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スフレみたい

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「だが――」
「あー、はいはい。しかしもカカシもねーから。オブラートに包んで言えないお前が何かしよーとすると、こいつはスフレみたいにすぐぺちゃんこになるんだよ」

 ス、スフレって、どういうこと?!
 聞きたいけど、また物知らずだと思われたくないから、黙っておく。
 すぐぺちゃんこになるって、スフレって、どういうものだろう?

「スフレか・・・」

 クリフトン卿は何か考え込み始めた。

 スフレって、考え込むようなものなの?!
 蝉みたいに短期間しか生きていない虫?
 でも、ぺちゃんこになるし、虫じゃない?
 ぺちゃんこになっても大丈夫なら、植物?
 花なら夜には閉じてしまうのもあるし、花の一種かな?

「勝手に卑下するこいつにピッタリだろ」

 自画自賛とばかりに上機嫌に言うブライアン。

 だから、スフレって、何?!
 ヒゲするわたしにそっくりって、何?!!
 そもそも、ヒゲって何?!
 髭?
 なはずないし。

「そうだな」

 クリフトン卿の頷きがわたしの混乱を加速させる。
 わたしが合ってるってクリフトン卿が認めるスフレって何なの?!!
 何なのよ?!
 どんな色や形しているのよ?!
 ヒゲするところが似てるって、どう言うことよ?!
 どういうものなのよ?!!

「こいつ、何言われているか、わかってねー顔してるだろ。わかっちゃいねーんだよ。スフレなんて食べさせてもらったことねーから、知らねーんだよ」
「食べ物?!」
「ほらな」

 ぺちゃんこになるって、食べ物なの?!
 ぺちゃんこになったのを食べるの?!
 全然、想像ができない。
 ぺちゃんこになる食べ物って、美味しいの?!
 まずいの?!
 ブライアンだけじゃなくて、クリフトン卿も食べたことあるから、有名な食べ物なの?!

「そんなことあるのか?! スフレくらい食べたことあるだろ?!」

 クリフトン卿が眉を上げて驚く。

「スフレって、運ばれてすぐ潰れるだろ? そんな貴重なもん食わして貰えるなら、言葉遣いくらい直されているだろ?」
「ああ、そうか」

 クリフトン卿は納得したのか、額の縦皺を深くして頷く。

「姉と妹の婚約者の仲を近付きすぎたのを許したのだって、妹の婚約者にしておいて、姉が気に入ったら取り替える気があったからだろ。跡取り教育しているなら、娘が死んでも代わりに仕事できるからなー」
「まさか。フェルナンドを婿に出すなんて、君の父上が許さないだろ」
「婚約者の姉と浮気して婚約者を変えたがる男に、家を継がせてーか? 信用できないって周りに周知しているよーな奴に?」
「しかし、そんな男を婿にしたいんだろ?」
「跡取り教育されていて、実家に見放された男なんか、大切な跡取り娘の婿にちょーど良いだろ。逃げ道がなけりゃ、自分の立場思い知らせて、好きにできるからな」

 そう言って、ブライアンはわたしのほうを見た。
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