【完結】何度ループしても私を愛さなかった婚約者が言い寄ってきたのですが、あなたとの白い結婚は10回以上経験したので、もう信じられません!

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【地雷有り】私が婚約者と結婚したくない理由

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「姉様。姉様」

 私は虚ろに男を受け入れていました。
 泣き叫んでも、誰も助けてはくれません。
 快楽に狂って、男を受け入れていました。

 誰も来ません。
 王子に愛されていない妃など、弱い立場です。
 王族が暮らすプライヴェートエリア。そこに入れる者は限られています。
 私の部屋で立ち入りを許されている殿方は親族くらい。
 愛妾やそれ以外の浮気相手だけを愛する王子から、私はこの部屋から出ることを許されていません。公には嫁いでから体調を崩したとされています。
 愛されぬ妃など自室に幽閉されるだけの存在。
 それでも、私は夫を待ち続けていました。

 ですが、私の下に訪れるのは弟だけ。

「姉様。姉様」

 昏い目をした若い男が私を犯す。

 結婚して数年。夫婦関係のない白い結婚を続けていた私の下に訪れた弟は、私の身体を暴きました。
 ほんの数日前までは、私たちはごく普通の姉弟でした。
 たった数日で、弟は変わってしまった。
 いつものように、顔を見せに来てくれたのだと、お茶を用意しようとした時、襲われました。部屋の外に逃げようとして、扉を開けましたが、そこには警備の者はいませんでした。
 状況に躊躇した私は弟に捕まり、引きずられて寝室に連れ込まれました。
 あとは忌まわしい記憶です。

 それから、何度も弟は私を犯しに来るようになりました。
 後片付けをする侍女たちは何があったのか知っていても、何も言いませんでした。
 助けてもくれませんでした。

 私ははしたない声を上げて、男を受け入れます。
 誰も助けてはくれない絶望と、可愛い弟の変貌を嘆きながら。

 やがて、この関係に耐えられなくなった私は、自ら命を絶ちました。

 しかし、14歳に戻りました。
 今度こそは王子に愛してもらえると結婚すれば、白い結婚で、数年したら弟にまたも犯されました。
 同じでした。
 何も変わりませんでした。
 王子の愛妾や浮気相手が変わろうと、私が白い結婚をすれば、弟に犯されることは変わりません。
 何度繰り返しても、王子は私を愛さず、成人を迎えた弟に犯されました。

 王子との婚約を解消してようやく、弟に犯されなくなりました。
 成人した弟は婚約者と仲睦まじく、私を犯したあの昏い目をしていませんでした。
 私が賭けで求婚してきた相手と白い結婚をした時ですら、弟は可愛い弟のままでした。

 獣に成り果てた弟は、王子と婚約解消しただけで可愛い弟のままでいられました。
 私は王子との婚約解消を目指します。
 死んでは14歳から繰り返す人生が何故繰り返すのか、それは知りません。
 ですが、弟が獣にならず、幸せになってくれるなら、何度でも王子と婚約解消しましょう。
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