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17巻
17-3
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そしてここにも、この疫病を自国の利益に繋げようと目論む者がいた。ユグル王国の国王フォルセルティだ。
ルーミア王妃から報された女神ノルンの神託だが、ここユグル王国だけは、他の国とは少々受け止め方が違った。
ユグル王国は大陸の北西端にあり、しかも国境を接する国はなく、間に未開地を挟むので、陸の孤島と言っていい。
今でこそ、未開地にできたウェッジフォートやバロルなどの城塞都市、そして聖域のお陰で、交易で行き来する人間が増えたが、もともと引きこもりのエルフの国。国全体を結界が覆い、出入国可能なルートも一つだけと、疫病への対策は比較的容易だ。
フォルセルティ王や、宰相でエルフ族の長老でもあるバルザに緊張感がないのも仕方ない。
しかも、ユグル王国には世界樹がある。
今では、聖域の精霊樹にその格を上回られた世界樹だが、希少な素材が採れるのは変わらない。世界樹や精霊樹の葉を使った、キュアイルネスポーションのレシピも、ルーミア経由で得ているので、ポーションの量産も容易い。
「バルザよ。かなりの儲けになりそうじゃな」
「はい。間違ってもトリアリアなどには売りませぬが、サマンドールやロマリアには高値で売れるでしょう」
疫病対策の話し合いなのに、フォルセルティの表情は明るい。
バルザも現在進行形で戦争状態であり、過去エルフの奴隷が欲しいという愚かな理由で攻めてきたトリアリア王国以外の二国相手に、良い儲けになるとホクホクだ。
「サマンドールはどうでもいいが、ロマリアへ売る際には、直接国内の貴族や商人には売らぬようにな」
「分かっていますぞ。ロマリア王も、この機会に邪魔な派閥の力を削ぎたいでしょうからな」
もともとユグル王国は、薬師や錬金術師の人数が多く、疫病が流行ると分かっていれば、その対策はしやすい。世界樹の葉を使わない通常のレシピでのキュアイルネスポーションも備蓄はそれなりにあるし、その素材も国内で手に入れられるので量産も簡単だ。
大陸規模で流行る疫病で儲けるなど、ルーミアやミーミルに知られると、酷く叱られるだろう案だが、ユグル王国としては少なくとも半分は善意なのだから問題ないと、二人は開き直る。
間違いなくルーミアとミーミルの機嫌を損ねる事にはなるのだが……
疫病の発生源となると言われている国――サマンドール王国は商業の国らしい状況になっていた。
「はぁ、魔大陸との交易は儲かる故、止めるわけにはいかぬよな」
「ええ、魔大陸産の魔物素材は、トリアリア王国やノムストル王国が喜んで買ってゆきますから」
大陸で一番王としての力が弱い王。バルデビュート王が、バーキラ王国と創世教からもたらされた情報を聞いて溜息を吐く。
バルデビュートが言うように、魔大陸との交易は、今のサマンドール王国にとって唯一確実に儲けになるルートなので、神託があったとしても、交易を止める選択肢はなかった。
それに、バルデビュートは疫病が流行るという神託自体を疑っていた。宰相のモントレーに意見を求める。
「しかしモントレーよ、本当に疫病など流行るのか?」
「バーキラ王国とは別に、創世教も流行り病に備えるよう言っていますから、まったく荒唐無稽な話ではないと思います。ロマリア王も動いているので確率は高いかと」
「うん? 創世教だけか? 神光教は?」
「神光教は沈黙していますな」
「うーむ」
疫病が大陸規模で流行ると神託があったと言ってきたのはバーキラ王国と創世教だった。ロマリア王国やノムストル王国にも報せは行っているという。
創世教と神光教で言う事が変わるのはいつもの事。
しかし、この事で既にバーキラ王国、ユグル王国、ロマリア王国の同盟三ヶ国は、密かに対応に動いていると聞かされ、バルデビュートもある程度真剣に考える必要があった。
「女神の神託となると聖域か。なんとか我が国と同盟を結んでほしいものだな」
「それは難しいかと」
「分かっておる。とはいえ、バーキラ王国やユグル王国と同程度に親密に付き合いたいとは思わぬか?」
「勿論、思いますとも。聖域ともっと密に交易できれば、我が国の利益は非常に大きいですからな」
バルデビュートは、今回の報せの裏に聖域があると考え、なんとも言えない気分になる。
サマンドール王国は、聖域との関係性が深くない。トリアリア王国に比べるとマシだが、それはなんの慰めにもならない。
せめて同盟三ヶ国と同程度に付き合えればと、バルデビュートが望むのも仕方ないだろう。
「モントレー、王族と貴族用にポーションを準備するように」
「あとは、販売分ですな」
「ああ、国内の薬師に指示を。それと買えるならバーキラ王国やロマリア王国からも手に入れるんだ」
「ええ、トリアリア王が高く買ってくれるでしょう」
「うむ。またとない商機だからな」
バルデビュートとモントレーにとって、疫病の流行はまさしく商機だった。自分達に命の危険がないなら疫病すら商売のタネにする。サマンドール王国らしいと言える。
願わくば、罰当たりな二人に天罰を……
かと思えば、疫病の神託という話を聞いても「ああ、そう」で終わった国もある。
山脈に隔てられ、出入国する箇所が一つしかない関係で、検疫が容易いノムストル王国だ。しかも、国民がほぼドワーフのみのノムストル王国では、疫病をさほど恐れていない。
ドワーフという種族は、とにかく頑丈なのだ。物理的なものだけでなく、病気に対してもそう言えた。
「陛下、購入するキュアイルネスポーションは、幼子と老人用でよろしいですな」
「ああ、それもそれほど多くはいらんだろう」
「分かりました。バーキラ王国とロマリア王国、あと教会に依頼しておきます」
「うむ。頼んだ」
国王と宰相にそこまで緊張感はない。
それでも一応、乳幼児や老人用にポーションを買うつもりだが、ドワーフは幼児や老人も身体が頑丈だった。
ドワーフが多く住む聖域に購入の打診をすればいいのだろうが、あいにくノムストル王国と聖域は大陸の端と端だ。
それなら近いロマリア王国から買った方がいい。
魔族並みに丈夫なドワーフに危機感はなかった。
5 ピクニック? いえ薬草採取です
今日は、エトワール達を連れてピクニック……兼、薬草採取だ。
「パパ、これであってる?」
「そう。それがヒルクク草だよ。エトワール、春香、フローラもよく見てごらん。この部分が成長点だから、そこの上から切るんだよ。成長点を傷つけないで採取すると、また生えてくるからね」
子供達と遊びを兼ねた薬草採取。僕――タクミは、ヒルクク草を根っこからひと束抜くと、採取するコツを教えていく。
薬草の種類により方法は変わるのだけど、薬草の中でもポピュラーなヒルクク草は、採取もそんなに難しくない。一点だけ、成長点よりも上から切り取るってだけだ。
「よぉーし! エトワールお姉ちゃん、フローラ、競争だよ!」
「面白そう! 負けないよ!」
「もう、競争はいいけど、丁寧に採取しないとダメだよ」
「じゃあ、よーい! ドンッ!」
「わぁー!」
「もう、春香もフローラも聞いてないんだから」
子供達が薬草の採取で競争を始めてしまった。まあ、何でも楽しんでやれるのはいい事だね。
レーヴァがヒルクク草以外の薬草を採取しながら、元気に駆け回るエトワール達を見て微笑ましそうに言う。
「エトワールちゃん達、元気でありますな」
「ああ、特にフローラは元気があり余ってるからね」
実際、エトワールや春香、フローラは凄く活発だと思う。自分の子供の頃をはっきりとは覚えていないけれど、聖域の子供達は元気だと感じる。
まあ、身体能力がナチュラルに高いフローラのような獣人系は当たり前だけど、そうじゃない人族の春香やエルフのエトワールも、地球じゃ考えられない身体能力だしな。レベルやスキルが存在する世界だからと割り切るしかない。付き合う親は大変だけどね。
「そういえば、キュアイルネスポーション用の瓶の材料はパペックさんに発注した?」
「はいであります。でき合いの瓶は使えないでありますからな」
キュアイルネスポーションを入れる瓶は、ヒールポーションやマナポーションの瓶とは大きさも形も違う。
ヒールポーションなんかは、怪我の場所にかけた後に残りを飲んだりするから、ポーション瓶は大きく量が多めだ。
毒消しやキュアイルネスポーションの入れ物なんかは、少し短めの試験管をイメージすると分かりやすいと思う。
「そっち側は少ないわよ~」
「見える範囲で採取するのよ」
「ルルが見張ってるから大丈夫ニャ」
薬草の採取という事で、今日は木の大精霊ドリュアスが付き合ってくれている。
加えて、ソフィアとマリア、マーニが家で子供の世話をしているので、アカネとルルちゃんが来ていた。
基本的に聖域の中なので、危険なんてないんだけどね。
僕とレーヴァが、ヒルクク草以外の薬草なんかを採取していると、ドリュアスが話しかけてきた。
「タクミちゃん。ヒルクク草を使ったレシピは、聖域とユグル王国でしか作れないからいいとして、それ、通常のレシピ用に採取してるんでしょう~? 聖域の素材と外の素材じゃ、品質に差が出るわよ~」
「……そんなに違うかな」
「ええ。まあでも、ポーションの品質が上がるんだから~いっか」
「ドリュアス様、素材の品質の良し悪しくらい、外の薬師や錬金術師でも判断できると思うであります。レーヴァ達が気にかける必要はないと思うでありますよ」
「そうよね。うん、気にしちゃ負けよね」
ドリュアスが言うように、ヒルクク草一つとってみても、聖域と外ではその品質に大きな差があるのは事実だ。
当然、素材の差はポーションの品質に影響する。
聖域のヒルクク草で作った低級のヒールポーションは、一般のヒールポーションとは回復量に実感できるほどの差があるんだ。
キュアイルネスポーションの素材としてバーキラ王国やロマリア王国に売ろうとしている素材も、聖域産のものは品質が高く、出来上がったポーションの品質も高くなる。
「ただ、この品質の差を分かる人間って、凄く少ないと思うわ~。タクミちゃんやレーヴァちゃんなら、僅かな差も判別するでしょうけどぉ~。一般の薬師は、多分無理ねぇ~」
「それでも、最近は違いの分かる薬師や錬金術師が増えているらしいよ」
「そうであります。おそらく聖域やユグル王国からの素材が出回っているからでありますよ」
聖域が交易品として薬草類を売るようになり、ユグル王国も他国との交易が増えた事で、高い品質の素材に触れる機会が増え、その違いを認識できる人も増えている。
聖域産の素材で作るポーションが、高い品質になるのを分かっている薬師や錬金術師は、聖域産の薬草の取り合いをしているって、パペックさんから聞いているからね。
そろそろお昼かなと思った時、うちのメイド長のメリーベルが、数人のメイドを連れてやって来た。
「お嬢様方! お食事にいたしましょう!」
「ごはん!」
「お腹すいたー!」
「フローラ、春香、ちょっと待って! 『ピュリフィケーション』! もう、慌てない!」
メリーベルがお昼ご飯を持ってきたと分かると、フローラと春香は飛び上がって喜んだ。
エトワールが、今にも走り出しそうな二人を止めて、浄化の魔法で汚れを落としている。
「ほぉ、エトワールちゃん、凄いでありますな。もう一度に全員の浄化をしているであります。流石タクミ様のお子様であります」
レーヴァがエトワールの浄化魔法を褒める。誇らしいけど、なんだか照れ臭い。
「エトワールは三人の中でも特に魔法への適性があるみたいだからね。魔力のコントロールが上手いよね」
「私達、大精霊が祝福した子達だもの~。このくらい当たり前よぉ~」
ドリュアスは自分達が祝福したんだから、このくらい当然だと思っているみたい。全ての大精霊の加護を持つなんてあり得ない事らしいからね。
ドリュアス達が過去に加護を与えた人間がいるのかすら分からないレベルで、レアみたいだし。
「まぁ、タクミちゃんみたいな、ノルン様の加護よりはレア度は下がるけどねぇ~」
「ノルン様の加護はタクミ様お一人でありますからな」
「ま、まぁ、それはいいじゃないか」
大精霊の加護が超希少なのは間違いないけれど、ノルン様の加護はもっとレアなんだ。ドリュアス曰く、本当に過去に一人もいないらしい。
「私達の加護は、この先タクミちゃんの子や孫が生まれると増える可能性があるけどぉ~、ノルン様の加護はそうじゃないものねぇ~」
「やっぱりタクミ様は凄いんでありますな!」
「ほ、ほら、僕達も行くよ」
レーヴァにキラキラした目で見られる。
流石に照れ臭いので、僕もさっさとメリーベルのところへ急ごう。
大きな敷物が広げられ、その上にメリーベルがバスケットを置き、飲み物の準備をしている。
敷物もバスケットも飲み物類も、メリーベルが持つ小型のポーチ型マジックバッグから取り出したものだ。
うちのメイド達には、全員に小型のポーチ型マジックバッグを支給している。
容量はそれほど大きくないけれど、重さを気にする事なく、なおかつ時間停止が付与されているお陰で、熱いものは熱いままに、冷たいものは冷たいままに持ち運びできる。
メイドにとってとても便利なので、うちではメイド服と一緒に標準装備にしてある。
勿論、メイド服も普通じゃない。カエデの糸で織られた布で作られたメイド服は、そのままでも十分丈夫なんだけど、それに加えて魔法をたくさん付与できるのだ。
それはさておき、僕はポールを立ててタープを張り、日陰を作る。
陽の光を遮るくらい魔法でも可能だけど、せっかくの子供達との薬草採取兼ピクニックだからね。形は大事だと思うんだ。
「うわぁー! カツサンドだぁ!」
「あっ、お野菜いっぱいのハムサンドもある!」
「わたし、この肉いっぱいのヤツがいい!」
「フローラ様、こちらはローストドラゴンのサンドイッチですよ」
メリーベルがバスケットを開けていくと、春香とエトワールが喜びの声をあげる。春香はカツサンドが大好きだからね。エトワールは、キュウリやレタス、トマトが入ったハムサンドが好物だ。そしてフローラは、肉一択。カツサンドも好きだけど、ローストして薄切りにしたお肉がパンパンに挟んであるサンドイッチを見て、テンションが高い。
多分メリーベルの説明は聞いちゃいないね。
「「「いただきます!」」」
フローラは特にだけど、春香やエトワールもよく食べる。肉が好きか、野菜が好きかの好みはあるけれど、僕の前世の子供の頃と比べても食べると思う。
かと言って、太っているかと言うと、全然そんな事はない。
フローラは、獣人族だけあって運動量が特に多いし、春香とエトワールは魔法の訓練をしているからね。
魔力を消費すると太りにくいのは、この世界の常識らしい。確かに、魔法使いに太った人は見かけない。
「お嬢様方、お飲み物はいかがいたしますか?」
「わたし、りんごジュース!」
「わたしもりんごジュース!」
「わたしはぶどうジュースがいいかな」
メリーベルがフローラ、春香、エトワールに飲み物を配り、僕にも紅茶を淹れてくれる。
「レーヴァも紅茶がいいであります」
「承知しました」
メリーベルがレーヴァにも紅茶のカップを渡していると、そこにアカネとルルちゃんも戻ってきた。
「はぁ~、お腹空いた。メリーベル、私にも紅茶をちょうだい」
「ルルはりんごジュースがいいニャ」
「直ぐ用意いたしますね」
メリーベルに飲み物を頼み、アカネとルルちゃんも、バスケットの中のサンドイッチを美味しそうに食べ始める。
「暑くもなく、寒くもなく、一番好きな季節ね。ピクニックには最高だわ」
「風が気持ちいいニャ」
「いや、薬草採取だからね」
僕が一応突っ込むと、アカネがジト目を向けてくる。
「分かってるわよ。でも私は春と秋が好きなの」
「まあ、分からないでもないけどね」
アカネは暑い夏や寒い冬は好きじゃない。前から春と秋が好きだと言っている。
僕的には、夏でも日本のジメジメした夏とは違う、カラッとした聖域の夏は好きなんだけどね。冬だって、マイナス何十度なんて厳しい寒さじゃないし。
「子供達のお守り、助かるよ」
「ほんと……あの子達、元気いっぱいよね」
「子供は元気が一番ニャ」
アカネは元気すぎる子供達に疲れ気味みたいだけど、ルルちゃんは元気いっぱいだな。若さの違い……なんて言ったらアカネが怒りそうだが。
少しお腹が落ち着くと、子供達がデザートを欲しがる。まだ食べるのかと感心してしまうけれど、いつもの事だ。
「食後のデザートは?」
「メリーベル、デザート!」
「今日は何かな?」
「今日はフルーツを色々と持ってきましたよ」
「「「やったー!」」」
メリーベルが、色々なフルーツが入った入れ物を取り出し蓋を開けると、子供達がテンション高く手を上げて喜ぶ。
聖域はドリュアスのお陰で一年を通して大抵のフルーツが手に入るし、しかも旬の期間も長い傾向にある。
今回、メリーベルが用意したのは、ももとぶどう、なしとりんごだ。
うちの子供達は、僕とアカネがいるせいで、この世界では珍しい地球由来のスイーツを普段から食べているけれど、加工しないフルーツそのままっていうのも大好きだ。聖域の果物は格別だからね。
最近ではぶどうはワイン用のものとは別に、そのまま食べて美味しい品種を育てている。
これはドリュアスや果樹園のエルフ達のお陰だ。
ももやなし、りんごもドリュアスが好き勝手に魔改造するものだから、聖域産のフルーツは貴族や豪商達の間では取り合いになるほど美味しいらしい。
「パパ、今度は皆んなで来たいね」
「本当だね。次は皆んなで来ようか」
今日のピクニックを兼ねた薬草採取が相当楽しいのか、春香がそう言った。確かに、今日はソフィアやマリア、マーニ達はお留守番だ。次回は皆んなと一緒でもいいかな。
フローラも弟や妹と遊びたいと手を挙げる。
「赤ちゃんと一緒に遊びたい!」
「もう、フローラ、遊びじゃなくて、薬草の採取でしょう」
エトワールが注意しているが、あの様子じゃ聞いていないな。
「そうだな。今度はセルト達と一緒に来ようか」
「わたし達が順番で面倒を見るの!」
「薬草の採り方を教えてあげる!」
「フローラ、流石にセルト達に薬草採取は早いわよ」
春香は弟や妹達の面倒をよく見てくれる。フローラは少し気が早いな。エトワールがまた注意したけど、確かにまだ赤ちゃんに薬草採取は早すぎる。
とはいえ、子供達が薬草採取を楽しんでくれたみたいでよかった。フローラは、競争が楽しかっただけみたいだけどね。
今度は皆んなで来られたらいいな。
ルーミア王妃から報された女神ノルンの神託だが、ここユグル王国だけは、他の国とは少々受け止め方が違った。
ユグル王国は大陸の北西端にあり、しかも国境を接する国はなく、間に未開地を挟むので、陸の孤島と言っていい。
今でこそ、未開地にできたウェッジフォートやバロルなどの城塞都市、そして聖域のお陰で、交易で行き来する人間が増えたが、もともと引きこもりのエルフの国。国全体を結界が覆い、出入国可能なルートも一つだけと、疫病への対策は比較的容易だ。
フォルセルティ王や、宰相でエルフ族の長老でもあるバルザに緊張感がないのも仕方ない。
しかも、ユグル王国には世界樹がある。
今では、聖域の精霊樹にその格を上回られた世界樹だが、希少な素材が採れるのは変わらない。世界樹や精霊樹の葉を使った、キュアイルネスポーションのレシピも、ルーミア経由で得ているので、ポーションの量産も容易い。
「バルザよ。かなりの儲けになりそうじゃな」
「はい。間違ってもトリアリアなどには売りませぬが、サマンドールやロマリアには高値で売れるでしょう」
疫病対策の話し合いなのに、フォルセルティの表情は明るい。
バルザも現在進行形で戦争状態であり、過去エルフの奴隷が欲しいという愚かな理由で攻めてきたトリアリア王国以外の二国相手に、良い儲けになるとホクホクだ。
「サマンドールはどうでもいいが、ロマリアへ売る際には、直接国内の貴族や商人には売らぬようにな」
「分かっていますぞ。ロマリア王も、この機会に邪魔な派閥の力を削ぎたいでしょうからな」
もともとユグル王国は、薬師や錬金術師の人数が多く、疫病が流行ると分かっていれば、その対策はしやすい。世界樹の葉を使わない通常のレシピでのキュアイルネスポーションも備蓄はそれなりにあるし、その素材も国内で手に入れられるので量産も簡単だ。
大陸規模で流行る疫病で儲けるなど、ルーミアやミーミルに知られると、酷く叱られるだろう案だが、ユグル王国としては少なくとも半分は善意なのだから問題ないと、二人は開き直る。
間違いなくルーミアとミーミルの機嫌を損ねる事にはなるのだが……
疫病の発生源となると言われている国――サマンドール王国は商業の国らしい状況になっていた。
「はぁ、魔大陸との交易は儲かる故、止めるわけにはいかぬよな」
「ええ、魔大陸産の魔物素材は、トリアリア王国やノムストル王国が喜んで買ってゆきますから」
大陸で一番王としての力が弱い王。バルデビュート王が、バーキラ王国と創世教からもたらされた情報を聞いて溜息を吐く。
バルデビュートが言うように、魔大陸との交易は、今のサマンドール王国にとって唯一確実に儲けになるルートなので、神託があったとしても、交易を止める選択肢はなかった。
それに、バルデビュートは疫病が流行るという神託自体を疑っていた。宰相のモントレーに意見を求める。
「しかしモントレーよ、本当に疫病など流行るのか?」
「バーキラ王国とは別に、創世教も流行り病に備えるよう言っていますから、まったく荒唐無稽な話ではないと思います。ロマリア王も動いているので確率は高いかと」
「うん? 創世教だけか? 神光教は?」
「神光教は沈黙していますな」
「うーむ」
疫病が大陸規模で流行ると神託があったと言ってきたのはバーキラ王国と創世教だった。ロマリア王国やノムストル王国にも報せは行っているという。
創世教と神光教で言う事が変わるのはいつもの事。
しかし、この事で既にバーキラ王国、ユグル王国、ロマリア王国の同盟三ヶ国は、密かに対応に動いていると聞かされ、バルデビュートもある程度真剣に考える必要があった。
「女神の神託となると聖域か。なんとか我が国と同盟を結んでほしいものだな」
「それは難しいかと」
「分かっておる。とはいえ、バーキラ王国やユグル王国と同程度に親密に付き合いたいとは思わぬか?」
「勿論、思いますとも。聖域ともっと密に交易できれば、我が国の利益は非常に大きいですからな」
バルデビュートは、今回の報せの裏に聖域があると考え、なんとも言えない気分になる。
サマンドール王国は、聖域との関係性が深くない。トリアリア王国に比べるとマシだが、それはなんの慰めにもならない。
せめて同盟三ヶ国と同程度に付き合えればと、バルデビュートが望むのも仕方ないだろう。
「モントレー、王族と貴族用にポーションを準備するように」
「あとは、販売分ですな」
「ああ、国内の薬師に指示を。それと買えるならバーキラ王国やロマリア王国からも手に入れるんだ」
「ええ、トリアリア王が高く買ってくれるでしょう」
「うむ。またとない商機だからな」
バルデビュートとモントレーにとって、疫病の流行はまさしく商機だった。自分達に命の危険がないなら疫病すら商売のタネにする。サマンドール王国らしいと言える。
願わくば、罰当たりな二人に天罰を……
かと思えば、疫病の神託という話を聞いても「ああ、そう」で終わった国もある。
山脈に隔てられ、出入国する箇所が一つしかない関係で、検疫が容易いノムストル王国だ。しかも、国民がほぼドワーフのみのノムストル王国では、疫病をさほど恐れていない。
ドワーフという種族は、とにかく頑丈なのだ。物理的なものだけでなく、病気に対してもそう言えた。
「陛下、購入するキュアイルネスポーションは、幼子と老人用でよろしいですな」
「ああ、それもそれほど多くはいらんだろう」
「分かりました。バーキラ王国とロマリア王国、あと教会に依頼しておきます」
「うむ。頼んだ」
国王と宰相にそこまで緊張感はない。
それでも一応、乳幼児や老人用にポーションを買うつもりだが、ドワーフは幼児や老人も身体が頑丈だった。
ドワーフが多く住む聖域に購入の打診をすればいいのだろうが、あいにくノムストル王国と聖域は大陸の端と端だ。
それなら近いロマリア王国から買った方がいい。
魔族並みに丈夫なドワーフに危機感はなかった。
5 ピクニック? いえ薬草採取です
今日は、エトワール達を連れてピクニック……兼、薬草採取だ。
「パパ、これであってる?」
「そう。それがヒルクク草だよ。エトワール、春香、フローラもよく見てごらん。この部分が成長点だから、そこの上から切るんだよ。成長点を傷つけないで採取すると、また生えてくるからね」
子供達と遊びを兼ねた薬草採取。僕――タクミは、ヒルクク草を根っこからひと束抜くと、採取するコツを教えていく。
薬草の種類により方法は変わるのだけど、薬草の中でもポピュラーなヒルクク草は、採取もそんなに難しくない。一点だけ、成長点よりも上から切り取るってだけだ。
「よぉーし! エトワールお姉ちゃん、フローラ、競争だよ!」
「面白そう! 負けないよ!」
「もう、競争はいいけど、丁寧に採取しないとダメだよ」
「じゃあ、よーい! ドンッ!」
「わぁー!」
「もう、春香もフローラも聞いてないんだから」
子供達が薬草の採取で競争を始めてしまった。まあ、何でも楽しんでやれるのはいい事だね。
レーヴァがヒルクク草以外の薬草を採取しながら、元気に駆け回るエトワール達を見て微笑ましそうに言う。
「エトワールちゃん達、元気でありますな」
「ああ、特にフローラは元気があり余ってるからね」
実際、エトワールや春香、フローラは凄く活発だと思う。自分の子供の頃をはっきりとは覚えていないけれど、聖域の子供達は元気だと感じる。
まあ、身体能力がナチュラルに高いフローラのような獣人系は当たり前だけど、そうじゃない人族の春香やエルフのエトワールも、地球じゃ考えられない身体能力だしな。レベルやスキルが存在する世界だからと割り切るしかない。付き合う親は大変だけどね。
「そういえば、キュアイルネスポーション用の瓶の材料はパペックさんに発注した?」
「はいであります。でき合いの瓶は使えないでありますからな」
キュアイルネスポーションを入れる瓶は、ヒールポーションやマナポーションの瓶とは大きさも形も違う。
ヒールポーションなんかは、怪我の場所にかけた後に残りを飲んだりするから、ポーション瓶は大きく量が多めだ。
毒消しやキュアイルネスポーションの入れ物なんかは、少し短めの試験管をイメージすると分かりやすいと思う。
「そっち側は少ないわよ~」
「見える範囲で採取するのよ」
「ルルが見張ってるから大丈夫ニャ」
薬草の採取という事で、今日は木の大精霊ドリュアスが付き合ってくれている。
加えて、ソフィアとマリア、マーニが家で子供の世話をしているので、アカネとルルちゃんが来ていた。
基本的に聖域の中なので、危険なんてないんだけどね。
僕とレーヴァが、ヒルクク草以外の薬草なんかを採取していると、ドリュアスが話しかけてきた。
「タクミちゃん。ヒルクク草を使ったレシピは、聖域とユグル王国でしか作れないからいいとして、それ、通常のレシピ用に採取してるんでしょう~? 聖域の素材と外の素材じゃ、品質に差が出るわよ~」
「……そんなに違うかな」
「ええ。まあでも、ポーションの品質が上がるんだから~いっか」
「ドリュアス様、素材の品質の良し悪しくらい、外の薬師や錬金術師でも判断できると思うであります。レーヴァ達が気にかける必要はないと思うでありますよ」
「そうよね。うん、気にしちゃ負けよね」
ドリュアスが言うように、ヒルクク草一つとってみても、聖域と外ではその品質に大きな差があるのは事実だ。
当然、素材の差はポーションの品質に影響する。
聖域のヒルクク草で作った低級のヒールポーションは、一般のヒールポーションとは回復量に実感できるほどの差があるんだ。
キュアイルネスポーションの素材としてバーキラ王国やロマリア王国に売ろうとしている素材も、聖域産のものは品質が高く、出来上がったポーションの品質も高くなる。
「ただ、この品質の差を分かる人間って、凄く少ないと思うわ~。タクミちゃんやレーヴァちゃんなら、僅かな差も判別するでしょうけどぉ~。一般の薬師は、多分無理ねぇ~」
「それでも、最近は違いの分かる薬師や錬金術師が増えているらしいよ」
「そうであります。おそらく聖域やユグル王国からの素材が出回っているからでありますよ」
聖域が交易品として薬草類を売るようになり、ユグル王国も他国との交易が増えた事で、高い品質の素材に触れる機会が増え、その違いを認識できる人も増えている。
聖域産の素材で作るポーションが、高い品質になるのを分かっている薬師や錬金術師は、聖域産の薬草の取り合いをしているって、パペックさんから聞いているからね。
そろそろお昼かなと思った時、うちのメイド長のメリーベルが、数人のメイドを連れてやって来た。
「お嬢様方! お食事にいたしましょう!」
「ごはん!」
「お腹すいたー!」
「フローラ、春香、ちょっと待って! 『ピュリフィケーション』! もう、慌てない!」
メリーベルがお昼ご飯を持ってきたと分かると、フローラと春香は飛び上がって喜んだ。
エトワールが、今にも走り出しそうな二人を止めて、浄化の魔法で汚れを落としている。
「ほぉ、エトワールちゃん、凄いでありますな。もう一度に全員の浄化をしているであります。流石タクミ様のお子様であります」
レーヴァがエトワールの浄化魔法を褒める。誇らしいけど、なんだか照れ臭い。
「エトワールは三人の中でも特に魔法への適性があるみたいだからね。魔力のコントロールが上手いよね」
「私達、大精霊が祝福した子達だもの~。このくらい当たり前よぉ~」
ドリュアスは自分達が祝福したんだから、このくらい当然だと思っているみたい。全ての大精霊の加護を持つなんてあり得ない事らしいからね。
ドリュアス達が過去に加護を与えた人間がいるのかすら分からないレベルで、レアみたいだし。
「まぁ、タクミちゃんみたいな、ノルン様の加護よりはレア度は下がるけどねぇ~」
「ノルン様の加護はタクミ様お一人でありますからな」
「ま、まぁ、それはいいじゃないか」
大精霊の加護が超希少なのは間違いないけれど、ノルン様の加護はもっとレアなんだ。ドリュアス曰く、本当に過去に一人もいないらしい。
「私達の加護は、この先タクミちゃんの子や孫が生まれると増える可能性があるけどぉ~、ノルン様の加護はそうじゃないものねぇ~」
「やっぱりタクミ様は凄いんでありますな!」
「ほ、ほら、僕達も行くよ」
レーヴァにキラキラした目で見られる。
流石に照れ臭いので、僕もさっさとメリーベルのところへ急ごう。
大きな敷物が広げられ、その上にメリーベルがバスケットを置き、飲み物の準備をしている。
敷物もバスケットも飲み物類も、メリーベルが持つ小型のポーチ型マジックバッグから取り出したものだ。
うちのメイド達には、全員に小型のポーチ型マジックバッグを支給している。
容量はそれほど大きくないけれど、重さを気にする事なく、なおかつ時間停止が付与されているお陰で、熱いものは熱いままに、冷たいものは冷たいままに持ち運びできる。
メイドにとってとても便利なので、うちではメイド服と一緒に標準装備にしてある。
勿論、メイド服も普通じゃない。カエデの糸で織られた布で作られたメイド服は、そのままでも十分丈夫なんだけど、それに加えて魔法をたくさん付与できるのだ。
それはさておき、僕はポールを立ててタープを張り、日陰を作る。
陽の光を遮るくらい魔法でも可能だけど、せっかくの子供達との薬草採取兼ピクニックだからね。形は大事だと思うんだ。
「うわぁー! カツサンドだぁ!」
「あっ、お野菜いっぱいのハムサンドもある!」
「わたし、この肉いっぱいのヤツがいい!」
「フローラ様、こちらはローストドラゴンのサンドイッチですよ」
メリーベルがバスケットを開けていくと、春香とエトワールが喜びの声をあげる。春香はカツサンドが大好きだからね。エトワールは、キュウリやレタス、トマトが入ったハムサンドが好物だ。そしてフローラは、肉一択。カツサンドも好きだけど、ローストして薄切りにしたお肉がパンパンに挟んであるサンドイッチを見て、テンションが高い。
多分メリーベルの説明は聞いちゃいないね。
「「「いただきます!」」」
フローラは特にだけど、春香やエトワールもよく食べる。肉が好きか、野菜が好きかの好みはあるけれど、僕の前世の子供の頃と比べても食べると思う。
かと言って、太っているかと言うと、全然そんな事はない。
フローラは、獣人族だけあって運動量が特に多いし、春香とエトワールは魔法の訓練をしているからね。
魔力を消費すると太りにくいのは、この世界の常識らしい。確かに、魔法使いに太った人は見かけない。
「お嬢様方、お飲み物はいかがいたしますか?」
「わたし、りんごジュース!」
「わたしもりんごジュース!」
「わたしはぶどうジュースがいいかな」
メリーベルがフローラ、春香、エトワールに飲み物を配り、僕にも紅茶を淹れてくれる。
「レーヴァも紅茶がいいであります」
「承知しました」
メリーベルがレーヴァにも紅茶のカップを渡していると、そこにアカネとルルちゃんも戻ってきた。
「はぁ~、お腹空いた。メリーベル、私にも紅茶をちょうだい」
「ルルはりんごジュースがいいニャ」
「直ぐ用意いたしますね」
メリーベルに飲み物を頼み、アカネとルルちゃんも、バスケットの中のサンドイッチを美味しそうに食べ始める。
「暑くもなく、寒くもなく、一番好きな季節ね。ピクニックには最高だわ」
「風が気持ちいいニャ」
「いや、薬草採取だからね」
僕が一応突っ込むと、アカネがジト目を向けてくる。
「分かってるわよ。でも私は春と秋が好きなの」
「まあ、分からないでもないけどね」
アカネは暑い夏や寒い冬は好きじゃない。前から春と秋が好きだと言っている。
僕的には、夏でも日本のジメジメした夏とは違う、カラッとした聖域の夏は好きなんだけどね。冬だって、マイナス何十度なんて厳しい寒さじゃないし。
「子供達のお守り、助かるよ」
「ほんと……あの子達、元気いっぱいよね」
「子供は元気が一番ニャ」
アカネは元気すぎる子供達に疲れ気味みたいだけど、ルルちゃんは元気いっぱいだな。若さの違い……なんて言ったらアカネが怒りそうだが。
少しお腹が落ち着くと、子供達がデザートを欲しがる。まだ食べるのかと感心してしまうけれど、いつもの事だ。
「食後のデザートは?」
「メリーベル、デザート!」
「今日は何かな?」
「今日はフルーツを色々と持ってきましたよ」
「「「やったー!」」」
メリーベルが、色々なフルーツが入った入れ物を取り出し蓋を開けると、子供達がテンション高く手を上げて喜ぶ。
聖域はドリュアスのお陰で一年を通して大抵のフルーツが手に入るし、しかも旬の期間も長い傾向にある。
今回、メリーベルが用意したのは、ももとぶどう、なしとりんごだ。
うちの子供達は、僕とアカネがいるせいで、この世界では珍しい地球由来のスイーツを普段から食べているけれど、加工しないフルーツそのままっていうのも大好きだ。聖域の果物は格別だからね。
最近ではぶどうはワイン用のものとは別に、そのまま食べて美味しい品種を育てている。
これはドリュアスや果樹園のエルフ達のお陰だ。
ももやなし、りんごもドリュアスが好き勝手に魔改造するものだから、聖域産のフルーツは貴族や豪商達の間では取り合いになるほど美味しいらしい。
「パパ、今度は皆んなで来たいね」
「本当だね。次は皆んなで来ようか」
今日のピクニックを兼ねた薬草採取が相当楽しいのか、春香がそう言った。確かに、今日はソフィアやマリア、マーニ達はお留守番だ。次回は皆んなと一緒でもいいかな。
フローラも弟や妹と遊びたいと手を挙げる。
「赤ちゃんと一緒に遊びたい!」
「もう、フローラ、遊びじゃなくて、薬草の採取でしょう」
エトワールが注意しているが、あの様子じゃ聞いていないな。
「そうだな。今度はセルト達と一緒に来ようか」
「わたし達が順番で面倒を見るの!」
「薬草の採り方を教えてあげる!」
「フローラ、流石にセルト達に薬草採取は早いわよ」
春香は弟や妹達の面倒をよく見てくれる。フローラは少し気が早いな。エトワールがまた注意したけど、確かにまだ赤ちゃんに薬草採取は早すぎる。
とはいえ、子供達が薬草採取を楽しんでくれたみたいでよかった。フローラは、競争が楽しかっただけみたいだけどね。
今度は皆んなで来られたらいいな。
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