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覚醒編

27話 お母さん・・・と呼ぶと。

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西神虎亜の固有魔法【ザ・ワールド】
それが、今崩壊する

そして、それと同時に、シオンは目の前の少女を蹴り上げる

数日後に10歳の誕生日を迎える紫音と鈴
鈴は同年代でも小さに方で
その身長は120cmほどである
そんな鈴を、シオンは覇気を纏ったその力で蹴り上げたのだ

その威力は、強固な鉄骨もへし折れるほどの威力
成人男性の腹部を蹴ったなら、上半身と下半身は永遠の別れとなっただろう
そう、それほどの威力で、蹴り上げたのだ

だが、鈴は何かに守られる用に、その衝撃を吸収し、ふわりと宙に浮く

そして、一気に吹き出す高密度の魔素
それは黒く色付き渦を捲くように、宙に浮かぶ鈴を包み込んでいく

「どうにか・・・・・・まにあったか」

その鈴の姿を見て、うなだれるシオン
そして、鈴を蹴飛ばした足元に視線を下ろし
そこにいる、蘭の無事を確認する

そう、鈴をそのままにしていたら、蘭は、鈴の出す魔素により
魔力焼(強度の火傷)になっていただろう
それも、元シオンの魔核が出す高密度の魔素である
それを、先ほどの状態で数秒も当てられたなら
鈴の回復力の乗った魔素であっても
その半身は焼け落ちていただろう
その後は回復するだっるが・・・。

そして、蘭の身体をゆすり

「蘭さん、起きて・・・蘭さん・・・・・」

井門に撃たれた太腿も、虎亜に撃たれた腹部も、すでに治っているなずである
出血多量による、意識不明も治ってても良いはずなのだが
蘭の意識は未だ、無く

ボソ・・・・

「・・・・・・・お母さん・・・・・・・」

「誰が、母さんだ!!」

蘭は、飛び起きて、シオンの頭を右手で鷲頭かみし
苦痛に歪む紫音は

 ってか、母親を【お母さん】と呼んでこの仕打ちは無いだろう!
だけど、なぜか抵抗てきねぇぇぇええええ。

「蘭さん、痛え、超痛え」

行きよい良く起き上がった蘭、一気に頭に血が巡り
ふらつき、空いた左手で自分の頭を掴み、目を閉じ
ゆっくり息を吐いた


「良し、紫音どうなってる、それと鈴は?」

紫音の頭を掴んだまま、問いかける

「わるい、蘭さん、今マジで時間ないから 離して」

そして、蘭は手を離すが

「・・お前は?紫音なのか?」

産みの母の直感なのか、何かの違和感なのか
その問をする蘭自身が、その問の意味が、分からずにシオンに問う

「シオンだけど、しおんじゃない、後で説明するよ
 リル、蘭さんに現状説明、俺は・・」

チラリと、背後にいる、西神虎亜と、やまさん達を見る

「人材と魔力確保してくる」

その言葉に、二つ返事をし
リルは蘭に近づく
蘭は、紫音の言葉に反応した、小さな少女に、気づく
そして、その存在に、驚愕する

「あ・・・あなた!」

この世界には居るはずのない生き物
それは、15cmほどの、小さな人間
そして、それは宙を浮いていた
まるで、ファンタジーの世界から抜け出たような
妖精または精霊のようであった
初めてその姿を見たなら
その美しい姿に心奪われるか
その姿に、驚愕し恐れ戰くだろう

だが、蘭は

「妖精?
 解剖するには、勿体無いか
 紫音の物なら、後で貸してもらうか?」

そういい、胸のポケットから、ハンカチを取り出し
リルに、くるりと巻き首の後ろで端を結んだ
さすが、紫音と鈴の母親だけはある
多少の事は動じない上に
次なる研究材料にと・・・。


「で、あなたは?」

「リルと申します、詳しい話は後ほど、現状を説明させていただきます」

そして、リルは、大雑把に現状を説明しだす・・・が

「私にも詳しくは分かりません
 シオン様が、あの少女を助けたいと
 私はそれに従うだけです。」と・・・

何も理解していない。

シオンは、その場を蹴り
虎亜とやまさんのいる場所まで、10数メートルを飛び移動する
それは、たったの一歩であるが、勢い余って、着地後1メートルほど横にすべる

「くそ、覇気での肉体強化で、この身体を使うのは、まだなれんな・・」

それに、一番驚いたのは、やまさんだろう
やまさんの、中では、紫音はすでに倒したはずなのだ
そして、虎亜の魔法【ザ・ワールド】の間、やまさんの体感時間は5秒も無く
その間に何が起こっていたかは、知る由も無かった

紫音は周りを一瞥すると

「お前と、お前と、お前とお前、死にたくなければ手伝え」

鈴の魔核発動、そしてシオンの覇気、そのプレッシャーの中
意識があり、動けそうな4人を指差す
それは、初めに蘭と、戦闘をしていた、やまさん、西神虎亜を含む4人である

「あぁ・・・」

初めに小さく返事をしたのは、虎亜である

のこり3人は現状の理解もできずに、交互に、アイコンタクトで状況を探る

虎亜の中では、すでに、自分と紫音の格付けが終わっていた
やまさん達3人には、あの魔法【ザ・ワールド】が無くても
勝てる自信はある、だが【ザ・ワールド】の範囲内で自在に動く子供
それも、最後にはその速度は、俺を数倍上回っていた
虎亜の手いにれた、高速演算処理能力でも
何一つ、この子供に勝てる未来が見つけることが出来ず
この子供の存在すら、理解できなかった
ただ、そんな能力に頼らずとも、この子供に逆らえば命が無いだろう事は
直感で理解できていのだ、そして、その子供が「手伝え」と言ったのだ
それを、断れる度胸はすでに、虎亜には無かった

そんな、虎亜の返事を聞き
シオンは、やまさん達に向けて再度聞く

「お前達は、どうする?まぁ、時間が無いから、返事がNoなら
 強制的に、使うけどな」

虎亜の返事と、その言葉に反応するのは、やまさんである

「子供が、いきなり何を言ってる、虎亜も何故従う
 まだ動けるのが、何故だか解らないが、子供に従う義理はない」

4人の中で現状が理解できてるのは、虎亜だけである
【ザ・ワールド】を破壊した元凶、この子供の妹
それが今、凶悪な黒い球体と化そうとしている
だが、山さん達の瞳には、誰かの魔法としか写ってないだろう
あの中に、9歳の少女が、いることさえ気づかずにいる
すでに、虎亜の頭の中では、見たくもない未来が見えていた

それは、数分後には、巨大な魔力の暴走により、半径数10キロに渡る爆発
いや、底の見えない魔力の塊、この世界ではありえない魔力
運が悪ければ、日本列島の形が変わる事すら有り得ると

そんな事を想像すらできないでいる人物がいる
現状において、一番優位に居ると頭の中にある、やまさん
未だに、やまさんの頭の中では、危険をしらす、アラームが鳴っているが
この場において、何に対してか、誰に対してか、その危険の所在が分からないのだが
やまさんは、それ振り払うように返答した


「そうか・・・・なら勝手に使わしてもらう」

シオンの言葉を理解できずにいる、やまさん、だがそれもすぐ分かることになる

そして、シオンは、やまさんを指差し

「座標軸検出、位置固定、魔力・魔力量調整、詠唱破棄、魔術展開発動
 【野薔薇の蔓 (ローズ・ウィップ)】」

やまさんの、足元から10本ほどの、刺のついた蔓が伸びる

「【拘束の錠 (ロック・バインド)】」

そして、その蔓は、やまさんの身体に巻き付きつく
蔓のトゲは、やまさんの身体に、突き刺さり
地面に押し倒し、アスファルトに縛り上げる

「ぐわぁぁあああああーーーーーーー」

「うん、やはり詠唱破棄は以前のままだな
 まだある程度、工程を省略できるな
 だが、あの魔力量で、この程度にしかならないのか・・・
 それなら・・あれは・・・使えないか・・・あれは・・・まぁ後でいいか
 おい、そっちの2人は、どうする?
 おとなしく協力するか、この男みたいになるか?どっちだ?」

やまさんの、叫びを無視し
のこった、2人に、再び問いかける


やまさんの、叫びを無視し
のこった、2人に、再び問いかける

シオンは、魔法の感覚を噛み締める
今、シオンは、前の世界での魔法を使ったのだ

この世界での魔法、それは科学魔法であり
科学で理論づけられた物である
それはデバイスを使い魔法を発動させるものである
虎亜の【ザ・ワールド】高速演算処理で高速で書き換えられた物であったが
この魔法すら、デバイスを使った物である

それを、シオンはデバイス無しで使ったのだ
シオンにとって、この世界と前の世界との理 (ことわり)を
理解するための下準備みたいなものであるが
それによって魔法発動までの工程や、威力を理解していく

そして、デバイス無しで魔法を使ったことに気づくのも虎亜だけである
だが、現状が理解できている虎亜は、シオンに対して何も言わないが
残った2人に、助け舟を出す

「お二人さん、俺が言うのもなんだが、逆らったり、無理に手伝いを止めたりして
 少年が、やろうととしている事が失敗すれば
 この少年も、俺達も、ここにいる全員が死ぬこととなるぞ
 命が惜しかったら協力する事だな」

「ほう、それが解るのか」

「それくらいしか、解らないさ・・・」

そう、虎亜ですら、それくらいしか解らないのだ
そうして、残った2人も、首を縦にふり、シオンの指示をうけ

蘭の側に集まる事となる

現状でまともに動ける人物が、揃う

シオン、そして、15cmほどの宙に浮かぶ小人

そして、簡単な現状を聞いた、蘭そして、たまたま側に居た、井門

そして、虎亜達3人

合わして計7人である

シオンは空中20mほどの高さまで浮いた、黒い渦状の球体を指差し
その場に居る人間に話しかけた

 
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