幸運の歌姫

歩楽 (ホラ)

文字の大きさ
上 下
12 / 36
第1章・聖騎士

しおりを挟む
  
 僕は、それから

 シャルに「親友の頼みなんだから」と
言われるがまま3曲ほど歌った。

 さっき数曲歌い
2人で、大粒の涙を流し
また4曲歌った事で
僕の喉は、カラカラに。

 そして朝を迎えた空が濃い紫色となり始めたこともあって。

 僕は、シャルに休憩と朝食を取ることを勧めるのだった。

 ログハウスに備え付けの木製のテーブルに移動し
家から持ってきた、固めのパンに蜂蜜をかけた物と
ホーンシープと言う羊のミルクで
軽く朝食をとるのだった。

 そして、2人はログハウスを後にし
目的地に向けて旅立っていく。

 昨日と違うことは
2人の距離が近づいた事だった

 シャルは、あ3と会った時
どこにでもいるNPCであり、ボロボロの服を着て
髪もボサボサで、男の子だと思っていたが
今はもう、そんな事は頭の片隅にもなく

ただただ、可愛いくてしょうがなかった
そして、街についたら、かわいい服を

そう【歌姫】というジョブに負けない

可愛い服を買うことを心に誓うのだった。


 あ3も、今まで友達も居らず
シャルの事を友達と思うことさえ躊躇していたのだが
シャル本人が、あ3の事を親友と言ったのだ
会話をする知り合いさえ居ない、あ3にとって

どれほど嬉しかった事か

どれほど心に勇気を貰ったことか

 あ3の中で、すでにシャルは【あの人】と同じくらい
大切な存在とかしていた。

 道行く2人の会話は
どこか照れくさそうに
どこか嬉しそうに
続いていく
・・・・・・・。




 太陽が真上に差し掛かり
一面に広がっていた草原の中心を歩く。

 そろそろ、お昼であり
2人の会話は、昼食を何にするかで盛り上がっていく。

 草原には、昼食のメインデッシュが闊歩する
暴れ猪は昨晩食べたので
ホーンシープの肉を食べようかと
若そうで柔らかそうな魔物を吟味していく

 そんな、しょうもない事すら
2人にとって、とても大切で
とても有意義な時間でもあった。



 ・・・ーーーーン

 ・・・カーーーーーン・・・

 ・・・ドカーーーーーン・・・


 それは、遥か遠くから、聞こえてくる小さな音だった。

 先に気がついたのは、あ3

「シャル・・・チョット待って・・・」

「なに?」

「これって・・・・この音って・・・もしかして・・・・」

 僕は、その音の主を想像するだけで
血の気が引いて、体温がさがり、全身が震えだす。

「どうしたの、あ3!」

「もしかして・・・ビッグ・バナナ・・・・」

 それは、バナナ平原最強のモンスター
村では、年に数回出没するという、レアモンスターである。

 その度に、ギルドで討伐隊を組むか
高ランクである、Cランク以上の冒険者を募り討伐する程の
危険極まりない、モンスターである

 そう、レベル1の、あ3では想像もできないほどのモンスターであったが
レベル100となる、シャルにとっては・・・

 「ビッグ・バナナ?もしかして、フィールドボスのレアモンスター?」

 「に・・・逃げないと・・・・シャル速く、逃げないと・・・」

 慌てる、あ3が、少し可愛いと思いながら

「あ3、大丈夫!私を誰だと思ってるの」
 
「だけど・・・」

 シャルは、ニコリと笑い
アイテムボックスから、白銀の兜を取り出すと
金色の髪をかきあげるように、白銀の兜を被る。

 さて・・・ゲームでは
バナナ平原は、初心者の狩場だったはず
通常モンスターは、レベル1~10程度だったかな?
 現実世界で、1日に一回沸くフィールドボスのレアモンスター
たしか、レベル20?もなかったよね


「あ3、見してあげる
 戦闘特化、女性限定ギルド【ヴァルキリア】
 その副ギルドマスター
 シャルロット・ヒューリーのその力を」
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

白雪姫の接吻

坂水
ミステリー
――香世子。貴女は、本当に白雪姫だった。 二十年ぶりに再会した美しい幼馴染と旧交を温める、主婦である直美。 香世子はなぜこの田舎町に戻ってきたのか。実父と継母が住む白いお城のようなあの邸に。甘美な時間を過ごしながらも直美は不可解に思う。 城から響いた悲鳴、連れ出された一人娘、二十年前に彼女がこの町を出た理由。食い違う原作(オリジナル)と脚本(アレンジ)。そして母から娘へと受け継がれる憧れと呪い。 本当は怖い『白雪姫』のストーリーになぞらえて再演される彼女たちの物語。 全41話。2018年6月下旬まで毎日21:00更新。→全41話から少し延長します。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

おもらしの想い出

吉野のりこ
大衆娯楽
高校生にもなって、おもらし、そんな想い出の連続です。

処理中です...