めなかった。
それにしても、最悪な夢だった・・・。
必殺技が効かない敵さんと出会って、いくらイケメンでも無理矢理されてしまうなんて、現実じゃなくてよかった。
寝起きでうまく動かない身体はミシミシと音をたてそうなほど凝り固まっていて、ダルおも。
身体を起こして伸びをしたら、生理の時のように下着が濡れる感触がした。
「?!」
一人暮らしだからとここで服を脱いで確認できないから、急いで浴室に向かうけど、身体が痛くてヨロヨロとかフラフラ。どうにかこうにかたどり着いて、下着をおろしたら、遮るものがなくなったとばかりに太腿の内側へと垂れた。
その垂れたものを指で付けて見てみたら、それはどう見ても血じゃない。下り物でもなさそうだった。下り物だとしたら、垂れるぐらいに出た量で病院に行ったほうがいいと思う。
「・・・」
あれは夢じゃなかった・・・?
現実逃避したかったけど、目を背けたままにはできそうにない。
少しでも妊娠する確率を下げないといけない。それにこのままの状態が嫌だった。
私はそのまま中に残っているものを掻き出して、シャワーで洗い流すことにした。ついでに全身も洗って、少しでもあの痕跡を消すことにもした。
思い出したくもない嫌な思い出じゃあ、なかった。
そりゃあ、敵さんはイケメンだったし、痛い思いも苦しい思いもしなかった。
だけど、子どもを産ませたいからって、初対面で無理矢理された。
それなのに気持ちよくなっていた自分が嫌だった。
今まで男と縁がなかったのに、敵さんに触られたら肉食系女子(ビッチ)の気持ちがわかった。イケメンとする気持ちいいセックス。それがどんなにいいものか。
あの時、変身する前はちょうど、自宅にいたから、敵さんが変身を解除して、自宅に戻ったんだろう。
服を脱いで中から掻き出す作業をしていると、ふいに指を入れられた時の感覚を思い出して、身体に火が付く。
敵さんがどんな風にしていたのか、なんとなく思い出そうとしながら真似て指を動かす。掻き出しているはずが、自慰になってしまって(それも人生初)。指は一本なんかじゃ足りなくて、二本でも駄目。三本使ってもなかなかイけない。
だから、敵さんがしてくれていると夢想してしまった。
28年、生きてきて初めてだった。
敵さん自体がどっかイカレていても、女として賞賛されたのは初めてだった。
それも遊びではなく、本気でだ。
「敵さん・・・」
『桃子。気持ちいいか?』
経験がないのも、どこが気持ちよくなれるのかも私が知らないのを知っているだけじゃなくて、私の思っていることまで知ることのできるのに、敵さんは聞いてきた。
「敵さん・・・」
『これがいいのか?』
イけないのがもどかしくて、掻き出していた指は膣の上にある丸いものを口や指でいじられていただけで何度もイけた記憶から、そこを弄っていた。
敵さんを受け入れさせられた時は絶対、イヤだと思った。
でも、あの楽園を目にしてしまったら、もう駄目だった。狂ったようにあそこに行きたくて仕方がなかった。
女として愛されたかった。
女として必要とされたかった。
女として子どもの母親に選ばれたかった。
28になっても、彼氏がいない自分は何の興味も持たれないような女の欠陥品だと思っていた。
自分から告白する勇気がないわけじゃない。告白したことで笑われるのが嫌だった。
だから、私は気にしないようにした。
身近にいる恋人たちを。
街で見かける恋人たちを。
ドラマで見る恋人たちは所詮虚構のもの。
テレビで見る恋人たちも実際は不倫や二股三股の浮気で綺麗なものじゃない。
女として求められないなら、友人として求められるだけでいいと思った。
でも、女として強く求められたかった。
女として生まれてきたからには、子どもが欲しかった。
子どもがいなくても、自分を愛してくれる人が欲しかった。
「『こどもをちょうだい!』」
『今回駄目でも、いつかはやるからな。桃子』
だけど、敵さんとは種族が違う。
能力だって違う。
寿命だって違うかもしれない。
相手はとんでもない能力を持った種族で、私はただの元ペットだった種族。
敵さんがどんなに子どもを望んでも、子どもは私と同じ人間として生まれてくるだろう。
それに敵さん自身はそう思わなくても、他のトロールは私の産んだ子どもを元ペットだった種族として見るだろう。
私のせいで虐げられる不幸な子どもは産みたくない。
でも、中絶なんかできない。
イって、浴室の床に座り込んでいた私は、シャワーの後、webで事後の避妊薬を調べた。
緊急避妊薬は婦人科で手に入るらしい。
自分には関係ないと思っていたそれをもらいに婦人科に行った。
病院に着くまで、緊急避妊薬についてwebで書かれていたことが何度も頭をよぎる。避妊の方法が着床を防ぐと書いてあったのが気になった。
受精してしまった命を着床しないようにするのは、中絶とどう違うのだろう?
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女として愛され、子どもの母親として求められるのは嬉しい。
だけど、その結果できた子どもが不幸な人生を歩むからとその命を摘み取ってしまうようなことをしてもいいのか?
もし、今、私のお腹の中で既に受精されていたら、私の身勝手な思い込みで望まれている命を殺してしまっていいのか?
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