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自殺
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暗い部屋にぽつんと、少年が佇んでいた。
部屋の中の物は辺り一面に散乱しており、少年が行ったものだと考えられた。
その少年は、部屋のたった一つの灯りに照らされる、眼前の椅子を見て、悲壮な表情を浮かべる。
そして、おもむろに歩き出すと、ゆっくりとした足取りで椅子へ近づいてゆく。
椅子のすぐ側で止まると、
「こんな世界に生きる意味なんてない」
周りには誰も聞いている人は居ないが、誰かに語りかけるように少年は言い放った。
そして、最後の力を振り絞るようにその椅子に登ると、今までは暗くて見えなかった紐がすぐ目の前に見えた。紐は天井からぶら下がっており、頭の辺りに輪が作られている。
その紐に手を掛けると、紐は僅かに震えた。
少年の紐を掴む手が震えているのだ。
少年は自分の、小刻みに震える手を忌々しそうに見つめながら、紐をゆっくりと自分の首に掛ける。
すると、少年はだらんと手を下ろした。しかし、まだ小刻みに手は震えている。
少年はごくん、と唾を呑む。
静かな部屋にいるため心臓の音が大きく聞こえた少年は、緊張と恐怖などの入り混じった複雑な感情を押し殺し、決心した。
ドンッという音が、部屋に響く。
それは、少年が椅子を前方へ勢いよく蹴る音だった。
「ぐっ......かはぁ...あぁ............ぁ...」
足が地面に着かず、足をバタバタさせる。
地面に足を着けようとすると、紐が首に食い込む。
激痛というよりも、ゆっくりと苦しくなっていく痛み。
痛みと同時に、意識が朦朧としていく。
そして、少年、波瑠は意識が途絶えた。
部屋の中の物は辺り一面に散乱しており、少年が行ったものだと考えられた。
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少年はごくん、と唾を呑む。
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ドンッという音が、部屋に響く。
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「ぐっ......かはぁ...あぁ............ぁ...」
足が地面に着かず、足をバタバタさせる。
地面に足を着けようとすると、紐が首に食い込む。
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そして、少年、波瑠は意識が途絶えた。
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