85 / 180
覚醒編
17話 ザ・ワールド
しおりを挟む虎亜の目の前で、その結界魔法、【ザ・ワールド】は完成された
その薄い青く光る結界を見上げ
「やはり、俺様は天才だ、くくく、俺様の時代が来た
ハッハッハッハッハ!!!」
ザ・ワールド
この魔法、簡単に説明すると
結界内の時間の流れを約1/10程度に遅らし
術者の虎亜の時間の流れを約7倍程度まで上げる魔法である
これにより、結界内の人物と、術者の速度差は
単純計算だと約70倍程度になるのだ
実は、元々の効果は、もう少し劣っていた
結界は半径10メートルも有れば上出来だっただろう
結界内の時間の流れも、1/5も有れば良かった
自身には時間魔法ではなく、速度強化魔法のはずであった
それでも、2倍程しか上がらない計算であったが
それが、身体に溢れ出る魔力・そして湧き上がりこぼれる程の魔力量は
虎亜の潜在能力を倍以上に引き上げられ
虎亜の手に入れた、脳細胞全領域使用、高速演算処理能力
2つの、能力により、半自動的に、書き換えられ
結界魔法【ザ・ワールド】は
元の魔法から、まったく違う魔法へと変化していた
そして、その魔法は想像以上の効果を発揮し
その光景に、虎亜は喜び歓喜する
ちなみに時間の流れは、速度強化とは違う
時間の流れを上げると、その使用者は、普段どうりの行動であっても
他人から見ればそれは、数倍の速さで動いているように見える
その為、体の負荷も無く
他人から見れば、その思考さえも、早くなっていると感じられるだろう
そして誰でも使える魔法でもなかった
世界の理に反する魔法である
その資質とそれに見合う能力か、スキルが無ければ使うことの出来ない魔法である
虎亜には、その資質は多少あったのだ
そして、結界と言う外界から隔離された空間でのみ、その魔法を使うことができた
実に、元々から魔法の実力は天才の域であったとも言えるのだが
悲しいことながら、馬鹿である
また、速度強化は、その肉体を酷使し無理やり速さを求める魔法である
肉体的速さはますが、その思考は、早くならない
その為、この魔法に慣れないうちは、頭と体が一体とならず、歩くことさえ難しいのだ
まぁ言うのは簡単だが、それは、信じられない程の高度な魔法である
この半分のサイズであろうと
その魔法起動に数人の魔法師
そして魔法維持に数人の術師が必要となるほどであるが
最大の理由は、この魔法が、結界空間による時間制御の為だが
それも、結界内の時間の流れを遅くす魔法と
魔法使用者の時間の流れを早くする魔法
相反する魔法を、同じ結界内で行ったことによる為と
元は3つの合同魔法で有ったはずが
虎亜の覚醒した演算能力により、3つの魔法が1に統合されたため
複雑怪奇な、魔法となっていた為であるだろう
しかし、この魔法には重大な欠点があった
1つの結界内での、同時時間制御魔法
それは時空、他次元に干渉するものであったからだ
そこまで考慮し、対策を練った魔法であるならば
扱える人間は、この世界では数人居るか居ないかだろう
それ以前に、次元にすら干渉しうる魔法を、制御し対策ができる
魔法式を作り上げれる人物が、この世界には居ないであろう
そう、この魔法が時空、次元に干渉するなど
分かりもしないし、知りもしない
そこまでの知識がない虎亜
脳が覚醒しその力の100%が使えようとも
演算処理能力が上がろうとも、知らないものは、その計算に含まれない
そして、足りない魔法式と
3つの魔法式を1つに合わせ簡素かされた
複雑怪奇では有るが、つたない魔法式
そんな、試運転もされてない、魔法は徐々に、その綻びをみせる事となる
虎亜は、動きを止めた、やまさんを見つめる
そう、約70倍の速度差
やまさんの1秒は、虎亜にとっての70秒、約1分ちょっとである
「なにが、起こっているか、それすらも感じられぬ顔だな、やまさん
まずは、その四肢を、もぎっとてやる
これは、リベンジでも報復でもない
神である俺様の身体を傷つけた罰、大罪である」
ゆっくり歩き、やまさんに近づく虎亜
その耳に、小さな音が届く
パチッ ジジジ パチパチ パチ・・・・ジジジ・・・
「ん?・・・なんだ?」
そくざに、周りを見渡す
それは、結界内の数箇所で起きていた
次元干渉によるノイズと、時間軸に干渉による亀裂であった
「くそ、巨大すぎる神魔法の為か
その維持にも莫大な魔力を持っていかれるという事か・・・ん?」
そう、それは魔法発動と、その維持の為、すでに魔力量が底をつき
この魔法【ザ・ワールド】の結界が、解けかけていたと、考えたが
虎亜の体感できる魔力量は、未だに溢れるほど、存在していた
そう、この神魔法とも言える魔法の維持をしているのにも関わらず
虎亜の魔力量は、減ることを知らずにいた、そればかりか
溢れんばかりであった
そんな自分に、神となった俺様は疲れ知らずかと心で笑うが、1つの不安がよぎる
それは自分で組んだ魔法式に、何かの不具合が有ったのかと
自分で組んだ物ではない、脳がその高速演算処理能力で作り上げた魔法式
その、複雑な魔法式に虎亜自身が、理解できずにいたが
原因は、すぐに理解した、左腕に装備していた、魔法デバイス
この魔法の元であった、3つの魔法式の1つが搭載されていた、デバイスである
この魔法の為だけに用意したものであるが、これが熱を帯びていた
キャパオーバーによるオーバーフローであると
帰ったら、特注で新しく作らすかと・・・・
俺様の脳が、魔法式を間違えるわけがない
そんな自信に、自分を疑うことすら、思い及ばない虎亜
「・・・・まぁいい、あと十秒も、持てばいい
それで全てがおわり、新しい神となった俺様の世界が始まる」
そして、全ての動きの止まったとも感じる、小さな結界世界
やまさんに恨みを晴らすべく、その右手を振りかざす
そして、信じれない光景を見る
そう、それは・・・
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
Bグループの少年
櫻井春輝
青春
クラスや校内で目立つグループをA(目立つ)のグループとして、目立たないグループはC(目立たない)とすれば、その中間のグループはB(普通)となる。そんなカテゴリー分けをした少年はAグループの悪友たちにふりまわされた穏やかとは言いにくい中学校生活と違い、高校生活は穏やかに過ごしたいと考え、高校ではB(普通)グループに入り、その中でも特に目立たないよう存在感を薄く生活し、平穏な一年を過ごす。この平穏を逃すものかと誓う少年だが、ある日、特A(特に目立つ)の美少女を助けたことから変化を始める。少年は地味で平穏な生活を守っていけるのか……?

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件
マサタカ
青春
俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。
あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。
そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。
「久しぶりですね、兄さん」
義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。
ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。
「矯正します」
「それがなにか関係あります? 今のあなたと」
冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。
今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人?
ノベルアッププラスでも公開。
「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~
kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる