24 / 33
第二十三話
しおりを挟む
「・・・クロリス・・・君がエリザを襲った犯人だったんだな?」
ヒロキはクロリスの要求どおりに脱出用の水晶球を彼女に転がすと、エリザからも離れて問い掛ける。
その質問を口にするまでヒロキの頭は急激に思考を開始し、次々と考えを浮かび上がらせていた。意識を失って倒れてはいるが、イサリアは無事らしいこと。エリザが伝えようとした言葉の意味。クロリスの表情から彼女のこれまでの朗らかで争いを好まない性格はこの時のための演技であり、エリザ誘拐は彼女の自作自演であるに違いないこと。そして最終的に、今は下手に逆らうよりも大人しくするべきだと判断を下した。
それでも、ヒロキは離れ際にエリザの手に短剣を渡すのを忘れない。彼女が自由を取り戻せば状況を変えられる可能性があるからだ。杖については指摘されるまでもなかった。
この世界において杖は魔法を扱うための重要な補助器具らしいが、ヒロキに魔法を扱う才能はない。危険を冒してまで拾う意味はなかった。
「もちろんそう・・・ラ・・・イクス・・・」
水晶球を拾い上げたクロリスはヒロキの問いに答えると、呪文を唱えて杖を床に倒れるエリザに向ける。それを受けたエリザは急に力が切れたように頭を垂れた。
「エリザさん!」
「大丈夫、殺していないわ・・・今はね・・・」
驚くヒロキの心中を覗いたようにクロリスは笑みを浮かべて呟く。微かに聞こえる寝息からエリザが殺されたわけではないことは彼にも確認出来たが、これで早くもエリザによる助けは期待出来なくなり、唯一の武器である短剣も手元から失った。
「・・・なんで、イサリアまで巻き込んだ!?エリザさ・・・エリザをバルゲン家の当主にさせないだけならイサリアは関係ないだろう?!」
「それはあなた達の推測でしょう?もっとも、そう思わせるように私が仕組んだのだけど・・・。私の狙いはエリザだけでなく、イサリアを含めた二人の身柄よ!あなたも十五年前の帝国を二つに別けた内乱については知っているでしょう?!その結果、当時皇位にあったルキノス家と同盟関係にあったメディル家は弾劾され、主だった一族の者は命を落とし、辛うじて生き残った者達も帝国から追われて西の辺境に逃げるしかなかった。あの戦いで反ルキノスの中心となったのはリゼート家とバルゲン家、彼らに復讐を行うのは私の正当な権利なのよ!」
「・・・なんだって!」
自分の問い掛けに告白にも似た情念で語るクロリスに、ヒロキは驚きだけでなく居心地の悪さも感じる。おそらく彼女の語る内乱とその顛末は帝国の人間なら誰でも知っている事実なのだろうが、異世界の人間である彼には断片的に聞かされているに過ぎない。
いきなり、何とか家と言われても因果関係を理解することが出来なかった。わかったのは彼女が内乱で敗けた側の人間らしいということだけだ。
「理解出来たかしら?・・・あなたの家は最近リゼート家が後援者となったらしいわね?いずれこの国には再びルキノス家の新しい皇帝が現れるわ。・・・乗り換えるなら今の内だと思わない?」
「俺・・・いや、俺の家に仲間になれと?」
完全な理解は出来ていないが、それが遠回しな誘いであることに気付くとヒロキは会話のきっかけとして問い掛ける。クロリスの背景を知るにはもっと情報が必要だった。彼女はイサリアと学院長がでっち上げたヒロキが地方有力者の子弟であるという設定を信じているのだろう。彼はそれを利用した。
「ええ、そう。・・・私達はこの国に再び内乱を起こさせる。リゼートとバルゲンとの戦いをね。エリザがイサリアにとって殺害されたらバルゲン家はどうすると思う?連中は必ずリゼート家に報復をするでしょう。この二家が争いはそれだけで収まるはずはなく大きな戦、内乱になるのは必至よ。それによって、この国の民も大貴族による合議制がもはや時代遅れの統治方法であることを思い知ることになるでしょう。そして辺境で力を蓄えているルキノス家が再びベルゼート帝国の絶対君主として返り咲くの!肥大化したこの国には中央集権化した統治体系が必要なのよ・・・どう?今の段階で私達に付いた方が利口な判断ではなくて?」
「なるほど・・・そういうことか・・・クロリス、君はそのルキノス家の者だったんだな?」
熱を帯びるクロリスの説明にヒロキは納得を示す。彼女の話は前提が多いものの計画としてはそれなりに筋が通っていた。少なくてもイサリアとエリザに敵意を持つ理由が判明した。
「ヒロキ君は・・・もっと歴史の勉強をするべきね。ルキノスの一族で死を逃れたのは三男のゼルストンだけ。私はそのゼルストンの生まれついての許嫁だったメディル家の次女よ。あの内乱でルキノス家が敗れていなければ、今頃私は皇族として何不自由なく暮らしていたでしょうね!」
「むう・・・」
クロリスの指摘にヒロキは呻き声を漏らす。もちろん勉強不足を指摘されたからではない。彼女の強烈な悪意もしくは負の感情に当てられたからだ。彼女をここまで駆り立てた要因の本流は間違いなくこの国の権力争いにあると思われたが、最後の説明にはイサリアとエリザに対する私怨が含まれていると思われた。
かつては大貴族の家柄だった彼女は内乱の敗北で全てを失ったに違いない。詳しくは知る由もないが、おそらくは正体を隠して細々と暮らしていたのだろう。同じ大貴族に生まれながらも勝利者として何不自由なく育ったイサリアとエリザ、かたや敗者として生きて来たクロリスである。
彼女はイサリアとエルザに対して家系への恨みだけでなく、個人的な嫉妬かそれ以上の敵意を胸に抱いているのだ。
「どう?このままリゼートに付いても破滅するだけよ。悪いようにはしない・・・返事を聞かせてくれるかしら?」
「それは・・・」
選択を突きつけられたヒロキは言葉に詰まる。彼にはこの国のイデオロギーや政権争いへの関心はない。元々この世界の人間でもないし、そうでなくとも政治情勢に首を突っ込もうなどと言う大それた考えも能力もなかった。
思いがけない展開に状況を把握するのがやっとである。クロリスも彼の正体を知っていたら、こんな勧誘はしなかっただろう。
正直に告白すれば、ヒロキにとって最大の関心事は自分の命である。その本能的な欲求に従うならば、切り札の水晶球も手放した以上、クロリスの軍門の下るのが最も合理的のはずだった。
だが、ヒロキは冷たい床に倒れるイサリアとエリザの姿に、彼はこの世界に召喚された一週間の出来事を思い出した。それは彼女に振り回された自分の姿であったが、何かが満たされる楽しくも甘酸っぱい記憶だった。
「・・・俺にも家に対する責任がある・・・そんな重大なことをあっさりとは決められない。それにリゼート家とバルゲン家が本気で対立するとは限らないだろう?」
「ふふふ、私達はこの日のために準備をしてきたのよ。数々の偽情報を流して揺さぶりを掛けていた・・・」
自分の身の安全と、イサリア達の安否、そして男としてのプライドの狭間で揺れ動きながらも、ヒロキはイサリアを絶対に裏切らないと決意する。とは言え、自分にクロリスに対抗する力や手段がないのも理解している。彼はその素振り見せることで時間稼ぎを試みた。
そして幸いにもクロリスはその誘いに乗る。絶対的有利な立場による奢りか、またはこれまで被り続けていた仮面を脱いだことによる解放感からかもしれなかった。
ヒロキはクロリスの要求どおりに脱出用の水晶球を彼女に転がすと、エリザからも離れて問い掛ける。
その質問を口にするまでヒロキの頭は急激に思考を開始し、次々と考えを浮かび上がらせていた。意識を失って倒れてはいるが、イサリアは無事らしいこと。エリザが伝えようとした言葉の意味。クロリスの表情から彼女のこれまでの朗らかで争いを好まない性格はこの時のための演技であり、エリザ誘拐は彼女の自作自演であるに違いないこと。そして最終的に、今は下手に逆らうよりも大人しくするべきだと判断を下した。
それでも、ヒロキは離れ際にエリザの手に短剣を渡すのを忘れない。彼女が自由を取り戻せば状況を変えられる可能性があるからだ。杖については指摘されるまでもなかった。
この世界において杖は魔法を扱うための重要な補助器具らしいが、ヒロキに魔法を扱う才能はない。危険を冒してまで拾う意味はなかった。
「もちろんそう・・・ラ・・・イクス・・・」
水晶球を拾い上げたクロリスはヒロキの問いに答えると、呪文を唱えて杖を床に倒れるエリザに向ける。それを受けたエリザは急に力が切れたように頭を垂れた。
「エリザさん!」
「大丈夫、殺していないわ・・・今はね・・・」
驚くヒロキの心中を覗いたようにクロリスは笑みを浮かべて呟く。微かに聞こえる寝息からエリザが殺されたわけではないことは彼にも確認出来たが、これで早くもエリザによる助けは期待出来なくなり、唯一の武器である短剣も手元から失った。
「・・・なんで、イサリアまで巻き込んだ!?エリザさ・・・エリザをバルゲン家の当主にさせないだけならイサリアは関係ないだろう?!」
「それはあなた達の推測でしょう?もっとも、そう思わせるように私が仕組んだのだけど・・・。私の狙いはエリザだけでなく、イサリアを含めた二人の身柄よ!あなたも十五年前の帝国を二つに別けた内乱については知っているでしょう?!その結果、当時皇位にあったルキノス家と同盟関係にあったメディル家は弾劾され、主だった一族の者は命を落とし、辛うじて生き残った者達も帝国から追われて西の辺境に逃げるしかなかった。あの戦いで反ルキノスの中心となったのはリゼート家とバルゲン家、彼らに復讐を行うのは私の正当な権利なのよ!」
「・・・なんだって!」
自分の問い掛けに告白にも似た情念で語るクロリスに、ヒロキは驚きだけでなく居心地の悪さも感じる。おそらく彼女の語る内乱とその顛末は帝国の人間なら誰でも知っている事実なのだろうが、異世界の人間である彼には断片的に聞かされているに過ぎない。
いきなり、何とか家と言われても因果関係を理解することが出来なかった。わかったのは彼女が内乱で敗けた側の人間らしいということだけだ。
「理解出来たかしら?・・・あなたの家は最近リゼート家が後援者となったらしいわね?いずれこの国には再びルキノス家の新しい皇帝が現れるわ。・・・乗り換えるなら今の内だと思わない?」
「俺・・・いや、俺の家に仲間になれと?」
完全な理解は出来ていないが、それが遠回しな誘いであることに気付くとヒロキは会話のきっかけとして問い掛ける。クロリスの背景を知るにはもっと情報が必要だった。彼女はイサリアと学院長がでっち上げたヒロキが地方有力者の子弟であるという設定を信じているのだろう。彼はそれを利用した。
「ええ、そう。・・・私達はこの国に再び内乱を起こさせる。リゼートとバルゲンとの戦いをね。エリザがイサリアにとって殺害されたらバルゲン家はどうすると思う?連中は必ずリゼート家に報復をするでしょう。この二家が争いはそれだけで収まるはずはなく大きな戦、内乱になるのは必至よ。それによって、この国の民も大貴族による合議制がもはや時代遅れの統治方法であることを思い知ることになるでしょう。そして辺境で力を蓄えているルキノス家が再びベルゼート帝国の絶対君主として返り咲くの!肥大化したこの国には中央集権化した統治体系が必要なのよ・・・どう?今の段階で私達に付いた方が利口な判断ではなくて?」
「なるほど・・・そういうことか・・・クロリス、君はそのルキノス家の者だったんだな?」
熱を帯びるクロリスの説明にヒロキは納得を示す。彼女の話は前提が多いものの計画としてはそれなりに筋が通っていた。少なくてもイサリアとエリザに敵意を持つ理由が判明した。
「ヒロキ君は・・・もっと歴史の勉強をするべきね。ルキノスの一族で死を逃れたのは三男のゼルストンだけ。私はそのゼルストンの生まれついての許嫁だったメディル家の次女よ。あの内乱でルキノス家が敗れていなければ、今頃私は皇族として何不自由なく暮らしていたでしょうね!」
「むう・・・」
クロリスの指摘にヒロキは呻き声を漏らす。もちろん勉強不足を指摘されたからではない。彼女の強烈な悪意もしくは負の感情に当てられたからだ。彼女をここまで駆り立てた要因の本流は間違いなくこの国の権力争いにあると思われたが、最後の説明にはイサリアとエリザに対する私怨が含まれていると思われた。
かつては大貴族の家柄だった彼女は内乱の敗北で全てを失ったに違いない。詳しくは知る由もないが、おそらくは正体を隠して細々と暮らしていたのだろう。同じ大貴族に生まれながらも勝利者として何不自由なく育ったイサリアとエリザ、かたや敗者として生きて来たクロリスである。
彼女はイサリアとエルザに対して家系への恨みだけでなく、個人的な嫉妬かそれ以上の敵意を胸に抱いているのだ。
「どう?このままリゼートに付いても破滅するだけよ。悪いようにはしない・・・返事を聞かせてくれるかしら?」
「それは・・・」
選択を突きつけられたヒロキは言葉に詰まる。彼にはこの国のイデオロギーや政権争いへの関心はない。元々この世界の人間でもないし、そうでなくとも政治情勢に首を突っ込もうなどと言う大それた考えも能力もなかった。
思いがけない展開に状況を把握するのがやっとである。クロリスも彼の正体を知っていたら、こんな勧誘はしなかっただろう。
正直に告白すれば、ヒロキにとって最大の関心事は自分の命である。その本能的な欲求に従うならば、切り札の水晶球も手放した以上、クロリスの軍門の下るのが最も合理的のはずだった。
だが、ヒロキは冷たい床に倒れるイサリアとエリザの姿に、彼はこの世界に召喚された一週間の出来事を思い出した。それは彼女に振り回された自分の姿であったが、何かが満たされる楽しくも甘酸っぱい記憶だった。
「・・・俺にも家に対する責任がある・・・そんな重大なことをあっさりとは決められない。それにリゼート家とバルゲン家が本気で対立するとは限らないだろう?」
「ふふふ、私達はこの日のために準備をしてきたのよ。数々の偽情報を流して揺さぶりを掛けていた・・・」
自分の身の安全と、イサリア達の安否、そして男としてのプライドの狭間で揺れ動きながらも、ヒロキはイサリアを絶対に裏切らないと決意する。とは言え、自分にクロリスに対抗する力や手段がないのも理解している。彼はその素振り見せることで時間稼ぎを試みた。
そして幸いにもクロリスはその誘いに乗る。絶対的有利な立場による奢りか、またはこれまで被り続けていた仮面を脱いだことによる解放感からかもしれなかった。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる