72 / 86
72.最後の戦闘の授業が終わりました
しおりを挟む
卒業式は学校が運営するが、卒業式の後に行われる記念パーティーは、生徒会主導で企画運営をすることになっている。
準備で忙しいだろうと思いながらも生徒会に足を運び、僕たちはガラスペンを生徒会メンバーに贈った。
「わたしたちが思う、皆さんに似合う色のものを選びました」
「ううっ! ありがとうございます!」
「家宝にします!」
「大げさですね。」
「もったいないので使えません」
「いやいや、それを使って勉強してください」
今年の生徒会メンバーは、王族であるラインハルト様からの贈り物をもらえる良い巡りあわせになっている。ガラスペンを使わないで置いておきたいという気持ちもわかるのだ。
「これからの卒業記念パーティーの準備に気合が入りました! ありがとうございます!」
「素晴らしいものにしてみせます!」
その言葉を聞いて、僕たちは嬉しい気持ちになった。
この学校の生徒でいられる期間もあと少しだ。ラインハルト様とは婚約者であるし、アルブレヒト様とディートフリート様はラインハルト様の側近として、マルティン様は護衛騎士としてお目にかかる回数は少なくないと思うが、フローリアン様とブリギッタ様とはあまりお会いできなくなるだろう。
そんなことを考えていると、寂しくなる。
いろいろなことがあったから、少しセンチメンタルになっているのかもしれない。
人は同じ場所にとどまり続けることはできないのだ。
「それでは、最後の授業を行う!」
フィンク先生がいつものように大きな声で授業開始を告げる。いつもと違うのは、これが最後の授業であるということだ。
フィンク先生はそれぞれの進路に合わせて、これからの戦闘に対する心構えを、実践を交えた形で教えてくださる。フィンク先生に対して乱暴な人だという印象を持っていた生徒も多かったようだ。しかし僕は、本当に生徒のことを考えてくれる先生だったと思っている。
もう間もなく最後の授業が終わると思われる頃、フィンク先生が僕の方を見てにやりと笑った。
「ラファエル・エーリッツ・フォン・メービウス。前へ」
「はい」
フィンク先生に名を呼ばれ、僕は前に出る。
「最後に、俺が、この戦闘の授業で首席の成績だったメービウスと模擬戦闘試合を行う。これが、この学年の皆への餞となる。しっかり受け取れ。
いいな、メービウス」
いつもより、きりっとした顔でそう言い放ったフィンク先生は、全体を見渡してから最後にラインハルト様に目を合わせた。ラインハルト様は、フィンク先生に応えるように美しい微笑を浮かべられた。
それによってラインハルト様から模擬戦闘試合を行う許可が出たと、僕は認識する。
「はい。最後の模擬戦闘試合に選ばれたことを、光栄に思います。よろしくお願いいたします」
フィンク先生の戦闘の授業では、最終日に首席の生徒がフィンク先生と手合わせできる栄誉を授かる。戦闘の科目についてはマルティン様と首席争いをしていたのだけれど、僕がそれを勝ち取ったのだ。
審判役にはマルティン様が指名された。これも、例年次席の生徒が引き受ける役割だ。
「フィンク先生、ヒムメル侯爵令息、審判としてこの試合については時間制限を設けたいと思います。十分間で勝負がつかない場合は引き分けと判断し、試合を終了します」
「おう、わかった。さすが、アイヒベルガーだな。良い判断だ」
「承知いたしました。全力を尽くします」
はっきり言って、フィンク先生と十分間も戦い続けることができる自信はない。だけど……全力で戦い抜くのみだ。
僕は演習場の中央に出て、模擬戦闘用の剣を構えて戦闘態勢に入る。フィンク先生も僕の正面に立って剣を構えた。いつになく、真剣な顔をしていらっしゃる。
「試合開始!」
マルティン様の宣言で模擬戦闘試合の火ぶたが切って落とされる。
僕は風の魔力を纏って、フィンク先生に近づき、一太刀浴びせようとする。僕の剣を受けてはじいた後、フィンク先生の剣が僕に振り下ろされた。
ガキィン
フィンク先生の剣とそれを受け止めた僕の剣がぶつかって、金属の鋭い音がする。
フィンク先生の剣は重い。こんなのをずっと受けていたら、体力が持たない。そもそも対人戦は苦手なのだ。十分は長い。その前に決着をつけたい。
使っているのが刃を潰した模擬剣だといっても、ぶつかれば大けがをする。
魔獣なら一気にやってしまえばいいのだけれど。フィンク先生の、どのあたりを狙おうか。
僕の迷いを見透かしたように、フィンク先生は火魔法を纏わせた剣を僕に向けてきた。
生徒相手にこれを向けるのだから、フィンク先生は本気だ。わかっていたけれど。
僕は、風を纏わせた剣を振るってから、自分に防護壁を作る。風に煽られた火が一気に燃えあがって、フィンク先生の動きが止まる。その間に僕は少し距離をとる。
周囲からどよめきが起きている。しかしフィンク先生はまだまだ、こんなことでやられてはくれないだろう。
「くそっ、メービウス、卑怯な真似を!」
「卑怯ではございません。これは、魔法騎士の常道だと先生が教えてくださったのです」
「くっそー! 優秀な生徒はこれだからな!」
そして常道では、火魔法相手に僕の氷魔法は不利なのだ。風を有効に使うに限る。
風を纏わせた剣をフィンク先生にぶつけようとしては受け止められ、こちらはフィンク先生の剣を躱す。一進一退の試合となる。
起死回生の一手はないものか。
僕は、フィンク先生の剣を躱して背面に回り込み、地面に向かって氷魔法を放つ。
ミシミシと音を立ててフィンク先生の足元が凍っていく。体には至らないように調整したので、靴が凍り付いてしまったはずだ。
「うえっ! 足が動かねえっ」
火魔法で足元の氷を溶かそうとして隙ができたフィンク先生の剣を持つ手元を狙い、僕は剣を振り下ろした。
ガキィン
「ええっ」
フィンク先生は、足元を固められたままで。僕の剣を受け止めて、押し返したのだ。
「ええいくそっ! 押し返すのが精いっぱいだわ」
これは、もう一太刀浴びせなければ、僕は剣に風を纏わせ大きく振り上げた。
そのときだった。
「試合終了です。両者とも引いてください。フィンク先生とヒムメル侯爵令息の試合は、時間切れの引き分けといたします」
マルティン様が辺りに響き渡る声で、試合終了を告げられたのだ。
「アイヒベルガー、もう少し延長できないか!」
「マルティン様、どうにかなりませんでしょうか」
「……おそらくこうなることと思っていたから、時間を設定したのです。お二人とも、引き分けで納得してください。
まあ、俺たちは良いものをみせていただきましたけれど」
フィンク先生と僕の訴えを、マルティン様は軽く蹴飛ばされて、ばしばしと手を叩かれた。すると、皆がそれに呼応するように拍手を始めてしまったので、フィンク先生と僕は礼をしてその場を下がることしかできなくなってしまった。
「ラファエル、素晴らしい試合だったよ。よくあのフィンク先生に食い下がったね」
「ありがとうございます。でも……勝ちたかったです」
ラインハルト様は喉の奥で笑いながら、僕の頭を撫でてくださった。
ラインハルト様の優しさが心に沁みる。でも、勝てなかったのは悔しい。
正気を取り戻したフィンク先生が授業終了の合図をなさり、それで僕たちの戦闘の授業の課程はすべて終わった。
「フィンク先生ありがとうございました!」「感謝しています!」「ありがとうございました!」
皆が口々に礼を言いながら、演習場を後にする。僕が今後この場所に立つことがあるとすれば、王族の伴侶として表彰を行う時ぐらいしかないのだろう。
感慨深く演習場を眺めていると、フィンク先生に声をかけられた。
「メービウス、最後に言っておきたいことがある。
お前は強い。戦闘においてはお前に勝てる奴は少ないだろう。
しかし、お前にとってこれから必要なもんは、守られる覚悟だということは覚えておけ」
「守られる覚悟……ですか?」
フィンク先生が真剣な表情でお話をしてくださる。これは、とても大切なことなのだと思っていらっしゃるのがわかる。
「そうだ。お前は王族の伴侶になるんだ。お前自身がいくら強くても、よほどの有事でもなければお前が前に出るわけにはいかない」
「……僕が戦ってはいけないということでしょうか」
「お前が戦おうとすると、お前を守る護衛がむしろ危険にさらされるっていうことを理解しろ。もちろん戦わないといけないときもあるだろうが、大人しく守られることを受け入れる覚悟をしとけよ。それが、周囲の奴らを守ることになるんだ」
戦って人を守るのではなく、守られることでむしろ周囲を守るのだと、それを意識したことはなかったような気がする。
「ご助言をありがとうございます。僕が守られることで、周りの人も守られると……、そう覚悟します」
「お前は優等生だからな。俺の言ったことを吸収してくれると信じてるぞ。な、守られる強さを持って生きて行けよ」
「フィンク先生、ありがとうございます」
フィンク先生は笑って、僕の頭を撫でてくださった。
王族の伴侶として守られる覚悟、守られる強さ。その新しい認識を持つこと。
僕は、フィンク先生の餞の言葉を胸にして、演習場を後にした。
準備で忙しいだろうと思いながらも生徒会に足を運び、僕たちはガラスペンを生徒会メンバーに贈った。
「わたしたちが思う、皆さんに似合う色のものを選びました」
「ううっ! ありがとうございます!」
「家宝にします!」
「大げさですね。」
「もったいないので使えません」
「いやいや、それを使って勉強してください」
今年の生徒会メンバーは、王族であるラインハルト様からの贈り物をもらえる良い巡りあわせになっている。ガラスペンを使わないで置いておきたいという気持ちもわかるのだ。
「これからの卒業記念パーティーの準備に気合が入りました! ありがとうございます!」
「素晴らしいものにしてみせます!」
その言葉を聞いて、僕たちは嬉しい気持ちになった。
この学校の生徒でいられる期間もあと少しだ。ラインハルト様とは婚約者であるし、アルブレヒト様とディートフリート様はラインハルト様の側近として、マルティン様は護衛騎士としてお目にかかる回数は少なくないと思うが、フローリアン様とブリギッタ様とはあまりお会いできなくなるだろう。
そんなことを考えていると、寂しくなる。
いろいろなことがあったから、少しセンチメンタルになっているのかもしれない。
人は同じ場所にとどまり続けることはできないのだ。
「それでは、最後の授業を行う!」
フィンク先生がいつものように大きな声で授業開始を告げる。いつもと違うのは、これが最後の授業であるということだ。
フィンク先生はそれぞれの進路に合わせて、これからの戦闘に対する心構えを、実践を交えた形で教えてくださる。フィンク先生に対して乱暴な人だという印象を持っていた生徒も多かったようだ。しかし僕は、本当に生徒のことを考えてくれる先生だったと思っている。
もう間もなく最後の授業が終わると思われる頃、フィンク先生が僕の方を見てにやりと笑った。
「ラファエル・エーリッツ・フォン・メービウス。前へ」
「はい」
フィンク先生に名を呼ばれ、僕は前に出る。
「最後に、俺が、この戦闘の授業で首席の成績だったメービウスと模擬戦闘試合を行う。これが、この学年の皆への餞となる。しっかり受け取れ。
いいな、メービウス」
いつもより、きりっとした顔でそう言い放ったフィンク先生は、全体を見渡してから最後にラインハルト様に目を合わせた。ラインハルト様は、フィンク先生に応えるように美しい微笑を浮かべられた。
それによってラインハルト様から模擬戦闘試合を行う許可が出たと、僕は認識する。
「はい。最後の模擬戦闘試合に選ばれたことを、光栄に思います。よろしくお願いいたします」
フィンク先生の戦闘の授業では、最終日に首席の生徒がフィンク先生と手合わせできる栄誉を授かる。戦闘の科目についてはマルティン様と首席争いをしていたのだけれど、僕がそれを勝ち取ったのだ。
審判役にはマルティン様が指名された。これも、例年次席の生徒が引き受ける役割だ。
「フィンク先生、ヒムメル侯爵令息、審判としてこの試合については時間制限を設けたいと思います。十分間で勝負がつかない場合は引き分けと判断し、試合を終了します」
「おう、わかった。さすが、アイヒベルガーだな。良い判断だ」
「承知いたしました。全力を尽くします」
はっきり言って、フィンク先生と十分間も戦い続けることができる自信はない。だけど……全力で戦い抜くのみだ。
僕は演習場の中央に出て、模擬戦闘用の剣を構えて戦闘態勢に入る。フィンク先生も僕の正面に立って剣を構えた。いつになく、真剣な顔をしていらっしゃる。
「試合開始!」
マルティン様の宣言で模擬戦闘試合の火ぶたが切って落とされる。
僕は風の魔力を纏って、フィンク先生に近づき、一太刀浴びせようとする。僕の剣を受けてはじいた後、フィンク先生の剣が僕に振り下ろされた。
ガキィン
フィンク先生の剣とそれを受け止めた僕の剣がぶつかって、金属の鋭い音がする。
フィンク先生の剣は重い。こんなのをずっと受けていたら、体力が持たない。そもそも対人戦は苦手なのだ。十分は長い。その前に決着をつけたい。
使っているのが刃を潰した模擬剣だといっても、ぶつかれば大けがをする。
魔獣なら一気にやってしまえばいいのだけれど。フィンク先生の、どのあたりを狙おうか。
僕の迷いを見透かしたように、フィンク先生は火魔法を纏わせた剣を僕に向けてきた。
生徒相手にこれを向けるのだから、フィンク先生は本気だ。わかっていたけれど。
僕は、風を纏わせた剣を振るってから、自分に防護壁を作る。風に煽られた火が一気に燃えあがって、フィンク先生の動きが止まる。その間に僕は少し距離をとる。
周囲からどよめきが起きている。しかしフィンク先生はまだまだ、こんなことでやられてはくれないだろう。
「くそっ、メービウス、卑怯な真似を!」
「卑怯ではございません。これは、魔法騎士の常道だと先生が教えてくださったのです」
「くっそー! 優秀な生徒はこれだからな!」
そして常道では、火魔法相手に僕の氷魔法は不利なのだ。風を有効に使うに限る。
風を纏わせた剣をフィンク先生にぶつけようとしては受け止められ、こちらはフィンク先生の剣を躱す。一進一退の試合となる。
起死回生の一手はないものか。
僕は、フィンク先生の剣を躱して背面に回り込み、地面に向かって氷魔法を放つ。
ミシミシと音を立ててフィンク先生の足元が凍っていく。体には至らないように調整したので、靴が凍り付いてしまったはずだ。
「うえっ! 足が動かねえっ」
火魔法で足元の氷を溶かそうとして隙ができたフィンク先生の剣を持つ手元を狙い、僕は剣を振り下ろした。
ガキィン
「ええっ」
フィンク先生は、足元を固められたままで。僕の剣を受け止めて、押し返したのだ。
「ええいくそっ! 押し返すのが精いっぱいだわ」
これは、もう一太刀浴びせなければ、僕は剣に風を纏わせ大きく振り上げた。
そのときだった。
「試合終了です。両者とも引いてください。フィンク先生とヒムメル侯爵令息の試合は、時間切れの引き分けといたします」
マルティン様が辺りに響き渡る声で、試合終了を告げられたのだ。
「アイヒベルガー、もう少し延長できないか!」
「マルティン様、どうにかなりませんでしょうか」
「……おそらくこうなることと思っていたから、時間を設定したのです。お二人とも、引き分けで納得してください。
まあ、俺たちは良いものをみせていただきましたけれど」
フィンク先生と僕の訴えを、マルティン様は軽く蹴飛ばされて、ばしばしと手を叩かれた。すると、皆がそれに呼応するように拍手を始めてしまったので、フィンク先生と僕は礼をしてその場を下がることしかできなくなってしまった。
「ラファエル、素晴らしい試合だったよ。よくあのフィンク先生に食い下がったね」
「ありがとうございます。でも……勝ちたかったです」
ラインハルト様は喉の奥で笑いながら、僕の頭を撫でてくださった。
ラインハルト様の優しさが心に沁みる。でも、勝てなかったのは悔しい。
正気を取り戻したフィンク先生が授業終了の合図をなさり、それで僕たちの戦闘の授業の課程はすべて終わった。
「フィンク先生ありがとうございました!」「感謝しています!」「ありがとうございました!」
皆が口々に礼を言いながら、演習場を後にする。僕が今後この場所に立つことがあるとすれば、王族の伴侶として表彰を行う時ぐらいしかないのだろう。
感慨深く演習場を眺めていると、フィンク先生に声をかけられた。
「メービウス、最後に言っておきたいことがある。
お前は強い。戦闘においてはお前に勝てる奴は少ないだろう。
しかし、お前にとってこれから必要なもんは、守られる覚悟だということは覚えておけ」
「守られる覚悟……ですか?」
フィンク先生が真剣な表情でお話をしてくださる。これは、とても大切なことなのだと思っていらっしゃるのがわかる。
「そうだ。お前は王族の伴侶になるんだ。お前自身がいくら強くても、よほどの有事でもなければお前が前に出るわけにはいかない」
「……僕が戦ってはいけないということでしょうか」
「お前が戦おうとすると、お前を守る護衛がむしろ危険にさらされるっていうことを理解しろ。もちろん戦わないといけないときもあるだろうが、大人しく守られることを受け入れる覚悟をしとけよ。それが、周囲の奴らを守ることになるんだ」
戦って人を守るのではなく、守られることでむしろ周囲を守るのだと、それを意識したことはなかったような気がする。
「ご助言をありがとうございます。僕が守られることで、周りの人も守られると……、そう覚悟します」
「お前は優等生だからな。俺の言ったことを吸収してくれると信じてるぞ。な、守られる強さを持って生きて行けよ」
「フィンク先生、ありがとうございます」
フィンク先生は笑って、僕の頭を撫でてくださった。
王族の伴侶として守られる覚悟、守られる強さ。その新しい認識を持つこと。
僕は、フィンク先生の餞の言葉を胸にして、演習場を後にした。
397
お気に入りに追加
3,127
あなたにおすすめの小説

【完結】家も家族もなくし婚約者にも捨てられた僕だけど、隣国の宰相を助けたら囲われて大切にされています。
cyan
BL
留学中に実家が潰れて家族を失くし、婚約者にも捨てられ、どこにも行く宛てがなく彷徨っていた僕を助けてくれたのは隣国の宰相だった。
家が潰れた僕は平民。彼は宰相様、それなのに僕は恐れ多くも彼に恋をした。

5回も婚約破棄されたんで、もう関わりたくありません
くるむ
BL
進化により男も子を産め、同性婚が当たり前となった世界で、
ノエル・モンゴメリー侯爵令息はルーク・クラーク公爵令息と婚約するが、本命の伯爵令嬢を諦められないからと破棄をされてしまう。その後辛い日々を送り若くして死んでしまうが、なぜかいつも婚約破棄をされる朝に巻き戻ってしまう。しかも5回も。
だが6回目に巻き戻った時、婚約破棄当時ではなく、ルークと婚約する前まで巻き戻っていた。
今度こそ、自分が不幸になる切っ掛けとなるルークに近づかないようにと決意するノエルだが……。
【完結】お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
第12回BL大賞奨励賞いただきました!ありがとうございます。僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して、公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…我慢の限界で田舎の領地から家出をして来た。もう戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが我らが坊ちゃま…ジュリアス様だ!坊ちゃまと初めて会った時、不思議な感覚を覚えた。そして突然閃く「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけにジュリアス様が主人公だ!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。だけど何で?全然シナリオ通りじゃないんですけど?
お気に入り&いいね&感想をいただけると嬉しいです!孤独な作業なので(笑)励みになります。
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います
緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。
知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。
花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。
十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。
寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。
見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。
宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。
やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。
次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。
アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。
ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。

【完結】婚約破棄の慰謝料は36回払いでどうだろうか?~悪役令息に幸せを~
志麻友紀
BL
「婚約破棄の慰謝料だが、三十六回払いでどうだ?」
聖フローラ学園の卒業パーティ。悪徳の黒薔薇様ことアルクガード・ダークローズの言葉にみんな耳を疑った。この黒い悪魔にして守銭奴と名高い男が自ら婚約破棄を宣言したとはいえ、その相手に慰謝料を支払うだと!?
しかし、アレクガードは華の神子であるエクター・ラナンキュラスに婚約破棄を宣言した瞬間に思い出したのだ。
この世界が前世、視聴者ひと桁の配信で真夜中にゲラゲラと笑いながらやっていたBLゲーム「FLOWERS~華咲く男達~」の世界であることを。
そして、自分は攻略対象外で必ず破滅処刑ENDを迎える悪役令息であることを……だ。
破滅処刑ENDをなんとしても回避しなければならないと、提示した条件が慰謝料の三六回払いだった。
これは悪徳の黒薔薇と呼ばれた悪役令息が幸せをつかむまでのお話。
絶対ハッピーエンドです!
4万文字弱の中編かな?さくっと読めるはず……と思いたいです。
fujossyさんにも掲載してます。
何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない
てんつぶ
BL
連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。
その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。
弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。
むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。
だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。
人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

夫婦喧嘩したのでダンジョンで生活してみたら思いの外快適だった
ミクリ21 (新)
BL
夫婦喧嘩したアデルは脱走した。
そして、連れ戻されたくないからダンジョン暮らしすることに決めた。
旦那ラグナーと義両親はアデルを探すが当然みつからず、実はアデルが神子という神託があってラグナー達はざまぁされることになる。
アデルはダンジョンで、たまに会う黒いローブ姿の男と惹かれ合う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる