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16 投獄生活 二日目 1
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「うぎゃぁぁぁ~~~戦闘形態!!ジンちゃんの仇ぃぃぃ~」
波乱の一日が終わり、イチゴの葉っぱ布団のお陰で少し肌寒い明け方でも、暖かく保たれていて割りと快眠できたのだが、征ちゃんの奇声に近い第一声を耳にし素早く覚醒せられる。ただ事ではないと目を開けた先に写るのは俺の腹部にめがけて先端に可愛い肉球の付いたマジカルステッキを降り下ろさんとする征ちゃんの姿だ。
何が起きているか理解できないが、このまま寝そべっていたら3秒後には血塗られたイチゴ布団が出来上がってしまう。
すかさず身を起こし凄まじいスピードで降り下ろされたマジカルステッキを掻い潜り、征ちゃんの懐に入り降り下ろされる腕を持ち垂直方向の力の向きを回転する方向に誘導し、同時に征ちゃんの片足を持ち、体重100㎏の征ちゃんを背中に担ぐようにして放り投げた。風間流の技なのだが分かりやすく言えば柔道の肩車に近い技である。
危なかったぁぁ~あのまま避けてもマジカルステッキが地面に降り下ろされれば間近にいる俺はおろか神木も只じゃ済まないだろうし、かといって受けてしまえばおれ自身が爆砕必死だろうし、朝から何をするんだこのパンツ男は。
「おい!落ち着け征ちゃん!殺す気か!!」
「あれ?ジンちゃん生きてるでござるか!良かったでござるよ~ネズミの大群に殺られたかと思ったでござるよ~。」
「ん?ネズミ?ってうわぁ!」
征ちゃんが俺がネズミに襲われていると勘違いするのも無理もなかった。急いで飛び起きた俺の回りにはネズミ死骸がこれでもかと言うほど散乱していた。どうやら以外とイチゴ布団暖かいな~と思ってたのはネズミの肉布団だったみたいだ。
「ダーはどこだ。」
『はっ此処に居ります。』
ネズミの死骸の山の中からひょっこり顔を出したダー。一杯運んでこいと言ったのは俺だけど何ともシュールな絵だな。
「おはよう、そしてご苦労様。これだけ運んでくるのは大変だっただろう。大体何匹居るか解るか?」
『はっ我ら3匹を除きまして総数90匹になります。』
これまた沢山持ってきたな、流石にこれだけネズミの死骸が集まると死臭が凄い。イチゴの甘い香りとコラボしてとんでもない臭いを発している。例えるなら俺が三日間汗だくで稽古した道着に甘い香水を大量に振ってぬかで漬けてさらにおばぁちゃんの脇の下で半日くらい発酵させたような臭いだ。全く例えになってないが、取り敢えず臭い。反魂の術を使うと腐敗も止まり、体も徐々に修復されていくので臭いも消えていくだろうけど...体にも染み付いてる気がする、風呂に入りたいな。
取り敢えずネズミたちに魂を降ろすか。
MPが足りるか心配だったがまずはやってみないと分からないので、90匹纏めて反魂の術を行使する。
「反魂の術ソウルオーダー ッ!?」
流石にこれだけ纏めて術を使うと反動が凄いな。一体一体だと反魂の術だけならそこまで何も感じなかったが、纏めて術を使うと名付けた時のような何とも言えぬ虚無感に近い物に襲われるな。
ふぅ~まだ大丈夫だ。
「よし、ダーよ。ネズミ隊90匹を連れて穴を掘ってほしいんだ。取り敢えずダー達が2、3匹通れるくらいの大きさでいいから、この街の外のあまり人目に付かなさそうな所まで掘ってほしい。どうだ、できそうか?」
『はい、我らは本来穴を掘ってそこを巣穴にし、生活しておりますので穴堀はお任せください。これだけの人数ですから造作もない事でしょう、只、距離が距離ですので、半日くらいは掛かるかと。』
「えっ半日で出来ちゃうの凄いな!誰かさんとは大違いだなぁ~。」
チラッ
「チッ」
嫌味を込めて少し大きな声を発して、向かいの牢屋で神木の肉布団に包まれて眠るチョリスを見るも、俺の嫌味を込めた声も届いてないようで、二つの大きな肉に挟まれて未だに熟睡中である。
ぐぬぬ、感覚共有したいがもう征ちゃんにばれてしまってるからなぁ、ってイカンイカン神木は生徒だぞ、何を考えてるんだ俺は。
「ゴホン...では、ダーに命令する。今から部下全員を引き連れて街の外まで穴を掘ってくれ、大きさは先ほど言っていた大きさでいい、穴が貫通し時間が余れば街の外に生えている薬草類や口にできる植物又はその種を採集してきてくれ。
適度に休憩をいれながら無理しないように頼む。」
『恐れながら主よ、我らはアンデット故周囲の魔力を取り込み活動しています。ですので食事や休憩は必要ありません。軽微な肉体的な損傷を負った場合も主からの魔力を少し提供していただければ修復できようかと思われます。』
「そう言うものなのか、でも精神的な疲労もあるだろう。お前の先輩の今も寝てる奴なんかはダリーダリーって連呼してたぞ。」
『...そうですね、精神的には疲労は溜まるかもしれません。主の言う通り適度に休憩を挟みながら任務を進めていきたいと思います。』
「あぁ頼んだ、もし敵に襲われたりしても身の安全を第一にな。もし皆で挑んで勝てそうなら撃退しても構わんから、その場合は死骸もこっちに持ってきてくれ。」
『はっ了解しました。では早速取り掛かりたいと思います。』
「あぁ行ってくれ。」
ふぅ~ダーは真面目だからなこっちもちゃんとしなきゃいけないし、変なこと指示できないし、これはこれで結構大変だな。かといってチョリスみたいなのばっかりでも困るけど......って言うかアイツ何時まで神木布団で寝てんだよ。
「ネズミの死骸が一斉に起き出して飛び出して行ったでござるけど、魔王の名に相応しいく中々おぞましい光景でござるな。」
「やめい、変なフラグたてるな。ホントになったら生徒に討伐されちゃうだろ。」
「ふふふ、骨は拾ってやるでござるよ。」
「いや、征ちゃん幹部なんだから俺が殺られる状況だと、十中八九征ちゃんも死んでるけどね。そうなったら征ちゃんにレゲェダンサーの魂でも降ろして、その豊満な肉体を波打たせて勇者を威嚇してもらおう。」
「イヤァァー!そんな痴態を晒させるなんてこの変態くそ坊主ぅぅ」
終始パンツ一枚でも充分痴態を晒してると思うけどね、そしてそれをずっと見なきゃならん俺の身にもなれ。
「お前らホンマ仲ええな~っていうかくっさっ!!」
あ、神木起きたのね。
波乱の一日が終わり、イチゴの葉っぱ布団のお陰で少し肌寒い明け方でも、暖かく保たれていて割りと快眠できたのだが、征ちゃんの奇声に近い第一声を耳にし素早く覚醒せられる。ただ事ではないと目を開けた先に写るのは俺の腹部にめがけて先端に可愛い肉球の付いたマジカルステッキを降り下ろさんとする征ちゃんの姿だ。
何が起きているか理解できないが、このまま寝そべっていたら3秒後には血塗られたイチゴ布団が出来上がってしまう。
すかさず身を起こし凄まじいスピードで降り下ろされたマジカルステッキを掻い潜り、征ちゃんの懐に入り降り下ろされる腕を持ち垂直方向の力の向きを回転する方向に誘導し、同時に征ちゃんの片足を持ち、体重100㎏の征ちゃんを背中に担ぐようにして放り投げた。風間流の技なのだが分かりやすく言えば柔道の肩車に近い技である。
危なかったぁぁ~あのまま避けてもマジカルステッキが地面に降り下ろされれば間近にいる俺はおろか神木も只じゃ済まないだろうし、かといって受けてしまえばおれ自身が爆砕必死だろうし、朝から何をするんだこのパンツ男は。
「おい!落ち着け征ちゃん!殺す気か!!」
「あれ?ジンちゃん生きてるでござるか!良かったでござるよ~ネズミの大群に殺られたかと思ったでござるよ~。」
「ん?ネズミ?ってうわぁ!」
征ちゃんが俺がネズミに襲われていると勘違いするのも無理もなかった。急いで飛び起きた俺の回りにはネズミ死骸がこれでもかと言うほど散乱していた。どうやら以外とイチゴ布団暖かいな~と思ってたのはネズミの肉布団だったみたいだ。
「ダーはどこだ。」
『はっ此処に居ります。』
ネズミの死骸の山の中からひょっこり顔を出したダー。一杯運んでこいと言ったのは俺だけど何ともシュールな絵だな。
「おはよう、そしてご苦労様。これだけ運んでくるのは大変だっただろう。大体何匹居るか解るか?」
『はっ我ら3匹を除きまして総数90匹になります。』
これまた沢山持ってきたな、流石にこれだけネズミの死骸が集まると死臭が凄い。イチゴの甘い香りとコラボしてとんでもない臭いを発している。例えるなら俺が三日間汗だくで稽古した道着に甘い香水を大量に振ってぬかで漬けてさらにおばぁちゃんの脇の下で半日くらい発酵させたような臭いだ。全く例えになってないが、取り敢えず臭い。反魂の術を使うと腐敗も止まり、体も徐々に修復されていくので臭いも消えていくだろうけど...体にも染み付いてる気がする、風呂に入りたいな。
取り敢えずネズミたちに魂を降ろすか。
MPが足りるか心配だったがまずはやってみないと分からないので、90匹纏めて反魂の術を行使する。
「反魂の術ソウルオーダー ッ!?」
流石にこれだけ纏めて術を使うと反動が凄いな。一体一体だと反魂の術だけならそこまで何も感じなかったが、纏めて術を使うと名付けた時のような何とも言えぬ虚無感に近い物に襲われるな。
ふぅ~まだ大丈夫だ。
「よし、ダーよ。ネズミ隊90匹を連れて穴を掘ってほしいんだ。取り敢えずダー達が2、3匹通れるくらいの大きさでいいから、この街の外のあまり人目に付かなさそうな所まで掘ってほしい。どうだ、できそうか?」
『はい、我らは本来穴を掘ってそこを巣穴にし、生活しておりますので穴堀はお任せください。これだけの人数ですから造作もない事でしょう、只、距離が距離ですので、半日くらいは掛かるかと。』
「えっ半日で出来ちゃうの凄いな!誰かさんとは大違いだなぁ~。」
チラッ
「チッ」
嫌味を込めて少し大きな声を発して、向かいの牢屋で神木の肉布団に包まれて眠るチョリスを見るも、俺の嫌味を込めた声も届いてないようで、二つの大きな肉に挟まれて未だに熟睡中である。
ぐぬぬ、感覚共有したいがもう征ちゃんにばれてしまってるからなぁ、ってイカンイカン神木は生徒だぞ、何を考えてるんだ俺は。
「ゴホン...では、ダーに命令する。今から部下全員を引き連れて街の外まで穴を掘ってくれ、大きさは先ほど言っていた大きさでいい、穴が貫通し時間が余れば街の外に生えている薬草類や口にできる植物又はその種を採集してきてくれ。
適度に休憩をいれながら無理しないように頼む。」
『恐れながら主よ、我らはアンデット故周囲の魔力を取り込み活動しています。ですので食事や休憩は必要ありません。軽微な肉体的な損傷を負った場合も主からの魔力を少し提供していただければ修復できようかと思われます。』
「そう言うものなのか、でも精神的な疲労もあるだろう。お前の先輩の今も寝てる奴なんかはダリーダリーって連呼してたぞ。」
『...そうですね、精神的には疲労は溜まるかもしれません。主の言う通り適度に休憩を挟みながら任務を進めていきたいと思います。』
「あぁ頼んだ、もし敵に襲われたりしても身の安全を第一にな。もし皆で挑んで勝てそうなら撃退しても構わんから、その場合は死骸もこっちに持ってきてくれ。」
『はっ了解しました。では早速取り掛かりたいと思います。』
「あぁ行ってくれ。」
ふぅ~ダーは真面目だからなこっちもちゃんとしなきゃいけないし、変なこと指示できないし、これはこれで結構大変だな。かといってチョリスみたいなのばっかりでも困るけど......って言うかアイツ何時まで神木布団で寝てんだよ。
「ネズミの死骸が一斉に起き出して飛び出して行ったでござるけど、魔王の名に相応しいく中々おぞましい光景でござるな。」
「やめい、変なフラグたてるな。ホントになったら生徒に討伐されちゃうだろ。」
「ふふふ、骨は拾ってやるでござるよ。」
「いや、征ちゃん幹部なんだから俺が殺られる状況だと、十中八九征ちゃんも死んでるけどね。そうなったら征ちゃんにレゲェダンサーの魂でも降ろして、その豊満な肉体を波打たせて勇者を威嚇してもらおう。」
「イヤァァー!そんな痴態を晒させるなんてこの変態くそ坊主ぅぅ」
終始パンツ一枚でも充分痴態を晒してると思うけどね、そしてそれをずっと見なきゃならん俺の身にもなれ。
「お前らホンマ仲ええな~っていうかくっさっ!!」
あ、神木起きたのね。
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