アンタッチャブル・ツインズ ~転生したら双子の妹に魔力もってかれた~

歩楽 (ホラ)

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覚醒編

29話 2匹の使い魔

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シオンはそっと瞳を閉じる

(・・・・イメージ・・・・・・・
 そうだったよな、ウル先生、イメージそれこそが魔術の原点
 魔素によって最大値は多少上がったが、紫音の少ない魔力、魔力量
 それを最大に活かし使える物を、イメージし作り上げる
 魔力を狩るもの・・・)


全魔力を右手に集中する

「でろ【魔を喰らい尽くす者|(マジック・イーター)】
  タイプ【西表山猫|(ヤマピカリャー)】」

そして、紫音の魔力は空となるが、もともと少ない魔力は
魔素を吸収し、一瞬にして最大まで回復する

そして、今度は全魔力を左手に集中させる

「もう1匹【魔を喰らい尽くす者|(マジック・イーター)】
  タイプ【北狐亜種|(シルバーフォックス)】」



そして、シオンの両脇に、2個の饅頭が現れた

元々は単体の|(魔力吸収系)魔法だった物であるが
使い魔を使役し、魔力吸収魔法を、その使い魔に付着させ
出現させたが・・・・・

現れたのは、直径20cmほどの大きめの饅頭が2個

その1個は、琥珀色の饅頭
点と線で、描かれた、目と鼻と口とヒゲ
そして、西表山猫の特徴である、眉間から三角の両耳の間に暗褐色の数本の筋があり
身体全体に暗褐色の斑点があり、長く細い尻尾があった

そしてもう1個は、白銀色の饅頭
琥珀色の饅頭と同様に、点と線で描かれた顔
狐の特徴である、2つの三角の耳、そして大きな尻尾があり
全体が白く光に反射し輝く

だが、見た目は空中に浮かぶ、尻尾の付いた、大きな2つの饅頭その物であった

ソレを見た、リルは何も言わない
前の世界でも、幾度か使い間を使役したことがあるが
その全てが、この2体と同じように、饅頭であり
リルにしてみれば、何時もの事であり
その使い魔は、長くても数日で消えるのだ
使い捨ての使い魔をいちいち気にするほど、リルは暇ではない
だが、今回ばかりは、初期段階で対処しなかった事を、リルは後に後悔することになる


シオンは、2体の使い間を、その眼で確認すると
何かに納得したかのように、小さく首を縦に2回振る

そして、シオンは、右手を上げ、結界に閉じ込められた黒い渦を指差し

「行け!魔力を喰らい尽くせ」

「ニャァーー」

「コォーーーン」

2体の使い魔は、シオンの言葉に返事をするように、鳴き
シオンの元から、飛び立った


低空で、鈴が閉じ込められる結界に向けて、勢い良く宙を駆ける、2つの饅頭
そして、円柱状の結界を左右から回り込み
大きく口を開き、結界を周囲を廻り駆け登っていった

そう、2匹の饅頭は、その身体を横に、半分近くまで開き口を開けた
そうやって、大気中の魔素を取り込む
結界を螺旋状に駆け上がりながら
鈴の魔核の垂れ流す魔素を吸収していく
そして体内に蓄積した魔素により
2匹の身体は徐々に膨れ上がり、大きくなっていく

そして、黒い渦と同じ高さまで駆け上がった時には
2個の饅頭であった、その使い魔の身体は、一回り大きくなり
それぞれの、イメージである【西表山猫|(ヤマピカリャー)】
そして、【北狐亜種|(シルバーフォックス)】その名に恥じない精悍な姿となっていた


そうその事に一番驚いたのは、リルであった

『シ・シオン様・・・・饅頭が動物になりましたが・・・・?』

『そうか?多少大きくなったが、2人とも、そんなに変わってないぞ』

シオンに聞くも、当たり前の事の用に返事が帰ってくる
そう、シオンのセンスは未だ、リルに理解出来ない物があるが
今までに数度見たことのある、シオンの使い魔作成
それは、すべて饅頭であり
作成されたときに蓄積された魔力が切れれば、消えてしまう
目的要素は、伝達や、探索と、簡単な事柄の為、蓄積魔力は少量であった

今回も、蓄積魔力は微量である
それが、今の紫音の最大魔力であっても、以前の紫音からしてみれば
コップの水と、全世界の海水の量以上の違いすらあるのだから
だが、今2匹の使い魔は、魔核から溢れる魔素を吸収する
それは、今までになかった
【魔を喰らい尽くす者|(マジック・イーター)】の称号を持つ使い魔であったからに他ならない
魔力を吸収することができ
魔力によって成長する使い魔
魔力が無くならない限り消滅することはない
シオンの魔力と、その想像力によって生み出された使い魔は
魔力を吸収することによって、その本来の姿となったのだ

そう、シオンが求めイメージした、その姿に

その1匹は【孤高の帝王】
その生息する島の生態系の頂点に立つ肉食系動物
否、頂点に立つために生まれた王たる資格と力を持つ男をと
時には、その体より大きな動物を殺し食らう、比類なき力の絶対者
単独で行動し、他に媚びる事はない
その瞳は鋭く、立つ姿は気品が溢れ
何者も寄せ付けない気高さを兼ね備える
そんな、全ての頂点に立つ、孤高の帝王をイメージした使い魔
タイプ【西表山猫|(ヤマピカリャー)】


そして、もう1匹【賢き女帝】
貪欲で、全ての物をその内に欲しがる捕食系動物
賢く、頭が切れ、全てをその手の内でもてあそび
時には、騙し欺き蹴落とし、目的の為には手段を選ばない、女王であると
何者にも縛られることの無い自由奔放な快楽主義者
その美しさは妖艶な雰囲気を可持ち出し、
その瞳は細く切れ長で、見つめられたなら、男なら心を奪われる
そんな、全ての者を魅了する、賢き女帝をイメージした使い魔
【北狐亜種|(シルバーフォックス)】

そんな、2匹の使い魔は、シオンのイメージした、姿になり
黒い渦を挟むように、空中に位置した

2匹は、同時に大きく鳴き【マジック・イーター】としての、その本分を、発揮する


 
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