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きぐるみ幼女編
13話 1年前・鶴、つる、ツル
しおりを挟む廊下で楽しそうな事が起こっている時
リルは、紫音に念話で話しかける
『シオン様、お気づきですか?』
『ん?なんかあったか?』
『先ほどの彼のスキル、あれは異常です
詳細は、分かりませんが、かなりの危険だと思われます』
『スキル?・・・・』
「ニニス、1つ聞いていいか?」
「何なのね、この紙で作ったヒコーキくれるなら
答えてあげても、いいなのね」
暇つぶしに、作った紙ヒコーキではあるが、そこまで気に入ってくれたなら
作った甲斐があると言うものだが
「あぁ、それでよかったら、あげるよ
そんなに気に入ったなら、後で鶴を作ってあげようか?」
「鶴なのね?ホントなのね?なんでも教えるなのよ」
座っていた椅子を後ろに弾き飛ばす勢いで立ち上がったリニス
背の低い彼女は、椅子に座っていても、立ってもさほど変わりはしないが
その瞳は、輝いていた、それには、隣りに居た女性も驚きを隠せないようだった
そう、思いのほか、食い付きのいい、小さな少女ニニスに
少し、驚くが、良く良く考えてみると
この時代、折り紙という技術は、ほとんど廃れていたのだ
ネットで探せば、過去の遺物として出ては来るが
現代世界で、折り鶴を折れる人間は極わずかだろう
そう、それが、ただの紙ヒコーキだとしても
この世界では、とても珍しかったのだ
そして、廊下の栄斗を指差し
「廊下に出て行った彼なんだけど
何か特殊な魔法か?スキルでもあるの?」
「知らないなのよ、だけど、鶴・つる・ツルなのよ」
一言で終わった
知らないのかよって、突っ込む前に
異常なまでに催促されている
どれだけ、興味津津なのですかと・・・・
「少し、いいかしら?」
「あぁ、えっと・・」
「私の名前は【叶芽希唯 (かなめきい)】
先に、紫音くん、お弁当ごちそうさま、とても美味しかったです
そして、ニニスちゃん?
今更ながら、2人共初めまして
2人共、中等部からの転入?」
「あぁ入ったばっかりで、右も左も分からない感じかな
あと、鉄雄とは家が近くて幼馴染で
学園じゃぁ、奴くらいしか知り合い居ないっぽい」
叶芽希唯、なんだろうか、この女性、普通の人っぽい
それなりの礼儀もあるし、何で、このクラスにいるんだ?
鉄雄曰く、クズクラスには、変わり者と
ホンマ物のバカしか居ないだろうと聞いてたんだが
普通の人間もいるのか?
それとも、実は本物のバカか??
それと、この、ニニスも転入組だったのか、
あの、エルノと言う、真っ赤な奴と知り合いみたいだったから
てっきり、小等部からの繰り上がりかと思っていたんだが
あの素振りからして、個人的な友達か何かか?
それなら、さっきの【知らないなの】は
彼の事自体、知らなかったと言う訳か・・・
「そうなんだ鉄雄君とは、友達なんだね
私は、小等部から学園に居るから
学園の事で、分からないことが有ったら言ってね
ニニスちゃんも、分からない事あったら、私に言ってね
私に出来ることなら、何でもしてあげるからね
絶対に、私に言ってね」
可愛らしい顔をして、ニニスに微笑むが・・・
「・・・」
ニニスは、鶴と聴き、さっきまで楽しそうにしていたのだが
今は、黙り込んで、じっと叶芽希唯の顔を覗き込んでいた
「ニニスちゃん・・どうかした?」
「ニニス、こいつ嫌いなの」
「ど、どうして、、ニニスちゃん、私なにかした?」
ニニスの言葉に、一瞬何が起こったか、反応できず
我を想いだしたかのように、ニニスに詰め寄る
「しお君、たすけるなの」
そう言って、ニニスは、紫音の側に駆け寄り、その後ろに隠れるのだった
「いや、あれだ
あっと、叶芽さん?希唯さん」
「希唯でいいよ」
「希唯さん、まぁ今日は初対面だから
何かの、思い違いか、勘違いも有るだろうからさ
これから仲良くなっていけばいいと思うよ」
おい?ちょっと待て、何で俺が、赤の他人を仲裁しなくちゃならないんだ?
「・・うん・・・・ニニスちゃん、おねーさんは怖くないですよ~」
「・・・・・・・・」
「ニニスちゃん・・・・・なんで・・・?」
悲しそうな顔で、ニニスを見つめる希唯
「さぁ?」
ほっとくに限るな、関わると、めんどくさそうだし・・・
「あぁ、ごめん、話は戻るんだけど
さっきの紫音君の、質問に私が答えるね」
「?」
「え?忘れたの?、彼のスキルの話だよ?」
「あ・・・・・・わ・忘れてないよ」
わすれてた・・・・・
「さすがは、鉄雄くんの友達だね、まぁいいや
彼は、【遊久路栄斗 (ゆくりえいと)】
私とは、幼馴染ってやつかな
それで、エイトの使ったスキルなんだけど
あのスキルの名前は【ラッキースケベ】
説明する必要がないよね
名前のまんまで、質の悪いスキルなんだけどね」
「ラッキースケベ?
そんな・・・スキルが、本当に存在するのか・・・?」
「本当は、違うらしいんだけどね
どう考えても、ラッキースケベの方がしっくりくるって言いだしてね」
「まぁ、あの惨劇を見たら納得するしか・・ないか
それにしても、ラッキースケベとか、羨ましい」
「男の子って、本当にバカよね」
「まぁ、それほどですけどね
あぁそうだ、説明ありがとう、希唯さん」
「どういたしまして、それで、出来ればツルを作ってあげて」
そういって、希唯を睨みつける、ツインテールの少女を指さしたのだ
「そうだった、ニニスちょっとまってくれ
確か、ノートがあったはず」
まったくもって、以前の紫音の無駄知識は
いつどこで役に立つか、俺には皆目検討もつかないな・・
役に立つ?いや、これは、何かに巻き込まれたと判断するべきか?
まぁいっか・・・
深く考えても仕方ない紫音と判断した紫音
カバンの中から、紙のノートを取り出し
一枚破ると、正方形に整え、紫音は数年ぶりに折り鶴を作りだすと
ニニスの機嫌は良くなり
そのツインテールを揺らしながら
嬉しそうに紫音が紙を折る仕草を見つめていた
その傍ら
『リル?いたって、危険視するほどの、スキルじゃ無さそうだが?
まぁ、面白そうなスキルではあるけどな』
『シオン様、あのスキルは、こちら側、次元の狭間にも干渉してきました
それも、発動のタイミングが、確認できませんでした
起こった後に、スキルが発動していた事に気がつきました
そのスキルの原理、意味、理、その全てが不明です』
『なんだそりゃ・・・・偶然を、ラッキースケベにするスキルだろ?
いや、それでは次元干渉などしないか?
それ以前に、意思加速や、何かを操作した痕跡があれば
リルが気づかない訳が無いだろうし
彼が自分で付けた、スキル名なら
元のスキルは、なんだ?・・・
リル、今後、奴のスキルの、痕跡があったら、教えてくれ』
『わかりました、最重要監視対象者として登録します』
すでに、紫音達は、鉄雄の戦いなど興味はなく
紫音は、ニニスの前で折り方の説明つきで、折り鶴を作り始めていた
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