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14-2.やはり断罪必至のようです
しおりを挟むみんな、学園卒業後の未来に進んで行く。
僕は、僕の未来は……、どうなるのだろうか。
考えれば考えるほど、気持ちが落ち込んでいく。
このままでいけば、リカルドは僕との婚約を取りやめて、ルカと婚約することになるのだろう。身分の低い男爵家の令息でも、光魔法を持っているからと言って、ごり押しするに違いない。
そういう状況になれば、僕は、どうなるんだろうか。
僕が持つ光魔法を有り余る魔力は、王家にとっては脅威だ。だから、第一王子の婚約者になった。王家の守護を請け負うとともに、膨大な力に鎖をつけるために。
もともと、父もリカルドとの婚約には納得していなかったけれど、ルカが現れてからは積極的に婚約解消に動いてくれている。それが順調に進まないのは、この光魔法の力をどう扱うかということが解決しないからなんだろう。
処刑か監禁しかないんだろうか……。せめて、ヴィオラ公爵領に蟄居で許してもらえないものか。
図書館への道を、トマスと護衛とともに進む。魔術概論に必要な書物がある場所を、ロレンツォが教えてくれたのだ。
「悪役令息ガブリエレ!」
甲高い声に呼び止められて振り向くと、そこにはルカが立っていた。
うん、僕を悪役令息って呼ぶのはルカだけだよね。知ってた。
そして、第一王子と婚姻を結ぶ気なら、もう少し貴族の仕来りについて勉強しないとダメじゃないかな。
僕たちはいまだ、自己紹介をしていないし、僕は公爵令息だ。男爵令息の君から話しかけることは許されていない。そして、名前を呼び捨てにするなんて論外だ。
リカルドは、何も教えていないんだろうか。
僕は、ルカを無視して、そのまま図書館への道を進む。
「お高くとまっても、もうお前は終わりだ!
お前が邪魔をしたせいで、ハーレムルートは無理だったけど、リカルドは僕のものになった」
僕の後ろで、ルカが叫んでいる。僕には理解できるけれど、トマスや護衛には何を言っているかわからないだろう。ゲームの用語でいっぱいだ。僕もわからないふりをして、歩みを進める。
「僕は、お前を断罪できるネタを手に入れたぞ! 卒業式で、婚約破棄されて、それで、どんな刑を受けるのか、ははっ! 楽しみにまってろ!」
大きな声で笑いながら、ルカが走り去って行った。
「何と無礼な。あの子どもには関わるなと、ガブリエレ様からも旦那様からも伺っておりましたから黙っていましたが、まったく酷い。
どうしてあんな男爵家の子どもを殿下は寵愛されているのでしょうか……」
「そうだね。恋に心を捕らわれて何も見えなくなっているからじゃないかな」
「ガブリエレ様……」
「大丈夫だ。図書館へ行こう」
「はい」
トマスが苦り切っているが、ルカはあんなものだ。だけど、気になることを言っていた。
ルカは、僕が『ハナサキ』を知らないと思っている。それにしては、あのゲームを知らないとわからない言葉を使って話していることが多いけれど。
それがルカのルカらしいところだな。こんなことをわざわざ言いに来るところもルカらしい。
でも、僕はゲームで僕がどうなるのか知っている。僕は卒業パーティーで婚約破棄される。その断罪の後、地下牢で輪姦されて処刑されるのだ。
「僕を断罪できるネタというのは何だろうか……?」
僕はルカに関わっていないし、リカルドにも無礼は働いていない。むしろ、助けたぐらいだ。
それなのに断罪のネタがあるって、どういうことだろうか。
ゲームと違うのは、アンドレアとヴァレリオ、リカルドが側近ではなくなっていること。
そして、父は卒業パーティーの日に外遊には行かないこと。何がなんでも僕の卒業パーティーには出席すると父は言っている。父がいれば、すぐに牢に入れられることはないはずだ。裁判ぐらいは受けさせてもらえるだろう。
そして……、僕の側にはベルがいないことだ。
ベルの裏切りがなければ、何かの証拠をでっちあげることは難しいだろう。
ベル……ベル……どうして……
僕はその日の夜、ベッドの中で少し泣いた。
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