異世界立志伝

小狐丸

文字の大きさ
上 下
112 / 163

警護ゴーレム製作

しおりを挟む
 エピル達は屋敷内の警備兼、メイドとして暮らす事になった。それは魔物の領域で集落を築き、人目を避けて暮らしてきた彼女達には、いきなり街での生活は難しいと判断したからだ。
 もう一つ理由を上げるなら、彼女達が全員種族特性も含めて、危機察知能力に長けていた事も大きいと思う。

 ラミアの子供達は別にして、人化の魔法を使える大人達には、俺とスーラから魔力補助のアクセサリーを渡してあるので、普段の生活では人化して貰う事にしてある。

 エピル達は、俺の三人の子供達を警護する事を喜んで引き受けてくれた。
 メイドの仕事はアンナさんが、警護の仕事はイリアが仕込むそうだ。

 ただ、他のメイドと決定的に違う所がある。

 それは彼女達の服装が、まるでチャイナドレスのようだった。
 アラクネのエピルとラミア達は、人化を解いた場合に、服が邪魔にならない様にと、膝丈の深いスリットが入ったチャイナドレスの様な服装になったらしい。ハーピー達は、ノースリーブのミニのチャイナドレスに、膝上のスパッツを履いている。
 アラクネとラミアに関しては下着も着けられないそうで、さすがにノーパンで屋敷の外に出せないと、屋敷の中の仕事が主になってしまった。

 そりゃあんな美女達が、服の下がノーパンだと思ったらたまんないよな。

 彼女達には屋敷の警護を担当させる都合上、何度か深淵の森へ俺が連れて行き、スキルとレベル上げを行なった。
 お陰で屋敷の警護に関してはかなり向上した。




 そこでスーラも騎士型ゴーレムの製作に入ったので、俺も考えていた子供達を守護する為のゴーレムを製作する事にする。

 先ずは護りに特化したタイプ。

 考えていた通りガ◯ラの様なスタイルで、サイズは二本足で立ち上がった場合の全長が150センチメートル程、1メートルの尻尾、甲羅のサイズは長辺が120センチメートル。
 甲羅自体の強度は勿論、魔法障壁、結界に特化させて子供達を守護する。また、結界や障壁を使った攻撃も行える様にしてある。
 口から無属性の魔法を放てる様にして、攻撃手段も一応持たせる。
 ただガ◯ラみたいに飛べないけどね。

 名前は【玄武】とした。



 次は敵を排除するアサシンタイプのゴーレム。

 体長1メートル50センチメートル、尾長1メートル、体高60センチメートルの雪豹(ユキヒョウ)をモデルにしたスピードタイプ。
 爪や牙による攻撃は勿論、爪に魔法を纏わせたり、氷の弾丸を撃ち出す法撃を装備した。
 また、動作時の音を極限まで抑え、その隠密性とスピードで敵を葬り去る。
 暗器代わりに尻尾の先から針を射出出来る様にしてある。それに加え、簡易のマナシールドを展開出来る様にしてある。

 名前は【白椿シロツバキ】にした。
 本当は玄武ときたら白虎なのかもしれないけど、豹だし、虎型はルフトがいるから諦めた。



 最後に取り掛かったのは、遊撃タイプの鷲型ゴーレム。

 オオギワシをモデルにした、全長1メートル、翼開長2メートルの大型の猛禽類タイプゴーレム。
 15センチメートル程の爪と、鋭い嘴。
 飛行と攻撃する為に風魔法を使用する。
 狭い部屋で自由に飛行出来る様に、無属性魔法と風魔法を組み合わせ滞空出来る為に、子供達の部屋での警護や、戦闘になっても大丈夫だろう。
 守護と攻撃の両方を担うので、マナシールドと簡易結界も装備してある。

 名前は【王扇オウセン】にした。


 三体のゴーレムには各種センサーを搭載して、索敵能力の向上に努めた。



「おお~~!出来たでありますか!」

 俺が三体のゴーレムを最終調整していると、ガシャガシャという音と共に、スーラが俺の工房へ入って来た。
 声のした方を振り向くと、四体の騎士型ゴーレムを引き連れたスーラが居た。

「スーラの方も完成したみたいだな」

「スーラは人型だったので、まだ楽だったでありますが、カイト様の造るゴーレムは芸術でありますな」

「いや、スーラのゴーレムも良く出来ているじゃないか」

 スーラの連れて来た騎士型ゴーレムは、分厚いフルプレートを纏い、大盾と槍を装備した重騎士型ゴーレム二体と、通常のフルプレートにラウンドシールドと剣を装備した騎士型ゴーレム二体の計四体だった。

「この重騎士型ゴーレムと、剣を装備した騎士型ゴーレムを、ツーマンセルで警護に当たらせるであります」

「門番と敷地内の巡回警備かな?」

 重装タイプと汎用性に富んだ騎士タイプを、ツーマンセルで警備に当たらせるのは良いアイデアだな。

「そうであります。
 特に重装タイプは結界や障壁を含め、外敵からの攻撃を防ぐスペシャリストにしたであります。
 逆に普通の騎士タイプの方は、屋内での戦闘にも対応出来る様に、ロングソードとショートソードの二本を使い分けるであります」

「うん、良い出来だよ。
 そうだスーラ、この重装タイプのゴーレムをあと何体か造ってくれないかな。この街の門にも二体づつ配備したいんだけど」

「了解したであります。
 一度造った物ですから、そんなに時間はかからないと思うであります」

「じゃあ頼んだよ」

 スーラが騎士型ゴーレムを引き連れ去って行った。
 俺の造ったゴーレム三体と、スーラの騎士型ゴーレム、エピル達のメイド兼警護で、この屋敷の警護は取り敢えず十分だろう。

 あとは暫く相手の出方を伺うか……。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

処理中です...