いずれ最強の錬金術師?

小狐丸

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連載

後日談百五十七話 中型機

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 ノルン様の神託から始まった、離島の救済から、再びの神託のあと大陸規模の疫病対策、そして再び離島の地下水脈浄化と、半年以上にわたる長い期間のミッションを終えた僕。

 ただ、長い離島への聖域騎士団の派遣は、思ってもいない問題が……いや、問題って言うとダメだな。一応、祝福するべき事だもんな。

 長い期間派遣するとなると、聖域騎士団の中でも若手が優先的に選ばれるのは仕方のない事だった。その騎士団の若者と、離島の年頃の女性が恋仲になるなんて想定外だったよ。



 そこで聖域騎士団の団長であるガラハットさんから、小規模でもいいので、駐屯地を維持できないかと相談された。

 まあ、断れないよね。


 島の女性を聖域に移住されるって方法もなくはないけれど、離島で生まれ育った彼女達は、家族と遠く離れた土地には行きたくないらしい。当然の話だ。せっかくこれから暮らしやすくなる島を出たくない気持ちは理解できる。

 それに島の為にも、外から新しい血が入るのはいい事だ。この世界、遺伝的に血が濃すぎて悪影響があるのかは分からないけれど、多分その辺は地球と変わらないと思うからね。

 で、創世教の神官からも、同じノルン様を信仰する島の教会を継続的に支援したいとの申し出もあり、騎士団の駐屯地を維持する事が決定した。

 それで離島の駐屯地を、ガルーダ用の滑走路はそのままに、継続的に駐屯する為の施設整備を行なった。

 まあ、もう既にかなりの施設や建物が建設されていたので、それを寧ろ縮小して少人数でも管理維持しやすい規模に変更したんだ。

 今は、避難民用の簡易住宅と騎士団用の簡易住宅だから、本格的に長期滞在可能な快適な住居は必要だし、ある程度の防衛力がある拠点として整備する必要はあるだろうしね。その辺は、ガラハットさんや騎士団員と相談しながらかな。




 離島のアレコレが一段落したので、僕は少しの休暇をもらった。

 連続しての神託で、僕的にも妻達視線でも働き過ぎだったからね。

 レーヴァには悪いけれど、ゆっくりと休ませてもらったよ。勿論、子供達とおもいっきり遊んださ。




 で、小規模な駐屯を続けるにあたり、人員の行き来を転移ゲートではなく、ガルーダよりもスピードが速く、垂直離着陸が可能で、尚且つそれなりの輸送能力のある機体を新たに造る事が決まったので、それに向けて僕は動き出した。

 今日は、その中型輸送機の仕様を決める為の話し合いを行なっているんだ。話し合いって言っても、今回は僕とガラハットさんの二人でだけどね。

「サラマンダーを二台搭載はいいんですけど、サラマンダーのサイズを出し入れしようとすると、それなりに大きくなりますよ。格納庫は空間拡張でどうとでもなりますけど、搬入口であるハッチの大きさはどうにもなりませんから」
「ううむ。運用する人数が人数じゃから、機体の大きさは抑えたいな。しかし、現地での移動手段がグライドバイクだけというのもな。騎士団用のグライドバイクは、三人乗りじゃからな。哨戒任務には向くじゃろうが……」

 最初ガラハットさんから、新たに造る予定の中型輸送機には、陸戦艇サラマンダーを二台搭載可能なようにとリクエストがあった。ただ、サラマンダーはそれなりに大きいので、それを搬入するには機体のサイズがどうしても大きくなってしまう。ガルーダの大きさは、それもあってあのサイズだしね。

 それと今も現地でグライドバイクは使っているけれど、最大で三人乗りっていうのが移動手段としては弱い。

「そもそも、あの離島にサラマンダーは大きくて使い辛くないですか?」
「うむ。確かに、襲撃から拠点を守るバリケード替わりに使うにはよかったが、哨戒任務はほぼグライドバイクだったな。その襲撃も、奴らが船で逃げた事で、二度目もおそらく無さそうじゃしな。サラマンダーは大き過ぎて使いにくいか」
「ですよね。サラマンダーは悪路でも走れますけど、それでもほとんどまともな道もない離島では使いにくいと思いますよ。あの島、狭い割に湿地も多いですしね」
「う~む」

 そもそもあの離島にサラマンダーは大き過ぎて使いにくいんだ。拠点にバリケードとして置いておくならいいんだろうけど、それ以外が使い勝手が悪いと思う。

 それに大型の輸送機であるガルーダなら、ハッチも大きいから、大型の陸戦艇サラマンダーの搬入も何の問題もない。ただ、それを中型機でとなると中型の輸送機が大きくなって、中途半端になりかねない。

 要求される最低限の仕様は、飛行速度は速く、それなりの搭載量があり、垂直離着陸が可能。この三つか。

 そこで僕はガラハットさんに一つ提案する。

「ガラハットさん。今後離島でサラマンダーを並べてバリケードとして使う機会はほぼ無さそうですよね」
「うむ。逃げた奴らが戻る可能性は低いし、例え戻ったとしても、今の島民なら撃退可能じゃろうしな」

 前回、聖域騎士団の拠点に島民を避難させ、サラマンダーで囲いバリケードのようにして使用したけれど、再び襲撃されたとしても、次は簡単な撃退できると思う。

 何故なら、残った島民の多くが魔大陸のダンジョンを使ったブートキャンプを行なったからね。スキルもレベルも、あの島を支配していた奴らとは大人と子供くらいの差ができた。装備だって支給したので、二度と旧支配者達の横暴を許す事はないだろう。

「ならサラマンダーの替わりに、小型の装甲車両を新しく造ればいいんじゃないですか。それなら輸送機側のハッチも小さくできるでしょうし、結果輸送機の大きさもコンパクトにできると思うんです」

 僕はサラマンダーに代わる新しい小型の装甲車両を提案した。中型の輸送機を造る話が、小型の装甲車両を造る話になっているけれど仕方ない。

 そもそも離島に駐屯する聖域騎士団の人数も少ないんだから、サラマンダーは必要ない。もっと小型のもので十分だろう。

「……小型のサラマンダーか。いいかもしれんな」
「ですよね。小型なら、道のない場所や湿地では、なんならグライドバイクみたいに低空を滑空させる事もできます。普段は、魔力の節約で頑丈なタイヤか、無限軌道での走行にすればいいんじゃないですか」
「ふむ。ありじゃな。操縦士一人と観測士一人、あと十人も運べれば十分か」
「ですね」
「ではイルマ殿、その線でお願いできるか?」
「了解です。小型のサラマンダーと中型輸送機でいきましょう」

 だいたい陸戦艇サラマンダーは、大型の魔物が突撃してきても大丈夫なように頑丈に重く造られている。あの狭い離島では取り回しが悪いんだ。

 それに離島には湿地も多く、まともな道も少ない。道を選ばないグライドバイク形式が必要だろう。

 ハマーやハンヴィーくらいのサイズがあれば十分じゃないかな。あのくらいのサイズなら多少重くても、そんなに魔力を使わず浮かせれるだろうしね。装甲車両だから、デザイン的にはラーテルみたいな感じにしようかな。まあ、デザインは後でいいか。



 その後、ガラハットさんと中型輸送機と小型のサラマンダーを何台必要かや、装備する武装に関しての相談を少しした後解散となった。




「はぁ、またノームの鉱山通いか。仕方ないか」

 中型輸送機は、二機で離島の駐屯地と聖域を行き来するので、最低二機必要なんだけど、ガラハットさんから聖域にも四機程欲しいと言われた。まあ、当然だと思う。

 で、小型のサラマンダーも四つの各騎士団に二台ずつ欲しいとお願いされ、僕の鉱山通いが決定したという訳だ。

 さて、ほどほどに頑張りますか。おっと、その前に、子供達の顔を見ておくかな。





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 この度、「いずれ最強の錬金術師?」のアニメ化が決定しました。

 2025年1月まで、楽しみにして頂けると嬉しいです。

 それと「いずれ最強の錬金術師?」の17巻が12月中旬に発売されます。書店で手に取って頂ければ幸いです。


 あとコミック版の「いずれ最強の錬金術師?」8巻が、12月16日より順次発売予定です。



 また、コミック版の「いずれ最強の錬金術師?」1巻~7巻の増刷されます。

 12月中頃には、お近くの書店に並ぶと思いますので手に取って頂ければ幸いです。





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