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閉ざされた街
23 捜索
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アルディアの捜索を開始したダレス達だが、彼女の行方を追うのはそれほど難しいことではなかった。
朝を迎えて手掛かりを探る光源は充分にあったし、何よりアルディアは〝白百合亭〟から多くの敵を連れ出したのである。倒すべき相手は事欠かない。怪物の死体を辿って行けば、それがアルディアの足跡だった。
「・・・アルディア様はここで生け捕りにされてしまったんだ・・・」
やがて、先頭を進むミシャは怪物の死体が小山となっている箇所に辿り着くと、無念そうに後ろのダレスに報告する。
そこは歓楽街のある通りと街の中心地に向う大通りに繋がる十字路である。急激に道幅が広くなる地点でもあるが、その直前は待ち伏せに最適な場所だ。残された死体の数はおよそ十五体、倒した敵だけでこの数である。如何にアルディアでも突破は無理だったに違いない。
「生け捕り?」
ダレスの目からもこの場所で激しい戦いが繰り広げられたことは理解出来たが、ミシャの報告に詳しい説明を求める。
アルディアの遺体が見当たらないとはいえ、現時点では彼女の生死は不明だ。ダレスにとってもアルディアが生きている現実が望ましいが、ミシャが〝生け捕り〟と断言した理由が知りたかったのである。
「ああ、この辺りにはアルディア様の血は落ちていない! ほら、ここに激しく擦られている足跡があるだろう。アルディア様はここで戦っていたんだ。それに対して周囲の血痕は全て他の地点から飛び散ったことが形から知ることが出来る。ここの染みなんかは、そこに倒れている奴が頭から出したやつだ。・・・アルディア様は全くと言っていいほど傷を負っていない。おそらくは・・・怪物達は数を使ってあの方の自由を奪うとそのまま・・・こっちの街の中心部に向って連れ去ったんだ!」
ダレスに自らの見解を告げながらも、ミシャは痕跡の捜索を続けアルディアが連れ去れた方角を特定する。
「なるほど・・・凄いな。さすがだ!」
ダレスは周囲に散らばる何カ所かの血痕を見つめながら、ミシャに賛辞を送る。彼も傭兵としてある程度の忍びの技を身に付けてはいたが、血の染みの形でその発生個所を特定し、過去の戦いの状況を読み取れる彼女の実力には脱帽するしかなかった。
「あ、あたしを褒めたって何もないからな! そんなことより急ごう!」
一時は気まずかったミシャとの関係だが、ダレスの率直な評価に彼女は照れたような反応を見せる。
「・・・ああ、もちろんだ! こっちだな!」
そんなミシャの意外な態度を可愛らしいと思いつつもダレスは賛成を示し、大通りの先に身体を向ける。アルディアの生存が現実的になったことで、ダレスもじっとしていられなくなったのである。
だが、希望とともに彼の胸には一つの不安が浮かび上がる。あの怪物達はまるで最初からアルディアを連れ去ることが目的だったのではないかという疑問だ。
朝を迎えて手掛かりを探る光源は充分にあったし、何よりアルディアは〝白百合亭〟から多くの敵を連れ出したのである。倒すべき相手は事欠かない。怪物の死体を辿って行けば、それがアルディアの足跡だった。
「・・・アルディア様はここで生け捕りにされてしまったんだ・・・」
やがて、先頭を進むミシャは怪物の死体が小山となっている箇所に辿り着くと、無念そうに後ろのダレスに報告する。
そこは歓楽街のある通りと街の中心地に向う大通りに繋がる十字路である。急激に道幅が広くなる地点でもあるが、その直前は待ち伏せに最適な場所だ。残された死体の数はおよそ十五体、倒した敵だけでこの数である。如何にアルディアでも突破は無理だったに違いない。
「生け捕り?」
ダレスの目からもこの場所で激しい戦いが繰り広げられたことは理解出来たが、ミシャの報告に詳しい説明を求める。
アルディアの遺体が見当たらないとはいえ、現時点では彼女の生死は不明だ。ダレスにとってもアルディアが生きている現実が望ましいが、ミシャが〝生け捕り〟と断言した理由が知りたかったのである。
「ああ、この辺りにはアルディア様の血は落ちていない! ほら、ここに激しく擦られている足跡があるだろう。アルディア様はここで戦っていたんだ。それに対して周囲の血痕は全て他の地点から飛び散ったことが形から知ることが出来る。ここの染みなんかは、そこに倒れている奴が頭から出したやつだ。・・・アルディア様は全くと言っていいほど傷を負っていない。おそらくは・・・怪物達は数を使ってあの方の自由を奪うとそのまま・・・こっちの街の中心部に向って連れ去ったんだ!」
ダレスに自らの見解を告げながらも、ミシャは痕跡の捜索を続けアルディアが連れ去れた方角を特定する。
「なるほど・・・凄いな。さすがだ!」
ダレスは周囲に散らばる何カ所かの血痕を見つめながら、ミシャに賛辞を送る。彼も傭兵としてある程度の忍びの技を身に付けてはいたが、血の染みの形でその発生個所を特定し、過去の戦いの状況を読み取れる彼女の実力には脱帽するしかなかった。
「あ、あたしを褒めたって何もないからな! そんなことより急ごう!」
一時は気まずかったミシャとの関係だが、ダレスの率直な評価に彼女は照れたような反応を見せる。
「・・・ああ、もちろんだ! こっちだな!」
そんなミシャの意外な態度を可愛らしいと思いつつもダレスは賛成を示し、大通りの先に身体を向ける。アルディアの生存が現実的になったことで、ダレスもじっとしていられなくなったのである。
だが、希望とともに彼の胸には一つの不安が浮かび上がる。あの怪物達はまるで最初からアルディアを連れ去ることが目的だったのではないかという疑問だ。
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