上 下
137 / 180
きぐるみ幼女編

9話 1年前・弁当テロ

しおりを挟む
 

 
そして、蓮の話は続いていく
鈴の知る、紫音サイドの事は、後にリルに聞いた話である

 



紫音はシオンとして、成り立った時に
より多くの知識を求めた
その時、幾つかの選択枝の中に
日本に幾つかある【国立関東天童魔法学園】の事が頭に浮かぶ
そして、シオンが蘭と交わした約束の中に
高校だけは卒業しろと言うものがある
ならば、残り数年程の人生、暇つぶしに行ってみるのも一興かと
友人の、【鉄雄】もいることだし、それなりに面白いだろうと
中等部への入学試験を受ける事となるのだが

緯度経度と言う、7:3メガネに、詳細を調べてもらうと
どこから、その情報を持ってきたのか、分からないが
その情報は、学園の裏の顔を明確に記したものだった

そう、緯度経度は、ある書類を入れた封筒を紫音に、笑いながら渡す
紫音は、その笑みを不思議に思ったが
その書類を確認していく紫音
その内の1枚の資料のコピーを見て、目を丸くする
そして緯度経度の楽しいそうな顔の意味を納得したのだ

そこには、事前の書類審査の時点で
紫音と鈴の名前の上に【特別入学枠、合格】の判子が押されていたのだ
2人はまだ、試験さえ受けていない
つい先日、中等部入学、入試用の手続きの書類を送ったばかりである
そう、それほどに【三千風蘭】の名前の力はすごかったのだ
そして、その書類を、何処から持ってきたか定かではないが
緯度経度も、紫音との数年の付き合いで
その手腕は、恐ろしいものとなっていた

そして、それを知った紫音は、苦労もなく入試に合格するが
入試で申し訳ない程度に回答したテストが、高得点とれるわけでもなし
紫音の教室は、鉄雄と同じJクラスとなる
鉄雄も鉄雄で、昨年の頭のおかしい生徒と同じく
自分からJクラスとなった変人である

そして、登校初日の入学式も終わり
次の日から、本格的な授業が開始された
Jクラス、担任はいる物の、彼が、何をするわけでもない
そう、中等部、クラス初顔合わせだからと言って
和気合い合いと、自己紹介するというクラスでは無いのだ
担任は目視と、数合わせで、出席を勝手に摂ると
何も言わずに、教室を出て行く
昨年の出来事から、授業をする先生は増えたものの
授業の3割は、教師のボイコットから自習なのだ
そんな事を、気にする紫音や鉄雄ではない
紫音が学校に来る目的は、大量の知識が収められてるアーカイブ
要は図書館と、学園の所有する、巨大サーバーに蓄積された情報に有るのだ
それ見るとき以外は寝て過ごすだけである

そう、授業初日、その1時限目から紫音は枕持参で、机に身体を預け眠りにつく
紫音の席は入口と反対側、窓のそば前後で言えば真ん中辺りである
そして、その前の席に陣取ったのは鉄雄であった
鉄雄も、自身の机から、大きな辞典を取り出し机上に広げた
きっと誰も興味を持たないであろう、その古き本の名は
【世界の樹木、そして、失われた木々】
その趣味全開の本を読みふける
鉄雄の近くには、小等部から仲のいい鉄雄の友人が陣取っていた

また、このクラスは例年と違い、テスト順位ではなく
学校側が、扱いに困まるような生徒であったり
手の付けられない変わり者が多く居たのだ
そんな、生徒達も、多少音が出る様な事をしていても
基本は静かであったが
やはり、騒ぎ立てる生徒も居たのだ

彼等は8人ほどで、最近流行りの、携帯ゲームをしていた
教室の後ろ、出入り口に近い場所を陣取り
自習とはいえ、授業中に大きな声で騒ぎ立てていたのだった

いつしか昼休みとなり

寝ていた紫音に鉄雄が声を掛けた

「おぃ、起きろ紫音、昼なったぞ、飯どうするよ?
 俺は今日は弁当なしなんだよ
 購買でパン買うか、それとも食堂まで行って食べるか?
 まぁ、どっちにしろ、アホほど人がいるけどな」

「ふぁぁぁあああ・・・・・
 ん?昼飯?・・・・・確か弁当を持たされた気がするが・・・」

そう言いながら、紫音はカバンを探ると
どうやって入っていたか不明なほどの大きい弁当箱が出てきたのだ
それを机の上にだすと、包んであった布に、メーッセージカードらしき物が付いていた

「でかくね?・・・紫音それ一人で食べるのか?」

「いや、鈴が作ってくれたんだが、鉄や、友達と食べてくれってさ」

そういい、メーッセージカードを鉄雄に見せた

「おぉ、鈴の手作り弁当か、そりゃ美味そうだ
 だから、今日、母さんが、わざとらしく
 「中等部から弁当いるのをすっかり忘れたの、ごめんね」
 とか言っていたのか」

「はは、鈴の奴の計画的犯行か、それにしても
 授業初日だというのに鈴の奴、奮発したな」

3段重ねの弁当を並べて見ると、色とりどりの食材が並び
見た目でも楽しませてくれる、色彩豊かな、お弁当であり
その匂いに惹かれた、鉄雄の友人達が集まり出したのだ

そして、鉄雄は初めてクラスメイトの友人達に紫音を紹介したのだ

「紹介するわ、コイツは【紫音】
 そして、この弁当は俺達が全部食っていいらしいぞ」

「いただき・・・
「おお、ありがてえ、いただくは」
「いただきまーす」
「おぃ、ちょっとまて、その唐揚げは、俺が先に目をつけたんだぞ」
「うっせぇ、早い者勝ちだろうがよ」
「なになの、何かくれるなの?」
「うめぇぇーーーーーーーーーーーー」
「ちょ、ナニコレ、美味しすぎない?」
「この、ミニハンバーグのデミグラス、有り得ないうまさなんだけど」
「肉ばっか食ってんじゃねぇよ、俺にもよこせ」
「ヤバ!マジヤバ!超ヤバイヤバイヤバイ、MYだって」
    ・・・ました、うま!」


 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

プレッシャァー 〜農高校球児の成り上がり〜

三日月コウヤ
青春
父親の異常な教育によって一人野球同然でマウンドに登り続けた主人公赤坂輝明(あかさかてるあき)。 父の他界後母親と暮らすようになり一年。母親の母校である農業高校で個性の強いチームメイトと生活を共にしながらありきたりでありながらかけがえのないモノを取り戻しながら一緒に苦難を乗り越えて甲子園目指す。そんなお話です *進行速度遅めですがご了承ください *この作品はカクヨムでも投稿しております

Bグループの少年

櫻井春輝
青春
 クラスや校内で目立つグループをA(目立つ)のグループとして、目立たないグループはC(目立たない)とすれば、その中間のグループはB(普通)となる。そんなカテゴリー分けをした少年はAグループの悪友たちにふりまわされた穏やかとは言いにくい中学校生活と違い、高校生活は穏やかに過ごしたいと考え、高校ではB(普通)グループに入り、その中でも特に目立たないよう存在感を薄く生活し、平穏な一年を過ごす。この平穏を逃すものかと誓う少年だが、ある日、特A(特に目立つ)の美少女を助けたことから変化を始める。少年は地味で平穏な生活を守っていけるのか……?

青天のヘキレキ

ましら佳
青春
⌘ 青天のヘキレキ 高校の保健養護教諭である金沢環《かなざわたまき》。 上司にも同僚にも生徒からも精神的にどつき回される生活。 思わぬ事故に巻き込まれ、修学旅行の引率先の沼に落ちて神将・毘沙門天の手違いで、問題児である生徒と入れ替わってしまう。 可愛い女子とイケメン男子ではなく、オバちゃんと問題児の中身の取り違えで、ギャップの大きい生活に戸惑い、落としどころを探って行く。 お互いの抱えている問題に、否応なく向き合って行くが・・・・。 出会いは化学変化。 いわゆる“入れ替わり”系のお話を一度書いてみたくて考えたものです。 お楽しみいただけますように。 他コンテンツにも掲載中です。

真っ白なあのコ

冴月希衣@商業BL販売中
青春
【私だけの、キラキラ輝く純白の蝶々。ずっとずっと、一緒にいましょうね】 一見、儚げな美少女、花村ましろ。 見た目も性格も良いのに、全然彼氏ができない。というより、告白した男子全てに断られ続けて、玉砕の連続記録更新中。 めげずに、今度こそと気合いを入れてバスケ部の人気者に告白する、ましろだけど? ガールズラブです。苦手な方はUターンお願いします。 ☆.。.*・☆.。.*・☆.。.*・☆.。.*☆.。.*・☆.。.*・☆.。.*☆ ◆本文、画像の無断転載禁止◆ No reproduction or republication without written permission.

切り札の男

古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。 ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。 理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。 そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。 その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。 彼はその挑発に乗ってしまうが…… 小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

しゅうきゅうみっか!-女子サッカー部の高校生監督 片桐修人の苦難-

橋暮 梵人
青春
幼少の頃から日本サッカー界の至宝と言われ、各年代別日本代表のエースとして活躍し続けてきた片桐修人(かたぎり しゅうと)。 順風満帆だった彼の人生は高校一年の時、とある試合で大きく変わってしまう。 悪質なファウルでの大怪我によりピッチ上で輝くことが出来なくなった天才は、サッカー漬けだった日々と決別し人並みの青春を送ることに全力を注ぐようになる。 高校サッカーの強豪校から普通の私立高校に転入した片桐は、サッカーとは無縁の新しい高校生活に思いを馳せる。 しかしそんな片桐の前に、弱小女子サッカー部のキャプテン、鞍月光華(くらつき みつか)が現れる。 「どう、うちのサッカー部の監督、やってみない?」 これは高校生監督、片桐修人と弱小女子サッカー部の奮闘の記録である。

処理中です...