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後日談百三十三話 色々と指導
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避難船の救助と創世の女神ノルン様の神託から始まった、離島の住民救済から、支配者層である族長勢力の襲撃。そしてその撃退と族長一族の逃亡。
なかなか濃い経験を経て、取り敢えず問題の終息は見えてきた。
その族長一族も苦労はするだろうけど、また違う島にたどり着きそうだとシルフやウィンディーネが言っていたので、僕も精神的に少し楽ではある。
とはいえ、襲って来た者達が全員無事だった訳じゃない。聖域騎士団も五倍の人数を相手にして、ある程度手加減はしていても死傷者はゼロには出来なかった。それに、こっちを殺しに来ている相手に対して、自分達の身を危険にしてまで気遣うところじゃないしね。
だから重傷者の中にも亡くなった人もそれなりに居るんだ。
話し合いじゃなく、初手から殺して奪いに来るなんてと思うけど、この島じゃそれが当たり前だったんだろうな。
千五百人の襲撃者に対しての割合と考えれば、少数と言えるだろうけど、それも僕とアカネが回復してまわったから、その人数で収まった。
襲撃者の中で、もうどうしようもなく罪を重ねた奴らは、シルフやウィンディーネの協力の元選別しガルーダで運んだ。
僕もボルトンに転移し、パペックさんとムーランさんに話を通しておいた。その時のムーランさんの喜びようはなかったね。
バーキラ王国、ロマリア王国、ユグル王国の同盟三国は、好景気なので犯罪奴隷のような重労働を担う者は幾ら居てもいいらしい。旧シドニア神皇国の復興もあるからね。
あと犯罪奴隷にする程の罪ではないけれど、族長に召集されて襲撃に加わった人は、暫く島内で労働刑になった。面倒だけど、一人一人シルフとウィンディーネ立ち会いのもと、罰にも軽重をつけないと不公平になる。
族長勢力という重石が無くなったこの島の秩序を保つには、それなりの仕組みが必要になる。
暫くの間は、教会の神官さん達に取り纏めをお願いするけれど、宗教と政治は分けないと、きっと後々ろくな事にならないから。
で、聖域騎士団と手分けして島中の浄化を行ったんだ。僕とアカネは浄化の魔法で、騎士団は事前に作っておいた持ち運びできる浄化の魔導具を使ってね。
そのついでに毒蟲の駆除も行って、また水脈が汚染される事がないよう対処した。
農地の土も念の為浄化しながら、新規の開墾を土属性魔法で一気に進める。土精騎士団のドワーフ達も居るので、水路を含むて四つの集落の農地は、元の倍以上に拡がった。
人力で開墾するのは難しい土地は手付かずだったからね。このくらい農地を拡げて、尚且つ土の調整もしてあるから、食料問題は解決に向かうんじゃないかな。
そして島にはソフィア達が来ていた。
「タクミ様。私は蟲共の駆除に行って来ます」
「ああ、うん。ほどほどにね」
ソフィアはフル装備で魔物駆除に行くみたいだ。一応、やり過ぎないように言っておく。
産休明けという訳じゃないけれど、今回は留守番だったから元気が余っているのかな。
「大丈夫だよ。私達が手綱を握って止めるからさ」
「フラン先輩、偉そうですよ。ソフィア様の方が強いじゃないですか」
「五月蝿い! 何度も言っているだろう! 呼び方に差をつけるな! 私とソフィアは同期だ!」
「まあまあ、お二人とも落ち着いてください。ほら、行きますよ!」
「ハ、ハハッ、ソフィアをお願いします。フランさん、アネモネさん、リリィさん」
僕達の実力なら危険な島ではないけれど、それでもソフィア一人を行かせるのは色々な意味で心配なので、フランさん、アネモネさん、リリィさんに同行をお願いしたんだけど、いつものフランさん達のコントが始まった。
でもソフィアがスルーして歩き出したので、リリィさんがフランさんとアネモネさんを引っ張り追いかけて行く。
そしてもう一人。
「タクミ様、私は土精騎士団と各集落の住居を補修して来ますね」
「ああ、頼むよマリア。騎士団の人達によろしくね」
「はい。行って来ます!」
マリアは、土属性魔法が使えるので、土精騎士団のドワーフ達と、東西南北の集落で住居の補修や外壁の構築に向かう。
僕が地形を大規模にいじって農地を造ったから、新しい防壁は造らないといけないからね。
僕は魔法による開墾と水路整備、そして各集落を結ぶ道の整備。
「では、私も各集落を周って指導して来ます」
「うん。お願いマーニ」
そしてマーニも護衛の騎士と創世教の神官と共に、各集落を周って農業指導だ。
この島の人達は、生きるのに精一杯だったからなのか、農業方面ではかなり原始的に思えた。
漁業方面、特に木造船の出来なんかは、かなり優れているとの印象だけど、もともと海の民だったのかな? それなら大陸の戦乱から逃れて、海へと漕ぎ出すのも多少は理解できる。
まあ、僕ならやらないけどね。だって、海の大型の魔物に遭遇しなかったのは、完全にラッキーなだけだろう。よくこの島までたどり着いたよ。
さて、僕は僕の仕事を早く終わらせて、地下水脈の浄化に取り掛かからないとな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この度、本作「いずれ最強の錬金術師?」のアニメ化が決定しました。
2025年1月まで、楽しみにして頂けると嬉しいです。
よろしくお願いします。
小狐丸
なかなか濃い経験を経て、取り敢えず問題の終息は見えてきた。
その族長一族も苦労はするだろうけど、また違う島にたどり着きそうだとシルフやウィンディーネが言っていたので、僕も精神的に少し楽ではある。
とはいえ、襲って来た者達が全員無事だった訳じゃない。聖域騎士団も五倍の人数を相手にして、ある程度手加減はしていても死傷者はゼロには出来なかった。それに、こっちを殺しに来ている相手に対して、自分達の身を危険にしてまで気遣うところじゃないしね。
だから重傷者の中にも亡くなった人もそれなりに居るんだ。
話し合いじゃなく、初手から殺して奪いに来るなんてと思うけど、この島じゃそれが当たり前だったんだろうな。
千五百人の襲撃者に対しての割合と考えれば、少数と言えるだろうけど、それも僕とアカネが回復してまわったから、その人数で収まった。
襲撃者の中で、もうどうしようもなく罪を重ねた奴らは、シルフやウィンディーネの協力の元選別しガルーダで運んだ。
僕もボルトンに転移し、パペックさんとムーランさんに話を通しておいた。その時のムーランさんの喜びようはなかったね。
バーキラ王国、ロマリア王国、ユグル王国の同盟三国は、好景気なので犯罪奴隷のような重労働を担う者は幾ら居てもいいらしい。旧シドニア神皇国の復興もあるからね。
あと犯罪奴隷にする程の罪ではないけれど、族長に召集されて襲撃に加わった人は、暫く島内で労働刑になった。面倒だけど、一人一人シルフとウィンディーネ立ち会いのもと、罰にも軽重をつけないと不公平になる。
族長勢力という重石が無くなったこの島の秩序を保つには、それなりの仕組みが必要になる。
暫くの間は、教会の神官さん達に取り纏めをお願いするけれど、宗教と政治は分けないと、きっと後々ろくな事にならないから。
で、聖域騎士団と手分けして島中の浄化を行ったんだ。僕とアカネは浄化の魔法で、騎士団は事前に作っておいた持ち運びできる浄化の魔導具を使ってね。
そのついでに毒蟲の駆除も行って、また水脈が汚染される事がないよう対処した。
農地の土も念の為浄化しながら、新規の開墾を土属性魔法で一気に進める。土精騎士団のドワーフ達も居るので、水路を含むて四つの集落の農地は、元の倍以上に拡がった。
人力で開墾するのは難しい土地は手付かずだったからね。このくらい農地を拡げて、尚且つ土の調整もしてあるから、食料問題は解決に向かうんじゃないかな。
そして島にはソフィア達が来ていた。
「タクミ様。私は蟲共の駆除に行って来ます」
「ああ、うん。ほどほどにね」
ソフィアはフル装備で魔物駆除に行くみたいだ。一応、やり過ぎないように言っておく。
産休明けという訳じゃないけれど、今回は留守番だったから元気が余っているのかな。
「大丈夫だよ。私達が手綱を握って止めるからさ」
「フラン先輩、偉そうですよ。ソフィア様の方が強いじゃないですか」
「五月蝿い! 何度も言っているだろう! 呼び方に差をつけるな! 私とソフィアは同期だ!」
「まあまあ、お二人とも落ち着いてください。ほら、行きますよ!」
「ハ、ハハッ、ソフィアをお願いします。フランさん、アネモネさん、リリィさん」
僕達の実力なら危険な島ではないけれど、それでもソフィア一人を行かせるのは色々な意味で心配なので、フランさん、アネモネさん、リリィさんに同行をお願いしたんだけど、いつものフランさん達のコントが始まった。
でもソフィアがスルーして歩き出したので、リリィさんがフランさんとアネモネさんを引っ張り追いかけて行く。
そしてもう一人。
「タクミ様、私は土精騎士団と各集落の住居を補修して来ますね」
「ああ、頼むよマリア。騎士団の人達によろしくね」
「はい。行って来ます!」
マリアは、土属性魔法が使えるので、土精騎士団のドワーフ達と、東西南北の集落で住居の補修や外壁の構築に向かう。
僕が地形を大規模にいじって農地を造ったから、新しい防壁は造らないといけないからね。
僕は魔法による開墾と水路整備、そして各集落を結ぶ道の整備。
「では、私も各集落を周って指導して来ます」
「うん。お願いマーニ」
そしてマーニも護衛の騎士と創世教の神官と共に、各集落を周って農業指導だ。
この島の人達は、生きるのに精一杯だったからなのか、農業方面ではかなり原始的に思えた。
漁業方面、特に木造船の出来なんかは、かなり優れているとの印象だけど、もともと海の民だったのかな? それなら大陸の戦乱から逃れて、海へと漕ぎ出すのも多少は理解できる。
まあ、僕ならやらないけどね。だって、海の大型の魔物に遭遇しなかったのは、完全にラッキーなだけだろう。よくこの島までたどり着いたよ。
さて、僕は僕の仕事を早く終わらせて、地下水脈の浄化に取り掛かからないとな。
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この度、本作「いずれ最強の錬金術師?」のアニメ化が決定しました。
2025年1月まで、楽しみにして頂けると嬉しいです。
よろしくお願いします。
小狐丸
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