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ウォルト
兄と呼んでいいのかわからない兄と、幼馴染と呼んでいいのかわからない幼馴染
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「リーンネット、危ない!」
頭の中がぐらんぐらんと揺れてよろめいた私に駆け寄って抱きとめたのは兄(オスカー)ではなく幼馴染(ウォルト)。
なんかパターン化しているが、やっぱり私の兄も兄らしくなければ、幼馴染も幼馴染らしくない。二人の中身を入れ替えたほうがしっくりくる。
「あ、ありがとう。ウォルト」
嫌味の一つでも言ってやりたい相手は私の予想を更に上に行く発言をする。
「大丈夫そうで安心した。ウォルト、僕は部屋に戻っているからそっちの用事が済んだら来てくれ」
そう言って、兄(・)オスカーは去って行った。
お前の目は節穴か!
どこをどう見たらそうなる!
フレイはまだこちらに残って心配そうにしているじゃないか!
もう、ツッコミどころが多すぎる。
これ以上、ツッコむ気力は今の私にはない。
大人しく抱きかかえられた状態で諦めの境地に至る。
どうすれば、ウォルトに抱えられている状態の私を大丈夫そうだって言えるのかわからない。
何か他に興味を引くことがあって、そっちを優先しただけじゃないんだろうか?
本当に、オスカーは私の兄なんだろうか?
というか、これが普通の兄妹(家族でもいい)の関係なんだろうか?
ゲームの中の兄弟たちを普通だと考えると、私たち兄妹の関係はおかしい。
私の兄のやること為すこと、どこか普通の兄妹とは思えない。
前世のことを思い出す前から(前世のことと言っても、自分自身の名前や年齢、家族など個人的なことはわからない。ただ、ゲームを買って損した記憶とかはあるのに、兄弟とその記憶はない。解せぬ。)、私の兄はあの通りの人物で、ずっと兄妹(家族)らしくない(その辺を歩いている赤の他人と間違えているんじゃないかと思う)態度をとる人だ(これは貴族だから当たり前なんだ)とは思っていたけど、ゲームの中に出てくる他の兄妹(兄弟)はこんなんじゃなかった。
ウザいならウザいなりに、それでも見捨てない甘さがあるというか、しょうがない奴だとばかりに苦笑したり、癇癪起こしたり、心配して怒ったりしているのを知ってしまった後で、私の兄の無関心な態度を見ると凹まずにはいられない。
他の娘(ゲームの中の令嬢)が羨ましい。
馬鹿なことをしでかして兄に怒られている弟とか、「是非、代わって下さい!」と言いたいくらい。
でも、無関心はないと思う! 無関心は!
ローゼンバーグ侯爵令嬢みたいに兄君を「お兄様」呼ばわりして、キャッキャッウフフフとかそこまでしたいわけじゃない。私はオスカーにシスコンになって欲しいわけでも、自分がブラコンになる気もない。
私はゲームの中の他の令嬢や弟みたいに普通の弟妹として扱われたかった。それが私のささやかな願いなのに・・・。
リーンネットの意識外での会話―――
「じゃあ、ミス・アーネット。リーンネットはちゃんとベッドに寝かせてくるから」
「お願いしますね、ミスター・ウォルト」
「大丈夫なのか、ウォルト? 一人で運べるか?」
「リーンネットの一人や二人くらい運べなくてどうする。・・・」
視界がいきなり変わった。
「うわあーー!!」
思わず大きな叫び声を上げてしまう。
どうやら私はじゃがいもの袋のようにウォルトの肩に担がれたらしい。
兄(オスカー)に対して腹を立てていた私は、どうしてこういう流れになったのか何がなんやらさっぱりわからない。
お腹痛い。この体勢、お腹痛いから。
さっき食べたお昼が出ちゃうから。
「降ろして、ウォルトー!!」
頭の中がぐらんぐらんと揺れてよろめいた私に駆け寄って抱きとめたのは兄(オスカー)ではなく幼馴染(ウォルト)。
なんかパターン化しているが、やっぱり私の兄も兄らしくなければ、幼馴染も幼馴染らしくない。二人の中身を入れ替えたほうがしっくりくる。
「あ、ありがとう。ウォルト」
嫌味の一つでも言ってやりたい相手は私の予想を更に上に行く発言をする。
「大丈夫そうで安心した。ウォルト、僕は部屋に戻っているからそっちの用事が済んだら来てくれ」
そう言って、兄(・)オスカーは去って行った。
お前の目は節穴か!
どこをどう見たらそうなる!
フレイはまだこちらに残って心配そうにしているじゃないか!
もう、ツッコミどころが多すぎる。
これ以上、ツッコむ気力は今の私にはない。
大人しく抱きかかえられた状態で諦めの境地に至る。
どうすれば、ウォルトに抱えられている状態の私を大丈夫そうだって言えるのかわからない。
何か他に興味を引くことがあって、そっちを優先しただけじゃないんだろうか?
本当に、オスカーは私の兄なんだろうか?
というか、これが普通の兄妹(家族でもいい)の関係なんだろうか?
ゲームの中の兄弟たちを普通だと考えると、私たち兄妹の関係はおかしい。
私の兄のやること為すこと、どこか普通の兄妹とは思えない。
前世のことを思い出す前から(前世のことと言っても、自分自身の名前や年齢、家族など個人的なことはわからない。ただ、ゲームを買って損した記憶とかはあるのに、兄弟とその記憶はない。解せぬ。)、私の兄はあの通りの人物で、ずっと兄妹(家族)らしくない(その辺を歩いている赤の他人と間違えているんじゃないかと思う)態度をとる人だ(これは貴族だから当たり前なんだ)とは思っていたけど、ゲームの中に出てくる他の兄妹(兄弟)はこんなんじゃなかった。
ウザいならウザいなりに、それでも見捨てない甘さがあるというか、しょうがない奴だとばかりに苦笑したり、癇癪起こしたり、心配して怒ったりしているのを知ってしまった後で、私の兄の無関心な態度を見ると凹まずにはいられない。
他の娘(ゲームの中の令嬢)が羨ましい。
馬鹿なことをしでかして兄に怒られている弟とか、「是非、代わって下さい!」と言いたいくらい。
でも、無関心はないと思う! 無関心は!
ローゼンバーグ侯爵令嬢みたいに兄君を「お兄様」呼ばわりして、キャッキャッウフフフとかそこまでしたいわけじゃない。私はオスカーにシスコンになって欲しいわけでも、自分がブラコンになる気もない。
私はゲームの中の他の令嬢や弟みたいに普通の弟妹として扱われたかった。それが私のささやかな願いなのに・・・。
リーンネットの意識外での会話―――
「じゃあ、ミス・アーネット。リーンネットはちゃんとベッドに寝かせてくるから」
「お願いしますね、ミスター・ウォルト」
「大丈夫なのか、ウォルト? 一人で運べるか?」
「リーンネットの一人や二人くらい運べなくてどうする。・・・」
視界がいきなり変わった。
「うわあーー!!」
思わず大きな叫び声を上げてしまう。
どうやら私はじゃがいもの袋のようにウォルトの肩に担がれたらしい。
兄(オスカー)に対して腹を立てていた私は、どうしてこういう流れになったのか何がなんやらさっぱりわからない。
お腹痛い。この体勢、お腹痛いから。
さっき食べたお昼が出ちゃうから。
「降ろして、ウォルトー!!」
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