アンタッチャブル・ツインズ ~転生したら双子の妹に魔力もってかれた~

歩楽 (ホラ)

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きぐるみ幼女編

36話 逃げた・・・2人。

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今まさに、桜が児玉に突撃するため

その体を発射した瞬間であった

すでに、それを察知していた草壁は

桜の拳に対し斜に構え左腕を構え右腕で支え、防御態勢に入り

その腕に装備した武器、いやその防具に魔法を使う

一瞬であった、それは、児玉と同じく硬化魔法である

その瞬間、草壁の腕に装備された、漆黒の手甲は

ダイヤモンドの硬さに迫るほどの硬さになるのだった



桜にとって、草壁は、ただの障害物でしかなかったが

だが、それが人間であるなら話は別である

ただの障害物であるなら、壊せばいい、砕けばいいだが

それが人であるなら、避けるしかない

いや、きっと何も考えてもいないだろう、それが桜なのだ



突如現れた人物、桜は固く握った拳を開き

草壁の腕にある手甲に手を掛けると同時に左足を地に付け地面を蹴る

彼の手甲を支点にし、体をコマの様に回転させ

彼の横を綺麗に抜けていく

そして、その後ろで、曲がった剣を構える児玉に目標を定めようとしたとき

野次馬の声が五月蝿い中、桜の耳に鈴の声が届くのだった



「桜、まって」



その声で、ピタっと動きを止める



その場に居た全員が、止めに入った男の顔をみて

この、お祭り騒ぎは、決着つかず終わりだろうと、少し残念に想っただろう

そう、生徒会副会長の、草壁大樹を見た瞬間に



そして彼は、止まった桜を確認し

背筋をのばし、落ち着いた低音の声で



「この場は、生徒会副会長である、草壁が預かる」



そして中等部校舎にも響き渡り、一瞬の静寂をもたらしたのだった



すでに合宿で一緒した、生徒会の面子と鈴は面識があった

生徒会長の柊朱莉と、仲良く成ろうとは思わないが

あの事件の後、丁寧に対処してくれた

副会長の草壁や、書記の城戸とは

合宿中、普通に会話するような知人となっていた

生徒会の、もう一人の副会長と、会計は、クラスメイトであり友人でもある



そして今、顔の怖い、草壁が怒っていた事に

この騒ぎの中心人物である

鈴、かんな、夏目の意識をより緊張させる



桜と言えば、普段なら戦いを邪魔され、ふてくされる所であるが

桜は、新しいオモチャを嬉しそうに確認しながら、鈴の元へもどっていく



草壁は、嫌そうな顔をする児玉を一瞥すると



「すまないな、三千風、全ては事前に対処できなかった、俺達がわるい

 俺も、あんな、バカな噂を本気にして、こいつらが動くとは思わなんだ

 この馬鹿どもを代表して、謝らせてくれ」


草壁の登場に顔を歪ませる児玉は、その言葉に喰ってかかる

「あんな噂とは、どういうことだ?」



「噂は噂だ、柊が、本当にデゥエルで負けたと信じたのか?

 彼女が泣いて、謝ったと、本気でしんじたのか?」



「それは・・・・だが、そいつが、三千風鈴が、朱莉様を倒したと」



「すいません児玉先輩、私、三千風鈴じゃないんです

 私は、山代かんなです、三千風鈴は、この子です」



かんなは、隣にいた、小さな少女の肩を掴み一歩前に突きだしながら

謝罪のため、大きく頭をさげた



「なんだと?お前が、三千風じゃなかったのか?

 それに、そんな子供が?三千風だと、朱莉様に勝っただと」



「児玉、だから、それは嘘だ・・・・」



そして、草壁は、そこに集まった全員を見渡し



「全員に言っておく、柊が、この三千風に謝ったのは

 この児玉と同じように・・・・・・・・・





草壁は、あの合宿に行くため集合場所であった事を簡潔にはなし

その真実を、耳を傾ける全員に伝えた





 と、言う事だ、お前達、柊の取り巻きも分かっただろう

 仲間どもにも、きちんと伝えろ」



それを聞いた、生徒達は、口々にその真相を話し合っていた



「すまんな、三千風、色々と迷惑をかけた」



「いえ、事情をしっていて、調子にのった、バカ(友達)がわるいんです」



そこには、バツが悪そうにしていた

かんなと夏目の姿があり



「すいません、面白がって、桜をけしかけました」

「すいません、私も同罪です」



そして、優美も頭をさげた



「草壁先輩、私も、何もできなくて」



「いや、いい、白梅から事の起こりも経緯も全て聞いている

 すべて、児玉が悪い、お前達は、もう帰っていいぞ

 俺は、児玉にきっちり言い聞かせる」



「てめぇぇ・・・・」







そして、草壁に催促されるように、5人は校舎を後にする





優美は難しい顔をしているが

終わった事は、しかたないと

残り4人は、楽しそうに笑っていた

そして、その内容は、やっぱり桜は強い

あのままなら、勝っていたのは桜だと

そう話しながら、学園の校門を抜け進んでいく



「あ!桜、テニス部は?」



「あ・・・あぁ~~~わすれてたぁぁ~~いってくるぅぅ~~」



桜は振り返り、体を揺らしリズムを取りながら、再び学園に戻っていった



そんな桜の姿を見た鈴は

テニス部主将さん・・

かわいそうに、今日の桜は、暴れるぞ・・・

そんな事を思いながら桜を見送るのであった





優美は、難しい顔のまま、迎えに来た車で、帰っていく



そして残された3人

鈴と夏目は、かんなの奢りでのスィーツを楽しみに

アキバに買い物に行くのだった





*******





後輩の女子生徒5人を見送り

廊下に残された、草壁は

その左手に装備していた手甲を見下ろし



「なんだ・・・あれは・・・・あの動きは・・・」



そして、先ほどの事を思い出すのだった



ティオーノが、勢いよく飛び込んで来たはずだ

そして、俺の手甲を利用して、向きを変えた

でも、俺の腕には、一切の衝撃は無い

軽く触られた、ほどの感覚があっただけだ・・・

どんな体術・・・



その瞬間、腰骨から脳天に突き抜ける様な震えが走り

額に汗が噴き出す



確か・・・・・・蓮・ティオーノの妹だったな

少し調べてみるか・・・・・

だが、今は・・・・・



草壁は、彼女達が消えていった、廊下奥の階段を見つめたまま



「児玉、とりあえず、生徒会室に来い話はそれからだ」



「チッ、なんで俺が!」



「そして、月陰、お前にも聞きたいことがあるから、付いて来い」



「ぁ、、、、あの、、、、、、、、」



「月陰だと!あの女どこだ!」



「えっと、、、、あの、、、、」



「そこかぁぁ!!なぜ、お前がそこにいる」



そう、月陰舞、彼女は今だ、柱にへばりついていた

そして、それに気がついた児玉は、驚き怒りをぶつけるが

月陰はしどろもどろで、会話にはならなかった



最後には草壁の「うるさい」で、静かになり



舞姫と呼ばれる彼女、月陰舞は

柱に張り付いて、動こうとしない



(なんで?なんで?

 私何もしていないのに?なんで?

 児玉君だけ連れて行けばいいじゃない?

 私、関係ないじゃない、ここに居ただけですよ

 草壁君そんな怖い顔しないでよ・・・

 許してよ・・・・)



2年の教室から出てきて合流した、白梅と和泉に

無理やり柱から剥がされ

白梅にその手を引かれ

生徒会室へと向かう姿は



迷子の子供が、知らない景色に怖がり震えながら

知らない大人に、連れられていく様であった





そして、誰も居ない生徒会室には、2通の置き手紙が



〔 少し出かけてきます、そのうち戻ります、朱莉 〕



〔 ごめんちゃい、会長止めるだなんて、むりっす 〕





「あいつらぁぁぁぁ!!!!!!」



その草壁の怒りの声は

生徒会室の在る本堂と呼ばれる建物に響くのだった

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