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きぐるみ幼女編
19話 1年前・魔王は遅れてきた
しおりを挟む鉄雄は、カレラの持つ銃が、何時ものと違うと
「あれ?、カレラ、何時もの、デザートイーグルは?」
「あるわよ、でも今回は、進学祝いに頂いた
この子の、お披露目も兼ねて、演出してみたのだけど
思いのほか、上出来だったみたいね
実際は、3種の特殊魔法弾を、その場で組み込むには
リボルバーの方が、都合がよかったでけなんですけどね」
ニコリと笑いながら、右手に持つ、44マグナムを
鉄雄に、自慢するように、元居た場所にすすみでる
カレラ専用にカスタマイズされた
【リボルバー式魔法拳銃、K&A・S社製M29、8インチモデル】
その拳銃に、刻印された魔法は2つ
魔法弾の、初速および加速アップ
そして、魔法弾発射時の、音と光の軽減
そのため、実弾は使用不可となっている
そして、小柄な人間が付けるであろう
魔法刻印の、フィードバック軽減をつけていない
カレラは、44マグナム、3連続狙撃を行ったため
その、威力のフィードバックで
初撃を撃った場所から1メートルほど、後方まで位置をずらしていた
事実、子供が、この銃を撃ったなら
その威力で腕は持って行かれ、肩が外れる事も、骨が折れることすらあるのだ
それを、位置のズレだけで、3連続の狙撃を、何食わぬ顔で行った
カレラの実力は、相当なものである
「中等部の進学祝いで、拳銃送る人間の顔が見てみたいな
て、いうか、今の魔法弾、オーバーキルもいいとこ
試合以外で、対人に使ったらダメな部類だろ?」
「そう?、まぁいいじゃない、この子のお披露目と
私 (わたくし)の中等部クズクラス、デビューと言うことで
大目に見てもらいましょう」
「まぁ、(中等部)本校舎じゃないから
先生も、風紀も、こっちまで出張らないから
かまわないけどな」
「ふふ、そう、あっちにいては
この子達を、好き勝手に使えませんものね
だからこそ、私 (わたくし)は、クズクラスに成ったのですから
これくらいは、大目に見てもらわないと
それより、ラスボスのお出ましですよ」
そこには、隼人を廊下に放り出し
鉄雄と、カレラの前に、堂々と立つ
赤髪短髪で攻撃的な髪型をした人間がいた
「そっちの、いい物をみさしてもらった
お前も気にはなるが、今は、宮守お前だ
隼人の敵 (かたき)も取らないとだしな」
「ティオーノ先輩、色々噂は聞いてるが
シンプルに言って、後輩イジメをするとは、思わなんだわ
まったく、先輩を硬派だと思ってた俺は、がっかりだ」
「その通り、イジメは良くないな
でもな、休み時間は別として授業中
俺様の安眠を、邪魔する奴は、容赦なく潰す
それが、先輩だろうと、後輩だろうと関係はない」
「まぁ、それは、同感だな、なら・・・」
鉄雄は、後ろにいる、今回の火種となった8人を指差し
「こいつらも、充分わかっただろうから、もういいだろ」
「あぁ、それは、もういい
こっからは、俺個人の興味だ
宮守、お前の強さが知りたい
隼人をここまで追いやった、お前の強さがな」
「まぁ、もてる事、もてる事、毎回この手の相手には、おおもてですわね」
(カレラの奴・・・俺は男より女に、もてたいんだ
それも年上の、ナイスバディに)
「それは、同感だな先輩、小等部の時は、勝てる気がしなかったが
今なら、いい勝負ができる気がするよ」
そういって、鉄雄は、ズボンのポケットに手を入れたまま
首をぐるり回しながら
蓮に向かって一歩前に進み出たのだった
そして、折り紙に夢中な2人を他所に
その場にいた、人間全員が、緊迫した雰囲気に緊張し
額に汗をかくのだった
足を開き、ポケットに手を突っ込んだままの
構えを取らない棒立ちの鉄雄
自己流で作り上げた、その格闘スタイルに、構えはなかった
もしその構えがあるとしたら、ポケットに手を入れる事だろう
そして、同じく構えを取らない蓮
その態度は、格下相手に構える必要は無いと言わないばかりに
堂々としたもので、右手で「かかってこい」と、言わんばかりに
鉄雄に対し、手招きをするのだった
鉄雄は、小さく「ッハ」と笑うと同時に
軽く前傾姿勢となり、蓮の懐に飛び込んでいく
そして、見せるのは、今回は左足ではあるが
大文字隼人に初撃食らわした蹴りである
軽い左の回し蹴り
それを、隼人と同じ様な動きで、蓮は右手で受けようと腕を動かす
後ろに下がり躱せばいいのだが、この教室の後ろと言う場所では
前後幅は有るものの、下がりすぎれば
追い詰められるのだ、それを嫌ってなのか
いや、それよりも、初手から格下相手に下がる事を拒否したのか
無造作に、右腕を動かした
だが、その蹴りは変化する
脇腹に向かって来ていた、その蹴りは
何時しかその目標を蓮の膝に写し加速する
だが、膝にヒットしたと確信した鉄雄だったが
蓮は右足を少し上げ、脛 (すね)で受けるのだった
蓮にしてみれば、可能性の問題である
隼人に同じ様な蹴りをしてきたと聞き
準備していただけのことである
だが、鉄雄にしてみれば、得意としていた膝蹴りを止められたのだ
驚きはするが、些細な事でもあった
そこから、鉄雄の動きは、1段階速くなる
威力より、速さをとった、その蹴り数々
鉄雄のズボン、それは片方に両足が入るだろう太さを誇る
そして鉄雄の蹴りと共に、そのズオンは空を舞い
蓮の視界を覆い、そしてその影から、機動を隠し連を襲うのだった
見事なまでの、鉄雄の連続蹴り
10発20発と、蹴りを入れていくのだった
それを観ていた1年は、鉄雄が優勢だと思っただろう
そして、数少ない鉄雄の実力を知る者は
その光景を疑い
蓮の実力を知る者、2年の生徒達は、驚きもしない
鉄雄の止まらない連続蹴り
その全ての蹴りを防ぎ、躱し、受けきる蓮の姿がそこにあったのだ
鉄雄の実力を測っていた蓮は、防御に徹していた為
その全ての蹴りを防御しきっていた
そして、蓮の頭に浮かぶのは
速く見えるが、防御した感覚で言えば
その実、多少違和感はあるが、思ったほど速くないし、威力もない
ズボンで隠してはいるが、反応速度で優る俺には無意味
手こずる事はあっても、隼人が負けた理由が思いつかない
やはり、初撃で膝を潰されたのが原因か?
そして、蓮は反撃に移るのだった
それは、本物の蹴りを見せてやると言わんばかりの蹴りであった
それは、一瞬であった
鉄雄の連続蹴りでおこる、微かな隙の縫って
蓮の、威力・速さを兼ね揃えた一撃
それは、蹴り足を出し、片足で身体を支える鉄雄の腹部へと吸い込まれていった
確実に当たるだろうと思われた蹴りは
連の予想を裏切り、空を切るのだった。
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