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8巻
8-2
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宿泊施設を建設した東の端は、日本が江戸時代に鎖国していた時の長崎にあった出島のようになっている。
そこまでする必要ないとは思ったけど、念には念を入れてだ。
宿泊施設の側には、聖域中心部に続く街道が通っている。そこを含めて壁と堀で囲い、聖域への唯一の出入り口とした。
まあ、結界に影響されない僕達には関係ない出入り口だけど。
敷地の面積は、史実の出島よりも少し広い2ヘクタールくらい。そこを高さ10メートル、厚さ2メートルの石壁で覆い、その外側を堀で囲う。堀には一ヶ所、5メートル幅の橋を架け、鋼鉄製の門を設置した。
当然のように、門には自律行動型の警備ゴーレムを配置する。
警備ゴーレムは、トリアリア王国との戦争で使用した物を流用している。アイテムボックスの肥やしになっていたから、再利用出来てよかった。
現在、教会の方はエルフやケットシー達が、ドリュアスの指示に従って周りを花で飾っている。宿泊施設の方は、レーヴァ、アカネ、カエデが内装の仕上げをしていた。
アカネには他にも仕事をお願いしていて、パペック商会に発注する備品のリストアップもしてもらう事になっている。
カエデはソフィア達のウェディングドレスの製作もあるので大忙しだ。
なお、教会と宿泊施設の内装は、ドガンボさんらドワーフ達も協力してくれている。ドワーフ達は僕の作った両施設を見て、何故か対抗心を燃やしているようで、そこかしこに芸術的な彫刻や装飾品を作ってくれていた。
ともかくこれで僕の仕事が一段落したので、次は招待状を送らないといけないのだけど……
◇
「えっと……ソフィアのお父さんお母さんを招待するのは当然として、弟君にも一応送らないとね」
「ユグル王国の国王と王妃にも送らないとダメよ」
聖域の屋敷で、僕とアカネが中心になって、招待状を送付する相手のリストを作っていた。
ここにソフィア、人族のメイドのマリア、兎人族のマーニがいないのは、カエデと一緒にウェディングドレスの製作にかかりっきりだから。レーヴァは、教会と宿泊施設の魔導具関連の製作と設置で忙しい。
「バーキラ王国は、ボルトン辺境伯とロックフォード伯爵だよね。王様はどうしようか?」
「一応送っておきましょう。ユグル王国の国王に招待状を送っているんだもの。バーキラ王国に拠点を持っているのだから、何もなしというわけにはいかないでしょ」
ボルトン辺境伯と夫人、ロックフォード伯爵と夫人とロッド君、エミリアちゃんも招待した方がいいかな。
僕は、紙に招待する人の名前を書いていく。
「あとは、パペック商会からパペックさんとトーマスさん、ボルトン辺境伯の所のセルヴスさんはどうしようかな……」
ボルトン辺境伯家の家宰であるセルヴスさんにも、招待状を送った方がいいのかな。
「ボルトン辺境伯夫婦を招待したら、セルヴスさんも一緒に来ると思うわよ。まあ、一応送っておきましょう」
「そうだね。それで、ロマリア王国はどうしよう?」
ロマリア王国とはそれほど交流してないんだけど、バーキラ王国がロマリア王国と同盟関係にあるし、シドニア神皇国関係で共闘した間柄ではあるんだよね。まったく何もなしってわけにはいかないだろう。
「そうね……国王宛に招待状を送っておきましょう。それで代理を送ってくるのか、自分が来るのかは、向こうの都合だし」
「それもそうだね」
王族、貴族関係はこんなものだろう。
続いて、僕らに近い庶民の招待者を考えよう。
「ボルトンの冒険者ギルドのバラックさんとハンスさん、あっ! ヒースさん、ライルさん、ボガさん達も呼ばないと」
「『獅子の牙』っていうパーティだっけ? Aランク冒険者だから貴族や豪商の中に入っても大丈夫でしょ。ちょうどいいんじゃない。ボード村の人も呼びたいんでしょ? 周りが偉い人ばっかりだったら可哀そうだもの」
「そうだね。バンガさんやマーサさんには是非出席してほしいかな。あ……でも、ボード村と聖域の距離が問題か……」
ボルトン辺境伯領から聖域までは、普通の馬が引く馬車で三日かかる。ボード村からほぼ出た事がないというバンガさん達には、かなりハードルが高いかもしれない。
「そこはもう、タクミが迎えに行くしかないんじゃない? ツバキだって一度は行ってるんでしょ?」
そうそう、ツバキを連れていった事もあるんだけど、ツバキも今となってはグレートドラゴンホースに進化しちゃってるんだよね。
連れていったら腰抜かすだろうな……
「そうだね。僕が直接招待状を手渡しして、そのまま連れてくるよ」
「それがいいわね」
僕はアカネに他の招待状を送ってもらうよう頼むと、ボード村へ行く準備を始めるのだった。
2 挙式の準備 その2
僕の視界が一瞬で変化する。
二度目に訪れた時から更に発展したボード村が、遠目に見える。
前回来たのは、シドニアからアカネとルルちゃんを保護して間もなくの頃。しばらく追手を避けるため、辺境中の辺境のボード村で過ごしたんだっけ。
あの頃を思い出してみると、アカネは遠慮しなくなったよな。年齢的には僕と同じくらいなのに、まるで弟のように扱われるのはどうなんだろう……
それはさておき、村に不釣り合いな堅固な門が見えてきた。
突然、門の前に転移するのはマズいので、少し離れた位置に転移してきたけど、たまたま街道に人がいなくてよかった。
僕が最初にお世話になった頃のボード村は、本当に小さな村だったので訪れる人なんていなかったけど、今は色々な目的の訪問者がいる。もっと気を付けないと。
歩いて近づいていくと、門の両脇に仁王立ちする警護ゴーレムが見えた。問題なく稼働しているようだ。
2メートル50センチの全身魔法合金製のゴーレムは、その見た目だけで盗賊などの心を挫くほど十分な迫力を持っている。
門の側に行くと、見た事がない門番が一人立っていた。
どうやら僕を怪しんでいるらしい。
「オイ! 君は一人でこの村に来たのか? 何の目的で来たんだ?」
「えっと、知り合いに会いに来たんですが……」
そりゃ不審に思うよなと感じつつ、僕はその門番に冒険者ギルドのギルドカードを提示する。彼は僕のランクを見て、目を見開いた。
「なっ! これは失礼しました。ようこそボード村へ」
「ありがとうございます」
門番に会釈して門をくぐる。
通りには人が行き交い、随分と活気がある。僕はしばし立ち止まって、その光景を見て感慨深い気持ちになっていた。
「凄いな……辺境の小さな村だったボード村が、もう町って呼んでもいいんじゃないかな」
思い出に浸っていた僕は、ふと思い出す。当時寝泊まりしていた小屋はどうなっているのだろうか。
早速見に行ってみる。
「おお! まだ残っていたんだ」
僕が建てて住んでいた小屋は、あの頃と変わらず、村の一画にポツンとあった。何故かここの周りだけあの当時のままだ。
小屋を眺めていると、背後から懐かしい声がする。
「あらっ、タクミちゃんじゃないの!」
振り向くとそこにいたのは、買い物帰りなのか、片手に荷物を持ったマーサさんだった。
「マーサさん、ご無沙汰していまグッフッ……」
「タクミちゃん! 元気そうで安心したよ!」
再会の挨拶の途中で、まるでタックルのような抱擁を受ける。
「ところで、ソフィアちゃんやマリアちゃん達はどうしたんだい? まさか喧嘩別れでもしたんじゃ……そういえば、カエデちゃんの姿も見えないね。他にもいただろう? タクミちゃん、一人で帰ってきたのかい?」
「ちょっ、ちょっと待ってください!」
マシンガンのように繰り出されるマーサさんの質問責めに、僕はストップをかける。
「あらっ、ごめんなさいね。タクミちゃんに会えて興奮しちゃったわ。とりあえず家に来なさいよ。バンガも喜ぶわ」
「それじゃ是非」
バンガさんとマーサさんに招待状を渡すのが来た目的なので、素直に頷いてマーサさんのあとについていった。
「さあ、入った入った。お茶でも淹れるわね」
「ありがとうございます」
久しぶりに訪れたバンガさんとマーサさんの家は、建て替えられてはいないけど、ちょっと豪華になっていた。室内には上等そうな絨毯が敷かれ、大きなソファーが置かれている。
しばらくマーサさんと話していると、バンッと扉の開く音が聞こえた。顔を向けると、バンガさんが勢いよく入ってきた。
「マーサ! タクミに似た奴が村に来てるらしいぞぉ!」
「あんた、声が大きいのよ!」
「そうじゃなくてタクミが……って、タクミじゃねえかぁ! 戻ったんなら言えよ!」
「バンガさん、お久しぶりです」
バンガさんが大股で近づいてくる。僕が立ち上がって挨拶しようとすると力強く抱き着き、バンバンと背中を叩く。
バンガさんの手から本当に嬉しそうなのが伝わってきて、僕も笑顔になる。
――やっぱり、ボード村は良いな。
この世界に降り立って初めての交流が、ボード村の人達で本当に良かったと改めて思った。
「何だと! そりゃめでてぇじゃねぇか!」
室内に大きな声が響き渡る。
お二人の家にお邪魔してお昼ご飯をご馳走になってから、三人でお茶を飲んでいる時に、僕の結婚について打ち明けると、バンガさんもマーサさんもまるで自分の息子の慶事のように喜んでくれた。
「まあ、まあ、おめでとう、タクミちゃん!」
「ありがとうございます。それで、結婚式の招待状をバンガさんとマーサさんに届けに来たんです」
アイテムボックスから取り出した招待状を、二人に手渡す。
「……タクミよぉ。悪いが俺は、ボード村を出た事がないんだ。書かれている場所の見当もつかねえ」
「私達なんかが出席しても大丈夫なの……?」
二人は不安を口にした。
聖域があるのはバーキラ王国内ですらない。普通の村人が気軽に行ける距離ではないのだ。
この世界に生きる人の多くは、生まれた地を出る事なく一生を終える。商人や冒険者でもなければ、魔物や盗賊に遭うリスクを冒してまで生まれた地を離れないのだ。ましてや国外への旅なんて想像の埒外だろう。
僕は、不安げにするバンガさんとマーサさんに優しく言う。
「心配しないでください。挙式の日程はまだ先ですけど、僕が迎えに来ますから。もちろん、旅費や宿泊費は必要ありません」
当初の予定では、このままバンガさん達を一家ごと連れて聖域へ行くはずだった。けれど、流石に長期間村を離れさせてしまうのはまずいかなと思い、式の日程が近づいた時点で、もう一度迎えに来る事にした。
「わかった。俺達は出席させてもらうぞ」
「タクミちゃんの晴れ舞台だもの。喜んで出席させてもらうわ」
「ありがとうございます」
バンガさんとマーサさんからオーケーをもらってホッとする。
ボード村は僕にとって特別な場所なんだ。その中でもバンガさんとマーサさんには特にお世話になった。だから、是非出席してもらいたかったんだ。
マーサさんが急に提案してくる。
「結婚式を挙げてから、少し日にちをずらしてで構わないから、ボード村でお披露目の宴会を出来ないかしら?」
「おう、それはいい考えだな」
「大丈夫ですかね。ボード村も随分と村人が増えているようですし、僕の事を知らない人も多いと思いますけど……」
「大丈夫よ。タクミちゃんとカエデちゃんは、ボード村の住民といっても過言じゃないもの」
「わかりました。式が終わって一段落ついたら、みんなでボード村に来ますね」
「村のみんなも喜ぶわ」
これでボード村での用事は終了だ。次はボルトンに行って、パペック商会と冒険者ギルドを回らないといけない。
ちなみにボルトン辺境伯、ロックフォード伯爵、バーキラ王には直接招待状を持っていけないので、冒険者ギルド経由で郵送する予定だ。実を言うとそれに結構時間がかかるため、挙式の予定が二ヶ月先になったんだよね。
郵送は、バーキラ王国内なら一週間あればお釣りが来るが、ロマリア王国やユグル王国にも送らないといけない。
実際のところ、僕が結婚するというのは、冒険者ギルドの通信の魔導具で伝わるのだけど、正式な招待状という形が大事なんだとか。
二ヶ月も先になるのなら、教会と宿泊施設の建設を急ぐ必要もなかったな。
アカネに言わせれば、日本でも結婚式の準備というのは何ヶ月も前からするものらしい。前世ではとんと縁がなかった僕にはわからない話だけど。
バンガさんとマーサさんに、結婚式が行われる日にちが近づいたら迎えに来ると約束し、僕はボード村をあとにした。
門の前で見えなくなるまで見送られ、周りに人がいない事を確認した僕は、ボルトンの屋敷に一旦転移する。
先にパペックさんの所へ行こうかな。
◇
僕がパペック商会に来るのは久しぶりだ。ここのところずっと納品関係はレーヴァに任せっきりだったからね。
「あれ? 違う建物が立ってる?」
パペック商会の場所を忘れるはずがないんだけど、建物が大きくなっていて、更に豪華になっているような気がする……
って、新しい建物になってるね。
看板に「パペック商会」と屋号があるので間違いではないようだ。もともと大商会で、ボルトンでも大きな店だったけど……
中に入ると、僕の顔を覚えていた従業員がいたので、番頭格のトーマスさんを呼びに行ってもらった。
「これはこれはイルマ様、お久しぶりでございます」
「ご無沙汰しています、トーマスさん」
「さあさあ、どうぞ中へ。パペックももう戻ってくるはずです」
トーマスさんに応接室に通される。応接室は以前よりも、ワンランクもツーランクも上の豪華さになっていた。
「すぐにお茶をお持ちしますので、おかけになってお待ちください」
「あっ、どうぞお構いなく」
しばらく待っていると、パペックさんが入ってきた。
「お待たせして申し訳ございません。タクミ様、ご無沙汰しております」
「お久しぶりです、パペックさん。僕の方こそ、ここのところ忙しくて直接納品に来られなかったので」
お互いに挨拶を交わしてから、本題に移る。
「今日は、僕とソフィア、マリア、マーニとの結婚式への招待状を持ってきました」
「おお! やっとでございますか! まだかまだかとヤキモキしていたのですよ」
「おめでとうございます、イルマ様」
祝福してくれるパペックさんとトーマスさん。
招待状を二人に渡すと、パペックさんは早速内容を確認する。
「どれどれ。ほぅ、聖域の教会で式を挙げるのですね。私とトーマスもですか。喜んで出席させていただきます」
「……護衛は最小限との事ですが、どうせなら『獅子の牙』に指名依頼を出しますか?」
トーマスさんが渡した招待状を見てそう言ってきた。「獅子の牙」の面々も式に招待するとわかっているのだろう。
パペックさんが賛同して言う。
「おお、それはいいですね。タクミ様と彼らは、何度か一緒に依頼を受けたと聞いています。確か、ボード村からボルトンまでも一緒でしたね」
「はい。ヒースさん達にはお世話になりました。このあと冒険者ギルドに行って、バラックさんとハンスさんに招待状を渡すついでに、ヒースさん達への招待状を預けておこうと思っています」
「獅子の牙」のヒースさん、ライルさん、ボガさんの三人とは、パペックさんと一緒にボード村からボルトンに向かう途中で出会った。その後も、トレント狩りやダンジョンの攻略でお世話になっている、言わば腐れ縁なのだ。
「ではちょうどいいので、私達は彼らと一緒に聖域へ向かうとします」
「ありがとうございます。聖域の東に門を作りました。そこを入ると招待客専用の宿泊施設があるので、式の前日までにチェックインしてください」
早めに到着してゆっくりと滞在しても大丈夫だと告げ、僕はパペック商会をあとにした。
◇
パペック商会から冒険者ギルドに向かって進みつつ、こうしてボルトンの街を歩くのは久しぶりだと気が付く。
シドニア神皇国が雇った闇ギルドが僕を襲撃して以来、街中を歩くのはソフィアから止められていたし、最近ボルトンの屋敷には転移でしか行き来してないんだよね。
ボルトンの街を楽しみながら歩き、変わらぬ姿の冒険者ギルドの建物にたどり着いた。
中に入ると、忙しい時間帯が過ぎているので当たり前だけど、閑散としていた。周囲を見回していると、すぐに声をかけられる。
「タクミ君! タクミ君じゃないか! 久しぶりだね。一人かい? ソフィアさんが一緒じゃないなんて珍しいね」
「ハンスさん、ご無沙汰してます。今日はみんな忙しくて僕一人なんです。それで、バラックさんいますか?」
「案内するよ。ついて来て」
ハンスさんのあとについて、ギルマスであるバラックさんの部屋へ向かう。
コンコンッ。
「ギルマス、タクミ君が来ています」
「おう! 入ってもらえ!」
ドアをノックしてハンスさんが室内に呼びかけると、中からバラックさんの声が聞こえた。
「さぁ、どうぞ」
「はい」
ハンスさんに促されて部屋に入る。
バラックさんは、相変わらず書類にまみれていた。
「おう。タクミがわざわざ俺を訪ねてくるなんて珍しいな。トラブルって顔じゃないようだが……まあ、座れや」
「はい。あっ、ハンスさんも一緒に話を聞いてください」
「僕もかい?」
三人で来客用のソファーに座ったところで、僕は招待状を取り出す。
「このたび、ソフィア、マリア、マーニと結婚式を挙げる事になり……つきましては、バラックさんとハンスさんに出席してもらいたいと思いまして……」
「おお! それはめでてえじゃねえか」
「おめでとう、タクミ君」
続けて挙式の日程を伝え、招待客用の宿泊施設がある事を話す。
「もちろん出席させてもらうぞ」
「ギルマスのスケジュールを調整しないといけませんが、大丈夫ですよ。という事でギルマス、書類は片付けてしまってくださいね」
「なっ!? まさか全部って言わねぇよな」
「いえ、全部ですよ」
ハンスさんからそう言われたバラックさんは、積み上げられた書類の山を見て、遠い目をしていた。
それから僕は「獅子の牙」宛の招待状をハンスさんに渡し、ギルド経由でバーキラ王国、ロマリア王国、ユグル王国に招待状を届けてもらう依頼を出した。
バラックさんが溜息混じりに言う。
「……仕方ねぇか、ちゃっちゃと書類を片付けるか」
「では、私達は余裕を持って到着するように向かいますので、聖域で会いましょう」
「はい、お待ちしています」
こうして冒険者ギルドでの用事を済ませた僕は、挙式の打ち合わせのために聖域へ戻るのだった。
そこまでする必要ないとは思ったけど、念には念を入れてだ。
宿泊施設の側には、聖域中心部に続く街道が通っている。そこを含めて壁と堀で囲い、聖域への唯一の出入り口とした。
まあ、結界に影響されない僕達には関係ない出入り口だけど。
敷地の面積は、史実の出島よりも少し広い2ヘクタールくらい。そこを高さ10メートル、厚さ2メートルの石壁で覆い、その外側を堀で囲う。堀には一ヶ所、5メートル幅の橋を架け、鋼鉄製の門を設置した。
当然のように、門には自律行動型の警備ゴーレムを配置する。
警備ゴーレムは、トリアリア王国との戦争で使用した物を流用している。アイテムボックスの肥やしになっていたから、再利用出来てよかった。
現在、教会の方はエルフやケットシー達が、ドリュアスの指示に従って周りを花で飾っている。宿泊施設の方は、レーヴァ、アカネ、カエデが内装の仕上げをしていた。
アカネには他にも仕事をお願いしていて、パペック商会に発注する備品のリストアップもしてもらう事になっている。
カエデはソフィア達のウェディングドレスの製作もあるので大忙しだ。
なお、教会と宿泊施設の内装は、ドガンボさんらドワーフ達も協力してくれている。ドワーフ達は僕の作った両施設を見て、何故か対抗心を燃やしているようで、そこかしこに芸術的な彫刻や装飾品を作ってくれていた。
ともかくこれで僕の仕事が一段落したので、次は招待状を送らないといけないのだけど……
◇
「えっと……ソフィアのお父さんお母さんを招待するのは当然として、弟君にも一応送らないとね」
「ユグル王国の国王と王妃にも送らないとダメよ」
聖域の屋敷で、僕とアカネが中心になって、招待状を送付する相手のリストを作っていた。
ここにソフィア、人族のメイドのマリア、兎人族のマーニがいないのは、カエデと一緒にウェディングドレスの製作にかかりっきりだから。レーヴァは、教会と宿泊施設の魔導具関連の製作と設置で忙しい。
「バーキラ王国は、ボルトン辺境伯とロックフォード伯爵だよね。王様はどうしようか?」
「一応送っておきましょう。ユグル王国の国王に招待状を送っているんだもの。バーキラ王国に拠点を持っているのだから、何もなしというわけにはいかないでしょ」
ボルトン辺境伯と夫人、ロックフォード伯爵と夫人とロッド君、エミリアちゃんも招待した方がいいかな。
僕は、紙に招待する人の名前を書いていく。
「あとは、パペック商会からパペックさんとトーマスさん、ボルトン辺境伯の所のセルヴスさんはどうしようかな……」
ボルトン辺境伯家の家宰であるセルヴスさんにも、招待状を送った方がいいのかな。
「ボルトン辺境伯夫婦を招待したら、セルヴスさんも一緒に来ると思うわよ。まあ、一応送っておきましょう」
「そうだね。それで、ロマリア王国はどうしよう?」
ロマリア王国とはそれほど交流してないんだけど、バーキラ王国がロマリア王国と同盟関係にあるし、シドニア神皇国関係で共闘した間柄ではあるんだよね。まったく何もなしってわけにはいかないだろう。
「そうね……国王宛に招待状を送っておきましょう。それで代理を送ってくるのか、自分が来るのかは、向こうの都合だし」
「それもそうだね」
王族、貴族関係はこんなものだろう。
続いて、僕らに近い庶民の招待者を考えよう。
「ボルトンの冒険者ギルドのバラックさんとハンスさん、あっ! ヒースさん、ライルさん、ボガさん達も呼ばないと」
「『獅子の牙』っていうパーティだっけ? Aランク冒険者だから貴族や豪商の中に入っても大丈夫でしょ。ちょうどいいんじゃない。ボード村の人も呼びたいんでしょ? 周りが偉い人ばっかりだったら可哀そうだもの」
「そうだね。バンガさんやマーサさんには是非出席してほしいかな。あ……でも、ボード村と聖域の距離が問題か……」
ボルトン辺境伯領から聖域までは、普通の馬が引く馬車で三日かかる。ボード村からほぼ出た事がないというバンガさん達には、かなりハードルが高いかもしれない。
「そこはもう、タクミが迎えに行くしかないんじゃない? ツバキだって一度は行ってるんでしょ?」
そうそう、ツバキを連れていった事もあるんだけど、ツバキも今となってはグレートドラゴンホースに進化しちゃってるんだよね。
連れていったら腰抜かすだろうな……
「そうだね。僕が直接招待状を手渡しして、そのまま連れてくるよ」
「それがいいわね」
僕はアカネに他の招待状を送ってもらうよう頼むと、ボード村へ行く準備を始めるのだった。
2 挙式の準備 その2
僕の視界が一瞬で変化する。
二度目に訪れた時から更に発展したボード村が、遠目に見える。
前回来たのは、シドニアからアカネとルルちゃんを保護して間もなくの頃。しばらく追手を避けるため、辺境中の辺境のボード村で過ごしたんだっけ。
あの頃を思い出してみると、アカネは遠慮しなくなったよな。年齢的には僕と同じくらいなのに、まるで弟のように扱われるのはどうなんだろう……
それはさておき、村に不釣り合いな堅固な門が見えてきた。
突然、門の前に転移するのはマズいので、少し離れた位置に転移してきたけど、たまたま街道に人がいなくてよかった。
僕が最初にお世話になった頃のボード村は、本当に小さな村だったので訪れる人なんていなかったけど、今は色々な目的の訪問者がいる。もっと気を付けないと。
歩いて近づいていくと、門の両脇に仁王立ちする警護ゴーレムが見えた。問題なく稼働しているようだ。
2メートル50センチの全身魔法合金製のゴーレムは、その見た目だけで盗賊などの心を挫くほど十分な迫力を持っている。
門の側に行くと、見た事がない門番が一人立っていた。
どうやら僕を怪しんでいるらしい。
「オイ! 君は一人でこの村に来たのか? 何の目的で来たんだ?」
「えっと、知り合いに会いに来たんですが……」
そりゃ不審に思うよなと感じつつ、僕はその門番に冒険者ギルドのギルドカードを提示する。彼は僕のランクを見て、目を見開いた。
「なっ! これは失礼しました。ようこそボード村へ」
「ありがとうございます」
門番に会釈して門をくぐる。
通りには人が行き交い、随分と活気がある。僕はしばし立ち止まって、その光景を見て感慨深い気持ちになっていた。
「凄いな……辺境の小さな村だったボード村が、もう町って呼んでもいいんじゃないかな」
思い出に浸っていた僕は、ふと思い出す。当時寝泊まりしていた小屋はどうなっているのだろうか。
早速見に行ってみる。
「おお! まだ残っていたんだ」
僕が建てて住んでいた小屋は、あの頃と変わらず、村の一画にポツンとあった。何故かここの周りだけあの当時のままだ。
小屋を眺めていると、背後から懐かしい声がする。
「あらっ、タクミちゃんじゃないの!」
振り向くとそこにいたのは、買い物帰りなのか、片手に荷物を持ったマーサさんだった。
「マーサさん、ご無沙汰していまグッフッ……」
「タクミちゃん! 元気そうで安心したよ!」
再会の挨拶の途中で、まるでタックルのような抱擁を受ける。
「ところで、ソフィアちゃんやマリアちゃん達はどうしたんだい? まさか喧嘩別れでもしたんじゃ……そういえば、カエデちゃんの姿も見えないね。他にもいただろう? タクミちゃん、一人で帰ってきたのかい?」
「ちょっ、ちょっと待ってください!」
マシンガンのように繰り出されるマーサさんの質問責めに、僕はストップをかける。
「あらっ、ごめんなさいね。タクミちゃんに会えて興奮しちゃったわ。とりあえず家に来なさいよ。バンガも喜ぶわ」
「それじゃ是非」
バンガさんとマーサさんに招待状を渡すのが来た目的なので、素直に頷いてマーサさんのあとについていった。
「さあ、入った入った。お茶でも淹れるわね」
「ありがとうございます」
久しぶりに訪れたバンガさんとマーサさんの家は、建て替えられてはいないけど、ちょっと豪華になっていた。室内には上等そうな絨毯が敷かれ、大きなソファーが置かれている。
しばらくマーサさんと話していると、バンッと扉の開く音が聞こえた。顔を向けると、バンガさんが勢いよく入ってきた。
「マーサ! タクミに似た奴が村に来てるらしいぞぉ!」
「あんた、声が大きいのよ!」
「そうじゃなくてタクミが……って、タクミじゃねえかぁ! 戻ったんなら言えよ!」
「バンガさん、お久しぶりです」
バンガさんが大股で近づいてくる。僕が立ち上がって挨拶しようとすると力強く抱き着き、バンバンと背中を叩く。
バンガさんの手から本当に嬉しそうなのが伝わってきて、僕も笑顔になる。
――やっぱり、ボード村は良いな。
この世界に降り立って初めての交流が、ボード村の人達で本当に良かったと改めて思った。
「何だと! そりゃめでてぇじゃねぇか!」
室内に大きな声が響き渡る。
お二人の家にお邪魔してお昼ご飯をご馳走になってから、三人でお茶を飲んでいる時に、僕の結婚について打ち明けると、バンガさんもマーサさんもまるで自分の息子の慶事のように喜んでくれた。
「まあ、まあ、おめでとう、タクミちゃん!」
「ありがとうございます。それで、結婚式の招待状をバンガさんとマーサさんに届けに来たんです」
アイテムボックスから取り出した招待状を、二人に手渡す。
「……タクミよぉ。悪いが俺は、ボード村を出た事がないんだ。書かれている場所の見当もつかねえ」
「私達なんかが出席しても大丈夫なの……?」
二人は不安を口にした。
聖域があるのはバーキラ王国内ですらない。普通の村人が気軽に行ける距離ではないのだ。
この世界に生きる人の多くは、生まれた地を出る事なく一生を終える。商人や冒険者でもなければ、魔物や盗賊に遭うリスクを冒してまで生まれた地を離れないのだ。ましてや国外への旅なんて想像の埒外だろう。
僕は、不安げにするバンガさんとマーサさんに優しく言う。
「心配しないでください。挙式の日程はまだ先ですけど、僕が迎えに来ますから。もちろん、旅費や宿泊費は必要ありません」
当初の予定では、このままバンガさん達を一家ごと連れて聖域へ行くはずだった。けれど、流石に長期間村を離れさせてしまうのはまずいかなと思い、式の日程が近づいた時点で、もう一度迎えに来る事にした。
「わかった。俺達は出席させてもらうぞ」
「タクミちゃんの晴れ舞台だもの。喜んで出席させてもらうわ」
「ありがとうございます」
バンガさんとマーサさんからオーケーをもらってホッとする。
ボード村は僕にとって特別な場所なんだ。その中でもバンガさんとマーサさんには特にお世話になった。だから、是非出席してもらいたかったんだ。
マーサさんが急に提案してくる。
「結婚式を挙げてから、少し日にちをずらしてで構わないから、ボード村でお披露目の宴会を出来ないかしら?」
「おう、それはいい考えだな」
「大丈夫ですかね。ボード村も随分と村人が増えているようですし、僕の事を知らない人も多いと思いますけど……」
「大丈夫よ。タクミちゃんとカエデちゃんは、ボード村の住民といっても過言じゃないもの」
「わかりました。式が終わって一段落ついたら、みんなでボード村に来ますね」
「村のみんなも喜ぶわ」
これでボード村での用事は終了だ。次はボルトンに行って、パペック商会と冒険者ギルドを回らないといけない。
ちなみにボルトン辺境伯、ロックフォード伯爵、バーキラ王には直接招待状を持っていけないので、冒険者ギルド経由で郵送する予定だ。実を言うとそれに結構時間がかかるため、挙式の予定が二ヶ月先になったんだよね。
郵送は、バーキラ王国内なら一週間あればお釣りが来るが、ロマリア王国やユグル王国にも送らないといけない。
実際のところ、僕が結婚するというのは、冒険者ギルドの通信の魔導具で伝わるのだけど、正式な招待状という形が大事なんだとか。
二ヶ月も先になるのなら、教会と宿泊施設の建設を急ぐ必要もなかったな。
アカネに言わせれば、日本でも結婚式の準備というのは何ヶ月も前からするものらしい。前世ではとんと縁がなかった僕にはわからない話だけど。
バンガさんとマーサさんに、結婚式が行われる日にちが近づいたら迎えに来ると約束し、僕はボード村をあとにした。
門の前で見えなくなるまで見送られ、周りに人がいない事を確認した僕は、ボルトンの屋敷に一旦転移する。
先にパペックさんの所へ行こうかな。
◇
僕がパペック商会に来るのは久しぶりだ。ここのところずっと納品関係はレーヴァに任せっきりだったからね。
「あれ? 違う建物が立ってる?」
パペック商会の場所を忘れるはずがないんだけど、建物が大きくなっていて、更に豪華になっているような気がする……
って、新しい建物になってるね。
看板に「パペック商会」と屋号があるので間違いではないようだ。もともと大商会で、ボルトンでも大きな店だったけど……
中に入ると、僕の顔を覚えていた従業員がいたので、番頭格のトーマスさんを呼びに行ってもらった。
「これはこれはイルマ様、お久しぶりでございます」
「ご無沙汰しています、トーマスさん」
「さあさあ、どうぞ中へ。パペックももう戻ってくるはずです」
トーマスさんに応接室に通される。応接室は以前よりも、ワンランクもツーランクも上の豪華さになっていた。
「すぐにお茶をお持ちしますので、おかけになってお待ちください」
「あっ、どうぞお構いなく」
しばらく待っていると、パペックさんが入ってきた。
「お待たせして申し訳ございません。タクミ様、ご無沙汰しております」
「お久しぶりです、パペックさん。僕の方こそ、ここのところ忙しくて直接納品に来られなかったので」
お互いに挨拶を交わしてから、本題に移る。
「今日は、僕とソフィア、マリア、マーニとの結婚式への招待状を持ってきました」
「おお! やっとでございますか! まだかまだかとヤキモキしていたのですよ」
「おめでとうございます、イルマ様」
祝福してくれるパペックさんとトーマスさん。
招待状を二人に渡すと、パペックさんは早速内容を確認する。
「どれどれ。ほぅ、聖域の教会で式を挙げるのですね。私とトーマスもですか。喜んで出席させていただきます」
「……護衛は最小限との事ですが、どうせなら『獅子の牙』に指名依頼を出しますか?」
トーマスさんが渡した招待状を見てそう言ってきた。「獅子の牙」の面々も式に招待するとわかっているのだろう。
パペックさんが賛同して言う。
「おお、それはいいですね。タクミ様と彼らは、何度か一緒に依頼を受けたと聞いています。確か、ボード村からボルトンまでも一緒でしたね」
「はい。ヒースさん達にはお世話になりました。このあと冒険者ギルドに行って、バラックさんとハンスさんに招待状を渡すついでに、ヒースさん達への招待状を預けておこうと思っています」
「獅子の牙」のヒースさん、ライルさん、ボガさんの三人とは、パペックさんと一緒にボード村からボルトンに向かう途中で出会った。その後も、トレント狩りやダンジョンの攻略でお世話になっている、言わば腐れ縁なのだ。
「ではちょうどいいので、私達は彼らと一緒に聖域へ向かうとします」
「ありがとうございます。聖域の東に門を作りました。そこを入ると招待客専用の宿泊施設があるので、式の前日までにチェックインしてください」
早めに到着してゆっくりと滞在しても大丈夫だと告げ、僕はパペック商会をあとにした。
◇
パペック商会から冒険者ギルドに向かって進みつつ、こうしてボルトンの街を歩くのは久しぶりだと気が付く。
シドニア神皇国が雇った闇ギルドが僕を襲撃して以来、街中を歩くのはソフィアから止められていたし、最近ボルトンの屋敷には転移でしか行き来してないんだよね。
ボルトンの街を楽しみながら歩き、変わらぬ姿の冒険者ギルドの建物にたどり着いた。
中に入ると、忙しい時間帯が過ぎているので当たり前だけど、閑散としていた。周囲を見回していると、すぐに声をかけられる。
「タクミ君! タクミ君じゃないか! 久しぶりだね。一人かい? ソフィアさんが一緒じゃないなんて珍しいね」
「ハンスさん、ご無沙汰してます。今日はみんな忙しくて僕一人なんです。それで、バラックさんいますか?」
「案内するよ。ついて来て」
ハンスさんのあとについて、ギルマスであるバラックさんの部屋へ向かう。
コンコンッ。
「ギルマス、タクミ君が来ています」
「おう! 入ってもらえ!」
ドアをノックしてハンスさんが室内に呼びかけると、中からバラックさんの声が聞こえた。
「さぁ、どうぞ」
「はい」
ハンスさんに促されて部屋に入る。
バラックさんは、相変わらず書類にまみれていた。
「おう。タクミがわざわざ俺を訪ねてくるなんて珍しいな。トラブルって顔じゃないようだが……まあ、座れや」
「はい。あっ、ハンスさんも一緒に話を聞いてください」
「僕もかい?」
三人で来客用のソファーに座ったところで、僕は招待状を取り出す。
「このたび、ソフィア、マリア、マーニと結婚式を挙げる事になり……つきましては、バラックさんとハンスさんに出席してもらいたいと思いまして……」
「おお! それはめでてえじゃねえか」
「おめでとう、タクミ君」
続けて挙式の日程を伝え、招待客用の宿泊施設がある事を話す。
「もちろん出席させてもらうぞ」
「ギルマスのスケジュールを調整しないといけませんが、大丈夫ですよ。という事でギルマス、書類は片付けてしまってくださいね」
「なっ!? まさか全部って言わねぇよな」
「いえ、全部ですよ」
ハンスさんからそう言われたバラックさんは、積み上げられた書類の山を見て、遠い目をしていた。
それから僕は「獅子の牙」宛の招待状をハンスさんに渡し、ギルド経由でバーキラ王国、ロマリア王国、ユグル王国に招待状を届けてもらう依頼を出した。
バラックさんが溜息混じりに言う。
「……仕方ねぇか、ちゃっちゃと書類を片付けるか」
「では、私達は余裕を持って到着するように向かいますので、聖域で会いましょう」
「はい、お待ちしています」
こうして冒険者ギルドでの用事を済ませた僕は、挙式の打ち合わせのために聖域へ戻るのだった。
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