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激動編
崩壊
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ケディミナス教国 聖都
魔物の大群が聖都の防壁まで、あと少しの距離まで迫り、聖騎士団が決死の覚悟で迎撃の体制を敷く。
先ず魔法騎士団から攻撃魔法が降り注ぎ、爆風で魔物が吹き飛ぶ。しかし魔物の大群は、魔法攻撃で空いた穴を直ぐに埋めつくす。魔法騎士団が魔力を振り絞り魔法を放ち続ける。
聖都周辺には結界が施され、弱い魔物であれば本来近づいてこない。しかし何かに誘導されるかのように、魔物の大群は聖都を目指す。
魔物の領域から、聖都にたどり着いた魔物の数は、当初の半分ほどに減っていたが、それでも絶望を感じる程の大群には違いない。
やがて魔物の大群と聖騎士団が正面からぶつかる。
イオニア王国
ケディミナス教国に接するイオニア王国の辺境都市では、魔物の領域からの氾濫の余波で流れてくる魔物の討伐に、騎士団や冒険者が駆り出されていた。ケディミナス教国程ではないが、イオニア王国へ流れて来た魔物の数も、大群と呼ぶに相応しい規模だった。
「はあ!やっ!」
甲高い少女の声が響き、その度に魔物が葬られていく。白銀の胸当てを装備した少女の後ろには、ローブに杖を装備した少女が、魔法を続けて放ち続ける。
「ファイヤーアロー!ファイヤーアロー!ファイヤーアロー!」
前で戦う少女を援護するように魔法を使い、味方がいない魔物が固まっている場所を見つけては、範囲魔法を放つ。
「ファイヤーストーム!」
周りの騎士やベテランの冒険者達と比べても遜色ない、いや、むしろ抜きん出て活躍している少女達は、ついこの前までユキトと同じ学校の生徒だったマリアとヒルダだ。
彼女達は祖国を護るため、必死になって戦っていた。
「はっ!本当にキリが無いわね!やぁ!」
マリアが魔物を斬りつけながら、ヒルダに愚痴る。ユキトに鍛えられ、パワーレベリングによって上がった身体能力で、危なげなく魔物を倒していく。
「ファイヤーアロー!本当ね、ユキトにマジックポーションを餞別で貰っておいて良かったわ」
ヒルダもファイヤーアローを一度に複数本放ちながら、レベルアップにより上がった魔力量で魔法を放ち続け、魔物を寄せ付けない。
「でもこのままじゃジリ貧ね」
マリアの言う通り、このままでは魔物の群に呑み込まれかねない。
「えっ!なにあれ!」
後ろで魔法を放っていたヒルダが驚愕のあまり素っ頓狂な声を上げた。
「ヒルダ!どうしたのよ!……えっ!」
マリアもヒルダの視線の先を見て言葉を詰まらせる。
マリアとヒルダが見た先に、巨大な流線型の船のような物が飛んで来るのが見えた。
飛来した空飛ぶ船から法撃が発射され、魔物の群れが爆散する。
やがて空中に巨大な魔法陣が現れると、そこから赤い巨体が現れる。
「あっ!」
思わずマリアが声をあげる。マリアとヒルダは、あの赤い巨体の主を知っていた。
ユキトは飛行船から魔導モニターごしに魔物の氾濫を見ていた。
「さて、イオニア王国にはそれほど流れて来てないみたいだな。早く終わらせてケディミナス教国側を手伝わないと」
ユキトは、ケディミナス教国方面から魔物の氾濫の兆候を掴むと、すぐに準備をして飛びたった。同時に、都市同盟の輸送用飛行船に精鋭を引き連れ、ヴォルフとノブツナが住民の救出に出動している。一応、内政干渉になるからと、フィリッポスから聖都から離れた街や村を中心に救助活動をするように釘を刺されていた。
巨大な魔法陣から巨体の赤い龍が現れ、続けて魔法陣が輝き、巨猿が出現すると赤い龍と共に魔物を駆逐し始める。
飛行船からグリフィンが飛び立ち、魔物を蹂躙し始める。そのグリフィンの背から飛び降りた人影があった。
「あっ!ユキトがルドラから飛び降りたわ!」
マリアがユキトを見つけて嬉しげに叫ぶ。
「これでここは大丈夫ね。でもどうして私達がここに居るのが分かったのかしら」
「どうでもいいでしょう!これでみんなが助かるんだから!」
休むことなく魔物を葬りながら、マリアがヒルダに叫ぶ!
戦場では、ヴァイスとエリンも現れ魔物をハイペースで倒していく。
ユキトは片手で刀を振るい、片手で魔法を放ち、魔物を蹂躙していく。ルドラも爪と魔法を駆使して魔物を倒し、その背に乗ったサティスが空から弓を射る。
ザシュ! バサッ! ズバッ!
流れる様に魔物を葬るユキトに、ジーブルが近づいてきた。
『ユキト様、そろそろ次へ向かいましょう。後はこの国の騎士団に任せても問題ないでしょう』
ユキトが戦場を確認する。
「うん、もうたいした魔物の気配は無いし、数もこれだけ減れば、マリアとヒルダだけでもなんとかなるか」
ユキトはそう言うと、ルドラを呼びその背に飛び乗る。アグニ、ジーブル、ヴァイスを送還して、ユキトはルドラとエリンと飛行船に戻っていった。
「あっ!あれっ?!ユキト帰っちゃたよ」
「……まぁ、ユキトらしいじゃない。助けるだけ助けて、声も掛けずに帰るなんて。それに、多分だけど、ケディミナス教国を助けに向かったんじゃないかしら」
魔物を制圧し、騎士団や冒険者が魔物の死体処理や、怪我人の救助や死人の運び出しをし始める中、マリアとヒルダは、ユキトが飛び去った方向を見てやっと危難が去った事に安堵した。
魔物の大群が聖都の防壁まで、あと少しの距離まで迫り、聖騎士団が決死の覚悟で迎撃の体制を敷く。
先ず魔法騎士団から攻撃魔法が降り注ぎ、爆風で魔物が吹き飛ぶ。しかし魔物の大群は、魔法攻撃で空いた穴を直ぐに埋めつくす。魔法騎士団が魔力を振り絞り魔法を放ち続ける。
聖都周辺には結界が施され、弱い魔物であれば本来近づいてこない。しかし何かに誘導されるかのように、魔物の大群は聖都を目指す。
魔物の領域から、聖都にたどり着いた魔物の数は、当初の半分ほどに減っていたが、それでも絶望を感じる程の大群には違いない。
やがて魔物の大群と聖騎士団が正面からぶつかる。
イオニア王国
ケディミナス教国に接するイオニア王国の辺境都市では、魔物の領域からの氾濫の余波で流れてくる魔物の討伐に、騎士団や冒険者が駆り出されていた。ケディミナス教国程ではないが、イオニア王国へ流れて来た魔物の数も、大群と呼ぶに相応しい規模だった。
「はあ!やっ!」
甲高い少女の声が響き、その度に魔物が葬られていく。白銀の胸当てを装備した少女の後ろには、ローブに杖を装備した少女が、魔法を続けて放ち続ける。
「ファイヤーアロー!ファイヤーアロー!ファイヤーアロー!」
前で戦う少女を援護するように魔法を使い、味方がいない魔物が固まっている場所を見つけては、範囲魔法を放つ。
「ファイヤーストーム!」
周りの騎士やベテランの冒険者達と比べても遜色ない、いや、むしろ抜きん出て活躍している少女達は、ついこの前までユキトと同じ学校の生徒だったマリアとヒルダだ。
彼女達は祖国を護るため、必死になって戦っていた。
「はっ!本当にキリが無いわね!やぁ!」
マリアが魔物を斬りつけながら、ヒルダに愚痴る。ユキトに鍛えられ、パワーレベリングによって上がった身体能力で、危なげなく魔物を倒していく。
「ファイヤーアロー!本当ね、ユキトにマジックポーションを餞別で貰っておいて良かったわ」
ヒルダもファイヤーアローを一度に複数本放ちながら、レベルアップにより上がった魔力量で魔法を放ち続け、魔物を寄せ付けない。
「でもこのままじゃジリ貧ね」
マリアの言う通り、このままでは魔物の群に呑み込まれかねない。
「えっ!なにあれ!」
後ろで魔法を放っていたヒルダが驚愕のあまり素っ頓狂な声を上げた。
「ヒルダ!どうしたのよ!……えっ!」
マリアもヒルダの視線の先を見て言葉を詰まらせる。
マリアとヒルダが見た先に、巨大な流線型の船のような物が飛んで来るのが見えた。
飛来した空飛ぶ船から法撃が発射され、魔物の群れが爆散する。
やがて空中に巨大な魔法陣が現れると、そこから赤い巨体が現れる。
「あっ!」
思わずマリアが声をあげる。マリアとヒルダは、あの赤い巨体の主を知っていた。
ユキトは飛行船から魔導モニターごしに魔物の氾濫を見ていた。
「さて、イオニア王国にはそれほど流れて来てないみたいだな。早く終わらせてケディミナス教国側を手伝わないと」
ユキトは、ケディミナス教国方面から魔物の氾濫の兆候を掴むと、すぐに準備をして飛びたった。同時に、都市同盟の輸送用飛行船に精鋭を引き連れ、ヴォルフとノブツナが住民の救出に出動している。一応、内政干渉になるからと、フィリッポスから聖都から離れた街や村を中心に救助活動をするように釘を刺されていた。
巨大な魔法陣から巨体の赤い龍が現れ、続けて魔法陣が輝き、巨猿が出現すると赤い龍と共に魔物を駆逐し始める。
飛行船からグリフィンが飛び立ち、魔物を蹂躙し始める。そのグリフィンの背から飛び降りた人影があった。
「あっ!ユキトがルドラから飛び降りたわ!」
マリアがユキトを見つけて嬉しげに叫ぶ。
「これでここは大丈夫ね。でもどうして私達がここに居るのが分かったのかしら」
「どうでもいいでしょう!これでみんなが助かるんだから!」
休むことなく魔物を葬りながら、マリアがヒルダに叫ぶ!
戦場では、ヴァイスとエリンも現れ魔物をハイペースで倒していく。
ユキトは片手で刀を振るい、片手で魔法を放ち、魔物を蹂躙していく。ルドラも爪と魔法を駆使して魔物を倒し、その背に乗ったサティスが空から弓を射る。
ザシュ! バサッ! ズバッ!
流れる様に魔物を葬るユキトに、ジーブルが近づいてきた。
『ユキト様、そろそろ次へ向かいましょう。後はこの国の騎士団に任せても問題ないでしょう』
ユキトが戦場を確認する。
「うん、もうたいした魔物の気配は無いし、数もこれだけ減れば、マリアとヒルダだけでもなんとかなるか」
ユキトはそう言うと、ルドラを呼びその背に飛び乗る。アグニ、ジーブル、ヴァイスを送還して、ユキトはルドラとエリンと飛行船に戻っていった。
「あっ!あれっ?!ユキト帰っちゃたよ」
「……まぁ、ユキトらしいじゃない。助けるだけ助けて、声も掛けずに帰るなんて。それに、多分だけど、ケディミナス教国を助けに向かったんじゃないかしら」
魔物を制圧し、騎士団や冒険者が魔物の死体処理や、怪我人の救助や死人の運び出しをし始める中、マリアとヒルダは、ユキトが飛び去った方向を見てやっと危難が去った事に安堵した。
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