17 / 33
17話 伝統のサドンデスマッチ
しおりを挟む
かくして、伝統のサドンデスマッチは開かれた。
何事かというと、私とルーナ様の二人で箱の中からくじを引きつづけ、先にあたりが引けなかった方が負け。そして、勝った方が、女神様の真なる選定者となるらしい。
「先に言っておきましょう。今まで、このサドンデスマッチで挑戦者が勝ったことはありません。女神様の決定は絶対なのです」
「ふふん、だったら、あたしが勝つに決まっているわね。だって、今年のはイカサマなんですもの! 女神様の御意志は私にあるに決まっているわ!」
ルーナ様は自信満々に胸を張る。
呆然としている私の横で、ひょろっと背の高い神官が身をかがめて私に耳打ちしてきた。
「神官長の言うとおりです! 負けっこありませんので、どうか、お気持ちを楽に臨んでください!」
「は、はい。ありがとうございます」
よくわからないままお礼を言いつつ、私はこっそり胸の内で(このバトルこそ、教会がイカサマし放題なのでは……?)と思ってしまった。
「ちょっとよろしい? あたしがその箱の中にくじを入れてもいいかしら?」
ルーナ様も同じことを考えられたようで、神官長に進言する。神官長はゆったりと頷いて、余裕を見せつけた。
「構いませんよ。女神様の御意志は変わりません」
──私は、なんの茶番に巻き込まれているのかしら?
「さあ、ミリア様。ルーナ様。一斉に……どうぞ!」
神官の合図で、同時にくじを引く。結果は……二人とも、当たりを引いた。
「両者相打ち! 次!」
二人とも当たりを引いた時は、引きわけとして、また新たにくじを引くらしい。なんだか、永遠にくじを引き続けるような気がしてきた。
「ううむ、両者ともなかなか退きませんな!」
「そうですな、引きませんな!」
「引くだけに!」
ギャラリーがよくわからないことを言って、ドッと沸く。
ものすごい地味な絵面だと思うのだけれど、教会の神官たちはなぜかとても盛り上がっていた。暇なのかしら。
「ミリア・ロスベルト! 随分と余裕じゃない! 集中なさい!」
「はっはい!」
ルーナ様に怒られてしまった。私は気を取り直してくじを引く。
紙に赤い印が書いてあれば、あたりだ。
私は今回も赤いくじを引いた。ルーナ様も。
「女神様はなかなか魅せてくれますな……」
「いいや、そろそろ……おおっ!」
次の回。ルーナ様は初めて真っ白なくじを引いた。
形の良い眉が歪む。
私はもうすでに、箱の中に手を入れている。この場にいる誰もが、私が手にした紙はなんだったのかを、気にしている。
場の勢いに流されていて、ずっとどこか呆けていた私だけれど、さすがにこの瞬間は緊張した。数多の視線を感じながら、私が箱から引き抜いたものは……。
「──赤の印だ!」
あたりだ!
私が赤い印を視認するよりも、歓声の方が早かった。
ルーナ様がくうっ、と声を絞り出しながら握り拳を机に叩きつけた。
「皆のもの、見ましたか。これこそ、女神様の御意志。絶対的なもの。女神様に選ばれた乙女の奇跡です」
神官長が、両手を高々と掲げ、枯れた声を張り上げると、一層歓声は強まった。
「……悔しいけれど、どうやら、女神様の選定……ということに、偽りはないようね……」
「は、はあ……」
ルーナ様に握手を求められたので、応えつつ、私は内心苦笑いしていた。取り囲む神官の中には私を拝む人もいた。
「これ、誰か。王立新聞に今日のことを報せなさい」
「はっ! わたくしが行ってまいります!」
(し、新聞に載るの!? これが!?)
ポカンとしているうちに、神官長の言葉に挙手で応えた神官の一人があっという間に部屋から駆けて出て行った。
「必ずいるのです。こういう者が。しかし、女神様に選ばれた者が負けることはないのです。これこそ、女神の術であることの証左」
神官長が私の肩を叩く。老人ながら、なかなか力が強くて、ちょっと痛い。
「ミリア様。今年の精霊様。どうぞ、今日のことを糧とし、いっそう励み、お役目を果たしてくれますよう」
「は、はい!」
神官長とも握手を交わした。カサカサの老人の手だが、でも、やっぱり力は強かった。
「ミリア・ロスベルト……いえ、ミリア様。本日は大変失礼いたしました。あなたのことを侮辱してしまったわ」
「いいえ、ルーナ様。どうか、お気になさらず」
ルーナ様はとても恭しく、私に礼をする。その声と、表情から彼女が本心から私に謝ってくれていることはよくわかった。
顔を上げたルーナ様は一度苦笑をしてから、やや目を伏せて、やがて嘆息した。
「女神様に選ばれたあなたと握手をしたんですもの。私にも幸運があるかしら。運命的な……出会いとか」
ルーナ様がオレンジの瞳を輝かせながら、ほのかに赤らんだ頬にそっと手を添えた。恋に恋するご令嬢という風体で、そのお顔はとても美しい。
ルーナ様は、悪い人ではない。そう、納得がいくまで追求するし、あくまで強気の姿勢を崩すことはけしてしないが、理屈に納得さえいけば、後をひくことはなく、とても素直で、前向きなご令嬢なのである。
「……でも、当人のあなたがまだまだ婚約者が決まっていないのだものね! いえ、でも、今は精霊祭の前でみんな予定を入れるのを控えていたから……精霊祭が終わってからかしら? お互い、よい人が見つかるといいわね!」
一気に捲し立てて、ルーナ様は颯爽とこの場を立ち去った。
(ま、またカミルのことを言えなかった……)
精霊祭が終わったら、お茶会でお会いした時に、今度こそ「実はカミルという婚約者候補がいて……」という話が、できるかな。できるといいな。次こそ私、気をしっかり保たないと!
まずはとにかく精霊祭を無事に終えなくっちゃ!
精霊祭まで、あと三週間。頑張るぞ!
ちなみに、今回の件は神官長の指示通り、王立新聞にバッチリ載って、お兄様は大笑いし、お父様はため息をついて、カミルからは「さすがミリアだ!」と手紙で称賛された。
そうそう、カミルは「やらなくちゃいけないこと」がなかなか捗らなくて大変だけど、私を見習って頑張る、俺も負けない、とも手紙に書いていた。
……私のは、ただの、くじ引きなんだけどね……。
何事かというと、私とルーナ様の二人で箱の中からくじを引きつづけ、先にあたりが引けなかった方が負け。そして、勝った方が、女神様の真なる選定者となるらしい。
「先に言っておきましょう。今まで、このサドンデスマッチで挑戦者が勝ったことはありません。女神様の決定は絶対なのです」
「ふふん、だったら、あたしが勝つに決まっているわね。だって、今年のはイカサマなんですもの! 女神様の御意志は私にあるに決まっているわ!」
ルーナ様は自信満々に胸を張る。
呆然としている私の横で、ひょろっと背の高い神官が身をかがめて私に耳打ちしてきた。
「神官長の言うとおりです! 負けっこありませんので、どうか、お気持ちを楽に臨んでください!」
「は、はい。ありがとうございます」
よくわからないままお礼を言いつつ、私はこっそり胸の内で(このバトルこそ、教会がイカサマし放題なのでは……?)と思ってしまった。
「ちょっとよろしい? あたしがその箱の中にくじを入れてもいいかしら?」
ルーナ様も同じことを考えられたようで、神官長に進言する。神官長はゆったりと頷いて、余裕を見せつけた。
「構いませんよ。女神様の御意志は変わりません」
──私は、なんの茶番に巻き込まれているのかしら?
「さあ、ミリア様。ルーナ様。一斉に……どうぞ!」
神官の合図で、同時にくじを引く。結果は……二人とも、当たりを引いた。
「両者相打ち! 次!」
二人とも当たりを引いた時は、引きわけとして、また新たにくじを引くらしい。なんだか、永遠にくじを引き続けるような気がしてきた。
「ううむ、両者ともなかなか退きませんな!」
「そうですな、引きませんな!」
「引くだけに!」
ギャラリーがよくわからないことを言って、ドッと沸く。
ものすごい地味な絵面だと思うのだけれど、教会の神官たちはなぜかとても盛り上がっていた。暇なのかしら。
「ミリア・ロスベルト! 随分と余裕じゃない! 集中なさい!」
「はっはい!」
ルーナ様に怒られてしまった。私は気を取り直してくじを引く。
紙に赤い印が書いてあれば、あたりだ。
私は今回も赤いくじを引いた。ルーナ様も。
「女神様はなかなか魅せてくれますな……」
「いいや、そろそろ……おおっ!」
次の回。ルーナ様は初めて真っ白なくじを引いた。
形の良い眉が歪む。
私はもうすでに、箱の中に手を入れている。この場にいる誰もが、私が手にした紙はなんだったのかを、気にしている。
場の勢いに流されていて、ずっとどこか呆けていた私だけれど、さすがにこの瞬間は緊張した。数多の視線を感じながら、私が箱から引き抜いたものは……。
「──赤の印だ!」
あたりだ!
私が赤い印を視認するよりも、歓声の方が早かった。
ルーナ様がくうっ、と声を絞り出しながら握り拳を机に叩きつけた。
「皆のもの、見ましたか。これこそ、女神様の御意志。絶対的なもの。女神様に選ばれた乙女の奇跡です」
神官長が、両手を高々と掲げ、枯れた声を張り上げると、一層歓声は強まった。
「……悔しいけれど、どうやら、女神様の選定……ということに、偽りはないようね……」
「は、はあ……」
ルーナ様に握手を求められたので、応えつつ、私は内心苦笑いしていた。取り囲む神官の中には私を拝む人もいた。
「これ、誰か。王立新聞に今日のことを報せなさい」
「はっ! わたくしが行ってまいります!」
(し、新聞に載るの!? これが!?)
ポカンとしているうちに、神官長の言葉に挙手で応えた神官の一人があっという間に部屋から駆けて出て行った。
「必ずいるのです。こういう者が。しかし、女神様に選ばれた者が負けることはないのです。これこそ、女神の術であることの証左」
神官長が私の肩を叩く。老人ながら、なかなか力が強くて、ちょっと痛い。
「ミリア様。今年の精霊様。どうぞ、今日のことを糧とし、いっそう励み、お役目を果たしてくれますよう」
「は、はい!」
神官長とも握手を交わした。カサカサの老人の手だが、でも、やっぱり力は強かった。
「ミリア・ロスベルト……いえ、ミリア様。本日は大変失礼いたしました。あなたのことを侮辱してしまったわ」
「いいえ、ルーナ様。どうか、お気になさらず」
ルーナ様はとても恭しく、私に礼をする。その声と、表情から彼女が本心から私に謝ってくれていることはよくわかった。
顔を上げたルーナ様は一度苦笑をしてから、やや目を伏せて、やがて嘆息した。
「女神様に選ばれたあなたと握手をしたんですもの。私にも幸運があるかしら。運命的な……出会いとか」
ルーナ様がオレンジの瞳を輝かせながら、ほのかに赤らんだ頬にそっと手を添えた。恋に恋するご令嬢という風体で、そのお顔はとても美しい。
ルーナ様は、悪い人ではない。そう、納得がいくまで追求するし、あくまで強気の姿勢を崩すことはけしてしないが、理屈に納得さえいけば、後をひくことはなく、とても素直で、前向きなご令嬢なのである。
「……でも、当人のあなたがまだまだ婚約者が決まっていないのだものね! いえ、でも、今は精霊祭の前でみんな予定を入れるのを控えていたから……精霊祭が終わってからかしら? お互い、よい人が見つかるといいわね!」
一気に捲し立てて、ルーナ様は颯爽とこの場を立ち去った。
(ま、またカミルのことを言えなかった……)
精霊祭が終わったら、お茶会でお会いした時に、今度こそ「実はカミルという婚約者候補がいて……」という話が、できるかな。できるといいな。次こそ私、気をしっかり保たないと!
まずはとにかく精霊祭を無事に終えなくっちゃ!
精霊祭まで、あと三週間。頑張るぞ!
ちなみに、今回の件は神官長の指示通り、王立新聞にバッチリ載って、お兄様は大笑いし、お父様はため息をついて、カミルからは「さすがミリアだ!」と手紙で称賛された。
そうそう、カミルは「やらなくちゃいけないこと」がなかなか捗らなくて大変だけど、私を見習って頑張る、俺も負けない、とも手紙に書いていた。
……私のは、ただの、くじ引きなんだけどね……。
20
お気に入りに追加
1,238
あなたにおすすめの小説
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。
光子
恋愛
ーーー両親の愛情は、全て、可愛い妹の物だった。
昔から、私のモノは、妹が欲しがれば、全て妹のモノになった。お菓子も、玩具も、友人も、恋人も、何もかも。
逆らえば、頬を叩かれ、食事を取り上げられ、何日も部屋に閉じ込められる。
でも、私は不幸じゃなかった。
私には、幼馴染である、カインがいたから。同じ伯爵爵位を持つ、私の大好きな幼馴染、《カイン=マルクス》。彼だけは、いつも私の傍にいてくれた。
彼からのプロポーズを受けた時は、本当に嬉しかった。私を、あの家から救い出してくれたと思った。
私は貴方と結婚出来て、本当に幸せだったーーー
例え、私に子供が出来ず、義母からハズレ嫁と罵られようとも、義父から、マルクス伯爵家の事業全般を丸投げされようとも、私は、貴方さえいてくれれば、それで幸せだったのにーーー。
「《ルエル》お姉様、ごめんなさぁい。私、カイン様との子供を授かったんです」
「すまない、ルエル。君の事は愛しているんだ……でも、僕はマルクス伯爵家の跡取りとして、どうしても世継ぎが必要なんだ!だから、君と離婚し、僕の子供を宿してくれた《エレノア》と、再婚する!」
夫と妹から告げられたのは、地獄に叩き落とされるような、残酷な言葉だった。
カインも結局、私を裏切るのね。
エレノアは、結局、私から全てを奪うのね。
それなら、もういいわ。全部、要らない。
絶対に許さないわ。
私が味わった苦しみを、悲しみを、怒りを、全部返さないと気がすまないーー!
覚悟していてね?
私は、絶対に貴方達を許さないから。
「私、貴方と離婚出来て、幸せよ。
私、あんな男の子供を産まなくて、幸せよ。
ざまぁみろ」
不定期更新。
この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
うたた寝している間に運命が変わりました。
gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。
つかぬことをお伺いいたしますが、私はお飾りの妻ですよね?
蓮
恋愛
少しネガティブな天然鈍感辺境伯令嬢と目つきが悪く恋愛に関してはポンコツコミュ障公爵令息のコミュニケーションエラー必至の爆笑(?)すれ違いラブコメ!
ランツベルク辺境伯令嬢ローザリンデは優秀な兄弟姉妹に囲まれて少し自信を持てずにいた。そんなローザリンデを夜会でエスコートしたいと申し出たのはオルデンブルク公爵令息ルートヴィヒ。そして複数回のエスコートを経て、ルートヴィヒとの結婚が決まるローザリンデ。しかし、ルートヴィヒには身分違いだが恋仲の女性がいる噂をローザリンデは知っていた。
エーベルシュタイン女男爵であるハイデマリー。彼女こそ、ルートヴィヒの恋人である。しかし上級貴族と下級貴族の結婚は許されていない上、ハイデマリーは既婚者である。
ローザリンデは自分がお飾りの妻だと理解した。その上でルートヴィヒとの結婚を受け入れる。ランツベルク家としても、筆頭公爵家であるオルデンブルク家と繋がりを持てることは有益なのだ。
しかし結婚後、ルートヴィヒの様子が明らかにおかしい。ローザリンデはルートヴィヒからお菓子、花、アクセサリー、更にはドレスまでことあるごとにプレゼントされる。プレゼントの量はどんどん増える。流石にこれはおかしいと思ったローザリンデはある日の夜会で聞いてみる。
「つかぬことをお伺いいたしますが、私はお飾りの妻ですよね?」
するとルートヴィヒからは予想外の返事があった。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
いつかの空を見る日まで
たつみ
恋愛
皇命により皇太子の婚約者となったカサンドラ。皇太子は彼女に無関心だったが、彼女も皇太子には無関心。婚姻する気なんてさらさらなく、逃げることだけ考えている。忠実な従僕と逃げる準備を進めていたのだが、不用意にも、皇太子の彼女に対する好感度を上げてしまい、執着されるはめに。複雑な事情がある彼女に、逃亡中止は有り得ない。生きるも死ぬもどうでもいいが、皇宮にだけはいたくないと、従僕と2人、ついに逃亡を決行するのだが。
------------
復讐、逆転ものではありませんので、それをご期待のかたはご注意ください。
悲しい内容が苦手というかたは、特にご注意ください。
中世・近世の欧風な雰囲気ですが、それっぽいだけです。
どんな展開でも、どんと来いなかた向けかもしれません。
(うわあ…ぇう~…がはっ…ぇえぇ~…となるところもあります)
他サイトでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる