異世界立志伝

小狐丸

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警護ゴーレム製作

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 エピル達は屋敷内の警備兼、メイドとして暮らす事になった。それは魔物の領域で集落を築き、人目を避けて暮らしてきた彼女達には、いきなり街での生活は難しいと判断したからだ。
 もう一つ理由を上げるなら、彼女達が全員種族特性も含めて、危機察知能力に長けていた事も大きいと思う。

 ラミアの子供達は別にして、人化の魔法を使える大人達には、俺とスーラから魔力補助のアクセサリーを渡してあるので、普段の生活では人化して貰う事にしてある。

 エピル達は、俺の三人の子供達を警護する事を喜んで引き受けてくれた。
 メイドの仕事はアンナさんが、警護の仕事はイリアが仕込むそうだ。

 ただ、他のメイドと決定的に違う所がある。

 それは彼女達の服装が、まるでチャイナドレスのようだった。
 アラクネのエピルとラミア達は、人化を解いた場合に、服が邪魔にならない様にと、膝丈の深いスリットが入ったチャイナドレスの様な服装になったらしい。ハーピー達は、ノースリーブのミニのチャイナドレスに、膝上のスパッツを履いている。
 アラクネとラミアに関しては下着も着けられないそうで、さすがにノーパンで屋敷の外に出せないと、屋敷の中の仕事が主になってしまった。

 そりゃあんな美女達が、服の下がノーパンだと思ったらたまんないよな。

 彼女達には屋敷の警護を担当させる都合上、何度か深淵の森へ俺が連れて行き、スキルとレベル上げを行なった。
 お陰で屋敷の警護に関してはかなり向上した。




 そこでスーラも騎士型ゴーレムの製作に入ったので、俺も考えていた子供達を守護する為のゴーレムを製作する事にする。

 先ずは護りに特化したタイプ。

 考えていた通りガ◯ラの様なスタイルで、サイズは二本足で立ち上がった場合の全長が150センチメートル程、1メートルの尻尾、甲羅のサイズは長辺が120センチメートル。
 甲羅自体の強度は勿論、魔法障壁、結界に特化させて子供達を守護する。また、結界や障壁を使った攻撃も行える様にしてある。
 口から無属性の魔法を放てる様にして、攻撃手段も一応持たせる。
 ただガ◯ラみたいに飛べないけどね。

 名前は【玄武】とした。



 次は敵を排除するアサシンタイプのゴーレム。

 体長1メートル50センチメートル、尾長1メートル、体高60センチメートルの雪豹(ユキヒョウ)をモデルにしたスピードタイプ。
 爪や牙による攻撃は勿論、爪に魔法を纏わせたり、氷の弾丸を撃ち出す法撃を装備した。
 また、動作時の音を極限まで抑え、その隠密性とスピードで敵を葬り去る。
 暗器代わりに尻尾の先から針を射出出来る様にしてある。それに加え、簡易のマナシールドを展開出来る様にしてある。

 名前は【白椿シロツバキ】にした。
 本当は玄武ときたら白虎なのかもしれないけど、豹だし、虎型はルフトがいるから諦めた。



 最後に取り掛かったのは、遊撃タイプの鷲型ゴーレム。

 オオギワシをモデルにした、全長1メートル、翼開長2メートルの大型の猛禽類タイプゴーレム。
 15センチメートル程の爪と、鋭い嘴。
 飛行と攻撃する為に風魔法を使用する。
 狭い部屋で自由に飛行出来る様に、無属性魔法と風魔法を組み合わせ滞空出来る為に、子供達の部屋での警護や、戦闘になっても大丈夫だろう。
 守護と攻撃の両方を担うので、マナシールドと簡易結界も装備してある。

 名前は【王扇オウセン】にした。


 三体のゴーレムには各種センサーを搭載して、索敵能力の向上に努めた。



「おお~~!出来たでありますか!」

 俺が三体のゴーレムを最終調整していると、ガシャガシャという音と共に、スーラが俺の工房へ入って来た。
 声のした方を振り向くと、四体の騎士型ゴーレムを引き連れたスーラが居た。

「スーラの方も完成したみたいだな」

「スーラは人型だったので、まだ楽だったでありますが、カイト様の造るゴーレムは芸術でありますな」

「いや、スーラのゴーレムも良く出来ているじゃないか」

 スーラの連れて来た騎士型ゴーレムは、分厚いフルプレートを纏い、大盾と槍を装備した重騎士型ゴーレム二体と、通常のフルプレートにラウンドシールドと剣を装備した騎士型ゴーレム二体の計四体だった。

「この重騎士型ゴーレムと、剣を装備した騎士型ゴーレムを、ツーマンセルで警護に当たらせるであります」

「門番と敷地内の巡回警備かな?」

 重装タイプと汎用性に富んだ騎士タイプを、ツーマンセルで警備に当たらせるのは良いアイデアだな。

「そうであります。
 特に重装タイプは結界や障壁を含め、外敵からの攻撃を防ぐスペシャリストにしたであります。
 逆に普通の騎士タイプの方は、屋内での戦闘にも対応出来る様に、ロングソードとショートソードの二本を使い分けるであります」

「うん、良い出来だよ。
 そうだスーラ、この重装タイプのゴーレムをあと何体か造ってくれないかな。この街の門にも二体づつ配備したいんだけど」

「了解したであります。
 一度造った物ですから、そんなに時間はかからないと思うであります」

「じゃあ頼んだよ」

 スーラが騎士型ゴーレムを引き連れ去って行った。
 俺の造ったゴーレム三体と、スーラの騎士型ゴーレム、エピル達のメイド兼警護で、この屋敷の警護は取り敢えず十分だろう。

 あとは暫く相手の出方を伺うか……。


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