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きぐるみ幼女編

25話 1年前・人生最大の最悪の日

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 蓮は、楽しそうに笑う

「ニニスに、カレラに、宮守、そしてシオンか・・・
 今年の1年は、楽しそうだな」

「おい蓮」

「あぁ?今こいつらと話してる所だろぅが」

「それよか、さっきのはやり過ぎだ、先生連中がこっちに向かってるってよ」

「そりゃぁ、うぜぇな、わかった戻る
 そういうことだ、お前らまたな」

1年の教室から出ようとした蓮に、ニニスが

「もう来るななの」

「そういうな、ペンギンの・・・いや、ニニス、友達 (ダチ)だろ
 それと、宮守、今度はハンデ無しの全力でやろうや」

言いたい事だけ、言って出て行った

「ハンデなしだと、余計かてるきがしねえよ
 で・・・紫音、お前ティオーノ先輩と知り合いだったのか?」

「ああ、殴られてそうになって思い出した
 だいたいアソコまで理不尽なまでに自分勝手な奴なんぞ
 そう居ないだろ」

「紫音・・・それを、お前がいうのか?」

「なんで?俺いたって、フツウだろ」

「あぁ、お前の基準が、どこにあるか知らんが
 だいたい、やりたいことを、やる
 やりたくないことは、しない 
 その中じゃぁ普通なんだろうよ
 だがな、それを自己中っていうんだ、覚えとけ」

何時もの事ながら、紫音も、ティオーノ先輩と同じく、自己中だわ・・・

「まぁまぁ、その言葉、そっくり、貴方にあげるわ、てつ」

実際は、鉄雄もかなりの、自己中である
そして、このカレラも同じ穴の狢である

「シオ、レンが、ニニスに友達だろって言ったなの
 でも、友達になった覚えがないなのよ」

「日本にはな、【タイマンはったらダチ】って言う格言があるのさ」
 
「それは、なんなのなの?」

「まぁ、蓮はニニスと友達に値する人間だと判断したってことだろうな
 いやなら、無視すればいい、だけどあいつは、かなりの自己中だぞ
 ニニスの事を友達だと思って、そのうち無理やり遊びに来るぞ
 まぁ、学年は違っても、クラスは隣だしな
 アレは変わり者だが、俺よりは、いいやつだぞ」

ニニスは、頭を撫でられたまま、耳を赤くさせ

「そこまで、ニニスの友達の紫音が言うのなのなら
 レンのダチって物になってあげるなのよ」

「それは、蓮本人に言ってやってくれ」

「あらら、ニニスは、彼 (紫音)と友達になったのですか?」

その言葉に、顔まで、真っ赤にさせ

「それはなの、シオが、友達にしてくれと頭を下げたからなの
 だから、友達にしてあげたなの
 ついでに、友達にしてやったなの、もう一人が、キィなの」

その方向に首を動かすと

先ほどの衝撃と音で、この校舎に確認に来た数名の先生
だが、おおきな異常も無く、1-Jを覗くと
大粒の涙を流し泣いているだろう女生徒と
その両肩を掴んでいる男子生徒の姿を見つけ
数名で教室に入ってきて
いきなり、希唯を捕まえてる両手を縛り上げられる
そして、意味も分からず連行される、栄斗
そして、状況が分からず、混乱する希唯は
女性の先生に慰められながら教室を後にするのだった

後に彼女、叶芽希唯は、その日の事を、こう表現した

【人生最大の最悪の日】と・・・・




「・・・・・・・・・・・・・・・」




そして、ニニスは思い出したかの様に

「エルノ、これ見るなの、飛行機なの、鶴なの、すごいなの、もらったなの」

机の上に置かれた、折り紙を、自慢しだしたのだった



紫音は、騒がしい場所から、そそくさと抜けると
自分の椅子に座り、机に体を預けだらける
そして、折り鶴を自慢する、一番騒がしいニニスを眺め


【ニース・ニケ・クロヴィス・メロヴィング】・・・
何処かで見た覚えが・・・

『シオン様、確か先日読んでいた、論文にその名前があった覚えがあります』

『論文?』

「あぁ、たしか・・魔力力場における、空中固定だったか・・」

「シオ、知ってるなの?」

つい、口に出してしまった、その言葉に
ラレラと嬉しそうに話していた、ニニスが反応する
その目は、無邪気な少女の瞳ではなかった
そして、その目を紫音はしっていた
蘭さんと同じ科学者、いや探求者の目だと
そして、ものすごい勢いで迫ってきた

「いや、ちょっとまて」

「魔力力場と磁場、相互作用による、空中固定なのよ
 今年初めに発表した、ニニスの論文なの
 それを、なんでなの、シオが知ってるなのよ?」

まぁいいかと、机に、だらけさせていた体を起こし
椅子に座りなおす、猫背の様に背中をまるめてだ

「俺の親が、科学者の端くれでな
 面白そうな論文だといっていたので、ちらっと目を通しただけだ
 そこに、ニニスの名前が合ったことを、今思い出して・・・
 あぁ、、、だから、さっきの防御符は
 物理的支え無しで空中散布されてたのか
 たしか、ある程度の軽い物質であり
 一定以上の魔力を内蔵する物でないと
 今の魔力の空中散布量子力学の理論では施行出来ないと書いていたが
 ニニスの符ならば、その条件を満たせるのか
 それも、あれは、感知遮断と視覚遮断の魔法で、見えない様にしていたとは
 天才だな、ニニス」

にやける、ニニス、そこには8歳本来の顔となった、嬉しそうな顔があった
可愛いものだと、思った紫音だったが

ニニスにとって、紫音の存在が、1ランク上がったのだ
見た目から、変人だと分かる、その姿とは違い
彼の発する言葉には嘘が無い、そして無条件に自分を信じてくれた
年齢も身分も、知ってもなお、その彼の対応は変わりなかった
それ以上に、自分の論文を読み、その意味を理解していたのだ
それは、ニニスと同等までも行かないまでも
ある程度の知識が有るというもの
いや、ある程度ではない
最低でも科学魔法の分野にいたっては大学院クラスの知識が有る事が
少ない会話でも、ニニスには分かったのだ
それは、嬉しいことなのだ、自身の研究室にも
ニニスに付いてこれる人間は居なかったのだから
そして、嬉しそうに紫音に問いかける

「シオ、ならばなの
 地球におけるなの、磁場におけるなの、意識同調をどう思うなの?
 今、器具を利用した脳波磁場同調でのなのを
 意識レベルの疏通の一時成功をしてるのなのよ
 だけどなの、ニニスの思い描いた結果には、届かないなのよ」

カレラは
「またはじまった・・・
 君ごめんね、何言ってるか分かんないでしょ
 相手しなくてもいいのよ」と

「まったくわからんな」
とわらう鉄雄

「・・・・・・・・第6感の証明、それにおける意識の伝達、電波ってところか・・・」

「それが、わかるなの?シオ?」

「・・・・・・ニニス・・・」

「何なの?」

それは、核心であり、ニニスの次の研究であった
それを、あれだけの情報で一発で言い当てた紫音に驚き
その知識に驚愕する
そして、次の言葉に期待を膨らませ、嬉しそうにするニニス

「めんどくさい、俺は寝る」

そういって、机から、MYマクラを取り出し頭から机に飛び込み寝るのだった

「なんなのなんななんなの!
 なんで寝るのなのよ!!!!」

ニニスは、紫音の体を揺すり叩き起こそうとするが
紫音の新たななるスキル衝撃遮断を発動させる
多少の衝撃ならば、それに相反する振動によって、極小までに衝撃を和らげる
そうやって完全無視で、寝るのだった


中等部、入学式の次の日にあたる
初の授業が行われた、その日の昼休みにおこった出来事



これが、鈴の知る、蓮が、紫音そして鉄雄と出逢った時の出来事であった



この後、紫音と蓮は話し合う事となり
蓮にリルの存在を紹介すると
蓮も、前の世界での自身の側近であった
ミーティアとミカを思い出し、会いたいと、紫音の前で口をすべらす

なら、逢いに行けば?と言う、紫音に驚き
リルが、前にいた世界に行けることを教えられる

そして、蓮は一度、前にいた世界へ戻り
自身の国へ戻るのだった
そこで、何があったかは、紫音は知らないが
悪魔である、ミーティアとミカを、こっちの世界に呼びたいと言う蓮に
紫音はある方法を、教えるのだった
悪魔である、2人の姿は、言うまでもなく悪魔其の物である
それが、この世界で普通に活動する唯一の方法
悪魔の身体を捨て、人間の体に入る事である
その為、全ての能力は人間程度になるだろう
そして、その成功率や持続年数も、紫音は保証できないと告げた

そんな事はない、リルがいる限り、成功率は100%だろう
持続年数も、リルが側にいる限り、その肉体の寿命くらいまでは保証できた
デメリットしかない、その条件を
ただ、自分達の主と共に居たいとねがう
ミーティアとミカは無条件に頷いた
その後、現世に来て一度、精神体となった2人は
リルの虚数空間に入り
とある、研究施設で、その寄り代となる肉体を手に入れるのだった


のちに、7:3メガネの手をかり

住む場所を用意し、2人は、現世で主と共に生きていくのだった


 
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