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「凛、少しは落ち着いたか?」
翔が背中を優しくさすりながら聞いてきた
「ん、ありがとう…少しは落ち着いたよ」
僕は今できる精一杯の笑顔で答えた
しかし翔は僕が無理をして笑っているのだと察して
頭を優しく撫でてくれた
「よく頑張ったな、よしよし
偉い偉い、いい子だね凛は」
翔は子供をあやすように僕に言った
そんな彼を見て僕は自然と笑っていた
「やっと笑ったね、凛はその方が良いよ!
俺、凛の笑顔大好きなんだ」
「ありがとう」
僕は微笑みながらこたえた。
「こんな遅くにほんとにありがとう
色々話も聞いてくれて助かった、気持ちも 少し落ち着いたし
翔と友達でよかったってほんとに思うよ」
「そうだね、俺もそう思うよ」
翔は照れくさそうにそうこたえた
そしてその後
「でも、友達じゃなくて恋人になれると
なおいいよね」
と笑いながら付け加えた、
「そ、それは」
「いや、別にすぐじゃなくてもいいんだ
俺は凛の近くにいられるだけでも幸せなん
だよ、気にしないで、ごめんな」
翔はどこまでも優しいなと思った、
そして同時に
僕が逆の立場だったらすごく辛いし苦しいだ
ろうな、そう思った
そんな気持ちを察したのか翔は
「だいぶ落ち着いたみたいだから今日はこれで帰るな、明日も会えるし俺すごい幸せものじゃん!」
近所にも響くくらいの大きな声で言った。
僕は焦って
「夜遅いんだから静かにしてよ」
そういった
「ははっ、じゃあ、また明日な!」
翔はそう言って背を向けて歩き出した
しかし数十メートルした所で翔は振り返り僕の元に帰ってきた。
「忘れ物したわ」
「え、なにを?」
僕がそう言うと
翔は頬にキスをしてから
「これこれ」
そう言ってまた振り返り帰っていった
僕の心臓がドクンドクンっと速度を上げ音を立てているのが分かった
そのまま翔が見えなくなるまで彼の背中を見ていた
しばらくしてから僕は家に入ろうと玄関のドアノブに手をかけひねった
そして引こうとしたその時
「凛」
聞き覚えのある声がした
振り向くと俊一が立っていた
一気に血の気が引き、心臓がまた速度をあげていくのが分かった
「…俊一」
僕はそう呟いたそして
「もう近づくなって言っただろ」
とすぐにつけ加えた
「俺家に帰って考えたんだ、凛と長くいたの
になんで気づいてやれなかったんだろうって
絶対に2人でちゃんと話した方がいいって
そう思った、だから話に来た」
僕は俊一の顔を見ないように伏せていたが
きっと真剣な眼差しで僕のことを見ているんだろうなと想像ができた
ふっと僕は笑ってしまった
「帰り道話した通りだよ、
僕は同性しか好きになれなし
俊一を幼なじみとか親友とかそういう目では見てなかった
気持ち悪いだろ?軽蔑しただろ、
長年一緒にいたやつが同性が好きでしかも自分のとこが好きだなんて
はは、こんなことになるならもっと早くに離れるべきだったな。
あー、失敗したわ」
僕は下を向いたまま少しおどけてみた
でもやっぱり自分の本心を完璧に隠すなんて無理だなって思った
声が震えてる、涙が溢れるのも時間の問題だなと思った
「そういうとこだからさ、もう関わらないで
くれる?じゃあ寝るから
さよなら」
僕は最後の力を振り絞って俊一に言った。
そしてドアノブを引いた、
「ちょっとまてよ!」
そう言って腕をつかまれ引っ張られた
「お前俺のこと好きなんだろ、
なのになんであの男とあって、キスまでしたんだよ!
今日もそうじゃないか、お前が何したいのか全然わっかんねーよ!!」
と、俊一は言ったが僕は
「わからなくて結構だよ、離してくれる?
僕明日は翔と遊びに行くから早く寝なきゃなんだ」
涙が溢れてしまいそうだった
早くのこの状況から抜け出したい
ただそれだけだった
少し腕にかかった力が緩まったのがわかった
すぐに振り払って家の中に入っていった
僕は階段を駆け上り部屋に入った。
そして家族に気づかれないように静かに泣いた
苦しくて苦しくて
涙が止まらなかった。
これで僕の初恋は終わったんだな
これでよかったんだ
これが正しいんだ
そう言い聞かせた
翔が背中を優しくさすりながら聞いてきた
「ん、ありがとう…少しは落ち着いたよ」
僕は今できる精一杯の笑顔で答えた
しかし翔は僕が無理をして笑っているのだと察して
頭を優しく撫でてくれた
「よく頑張ったな、よしよし
偉い偉い、いい子だね凛は」
翔は子供をあやすように僕に言った
そんな彼を見て僕は自然と笑っていた
「やっと笑ったね、凛はその方が良いよ!
俺、凛の笑顔大好きなんだ」
「ありがとう」
僕は微笑みながらこたえた。
「こんな遅くにほんとにありがとう
色々話も聞いてくれて助かった、気持ちも 少し落ち着いたし
翔と友達でよかったってほんとに思うよ」
「そうだね、俺もそう思うよ」
翔は照れくさそうにそうこたえた
そしてその後
「でも、友達じゃなくて恋人になれると
なおいいよね」
と笑いながら付け加えた、
「そ、それは」
「いや、別にすぐじゃなくてもいいんだ
俺は凛の近くにいられるだけでも幸せなん
だよ、気にしないで、ごめんな」
翔はどこまでも優しいなと思った、
そして同時に
僕が逆の立場だったらすごく辛いし苦しいだ
ろうな、そう思った
そんな気持ちを察したのか翔は
「だいぶ落ち着いたみたいだから今日はこれで帰るな、明日も会えるし俺すごい幸せものじゃん!」
近所にも響くくらいの大きな声で言った。
僕は焦って
「夜遅いんだから静かにしてよ」
そういった
「ははっ、じゃあ、また明日な!」
翔はそう言って背を向けて歩き出した
しかし数十メートルした所で翔は振り返り僕の元に帰ってきた。
「忘れ物したわ」
「え、なにを?」
僕がそう言うと
翔は頬にキスをしてから
「これこれ」
そう言ってまた振り返り帰っていった
僕の心臓がドクンドクンっと速度を上げ音を立てているのが分かった
そのまま翔が見えなくなるまで彼の背中を見ていた
しばらくしてから僕は家に入ろうと玄関のドアノブに手をかけひねった
そして引こうとしたその時
「凛」
聞き覚えのある声がした
振り向くと俊一が立っていた
一気に血の気が引き、心臓がまた速度をあげていくのが分かった
「…俊一」
僕はそう呟いたそして
「もう近づくなって言っただろ」
とすぐにつけ加えた
「俺家に帰って考えたんだ、凛と長くいたの
になんで気づいてやれなかったんだろうって
絶対に2人でちゃんと話した方がいいって
そう思った、だから話に来た」
僕は俊一の顔を見ないように伏せていたが
きっと真剣な眼差しで僕のことを見ているんだろうなと想像ができた
ふっと僕は笑ってしまった
「帰り道話した通りだよ、
僕は同性しか好きになれなし
俊一を幼なじみとか親友とかそういう目では見てなかった
気持ち悪いだろ?軽蔑しただろ、
長年一緒にいたやつが同性が好きでしかも自分のとこが好きだなんて
はは、こんなことになるならもっと早くに離れるべきだったな。
あー、失敗したわ」
僕は下を向いたまま少しおどけてみた
でもやっぱり自分の本心を完璧に隠すなんて無理だなって思った
声が震えてる、涙が溢れるのも時間の問題だなと思った
「そういうとこだからさ、もう関わらないで
くれる?じゃあ寝るから
さよなら」
僕は最後の力を振り絞って俊一に言った。
そしてドアノブを引いた、
「ちょっとまてよ!」
そう言って腕をつかまれ引っ張られた
「お前俺のこと好きなんだろ、
なのになんであの男とあって、キスまでしたんだよ!
今日もそうじゃないか、お前が何したいのか全然わっかんねーよ!!」
と、俊一は言ったが僕は
「わからなくて結構だよ、離してくれる?
僕明日は翔と遊びに行くから早く寝なきゃなんだ」
涙が溢れてしまいそうだった
早くのこの状況から抜け出したい
ただそれだけだった
少し腕にかかった力が緩まったのがわかった
すぐに振り払って家の中に入っていった
僕は階段を駆け上り部屋に入った。
そして家族に気づかれないように静かに泣いた
苦しくて苦しくて
涙が止まらなかった。
これで僕の初恋は終わったんだな
これでよかったんだ
これが正しいんだ
そう言い聞かせた
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