ボッチを解消する方法?~そうだ、異世界から召喚しよう!~

月暈シボ

文字の大きさ
上 下
26 / 33

第二十五話

しおりを挟む
「エ・・・ケス・・・ミアゼ・・・」
 詠唱を唱えながら体勢を立て直したイサリアの視界に〝魔弾〟を身体に受けるヒロキの姿が映った。その光景に彼女は胸が張り裂けんばかりの衝撃を受ける。
 それでも、イサリアは悲鳴を上げそうになるのを必死の思いで抑え込んだ。今、嘆きの声を上げてしまえば魔法を発動させるための詠唱が無駄になってしまうだけでなく、自分を信じて反撃の機会を作ろうとしたヒロキを裏切ることでもあるからだ。
 だが、詠唱を続ける間にも〝魔弾〟を受けたヒロキは力なく倒れようとしていた。その姿はイサリアに五年前に亡くした兄の面影を思い出させる。たった一人の兄もその命を失くす寸前まで彼女を守る為に己を犠牲にしたのだった。
 兄の死は彼女の運命と価値観を変えた。『自分が生まれ持った才能に胡坐を掻かずに、もっと真剣に魔法の習得に打ち込んでいたら兄を助けられていたのではないか?もっと強ければ兄は犠牲にならなくても良かったのではないか?』という想いが彼女を苦しめ、力への渇望を促したのだ。
 崩れゆくヒロキの姿にこの五年間の研鑚が無駄であり、自分が無力であることを再び知らしめようとする現実に対してイサリアが無念の声を上げようとしたその時、彼女はヒロキの身体が動くのを目にする。
 彼は腕を動かしてクロリスを何かで殴りつけたのだ。その光景によって折れかけていたイサリアの精神は持ち直す。ヒロキはまだ戦っているのだと。
「・・・ロドレ!」
 イサリアは詠唱を完成させると、クロリスを標的に魔法を発動させる。それは二重の念を込めた〝麻痺〟の魔法だ。〝眠り〟とは違い一度効果が発動すれば途中で切れることはない強力な対人用の攻撃魔法である。
 本来はミーレの身分では扱えるはずのない魔法だが、彼女は独学で習得していた。いつか使う時が来るかもしれないと、魔法の高見を目指した成果だった。
「・・・!」
 ヒロキからの妨害を受けて体勢を崩したクロリスにイサリアに対処する余裕はなく。彼女は麻痺の効果で受身も取れずに床に崩れ落ちる。
「ヒロキ!」
 今回の元凶で、埋伏していた仇敵を倒したイサリアだったが、勝利の余韻を味わうことなく悲鳴を上げて地面に倒れるヒロキに駆け寄る。彼女は残り少ない魔力と流れ出す涙に構わず治癒魔法の詠唱を開始した。

 胸に心地良い暖かさを感じるとともにヒロキは自分の声を呼ぶ声を知覚した。何度目かの近視感を思い起こさせる感覚に、彼は懐かしさと恋慕を湧き上がらせる。
 輝く黄金の鈴を思わせるその声が自分の名前を読んでくれている事実が堪らなく嬉しかった。そして声の主に会いたいという願望に従いヒロキは目を開いた。
「おお!ヒロキ!良かった!」
 目前に逆さまに映るイサリアの顔があった。淡い光の中で彼女の顔から何かの液体が垂れてヒロキの頬に落ちる。それが涙であることを知った彼は、これまでの経緯を思い出す。自分はクロリスとの戦いで瀕死の傷を負ったはずだった。そしてイサリアは自分のために泣いてくれたのだと。
「・・・クロリスは?いや、胸の傷は?」
「クロリスは既に無力化させた、もう心配いらない!・・・ああ、ヒロキ、まだ動かない方が良い!私の〝癒し〟では傷は塞げても失った血液までは回復させることは出来ないからな。しばらくは貧血の症状が残るはずだ」
「・・・そうか・・・あ、ちょ!」
 状況を理解し起き上がろうとしたヒロキをイサリアは優しく押さえ付ける。彼は自分がイサリアの膝を枕にしていることに一瞬だけ躊躇うが、それ以上の抵抗はしなかった。
「・・・そうか、やはりイサリアがきっちり解決してくれたんだな・・・」
「ああ、だがヒロキが身体を張ってくれたからだ」
「いや・・・イサリアならやってくれると信じていたよ」
「・・・ふふふ、」
 上から覗き込むイサリアの顔を見つめながらヒロキを会心の笑顔を浮かべると、彼女もそれに答えて微笑む。既にイサリアの涙は銀色の筋となって乾いていた。やがて二人は何かを期待するようにお互いの顔を少しずつ近付ける。

「んん!この場には私もいることを改めて申し上げます・・・」
 そろそろ目を瞑るべきかとヒロキが緊張を必死に抑えようとする中で、不自然な咳払いと警告を告げる声が投げ掛けられた。
「・・・そうか、そういえばエリザもいたのだったな!いたのを忘れていた・・・」
 顔を上げながらイサリアがヒロキの代弁を兼ねるように不服を漏らす。
「ええ、助けられたことに関しては感謝いたします。ですが、そういったプライベートなことは人目のない所でするべきでしょう?・・・別に目の前で見せつけられて悔しいとか・・・先を越されたのを妬んでいるわけではありませんわよ!」
「・・・そういうことにしておこう。確かに人前でする行為ではないしな・・・」
 イサリアの言葉にヒロキも胸の中で同意する。せっかくの機会ではあったがエリザの前で続きを願うほど彼も大胆ではない。
「まあ、それはそれとして・・・ヒロキさん。あなたには私からもお礼を申し上げますわ!あなたの活躍がなければ私達の身柄だけでなく、このベリゼート帝国の脅威に発展していたかもしれません。私とバルゲン家はあなたの名前を決して忘れはしませんよ!」
「いや、その・・・」
 エリザは床に片膝を付いてヒロキの手を取ると両手で包み込みながら感謝の言葉を口にする。彼女の冷たくとも滑らかな手の感覚にヒロキは火照っていた顔を更に朱に染める。先程の妨害はこれで帳消しにしても良いと思えた。
「ええい、ヒロキから手を離せ!ヒロキも嬉しそうな顔をするんじゃない!」
 顔に出た変化を見逃さずにいたのだろう。イサリアがヒロキの腕を叩くようにしてエリザの手から奪い取る。
「あら・・・別にヒロキさんはあなたのモノとは決まってないのでしょう!」
「いや、既に決まっているのだ!何しろ・・・」
「二人とも待ってくれ!とりあえず、この事件を完全に解決させよう!」
 口喧嘩を始めるイサリアとエリザにヒロキは差し迫った問題を思い出させる。美少女二人が自分を争う様は彼の自尊心を擽るが、クロリスを倒したとはいえ、彼らが居るのは地下迷宮を更に外れた洞窟だ。
 安全圏とは言い難い場所だった。つまらない喧嘩をしている場合ではないのだ。それにヒロキもエリザが恩人以上の想いを自分に寄せているとは考えていなかった。おそらくはいつものイサリアへの当てつけなのだ。
「そうですわね・・・。とりあえず、私が取り返した水晶を使って上に報告に戻りましょう。妨害があった以上何かしらの処置が取られると思いますが、全員が水晶を使う必要はありませんからね。それに麻痺で動けないとはいえ・・・クロリス・・・の見張りが必要です」
「うむ、エリザが導師達を連れて来るまで私達はここで見張りを兼ねて待機しよう。ヒロキには今しばらくの安静が必要だしな。頼むぞ!」
「ええ、では。報告に戻りますわ!」
 イサリアと相談を終えたエリザは水晶を床に叩きつけて割る。仲が悪いように見える二人だが、こういった面では下手に張り合うようなことはしなかった。
 そして、耳障りな破壊音とともにエリザの姿はこの場から一瞬で消え去る。〝離脱〟の効果は予め教えられていたが、実際の発動を目にしてヒロキは改めてこの世界の魔法文明に感慨を抱いた。

「ヒロキ、今しばらくの辛抱だ」
「・・・イサリアこそ体調は大丈夫か?最初にクロリスから何かしらの不意打ちを受けたみたいだったけど?」
「ああ、あれは問題ない。前にも説明したが、魔法は術者と対象者の魔法力によって効果が変化する。魔法力が低い者の魔法は高い者に対して効き難いのだ。それに加え私はクロリスをどこか怪しいと感じ始めていたから、常に魔法に抵抗するために気合を入れていた。エリザを攫っておいて、目撃者をそのままにするなんて杜撰過ぎるからな。まさか主犯とは思わなかったが・・・脅迫で犯人に協力させられているのではないかと疑っていた。なので〝眠り〟を使うのを詠唱から知れたので、油断を誘うために掛かったフリをしたのだ。その後はヒロキも知っているとおりだ。もっとも、流石の私も魔法を使い過ぎて限界に近いかな・・・」
「そうだったのか・・・じゃあ、いつでも膝枕をされるわけにはいかないな。イサリアも安静になった方が良いだろう」
「私は大丈夫だ!むしろ・・・このままで良い!ヒロキはそれだけのことをしてくれた・・・」
 エリザの姿が見えなくなると、ヒロキはイサリアを気遣うが、イサリアはそれを拒否するかのように優しい口調でヒロキの頭を撫でた。クロリスは部屋の片隅で手足を縛られて転がされているので、意識の有無はともかく何も出来ないのもいないのも同然だ。二人は再びお互いの存在を強く意識する。
「そうか・・でも、これでイサリアはミゴールに昇格出来るな・・・」
「ああ、これもヒロキのおかげだ。私も約束を・・・」
 ヒロキの問い掛けに笑顔を浮かべて答えるイサリアだが、顔色を変えて途中で言葉を切る。事前の取り決めでは、次の新月の晩にヒロキを元の世界に戻す約束だ。それは異なる世界で生まれた二人の別れを意味した。
「・・・約束を守ってヒロキを必ず元の世界に戻してみせる・・・ぞ!」
 イサリアは再び笑顔を浮かべるが、ヒロキには無理をしているように見える。それはほんの僅かな変化に違いなかったが、彼には見抜くことが出来た。イサリアとはそれだけの時間を一緒に過ごしていた。
「・・・うん」

 喉まで出かかった言葉を飲み込んでヒロキも頷く。彼もイサリアとの別れを思うと胸が苦しくなるが、元の世界に戻りたいという願いも捨てきれずにいたからだ。
 奇妙なことだが、イサリアのために自分の命を投げ捨てる覚悟は出来ても、こうしてお互いの安否が保証されると元の世界での生活や両親と妹が恋しく感じられる。イサリアと家族達は単純に比べられる存在ではなかったが、本来あるべき世界に戻るのが正しい選択だと思われた。
「・・・もっとも、次の新月までにはまだ一週間ある・・・思い出の一つや二つは作れる時間だ」
「・・・今、作ってもいいんじゃないかな・・・」
「もう!そんなに焦るな、ヒロキ!催促されると調子が狂う。いや・・・そう言えば、ヒロキは先程のやりとりで私が泣き叫ぶところが見たい等と言っていたな・・・。演技にしてはやけに実感がこもっていた。まさか・・・普段から私に劣情を抱いていたのではあるまいな?」
「あ、あれはクロリスに取り入って油断をさせようとした演技だよ!」
「・・・ははは、冗談だ!やっぱり、ヒロキの反応は面白いな!」
 必死に言い繕うとするヒロキに対してイサリアは破顔して笑い声を上げる。それは飾ることころのない本物の彼女の笑顔だった。
「くそ!騙したな!いくら美人だからって男の心をそんなに弄んで!」
「ああ、駄目だ、ヒロキもうしばらくそうしていろ!君は貧血の症状なのだからな!それにこんなこと言うのは、ヒロキだからだぞ・・・」
 一杯食わされたヒロキは起き上がろうとするが、イサリアに再び抑えられる。そして自分の顔に再び近づく金色の瞳に気付くと、その時を持つために目を閉じた
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。 次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。 時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く―― ――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。 ※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。 ※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。

処理中です...