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第二十七話
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「二人とも大丈夫か?!怪我はないか!」
先頭に立って現れたのは導師アルビセスだ。ヒロキ達とはちょっとした因縁のある人物だが、座って待機していた彼ら発見すると、血相を変えて歩み寄り二人の容態を確認する。
「・・・ヒロキが大きな外傷を負って私が傷口を治癒しました。ですが、失血したことで貧血状態にあります。私は魔力を消費した以外は問題ありません・・・」
「そのようだな。二人とも命に別状はないと思うが・・・ミーレ・リゼート、彼の身体を暖めてあげなさい」
ヒロキ達の状態を確認したアルビセスはイサリアにヒロキと密着するように促すと、自分のマントを脱いで二人の肩に掛ける。
「か、感謝します導師アルビセス・・・」
「礼には及ばんよ・・・ああ、学院長が参られた。二人とも大変だったろうが、何があったのか事実を聞かせてくれ」
アルビセスの思わぬ善意にイサリアが驚きを示すが、当のアルビセスは恩に着せることもなく事態の掌握に入ろうとしていた。イサリアとは個人的に馬が合わない彼であったが、ミーレを守る導師としての立場が最優先ということなのだろう。
実はヒロキはイサリアを始めとする帝国の大貴族に反感を持つアルビセスこそが先程クロリスを連れ去った人物なのではと疑っていたのだが、救助隊に加わっている彼にそれが出来るはずがない。ヒロキは心の中でアルビセスに寒さを和らいでくれたマントの感謝をしつつ疑った謝罪を伝える。
「まずはクロリスが・・・」
現れた学院長に向かってイサリアが説明を始めた頃には彼は貧血によって意識が朦朧とし始めていた。右側に寄り添ってくれる彼女の体温だけが唯一の希望のように感じられた。
それからのことをヒロキはあまり覚えていない。しばらくは現場で救援に現れた学院長とアルビセスを始めとする導師達にイサリアとエリザが主となって証言をしていたはずだ。
残念なことに実行犯であるクロリスは連れ去られていたので、導師達に事態が真実であることを伝えるのに二人は苦労しているようだった。ヒロキも証言を求められたが、何と答えたかは思い出せない。もっとも、体験したありのままを話したはずなので後から問題になるようなことはないだろう。
一通りの証言を終えたと判断されたのか、事件の被害者となったヒロキ達は導師の一人に連れられて魔法で地上へと返されることになる。もちろん、背負い袋と課題物でクロリスを殴った蛇の置物を忘れずに回収する。この時、背負い袋に開いた穴と血の汚れで、自分がどれほどの傷を負ったのか視覚的に捉えたヒロキはショックで気を失ってしまう。これまでは気力で持ちこたえていたが、イサリアの指摘通り彼は極度の貧血状態のあったのだ。
次に気付いた時ヒロキは清潔な寝台の上に横になっていた。周囲は自然光と思われる光に満ちていて、永い間地下にいたせいか眩しく感じられる。目を完全に開くのにしばらくの猶予が必要だった。
目が慣れるとヒロキは辺りの観察を開始する。自分が寝かされていたのは天蓋付きのカーテンと思われる白い布で覆われた寝台だ。直ぐ近くに置かれた台には水差しと洗面器が用意されている。彼は喉の渇きと空腹を感じるとともに、意識の失う以前の記憶を辿った。
やがてミゴールの昇格試験で学院地下に潜ったことと、そこで体験した冒険のあらましが脳裏に湧き上がる。そしてこの場所が以前イサリアに案内された学院の医療所であることを察すると、一先ずの安堵を覚えて水差しに手を伸ばした。
「イサリア?」
自分が出した布ずれの音に反応したのだろう。人の気配を感じるとヒロキは問い掛けた。目を覚ませばイサリアがいる。彼にとっては習慣になりつつある現象だ。
「申し訳ないが、ミーレ・リゼートではなく私だ。体調はどうかな?」
「あ、いえ・・・た、体調はかなり良いみたいです」
「それは良かった。ちなみに、今は翌日の午前九時頃だ。君は半日ほど眠っていたことになるな」
「そんなに・・・貧血の治療は導師シャルレーしてくれたのですか?」
カーテンの間から姿を現したシャルレーに戸惑いを覚えながらもヒロキは返事を口にする。時刻については腹具合からその程度だと思っていたが、改めて指摘されると更に空腹が増したように感じられた。
「ああ、そうだ。そんなに驚くことはないだろう。元々医療所は私の管轄だし、自慢ではないが人体の機能に関する魔法で私の右に出る者はそうはいない。最高クラスの治療を受けられたのだ。もっと感謝して欲しいな」
「す、すいません。ありがとうございます」
シャルレーの苦笑に促されるように、ヒロキはお礼を述べる。確かに身体の倦怠感は収まり、意識を失う以前に感じていた手足の冷えも完全に消えていた。それでも彼はシャルレーに対する警戒感を完全に捨てることは出来なかった。
彼女が美しい女性で魔術士としても優秀なことは事実だが、自分を見つめる眼つきは患者に対する視線と言うよりは、実験動物を見るようなどこか醒めていながらも、新たな発見を期待する科学者のように思えたからだ。
「ふふふ、何も取って食ったりはしないよ。そもそも、君の血で汚れた服を着替えさせたのは私だぞ。・・・まあ、冗談はこれくらいにして、ミーレ・ヒロキ、肉体的には完全に治癒しているはずだが、精神的なショックは魔法では癒せない。もうしばらくはここで身体を休めていくといいだろう。君が意識を失っている間に学院側も今回の事件の深刻さを理解し対策に乗り出している。・・・帝国の人間でない君には堪えただろう。巻き込んでしまった詫びだと思ってゆっくりしていってくれ。食事はここに持ってこさせよう!」
そう言い残すとシャルレーは寝台から去って行く。ヒロキは自分の裸をシャルレーに見られた羞恥心よりも、最後の言葉の意味を考えながら彼女を見送る。自分の正体を見透かしたような含みが込められていたからだ。
だが、その疑念は直ぐイサリアの存在に追い出される。シャルレーの思惑は不気味ではあるが、今の所は直接的な害はない。それよりもイサリアの無事こそがヒロキにとっては重大な関心事だった。
あまり彼女のことを気にし過ぎてはシャルレーに詮索されると判断し、先程の会話では敢えて彼女のことを口にしなかったのだが、落ち着いて考えるとその判断が思春期特有の子供染みた愚かな行為と思える。彼が最後に見たイサリアは自分と同じように弱った状態だった。命に別状はないはずだが、彼女の安否をシャルレーに問い掛けるべきだったと後悔した。
先頭に立って現れたのは導師アルビセスだ。ヒロキ達とはちょっとした因縁のある人物だが、座って待機していた彼ら発見すると、血相を変えて歩み寄り二人の容態を確認する。
「・・・ヒロキが大きな外傷を負って私が傷口を治癒しました。ですが、失血したことで貧血状態にあります。私は魔力を消費した以外は問題ありません・・・」
「そのようだな。二人とも命に別状はないと思うが・・・ミーレ・リゼート、彼の身体を暖めてあげなさい」
ヒロキ達の状態を確認したアルビセスはイサリアにヒロキと密着するように促すと、自分のマントを脱いで二人の肩に掛ける。
「か、感謝します導師アルビセス・・・」
「礼には及ばんよ・・・ああ、学院長が参られた。二人とも大変だったろうが、何があったのか事実を聞かせてくれ」
アルビセスの思わぬ善意にイサリアが驚きを示すが、当のアルビセスは恩に着せることもなく事態の掌握に入ろうとしていた。イサリアとは個人的に馬が合わない彼であったが、ミーレを守る導師としての立場が最優先ということなのだろう。
実はヒロキはイサリアを始めとする帝国の大貴族に反感を持つアルビセスこそが先程クロリスを連れ去った人物なのではと疑っていたのだが、救助隊に加わっている彼にそれが出来るはずがない。ヒロキは心の中でアルビセスに寒さを和らいでくれたマントの感謝をしつつ疑った謝罪を伝える。
「まずはクロリスが・・・」
現れた学院長に向かってイサリアが説明を始めた頃には彼は貧血によって意識が朦朧とし始めていた。右側に寄り添ってくれる彼女の体温だけが唯一の希望のように感じられた。
それからのことをヒロキはあまり覚えていない。しばらくは現場で救援に現れた学院長とアルビセスを始めとする導師達にイサリアとエリザが主となって証言をしていたはずだ。
残念なことに実行犯であるクロリスは連れ去られていたので、導師達に事態が真実であることを伝えるのに二人は苦労しているようだった。ヒロキも証言を求められたが、何と答えたかは思い出せない。もっとも、体験したありのままを話したはずなので後から問題になるようなことはないだろう。
一通りの証言を終えたと判断されたのか、事件の被害者となったヒロキ達は導師の一人に連れられて魔法で地上へと返されることになる。もちろん、背負い袋と課題物でクロリスを殴った蛇の置物を忘れずに回収する。この時、背負い袋に開いた穴と血の汚れで、自分がどれほどの傷を負ったのか視覚的に捉えたヒロキはショックで気を失ってしまう。これまでは気力で持ちこたえていたが、イサリアの指摘通り彼は極度の貧血状態のあったのだ。
次に気付いた時ヒロキは清潔な寝台の上に横になっていた。周囲は自然光と思われる光に満ちていて、永い間地下にいたせいか眩しく感じられる。目を完全に開くのにしばらくの猶予が必要だった。
目が慣れるとヒロキは辺りの観察を開始する。自分が寝かされていたのは天蓋付きのカーテンと思われる白い布で覆われた寝台だ。直ぐ近くに置かれた台には水差しと洗面器が用意されている。彼は喉の渇きと空腹を感じるとともに、意識の失う以前の記憶を辿った。
やがてミゴールの昇格試験で学院地下に潜ったことと、そこで体験した冒険のあらましが脳裏に湧き上がる。そしてこの場所が以前イサリアに案内された学院の医療所であることを察すると、一先ずの安堵を覚えて水差しに手を伸ばした。
「イサリア?」
自分が出した布ずれの音に反応したのだろう。人の気配を感じるとヒロキは問い掛けた。目を覚ませばイサリアがいる。彼にとっては習慣になりつつある現象だ。
「申し訳ないが、ミーレ・リゼートではなく私だ。体調はどうかな?」
「あ、いえ・・・た、体調はかなり良いみたいです」
「それは良かった。ちなみに、今は翌日の午前九時頃だ。君は半日ほど眠っていたことになるな」
「そんなに・・・貧血の治療は導師シャルレーしてくれたのですか?」
カーテンの間から姿を現したシャルレーに戸惑いを覚えながらもヒロキは返事を口にする。時刻については腹具合からその程度だと思っていたが、改めて指摘されると更に空腹が増したように感じられた。
「ああ、そうだ。そんなに驚くことはないだろう。元々医療所は私の管轄だし、自慢ではないが人体の機能に関する魔法で私の右に出る者はそうはいない。最高クラスの治療を受けられたのだ。もっと感謝して欲しいな」
「す、すいません。ありがとうございます」
シャルレーの苦笑に促されるように、ヒロキはお礼を述べる。確かに身体の倦怠感は収まり、意識を失う以前に感じていた手足の冷えも完全に消えていた。それでも彼はシャルレーに対する警戒感を完全に捨てることは出来なかった。
彼女が美しい女性で魔術士としても優秀なことは事実だが、自分を見つめる眼つきは患者に対する視線と言うよりは、実験動物を見るようなどこか醒めていながらも、新たな発見を期待する科学者のように思えたからだ。
「ふふふ、何も取って食ったりはしないよ。そもそも、君の血で汚れた服を着替えさせたのは私だぞ。・・・まあ、冗談はこれくらいにして、ミーレ・ヒロキ、肉体的には完全に治癒しているはずだが、精神的なショックは魔法では癒せない。もうしばらくはここで身体を休めていくといいだろう。君が意識を失っている間に学院側も今回の事件の深刻さを理解し対策に乗り出している。・・・帝国の人間でない君には堪えただろう。巻き込んでしまった詫びだと思ってゆっくりしていってくれ。食事はここに持ってこさせよう!」
そう言い残すとシャルレーは寝台から去って行く。ヒロキは自分の裸をシャルレーに見られた羞恥心よりも、最後の言葉の意味を考えながら彼女を見送る。自分の正体を見透かしたような含みが込められていたからだ。
だが、その疑念は直ぐイサリアの存在に追い出される。シャルレーの思惑は不気味ではあるが、今の所は直接的な害はない。それよりもイサリアの無事こそがヒロキにとっては重大な関心事だった。
あまり彼女のことを気にし過ぎてはシャルレーに詮索されると判断し、先程の会話では敢えて彼女のことを口にしなかったのだが、落ち着いて考えるとその判断が思春期特有の子供染みた愚かな行為と思える。彼が最後に見たイサリアは自分と同じように弱った状態だった。命に別状はないはずだが、彼女の安否をシャルレーに問い掛けるべきだったと後悔した。
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