幸運の歌姫

歩楽 (ホラ)

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第1章・聖騎士

3ステージ目

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 多少疲れてきたけど
これが最後のステージ
数日前からすれば、信じられない事の連続だった。

 でも、その感謝の気持ちを込めて
シャルに楽しんで貰う為にも
もう少し頑張る。

 このステージは、皆が盛り上がれる曲
スピード感があって、とてもノリのイイ曲をえらんだ。

 ログハウスで、シャルに頼まれて歌った曲
それを、少し力強いカッティング(ギターの演奏方法)にして
キレのある歌い方にした歌
シャルが言うには、ロックティストだって。


 1曲目は【およげ!たい焼きくん】ロックバージョン


 歌い始めて、少したった頃
僕の視界の端で
シャルが僕に両手を合わせ、謝るような仕草をして
お店から出て行った。

 何か有ったのかと思ったけど
僕には何も出来ない。

 きっとシャルの事だ
彼女にしかできない何かを成す為に行くんだろう
冒険者ギルドでも、何か調べていたし。

 きっと何かを守りるために
何者にも譲れないその美しいまでの信念の為に・・・。

 とても小さな存在の僕には
きっと手伝う事すら無理なんだと思う
でも、僕に出来る事をするよ
皆の笑顔と、シャルの笑顔の為に、僕は頑張って歌うよ。

 そして、戻ってきたら笑顔で言うよ

「シャル大好きだよ、僕と友達になってくれて、ありがとう」って



**********



 シャルは、あ3のステージを
瞳に涙を貯めながら見ていた。

 あ3は、やっぱりすごい
こんな大勢の人間を感動させるなんて・・・。

 3回目のステージでも
楽しそうに歌うあ3を眺め
さすがに、疲れが見え始めてくる
もう少しだから、頑張ってねと
シャルの拳にもちからが入る。

 


 ゾワ・・・・・・。




 シャルの背中に走った寒気
異物を見た時のような
気持ち悪い凍りつくような感覚。

 
 何か来る・・・・・。


 シャルは、直感的に何かを感じ取った。


 ごめんね、少し外を見てくる。

 あ3に手を合わせ誤ると
観客の隙間を抜け酒場を出るのだった。


 嫌な気配は通りの北の方向
今までゲーム時代の【LAW】でも
こんな感覚を感じたことはない
元々、探索やサーチ系のスキルは取って無い
だけど・・・この悪寒と言うべき感覚は・・・。

 シャルはステータス画面をだすと
いくつか操作する
美しい装飾がなされた剣を装備する
白く神々しい盾を装備し
最後に、白銀の兜を手に取り
気合と共に、兜をかぶるのだった。



 そして決意を決め、静かに歩き出す。



 私は戦う事や、守る事しか出来ない
とても、ちっぽけな人間・・・・・。

 だけど、あ3は違う
彼女はきっと、これから世界を変える
あの優しい唄で、力強い唄で、世界を変えるはずだ!

 小さな力しか持たない私でも
あ3を守れるなら
こんな力でも在って良かったと、心から思う。


 そして、その決意を口にした。


「誰であろうと、あ3の邪魔はさせない。」



 夜も遅く辺は暗い
街灯は無く、家のから漏れる明かりと
月明かりだけである。

 ふと空を見上げる
大きく光る、まんまるい月、満月・・
まるであ3のかわいい顔のようだと
少し笑ってしまった。

 それに、雲一つ無い夜空は
見たこともない星空が広がっていた
満天の星に満月・・・
まるで、あ3のこれから進む、光り輝く未来のように。



 だが・・・それを、その全てを壊す様な気配が強くなる



 酒場から、かなり離れた所まで歩いて来た・・・
そろそろ、バナナ平原
フェールドエリアに入る前に
ステータス画面をだし、もう一度操作する
そして、バナナ平原に足を踏み入れた。


 城門とは呼べない、質素な門から、少し出てしばし待つ。


 満月の光に照らされて、小さな人影が徐々に大きくなっていく。

 歩いてくる、一人の男。

 全身が黄色く鈍い色で光る。

 風になびく背中に羽織るマントは虎柄。


 キャラメイクで作った
筋肉隆々な体格は、私よりも、ひと回り以上大きく
装備している装備は、全て伝説級
そして、何よりも、ふてぶてしい程の面構
私の姿を確認したのか
私がここに居るこ事を知っていたかのように
ニヤリと笑い。




「よう、シャルロット、久しぶりだな
 あっちの世界はどうなっている?」



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