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第三十話
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「まもなくだ・・・」
「うん・・・」
イサリアの声にヒロキは頷く。彼らがいるのは学院長の塔にある彼専用の魔法実験室だ。二人は夜が更けても熱の冷めないパーティー会場を抜け出して、送還魔法の儀式に備えていた。元の世界に戻るヒロキは日本のブレザーに、イサリアも先程の華やかなドレスを脱いで〝鷹の学院〟の制服に着替えている。
ヒロキをこの世界に呼び寄せた召喚儀式はイサリアの部屋で行われたが、送還魔法に行使するに至って彼らは学院長からこの場所の提供を受けた。
儀式魔法を行うのであれば専用に作られたこの実験室の方が都合良い。更に魔法陣は学院長自らが魔力を込めて描いており、イサリアの負担が軽くするよう配慮されていた。パーティーがなければ学院長自らも送還魔法の儀式そのものに参加してくれたに違い。
また、イサリア個人が持つ分だけで賄いきれない膨大な消費魔力は純度の高い魔鉱石が用意されており、後は月齢の影響を最大限に得られる真夜中を待つのみだった。
「うむ、なんだか少し夜の風に当りたくなった・・・ちょっと外に出て来るかな・・・」
イサリアの補助を受け持つことになっているシャルレーが呟くように告げると、二人の反応を待たずに実験室から出て行った。
結局この優秀な魔術士からヒロキの正体を隠し続けることは出来ずに、彼とイサリアは内密を条件に約束していた講義への参加とともに、彼女の個人的な研究に協力することを選んでいた。
恐ろしい人体実験の被験者か、もしくは生きたまま解剖でもされかと思っていたヒロキだが、シャルレーが求めたのはヒロキの毛髪と少量の血液の提供以外は、元の世界、日本と地球に関する証言だけだった。学院長に何をするかわからいと言わしめたシャルレーではあったが、常識的な協力で済んだのだった。そして、下手に誤魔化さずシャルレーの要求を聞き入れた褒美であるのか、今回の送還魔法の儀式に彼女も参加してくれることとなった。
儀式魔法は参加する魔術士が増えるごとに失敗する可能性が下がるという。既に召喚魔法を成功させているイサリアだが、成功の可能性が上がることに異存はなく、彼らにとってはありがたい申し出だった。そしてヒロキとイサリアの様子に気付いた彼女は一時的に席を外す気遣いを見せたのだった。
「・・・導師シャルレーには感謝だな・・・」
これまで不必要に警戒していたこともあってヒロキはシャルレーに謝罪の気持ちを口にする。治療室で叱られたこともあったが、あれは状況的に当然のことであったし、それだけ彼女が責任感を持っているという証明でもある。
ミステリアスでその心根の底では何を考えているわからない部分もあったが、今では優れた指導者でもあったと認めることが出来た。
「うむ。とは言え、導師シャルレーを一から十まで信じ切ってしまうのは危険だぞ。味方でいてくれるならこれほど頼もしい人もいないが、敵に回すと厄介な人もいないだろうからな。付かず離れずくらいが丁度いいのかもしれない」
「ははは、確かにそんな感じかな」
シャルレーに対する敬意を持ちながらもヒロキはイサリアの言葉に同意する。尊敬に値する人物と気付いたのも事実だが、彼女の全てをヒロキが理解したわけではない。彼はシャルレーの評価を原子力発電所のような存在だと再認識する。頼りになるし感謝もするが、近づかなくてすむならばそれに越したことはないと。
「・・・さて、私はヒロキのおかげでミゴールに昇格し、私やエリザだけでなく帝国の危機とも言える事件を未然に防いでくれた。今私が抱いている気持ちは・・・簡単に言葉に出来るものではない。だから、せめての想いを込めて形にしようと思う。ヒロキ・・・少ししゃがんで目を瞑ってくれ!」
「え!」
ヒロキは胸の高鳴りを覚えながらも、その指示に従う。地下迷宮で三度邪魔が入って遂げることが出来なかった行為に彼は期待した。
「・・・」
イサリアの唇の感触を激しい緊張の中で待つヒロキだったが、しばらくしても何の動きを見せない彼女の態度に嫌な予感を覚えるそれまで閉じていた目を開ける。
「・・・まさか!また俺をからかっ!!」
続いて怒りの声を伝えようとするが、それは彼の予想とは別の形で裏切られる。目を開いた瞬間を狙っていたかのように、イサリアはヒロキの唇に自分のそれを押し付けて彼を黙らせたのだ。驚いたヒロキだが、次に瞬間にはイサリアの身体を抱き締めていた。
しばらくそのまま抱き合っていた二人だったが、ヒロキは自身の理性を振り絞るとイサリアから顔を離した。もし今、彼女から離れなければ後戻りが出来なくなると思われたからだ。
現時点で自分とイサリアは恋人同士というわけではない。これ以上の関係を迫ったとしてもイサリアは受け入れてくれるかもしれないが、そうなってしまっては、もう自分が生まれた世界、日本に戻ろうと思わなくなるだろう。イサリアの存在は愛おしいが、全てを投げ打ってしまうほど彼は大胆でも家族に対する愛情がないわけでもなかった。
「ヒロキ、いかな・・・いや、私はヒロキのことは決して忘れないぞ!」
「・・・俺もイサリアのことは忘れない!」
イサリアは離れようとするヒロキの身体をきつく掴むと、途中で言葉を入れ替えるように宣言する。ヒロキは彼女が最初に口にしようとした言葉の意味を察すると幸福感に包まれながら、今度は自分からイサリアに口づけを交わした。
その後、二人はどちらともなく無言のまま抱擁を解いてその時を待った。これ以上言葉を交わしてしまえばお互いの覚悟が鈍ってしまうことがわかっていたからだ。
「そろそろはじめようか」
戻って来たシャルレーに促されるとヒロキとイサリアは頷いた。新月なので実験室の窓から見える夜空は全くと言って良いほどの暗闇に包まれているが、彼女は何かしらの方法で正確な時間を知ることが出来るようだった。
既にこの妖艶な女魔術士とも別れの挨拶を終えている。いよいよ元の世界に戻る時間が来たのだ。
床に描かれている模様を踏まないようにヒロキは魔法陣の中央に立つ。それを合図にイサリアはシャルレーに合図を送ると魔法の詠唱に入った。
「「・・・スメ・・・セル・・・リ・・・」」
読経のような二人の声を聞きながらヒロキはイサリアに眼差しを向ける。彼女の精巧に作られた美術品のような容貌を見ていると、先程の体験が夢の出来事か妄想のように思えてくるが、イサリアの柔らかい唇の感触を思い出すことで、ヒロキはそれが紛れもない現実であったと確信する。
それと同時に彼は自分の意識が徐々に薄くなるに気付いた。魔法の才能にない彼でも送還魔法が発動し始めたことを察する。次元の壁を越える衝撃に備えるためであった。
「・・・イサリア!君に出会えたことは俺の・・・」
意識を失う寸前、ヒロキはイサリアと視線を絡め合うと渾身の力を込めて叫んでいた。
それは次目覚めた時にはイサリアに関する記憶を忘れているかもしれないという恐怖心から発せられた。彼女のことを忘れたくないそれだけを願って彼はこの世界から存在を消した。
「うん・・・」
イサリアの声にヒロキは頷く。彼らがいるのは学院長の塔にある彼専用の魔法実験室だ。二人は夜が更けても熱の冷めないパーティー会場を抜け出して、送還魔法の儀式に備えていた。元の世界に戻るヒロキは日本のブレザーに、イサリアも先程の華やかなドレスを脱いで〝鷹の学院〟の制服に着替えている。
ヒロキをこの世界に呼び寄せた召喚儀式はイサリアの部屋で行われたが、送還魔法に行使するに至って彼らは学院長からこの場所の提供を受けた。
儀式魔法を行うのであれば専用に作られたこの実験室の方が都合良い。更に魔法陣は学院長自らが魔力を込めて描いており、イサリアの負担が軽くするよう配慮されていた。パーティーがなければ学院長自らも送還魔法の儀式そのものに参加してくれたに違い。
また、イサリア個人が持つ分だけで賄いきれない膨大な消費魔力は純度の高い魔鉱石が用意されており、後は月齢の影響を最大限に得られる真夜中を待つのみだった。
「うむ、なんだか少し夜の風に当りたくなった・・・ちょっと外に出て来るかな・・・」
イサリアの補助を受け持つことになっているシャルレーが呟くように告げると、二人の反応を待たずに実験室から出て行った。
結局この優秀な魔術士からヒロキの正体を隠し続けることは出来ずに、彼とイサリアは内密を条件に約束していた講義への参加とともに、彼女の個人的な研究に協力することを選んでいた。
恐ろしい人体実験の被験者か、もしくは生きたまま解剖でもされかと思っていたヒロキだが、シャルレーが求めたのはヒロキの毛髪と少量の血液の提供以外は、元の世界、日本と地球に関する証言だけだった。学院長に何をするかわからいと言わしめたシャルレーではあったが、常識的な協力で済んだのだった。そして、下手に誤魔化さずシャルレーの要求を聞き入れた褒美であるのか、今回の送還魔法の儀式に彼女も参加してくれることとなった。
儀式魔法は参加する魔術士が増えるごとに失敗する可能性が下がるという。既に召喚魔法を成功させているイサリアだが、成功の可能性が上がることに異存はなく、彼らにとってはありがたい申し出だった。そしてヒロキとイサリアの様子に気付いた彼女は一時的に席を外す気遣いを見せたのだった。
「・・・導師シャルレーには感謝だな・・・」
これまで不必要に警戒していたこともあってヒロキはシャルレーに謝罪の気持ちを口にする。治療室で叱られたこともあったが、あれは状況的に当然のことであったし、それだけ彼女が責任感を持っているという証明でもある。
ミステリアスでその心根の底では何を考えているわからない部分もあったが、今では優れた指導者でもあったと認めることが出来た。
「うむ。とは言え、導師シャルレーを一から十まで信じ切ってしまうのは危険だぞ。味方でいてくれるならこれほど頼もしい人もいないが、敵に回すと厄介な人もいないだろうからな。付かず離れずくらいが丁度いいのかもしれない」
「ははは、確かにそんな感じかな」
シャルレーに対する敬意を持ちながらもヒロキはイサリアの言葉に同意する。尊敬に値する人物と気付いたのも事実だが、彼女の全てをヒロキが理解したわけではない。彼はシャルレーの評価を原子力発電所のような存在だと再認識する。頼りになるし感謝もするが、近づかなくてすむならばそれに越したことはないと。
「・・・さて、私はヒロキのおかげでミゴールに昇格し、私やエリザだけでなく帝国の危機とも言える事件を未然に防いでくれた。今私が抱いている気持ちは・・・簡単に言葉に出来るものではない。だから、せめての想いを込めて形にしようと思う。ヒロキ・・・少ししゃがんで目を瞑ってくれ!」
「え!」
ヒロキは胸の高鳴りを覚えながらも、その指示に従う。地下迷宮で三度邪魔が入って遂げることが出来なかった行為に彼は期待した。
「・・・」
イサリアの唇の感触を激しい緊張の中で待つヒロキだったが、しばらくしても何の動きを見せない彼女の態度に嫌な予感を覚えるそれまで閉じていた目を開ける。
「・・・まさか!また俺をからかっ!!」
続いて怒りの声を伝えようとするが、それは彼の予想とは別の形で裏切られる。目を開いた瞬間を狙っていたかのように、イサリアはヒロキの唇に自分のそれを押し付けて彼を黙らせたのだ。驚いたヒロキだが、次に瞬間にはイサリアの身体を抱き締めていた。
しばらくそのまま抱き合っていた二人だったが、ヒロキは自身の理性を振り絞るとイサリアから顔を離した。もし今、彼女から離れなければ後戻りが出来なくなると思われたからだ。
現時点で自分とイサリアは恋人同士というわけではない。これ以上の関係を迫ったとしてもイサリアは受け入れてくれるかもしれないが、そうなってしまっては、もう自分が生まれた世界、日本に戻ろうと思わなくなるだろう。イサリアの存在は愛おしいが、全てを投げ打ってしまうほど彼は大胆でも家族に対する愛情がないわけでもなかった。
「ヒロキ、いかな・・・いや、私はヒロキのことは決して忘れないぞ!」
「・・・俺もイサリアのことは忘れない!」
イサリアは離れようとするヒロキの身体をきつく掴むと、途中で言葉を入れ替えるように宣言する。ヒロキは彼女が最初に口にしようとした言葉の意味を察すると幸福感に包まれながら、今度は自分からイサリアに口づけを交わした。
その後、二人はどちらともなく無言のまま抱擁を解いてその時を待った。これ以上言葉を交わしてしまえばお互いの覚悟が鈍ってしまうことがわかっていたからだ。
「そろそろはじめようか」
戻って来たシャルレーに促されるとヒロキとイサリアは頷いた。新月なので実験室の窓から見える夜空は全くと言って良いほどの暗闇に包まれているが、彼女は何かしらの方法で正確な時間を知ることが出来るようだった。
既にこの妖艶な女魔術士とも別れの挨拶を終えている。いよいよ元の世界に戻る時間が来たのだ。
床に描かれている模様を踏まないようにヒロキは魔法陣の中央に立つ。それを合図にイサリアはシャルレーに合図を送ると魔法の詠唱に入った。
「「・・・スメ・・・セル・・・リ・・・」」
読経のような二人の声を聞きながらヒロキはイサリアに眼差しを向ける。彼女の精巧に作られた美術品のような容貌を見ていると、先程の体験が夢の出来事か妄想のように思えてくるが、イサリアの柔らかい唇の感触を思い出すことで、ヒロキはそれが紛れもない現実であったと確信する。
それと同時に彼は自分の意識が徐々に薄くなるに気付いた。魔法の才能にない彼でも送還魔法が発動し始めたことを察する。次元の壁を越える衝撃に備えるためであった。
「・・・イサリア!君に出会えたことは俺の・・・」
意識を失う寸前、ヒロキはイサリアと視線を絡め合うと渾身の力を込めて叫んでいた。
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