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第十八話
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眼前に迫った黒いマントのような大蝙蝠をレイガルは長剣で払う。それが金切り声を上げながら床に落ちると彼は素早く厚い牛革で作られたブーツの底で踏みつける。背骨が砕ける手応えとともに空飛ぶ獣は静かになった。
第四層に繋がる階段を降りたところでレイガル達は大蝙蝠の群に襲われた。警戒を怠っていたわけではないが、空を飛ぶ敵の襲来は急であり、それを阻むのは難しい。盾役であるレイガルは後手に回っていた。
一匹目を倒したレイガルは周囲に意識を向ける。まずはコリンの安否を危惧するが、その心配は杞憂に終わる。女中のマイラが彼を床に伏せさせて、迫りくる大蝙蝠を右手に持った革製の鞭と左手の短剣で適切に対処していたからだ。
ある程度は戦えると聞かされていたが、マイラの戦闘技術は完全武装のレイガルでさえも、侮れないと認める他ない。彼女は鞭で蝙蝠の翼を絡め取ると床に落として、短剣で急所を正確に狙って止めを刺している。武器の特性を熟知した無駄の全くない動きだ。次に接近戦を苦手とするメルシアに視線を送るが、彼女の援護にはエスティが入っており問題は見当たらなかった。
五匹目の大蝙蝠が床に落ちると、残りの群は本能的に不利を悟って通路の奥に向けて逃げ去って行く。大蝙蝠は古代人の魔法技術によって生み出された人口的な怪物とされているが、その特性は元の動物と変ることはないようだ。
「コリン、マイラ、二人とも怪我はない?大蝙蝠はつまらない敵だけど、小さな傷も侮れないの!」
襲撃を退けたことでエスティが二人に確認を行う。確かにレイガル達にとって大蝙蝠は大した相手ではないが、その牙や爪には熱病をもたらす目に見えない毒があると危険視されている。エスティが警告を発したのもそのためだ。
「私は大丈夫です。ご子息様も・・・」
「僕も大丈夫・・・隠れていただけだから・・・」
「なら、結構。・・・それと隠れることは恥ではないわ。あなたは自分の身を守ることだけを考えて!それがあたし達への最良の貢献だからね。この通路を抜ければ・・・ちょっと待って!」
これまでコリン達に笑顔を見せていたエスティは一瞬で険しい表情に変ると、這いつくばって僅かに尖った耳を床に押しつける。意図を理解したレイガルは息を浅くしてその場に直立不動となった。
「九・・・いや十人・・・こっちに向かって来てる。・・・それも足音の間隔が早い!」
「まさか追っ手が?!」
エスティの警告を受けてマイラも同じように床に耳を押し付け、石床を伝わる音を探る。
「重武装の者が五、六人ほどいますね?」
「そう、冒険者としては少し数が多い気がする。あたし達が遺跡に潜んでいることがこんなに早く露見するとは思いたくないけど・・・嫌な予感しかしないわ。こっちも移動しましょう!」
マイラの問いに頷くと、エスティはレイガル達に行動を促した。
「やはり、こっちに近づいて来ている・・・」
コリン達を匿うために周囲を石壁に覆われた通路を進んでいたレイガル達だが、エスティは再び床から伝わる音を聞き取るとそう告げた。
第四層は密閉型の層で、幾つかの区画を繋ぎ合わせた構造をしている。一つの区画だけでもかなりの数の通路と部屋が存在するが、現在でも完全には探索されていない。
これは第四層にまで潜れる冒険者が限られているためと、より深い層を潜る実力を備えているパーティーならばこの階層に拘る意味がないからだ。
そのような理由から、第四層を中心に探索する冒険者は少ない。後ろの集団が偶然レイガル達と行き先が被った冒険者パーティーと思うには楽観的過ぎた。
「相手方にも忍びの技を持った者がいるということですね?」
「ええ、そう。こっちの足音を的確に捉えているわね。腹が立つけど良い腕、いや耳よ・・・」
「やはり、ご子息様を追って来た・・・追手でしょうか?」
メルシアの論理的な問いに続いて、マイラがより直接的な質問を浴びせる。
「そう見るのが妥当ね。もっとも、相手はこっちの正体まではわかっていないと思う。とりあえず、近くに五人連れのパーティーがいるから確認しようとしているんじゃないかしら」
「・・・まさかこんなに早く、居場所がばれるとはな!」
「もう! レイガル! 半分はあなたのせいなんだから暢気なこと言わないで!」
「え、俺?!」
ちょっとした相槌のつもりだったが、エスティが軽く癇癪を起したので身の覚えのないレイガルは戸惑った。
「そうよ! 上のラーズの娼館で女に絡まれたでしょ? おそらく、あいつがちくったのよ! レイガルがおっぱいを物欲しそうに見たから印象に残ったのでしょうね!」
「ちょ、ま・・・」
レイガルは喉まで出掛かった弁明を飲み込んだ。あの娼婦がレイガル達の情報を売ったのだとしたら、マントで顔を隠した五人の集団を怪しまないはずがない。彼が何をしたとしても情報は漏れただろう。それを主張したい気持ちがあったが、今はエスティと言い争いをする暇はないのだ。
「・・・エスティ。レイガルの行動に限らず、あの時に我々の姿を目撃された時点で情報は漏れたと思います。それに男性が女性の胸に興味を持つのは生理的な現象です。エスティがレイガルの好意を受け入れていれば、彼も性欲を持て余すことはなかったでしょう。あなたも少し焦らし過ぎていると認めていたではありませんか?」
「ちょっと、メルシア!こんな時に何を・・・いや、確かにちょっと言い過ぎたかもしれないわね。・・・とりあえず今は追い付かれる前に移動を開始しましょう!今後は追っ手を仮想敵として対処します!」
レイガルへの態度が理不尽と思ったのだろう、メルシアが代わりに弁明を行う。これは火に油を注ぐ行為と思われたが、後半の指摘もあってかエスティは自分の非を認める。
感情に忠実な彼女ではあるが、状況を見失うほど愚かではなかった。また、レイガルもその興味深い内容を敢えて聞かなかったことにする。いずれにしても、彼らは適切な行動を開始した。
「・・・予定を変更して、下の階層に向かうわ・・・」
しばらくして、エスティは苦渋に満ちた決断を下した。既に後ろに迫る謎の追っ手を撒こうと幾つかの手段を講じていたが、石造り通路は音を伝えやすく全て失敗に終わっていた。
このままでは追い付かれるのは時間の問題だ。こちらから待ち伏せを仕掛ける手もあるが、現時点では後ろの集団が確実に敵である確証はない。更に技量も不明で数に勝る相手に、コリンを連れたまま戦いを挑むのは危険過ぎた。
もちろん、より強力な怪物が出現する下の階層に進むのもリスクある選択と言えたが、第五層は解放型の階層だ。ここならば追っ手を撒くための隠れ場所等も豊富と思われる。彼女はリーダーとして可能性に賭けたのだった。
「この先の下に降りる階段は、あたし達のパーティーが最初に見つけた場所なのよ」
「そうだ。途中で番犬として立ちはだかったヘルハウンドを倒した広間がある」
マイラとコリンの不安を少しでも解消させるためだろう。エスティは歩きながら、かつて自分が見つけ出した区画の説明を彼らに施した。
何しろ、この二人は初めての遺跡潜りでいきなり第五層に足を踏み入れるのである。配慮は必要であり、レイガルもそれに合わせてコリンを勇気付けるため補足を行う。
「ヘルハウンド!!本当にこの怪物は炎を吐くのですか?!」
「ああ、本当だった。メルシアの魔法の加護と予め水を被っていたがそれでも火傷を負ったよ。強敵だったさ!」
コリンが話に食いついたのでレイガルは更に詳しく当時の様子を告げた。
「そう、あたしが一人での探索を断念した相手だったからね。・・・あれから、しばらく経っているから馬鹿みたいに大きい芋虫がいるかもしれないけど驚かないでね。手出しは無用よ!」
やがて、かつてヘルハウンドと死闘を演じた広間に近づくとエスティは警告に告げる。そしてそこには彼女の予測どおり新たな怪物が存在していた。
牛並みの体格を持つ半透明の芋虫で、有機物を食べることで遺跡内の清掃と維持を行なっている魔法生物だ。既にヘルハウンドの遺骸が見当たらないことから、この個体が処理したのだろう。
「大丈夫!こいつは何もしなければ襲ってこないから!」
マイラが本能的に身構えたことでエスティが宥める。おそらくはレイガルと同じように事前にこの掃除屋に関しては告げられていたに違いないが、巨大な芋虫を実際に目にした生理的な嫌悪感からの行動と思われた。
「・・・失礼しました」
マイラは一言告げると武器を腰に戻す。ほとんど身一つで逃げて来たはずだが、彼女は女中服の下に武器を始めとする多くの装備を身につけていた。鞭のような武器をどこに隠していたのかと思うが、女の服の下は男にとっては神秘の領域ということなのだろう。
「すごい。よく見ると僅かだけど動いている。・・・生きているんだ!」
マイラとは対象的にコリンはちょっとした歓声を上げる。先程、大蝙蝠の襲撃を受けたが、彼からすればこの芋虫の方がより好奇心を擽られる怪物に感じるようだ。
「ええ、動きは緩慢で自分から襲っては来ないのだけど。いざ戦うと体格どおりタフで厄介なのよ。・・・こいつもやがて蝶になったりするのかしら? メルシア、魔術士ならこの巨大芋虫に関して何か知ってたりしない?」
「は、はい?!・・・いえ、私にも古代の魔法技術で生み出された生物としかわからないですね。・・・すみません」
唐突に話を振られたメルシアは慌てた表情を見せると、申し訳なさそうにそれだけを答える。
「いや、ありがとう。魔術士だからって全てを知っているわけないものね。とりあえず、こいつは手出しをしない限り無害よ。無視してこの先に進みましょう」
エスティは再び念を押すと、巨大芋虫を避けてパーティーを奥に導いた。
第四層に繋がる階段を降りたところでレイガル達は大蝙蝠の群に襲われた。警戒を怠っていたわけではないが、空を飛ぶ敵の襲来は急であり、それを阻むのは難しい。盾役であるレイガルは後手に回っていた。
一匹目を倒したレイガルは周囲に意識を向ける。まずはコリンの安否を危惧するが、その心配は杞憂に終わる。女中のマイラが彼を床に伏せさせて、迫りくる大蝙蝠を右手に持った革製の鞭と左手の短剣で適切に対処していたからだ。
ある程度は戦えると聞かされていたが、マイラの戦闘技術は完全武装のレイガルでさえも、侮れないと認める他ない。彼女は鞭で蝙蝠の翼を絡め取ると床に落として、短剣で急所を正確に狙って止めを刺している。武器の特性を熟知した無駄の全くない動きだ。次に接近戦を苦手とするメルシアに視線を送るが、彼女の援護にはエスティが入っており問題は見当たらなかった。
五匹目の大蝙蝠が床に落ちると、残りの群は本能的に不利を悟って通路の奥に向けて逃げ去って行く。大蝙蝠は古代人の魔法技術によって生み出された人口的な怪物とされているが、その特性は元の動物と変ることはないようだ。
「コリン、マイラ、二人とも怪我はない?大蝙蝠はつまらない敵だけど、小さな傷も侮れないの!」
襲撃を退けたことでエスティが二人に確認を行う。確かにレイガル達にとって大蝙蝠は大した相手ではないが、その牙や爪には熱病をもたらす目に見えない毒があると危険視されている。エスティが警告を発したのもそのためだ。
「私は大丈夫です。ご子息様も・・・」
「僕も大丈夫・・・隠れていただけだから・・・」
「なら、結構。・・・それと隠れることは恥ではないわ。あなたは自分の身を守ることだけを考えて!それがあたし達への最良の貢献だからね。この通路を抜ければ・・・ちょっと待って!」
これまでコリン達に笑顔を見せていたエスティは一瞬で険しい表情に変ると、這いつくばって僅かに尖った耳を床に押しつける。意図を理解したレイガルは息を浅くしてその場に直立不動となった。
「九・・・いや十人・・・こっちに向かって来てる。・・・それも足音の間隔が早い!」
「まさか追っ手が?!」
エスティの警告を受けてマイラも同じように床に耳を押し付け、石床を伝わる音を探る。
「重武装の者が五、六人ほどいますね?」
「そう、冒険者としては少し数が多い気がする。あたし達が遺跡に潜んでいることがこんなに早く露見するとは思いたくないけど・・・嫌な予感しかしないわ。こっちも移動しましょう!」
マイラの問いに頷くと、エスティはレイガル達に行動を促した。
「やはり、こっちに近づいて来ている・・・」
コリン達を匿うために周囲を石壁に覆われた通路を進んでいたレイガル達だが、エスティは再び床から伝わる音を聞き取るとそう告げた。
第四層は密閉型の層で、幾つかの区画を繋ぎ合わせた構造をしている。一つの区画だけでもかなりの数の通路と部屋が存在するが、現在でも完全には探索されていない。
これは第四層にまで潜れる冒険者が限られているためと、より深い層を潜る実力を備えているパーティーならばこの階層に拘る意味がないからだ。
そのような理由から、第四層を中心に探索する冒険者は少ない。後ろの集団が偶然レイガル達と行き先が被った冒険者パーティーと思うには楽観的過ぎた。
「相手方にも忍びの技を持った者がいるということですね?」
「ええ、そう。こっちの足音を的確に捉えているわね。腹が立つけど良い腕、いや耳よ・・・」
「やはり、ご子息様を追って来た・・・追手でしょうか?」
メルシアの論理的な問いに続いて、マイラがより直接的な質問を浴びせる。
「そう見るのが妥当ね。もっとも、相手はこっちの正体まではわかっていないと思う。とりあえず、近くに五人連れのパーティーがいるから確認しようとしているんじゃないかしら」
「・・・まさかこんなに早く、居場所がばれるとはな!」
「もう! レイガル! 半分はあなたのせいなんだから暢気なこと言わないで!」
「え、俺?!」
ちょっとした相槌のつもりだったが、エスティが軽く癇癪を起したので身の覚えのないレイガルは戸惑った。
「そうよ! 上のラーズの娼館で女に絡まれたでしょ? おそらく、あいつがちくったのよ! レイガルがおっぱいを物欲しそうに見たから印象に残ったのでしょうね!」
「ちょ、ま・・・」
レイガルは喉まで出掛かった弁明を飲み込んだ。あの娼婦がレイガル達の情報を売ったのだとしたら、マントで顔を隠した五人の集団を怪しまないはずがない。彼が何をしたとしても情報は漏れただろう。それを主張したい気持ちがあったが、今はエスティと言い争いをする暇はないのだ。
「・・・エスティ。レイガルの行動に限らず、あの時に我々の姿を目撃された時点で情報は漏れたと思います。それに男性が女性の胸に興味を持つのは生理的な現象です。エスティがレイガルの好意を受け入れていれば、彼も性欲を持て余すことはなかったでしょう。あなたも少し焦らし過ぎていると認めていたではありませんか?」
「ちょっと、メルシア!こんな時に何を・・・いや、確かにちょっと言い過ぎたかもしれないわね。・・・とりあえず今は追い付かれる前に移動を開始しましょう!今後は追っ手を仮想敵として対処します!」
レイガルへの態度が理不尽と思ったのだろう、メルシアが代わりに弁明を行う。これは火に油を注ぐ行為と思われたが、後半の指摘もあってかエスティは自分の非を認める。
感情に忠実な彼女ではあるが、状況を見失うほど愚かではなかった。また、レイガルもその興味深い内容を敢えて聞かなかったことにする。いずれにしても、彼らは適切な行動を開始した。
「・・・予定を変更して、下の階層に向かうわ・・・」
しばらくして、エスティは苦渋に満ちた決断を下した。既に後ろに迫る謎の追っ手を撒こうと幾つかの手段を講じていたが、石造り通路は音を伝えやすく全て失敗に終わっていた。
このままでは追い付かれるのは時間の問題だ。こちらから待ち伏せを仕掛ける手もあるが、現時点では後ろの集団が確実に敵である確証はない。更に技量も不明で数に勝る相手に、コリンを連れたまま戦いを挑むのは危険過ぎた。
もちろん、より強力な怪物が出現する下の階層に進むのもリスクある選択と言えたが、第五層は解放型の階層だ。ここならば追っ手を撒くための隠れ場所等も豊富と思われる。彼女はリーダーとして可能性に賭けたのだった。
「この先の下に降りる階段は、あたし達のパーティーが最初に見つけた場所なのよ」
「そうだ。途中で番犬として立ちはだかったヘルハウンドを倒した広間がある」
マイラとコリンの不安を少しでも解消させるためだろう。エスティは歩きながら、かつて自分が見つけ出した区画の説明を彼らに施した。
何しろ、この二人は初めての遺跡潜りでいきなり第五層に足を踏み入れるのである。配慮は必要であり、レイガルもそれに合わせてコリンを勇気付けるため補足を行う。
「ヘルハウンド!!本当にこの怪物は炎を吐くのですか?!」
「ああ、本当だった。メルシアの魔法の加護と予め水を被っていたがそれでも火傷を負ったよ。強敵だったさ!」
コリンが話に食いついたのでレイガルは更に詳しく当時の様子を告げた。
「そう、あたしが一人での探索を断念した相手だったからね。・・・あれから、しばらく経っているから馬鹿みたいに大きい芋虫がいるかもしれないけど驚かないでね。手出しは無用よ!」
やがて、かつてヘルハウンドと死闘を演じた広間に近づくとエスティは警告に告げる。そしてそこには彼女の予測どおり新たな怪物が存在していた。
牛並みの体格を持つ半透明の芋虫で、有機物を食べることで遺跡内の清掃と維持を行なっている魔法生物だ。既にヘルハウンドの遺骸が見当たらないことから、この個体が処理したのだろう。
「大丈夫!こいつは何もしなければ襲ってこないから!」
マイラが本能的に身構えたことでエスティが宥める。おそらくはレイガルと同じように事前にこの掃除屋に関しては告げられていたに違いないが、巨大な芋虫を実際に目にした生理的な嫌悪感からの行動と思われた。
「・・・失礼しました」
マイラは一言告げると武器を腰に戻す。ほとんど身一つで逃げて来たはずだが、彼女は女中服の下に武器を始めとする多くの装備を身につけていた。鞭のような武器をどこに隠していたのかと思うが、女の服の下は男にとっては神秘の領域ということなのだろう。
「すごい。よく見ると僅かだけど動いている。・・・生きているんだ!」
マイラとは対象的にコリンはちょっとした歓声を上げる。先程、大蝙蝠の襲撃を受けたが、彼からすればこの芋虫の方がより好奇心を擽られる怪物に感じるようだ。
「ええ、動きは緩慢で自分から襲っては来ないのだけど。いざ戦うと体格どおりタフで厄介なのよ。・・・こいつもやがて蝶になったりするのかしら? メルシア、魔術士ならこの巨大芋虫に関して何か知ってたりしない?」
「は、はい?!・・・いえ、私にも古代の魔法技術で生み出された生物としかわからないですね。・・・すみません」
唐突に話を振られたメルシアは慌てた表情を見せると、申し訳なさそうにそれだけを答える。
「いや、ありがとう。魔術士だからって全てを知っているわけないものね。とりあえず、こいつは手出しをしない限り無害よ。無視してこの先に進みましょう」
エスティは再び念を押すと、巨大芋虫を避けてパーティーを奥に導いた。
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