幻獣使いの英雄譚

小狐丸

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自重を知らない英雄達

自重を知らない英雄達

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 村から少し離れた広場になっている場所が、ユキトの修行の為の場所だ。ユキトの魔法の威力が増すにつれ、魔法の訓練が、村の中では出来なくなってきたので、村から離れた開けた場所で、修行するようになった。
 今そこでは、ユキトが高速で動き回りヴォルフに連続で攻撃を仕掛けている。

 ハァーーーーッ!!!

 ユキトが右に回り込むかの様なフェイントを入れて、ヴォルフの左横から、全力の掌底を叩きつける。

 「まだまだ!」

 ヴォルフは躱すと同時に、カウンターで回し蹴りを放つ。

 「…グッ!」

 辛うじてガードしたユキトを、ガードごと吹き飛ばす。

 ゴロゴロゴロゴローーー!

 吹き飛ばされたユキトが、やっとのことで立ち上がると、ヴォルフから鍛錬の終了を告げられる。。

 「よし今日は此処までだ!適当に自分で回復魔法使って治しとけ」

 ユキトは、痛みを我慢しながら回復魔法を唱える。
 イテテ、ヒール、ヒール、ヒール。

 「ユキト! 今日は槍からじゃ!」

 ユキトが一息ついた時、ノブツナが練習用の槍を携えて現れた。
 ウワァ!もう爺ちゃんが来たよ。
 ユキトは慌てて、アイテムボックスから訓練用の槍を出して構える。
 ノブツナの指摘を受けながら型稽古から鍛錬を開始する。
 型稽古を一通り終わらせると、次はノブツナとユキトとの掛かり稽古が始まる。

 「よし!ユキトかかって来い!」

 ノブツナが訓練用の槍を構える。
 ユキトは、ノブツナの威圧感に負けないように、丹田に気を練り気合い入れて槍を突き出す。

 ハァーーーーッ!ハッ!ハッ!ハァー!

 僕は爺ちゃんに向けて連続で槍を繰り出す、頃合いを見て爺ちゃんに穂先を流され、身体のバランスが崩れると、次の瞬間僕は横に吹き飛ばされていた。

 「……クッ!」
 「ユキトよ!速さや鋭さだけではダメじゃ!剣にも言える事じゃが柔と剛使い分けることが肝心じゃ!」

 その後も、爺ちゃんの変幻自在の槍捌きにボコボコにされて地面に転がった。

 「ふむ、今日はこれまで!剣の素振りと型稽古を忘れるでないぞ!」

 爺ちゃんはそう言うと帰って行った。

 ユキトは、寝転がりながら身体を回復させる。
 イタタタッ、…ヒール、ヒール、ヒール。
 ふぅー、何だか回復魔法が凄く上達する気がする。
 回復魔法はアイザックさんに教えて貰っている。

 レベル毎に覚える回復魔法は、
Lv1 ヒール
Lv2 キュア ディスパラライズ
Lv3 ハイヒール ディスペトロ
Lv4 エリアヒール
Lv5 エクストラヒール 解呪
 僕はまだ途中までしか覚えてないけど、修行で一番お世話になってるかもしれない。

 アイテムボックスのスクロールで、時空間魔法を覚えたんだけど、アイテムボックスと言うのは使用者の魔力量が多ければ収納できる空間が広くなるらしい。

 レベル毎に覚える時空間魔法は、
Lv1 アイテムボックス
Lv2 アポーツ
Lv3 転移 クイック
Lv4 ゲート スロー
Lv5 空絶 ストップ

 僕は最近やっとアポーツ(目に入る距離にある、余り大きくない物を、物質転送で手元に引き寄せる)を使える様になった。

 今日はこの後、アイザックさんと勉強だっけ、急がないと。

 アイザックさんに、回復魔法と一般常識を教わり始めて3年、僕も8歳になった。
 相変わらずこの小さな村から出た事がないから、同年代の友達が居ない。
 まぁ居ても遊ぶ時間がないけどね。

 「さて、お浚いするよ。人の住む大陸はここゴンドワナ大陸ひとつだけど、大陸の東と南には群島国家がある。このゴンドワナ大陸は広大ですが人が住むには過酷な土地も多いです。現在この大陸に国家と呼べる物は5つあります」
 「魔物の氾濫で幾つもの国が亡んだんだよね」
 「えぇ、其れも理由のひとつです」
 「他にも理由があるの?」
 「ユキトは私やノブツナ、ヴォルフ、バーバラあと2人仲間が居るけど、私達が魔物の氾濫と戦った事は知ってるね」
 「6人の英雄だね!勿論知ってるよ、よろず屋のお爺さんが言ってたよ」
 「…そうですね、英雄と呼ばれる程には活躍したと思います。それで魔物の氾濫が終息し共通の脅威が取り払われた時、残った国々は今度は人間同士で戦争を始めたのです。理由は食糧問題、魔物の滅された国の領土の取り合いから宗教問題、種族間の対立など色々ですが、私達は元からギルド所属の冒険者でした。どの国にも所属していた訳ではありませんでした。ですから魔物の氾濫が治った後、自国の戦力にしようと色々な国からの取り込みがありました。貴族に叙爵してやるなんて誘いも有りましたが、私達は戦争に加担するつもりはありませんでしたから、全て断っていました。そうすると、自国の戦力にならないなら他国に盗られるよりはと、刺客を送って来る国も有りましたね」

 まあ返討ちにしましたけどね。
 アイザックさんには、苦い思い出なんだろう。

 「人びとを救いたくて魔物と戦った私達が、その助けた人相手に戦争するはずないじゃないですか!祖国が侵略されそうになって、その防衛の為の戦いならばまだ話は分かるのですが、当時はどの国も他国を侵略する事しか、考えてないような状態でしたからね。不幸中の幸いと言いますか、其々の国が牽制しあい全面戦争までには至らず、散発的な小競り合いが殆どでしたけれど、其れでも少なくない国が亡びました。その状況に嫌気がさした私達は、世間から姿を消したのです。その結果が、今の辺境の地での隠居暮らしです」
 「どうして同じ人同士で仲良く出来ないのかな?」
 「そうですね、人は他人より少しでも上で居たい。下の者を見て安心したい。少しでも他者より優位で居たい気持ち。それは、国単位でも同じなのでしょう」

 「さて、話が逸れましたね。現在この大陸には北にイオニア王国、東にパルミナ王国、中央にケディミナス教国、西にブランデン帝国の5つの国家と幾つかの都市が集まったロンバルド都市同盟が南に有ります」

 通貨は各国共通で

1G          鉄貨 1枚
100G        銅貨 1枚
1000G       銀貨 1枚
10000G      金貨 1枚
1000000G    大金貨 1枚
100000000G  白金貨 1枚
1000000000G 黒金貨 1枚

 僕はたまに、お使いで村のよろず屋さんに行くくらいだから、まだ金貨も見た事がない。

 「その辺にしときな、晩ご飯だよ」
 「分かったよバーバラ婆ちゃん」

 ドンドンドン!!

 皆んなで晩ご飯を食べる為に、テーブルに着いていたら誰かが来たらしい。お客さんなんて珍しいな。

 「誰じゃ、こんな時間に!」

 爺ちゃんがドアを開けると、立派な髭を蓄えた背の高さは 160cm位だけど、やたらとガッシリしてて腕なんか僕の胴回り位有りそうなムキムキのドワーフが酒樽を抱えて立っていた。

 「ノブツナ、久しぶりじゃのう!」
 「ドノバン! 何でお主が此処におるんじゃ!」

 ドノバンと呼ばれたドワーフの人が、部屋に入って来てドンッと酒樽を置いた。

 「オゥ!バーバラとヴォルフにアイザックまでいるではないか、ノブツナも水臭いの~」
 「それで何しに来たんだ。ただ酒を飲みに来た訳じゃなかろう」
 「決まっておろう、この子がユキトか……サツキによう似ておる、お主らが育てておるのじゃな」
 「ダメだぞドノバン!俺の教える時間が減るじゃねぇか!」
 「ヴォルフは黙ってろ!ユキトの装備は儂が作ると言うとるんじゃ!」
 「なんだ、バカ野郎それを先に言いやがれ」
 「ただ、向こう鎚は取ってもらうけどな」
 「テメェ!」「ヴォルフうるさいよ!」

 バーバラ婆ちゃんのカミナリが落ちた。

 「なに、ノブツナの孫なら大小の刀と槍を打たねばならんからの、折り返し鍛錬の時に大量の魔力を込める必要があってな」
 「ドノバン、まさかオリハルコン合金の製作方法を見つけたのか!」
 「其れなら籠手も作りやがれ!」
 「あぁユキトの装備は儂が一式揃えてやる。ノブツナ、黒龍の素材持っとるだろ、儂も色々持って来たからな最高の装備を揃えるぞ」

 なんか凄い事になってきたな、でも僕は未だ子供だからサイズはどうするのかな。不思議に思って聞いてみたら流石に刀や槍などは、僕が使える様になるしかないらしいけど、防具はサイズ自動調整のエンチャントを掛けるから大丈夫らしい。
 その後は爺ちゃん達は、ドノバンさんが持って来たお酒を飲んで騒いでいた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ユキト 8歳 男 人間
1.侍Lv12  2. 魔導士Lv14  3.モンクLv12  4.盗賊Lv6

レベル:1
称号 :英雄の孫
HP :100/100
MP :22000/22000
筋力 :38
耐久 :44
敏捷 :64
知力 :52
魔力 :420


スキル 
武の極み 魔の極み
体力回復強化 魔力回復強化 身体強化Lv4
隠密Lv3 気配察知Lv4 心眼 直感
気功術Lv5 回避Lv4 格闘術Lv6 弓術Lv5
投擲術Lv4 剣術Lv7 槍術Lv6 棒術Lv5
短剣術Lv3 罠解除Lv3 魔闘術Lv3
魔力感知Lv6 魔力操作Lv6 生活魔法
火魔法Lv5 水魔法Lv4 風魔法Lv4 土魔法Lv5
雷魔法Lv4 氷魔法Lv3 回復魔法Lv4
時空間魔法Lv2 鑑定Lv3 アイテムボックス

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 戦士のレベルがMAXになったので、中級職の侍になった。魔法使いから中級職の魔導士に、格闘家と僧侶の2つの職業をレベルMAXにしてなれるモンクと残りは盗賊を選んだ。
 スキルの熟練度は魔法はLv5がMAXで、他はLv10がMAXだそうだ。

 基本属性の魔法が一定レベルに達した時に、複合属性の魔法を教えて貰った。

氷魔法
Lv1 アイスアロー
Lv2 アイスジャベリン
Lv3 アイスウォール
Lv4 アイスストーム
Lv5 ニブルヘルム

雷魔法
Lv1 サンダーアロー
Lv2 サンダージャベリン
Lv3 サンダーレイン
Lv4 サンダーストーム
Lv5 トールハンマー

 僕はアイスアローの他に、小さな弾にして撃ち出すアイスバレットと言う魔法を開発した。沢山ばら撒くと面制圧に便利だから土魔法でもストーンバレットを作ってみた。
 複合属性のLv5の魔法は威力が凄まじく、使用する魔力量も多い為、使える術者が居ないそうだ。
 後火魔法と土魔法の複合魔法(メテオ)や火魔法と風魔法の複合魔法(フレア)などがあるそうだ。


 相変わらず僕のレベルは1のままだ。
魔物と戦っていないかららしい。魔物と戦って倒すとレベル(器)が大きくなってステータスが大きくあがるらしい。
 ジョブレベルとステータスは、訓練だけでも少しは上がるみたいだ。生産系のジョブもあるから、それはそうだろう。


 次の日からドノバンさんが、爺ちゃんの家の裏庭に工房を作り始めたので、僕も空いた時間に手伝う事になった。ドノバンさんが小屋を建てている横で、僕は耐火煉瓦を土魔法を使ってひたすら作り続ける。

 ドノバンさんの工房は2カ月程で完成した。
工房が完成すると、ドノバンさんは魔力炉に火を入れ僕の装備の為の下準備に入った。

 「ユキト、先ずは硬さの違うオリハルコン合金を作るんじゃ」
 「硬さを変えるの?」
 「あぁ昔ノブツナの刀を打つ時に彼奴に教わった製法じゃ。硬さの違う4種類の合金を作るが、其処に黒龍の素材を触媒にしたりするから、下準備だけでかなり時間がかかるが問題ないじゃろう」

 確かに下準備は大変だった。オリハルコン合金を作る時に折り返し鍛錬するのだが、僕とドノバンさんが大量の魔力を込めながら鍛錬するんだけど、此れが大変だった。折り返す回数を変えて硬さの違う合金を作っていく。

 「ドノバンさん、折り返す意味ってなんですか?」
 「詳しくは知らんが層状組織を作るのが目的らしい」

 ……爺ちゃんの言う通りにしてただけなんだ。

 「龍素材はどういう意味があるんですか?」
 「硬度は勿論、龍素材を触媒にするとアストラル系の魔物にもダメージを与える事が出来るんじゃ。しかもドラゴンスレイヤーの性質も持つ武器になる。属性龍を素材にするとその属性の魔法剣に成るが、ノブツナの持っとる黒龍は無属性じゃ。込める魔力の属性を変えることで属性の変わる魔法剣になる。ユキトならもう纏(てん)は、出来るじゃろう。勿論ただ魔力を込めるだけでも斬れ味が跳ね上がる」

 流石は龍素材だな凄いや。


 修行のあい間に手伝ってた事もあるけど。ナント!この下準備だけで2年もかかってしまった。
 何せ槌を振るう度に大量の魔力を込めながら鍛錬するのだから、僕の魔力量を持ってしても折り返し鍛錬を何度も何度も繰り返し鍛錬して、4種類の合金を必要な量を鍛えるのは本当に大変だった。

 お陰で僕の魔力量や、魔力操作と鍛治スキルも随分と鍛えられたと思う。
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