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12 顔が気になる

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 高林にいつでも相談してこいと言ったら、それじゃあ、と連絡先を交換することになった。
 着々と仲良くなっていってるのは目論見通りでいいのだが、スムーズすぎない? 俺のコミュ力の賜物なのか?

「裕也、また変な顔してどうしたの?」

「ん? いやなんでも……そうだ、昨日言ってたさ、高林に気をつけた方がいいってどういうこと?」

 今日、北斗はデートで義和は体育祭の委員の集まりがあるらしく、珍しく颯太と二人で帰ることになった。義和もツーブロのつり目で見た目は怖めなのに、中身が割と世話焼き母ちゃんだからか頼られるんだよな。学級委員は固辞したって言っていたが。……あいつ、成績もいいんだよな。ん? もしかして義和ってめっちゃいい男じゃね? ちょっと小さめだけど。

「うーん……なんか、邪なものというか、強すぎる思いを感じるというか」

 新たな気づきを得ていたら、颯太からスピリチュアルな回答が返ってきた。

「いつから霊感少年になったんだお前は」

「そうじゃなくて……いや、俺の口から言うのは違う気がするし、勘違いかもしれないし……」

 なんだか歯切れが悪い。颯太にしては珍しいな。ふわふわしてるが、言うべきことはズバッと言うタイプなんだけどな。

「高林、ふつーにいいやつだよ?」

「裕也、俺は何も高林が悪いやつだとは言ってないよ。むしろ、話してみたいなと思うくらいには興味もあるし」

「そうなん? そしたら高林に三人で昼飯食べないか聞いてみるよ。さすがに俺以外のやつにもそろそろ慣れた方がいいと思うしなー」

「……そうだね。楽しみにしてるね」

 そうこうしているうちに駅までつき、逆方向なのでそこで颯太とは別れた。
 颯太なら穏やかだし、うまく喋れなくても急かしたりしないだろうから高林も安心して話ができると思うんだよな。無理に接触させるのはお節介だと思うけど、颯太も高林と話してみたそうだし、聞いてみるだけ聞いてみるか。

 そう思って高林に早速メッセージアプリでメッセージを送った。え? 既読つくの早くね? たまたまスマホ見てたのかな?

「うーん、ダメか」

 高林からの返事はノー。もう少し慣れるのに時間が欲しい……か。んー、わかるんだけど、話さないと慣れなくね? 前世の俺、時間の経過とともに慣れたことなんてなかったけどな。むしろ、時間が経てば経つほど話しかけにくくなった気がする。でも、無理強いはなー。

「ん? またなんかきてる」

 アプリを開くと明日の昼飯の誘いだった。明日もってなると三日連続かー、そろそろ北斗が拗ねそうだけど、まあいいか。あいつらと違って、高林は俺しか一緒に食べられる相手いないもんな。

「いいよ、っと」

 あ、お礼も早めにしといた方がいいよな。後回しにすると忘れちまうし。
 明日の放課後空いてたら、今日言ってたお礼するぞと送って一息つこうとしたら。

「いや、だから既読つくの早いって」

 早速既読がついて、了解のスタンプ。高林、スタンプ使うのか。結構意外なとこ多いんだよな。なんつーか、前世の俺のイメージで接してるから、先入観があるんだろうな。気をつけないとな。

「それにしても、高林の好きな子って誰だろうな」

 学校で女子と接してるところなど見たことないが、もしかしたら休み時間に会いにいってるのだろうか。でも、そうなら昼飯俺とは食わねぇよな。やっぱ学校外の人かな。派手な見た目だけど純粋ですごく可愛い女子とか、競争率高そうだなー。なんなら俺もそんな子と付き合いたい。

「つか、あの髪型で、うまくいくんかな」

 今のまんまじゃ、競争率以前の問題では? 見た目気にしない人もいるだろうけど、前髪で顔がほとんど見えないって、それで好きになってもらうのは難しいんじゃねぇかな。
 高林は見える範囲だと鼻はシュッと通ってそうだし、顎のラインも綺麗だし、多分気にするほど見た目が悪いわけじゃないと思うんだよな。
 だったら顔出して似合う髪型にしてあの猫背をなんとかすれば、背も高くてスタイル良さげだし、かなりいい感じになるのでは?
 つか、思い返すと腹筋も割れてそうだったし手も大きかったし、かなり恵まれた身体の持ち主な気がする。あのまんまじゃもったいないよなー。

 前世の俺だって、今の俺がプロデュースすればイケメンにはならなくともそこそこ見れる感じにはなるだろうし。何なら今の俺より背も高かったしな。
 ちょっと明日昼飯の時に話してみるか。可能なら、前髪上げさせてもらおう。
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