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4巻
4-3
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◇
ある日、背の低いおじいちゃんが精霊樹の側に現れた。
「ホッホッホッ、心地よい場所じゃな。気に入った、儂もここに住むぞい」
そう言って僕達が造った石造りの家を勝手に増築して住み始めたのは、ウィンディーネ曰く土の大精霊のノームだった。
そしてノームが現れた直後、鍛冶工房の炉に火蜥蜴が顕現した。
「火の因子が少ねえな、お前達もっと火を使え!」
火蜥蜴はそう言うと、少年の姿に変化した。彼が大精霊サラマンダーである。
これで、火、水、風、土、木の五人の大精霊が揃った事になる。
ウィンディーネをはじめ全員が精霊樹に集まり、精霊樹を中心に五芒星の形に並ぶ。次の瞬間、ウィンディーネ達の魔力が膨れ上がった。これにより聖なる力でこの土地が覆われたらしい。
千年ぶりに、地上に聖域が誕生した瞬間だった。
5 集まる精霊、出ていく精霊
その日、ユグル王国で異常な出来事が同時に起きた。
国内各地で精霊が激減したのだ。
世界樹の周りには辛うじて精霊が残っているが、ユグル王国の各所で明らかに精霊が見られなくなっていた。
ユグル王国に住むエルフは慌て、精霊に理由を聞こうと試みた。しかし、明確な答えを聞けたエルフは誰もいなかった。精霊との繋がりが薄れたこの国のエルフに、ユグル王国の外に精霊樹が育ち、その場が聖域となった事に気づけるはずがなかった。
世界樹と精霊樹は名前こそ違っているものの、その関係は「全にして個、個にして全」だと言える。
ユグル王国の中にも、世界樹の種から芽吹き精霊樹となった樹が三本ある。王家は長いユグル王国の歴史の中で、たった三本しか精霊樹を増やす事が出来なかったのだ。
タクミの力で新たに一本の精霊樹が誕生した時、世界樹とユグル王国内の三本の精霊樹は「全にして個、個にして全」であるため地脈を通じて繋がった。
この時、世界樹は果実をつけるのをやめた。タクミの作った聖域の精霊樹がそれを引き継いだのだが、それにユグル王国が気づくのは先の事だ。
◆
ユグル王国国王フォルセルティ・ヴァン・ユグルは、宰相のバルザから国内で突然起こった異変の報告を受け、頭を抱えていた。
「ふむ、精霊の激減か……こんな事は初めてであろう」
「はっ、長いユグル王国の歴史の中でも、これほど急激に数を減らしたのは初めてだと思われます」
深刻な表情で考え込むフォルセルティ。バルザも打つ手がないため、情報を集めるしか出来なかった。
そこに――
「お父様、ただいま戻りました」
美しさの中に神聖な空気をまとったエルフの美少女が入ってきた。
フォルセルティの三女、ユグル王国第三王女で光属性魔法の遣い手、ミーミルである。ミーミルはユグドラシルの様子を見て戻ってきたところだった。
フォルセルティがミーミルに尋ねる。
「で、どうであったミーミル?」
「……はい、ユグドラシルの周辺はいつも通り精霊達が飛び交っていました」
ミーミルの返答にバルザは混乱し、フォルセルティに問う。
「ふーむ、陛下、原因に心当たりはありませんか?」
「いや、我が王家の記録にもこのような事は記されてなかった」
「お父様、ユグドラシルの状態はむしろ近年になく元気を取り戻しています」
ミーミルが報告したように、世界樹はその力を増していた。
聖域にある精霊樹と地脈で繋がった影響を受けたためである。それを裏付けるかのように、ユグル王国を覆う結界も強固なものになっていた。
バルザはますます訳が分からなくなり、再びミーミルに尋ねる。
「ミーミル様でも原因は分かりませんか」
「精霊の声を聞いているのですが、どうにも要領を得ないのです。申し訳ありません」
「い、いえ、とんでもございません。ミーミル様はこれ以上ないほどユグル王国の力になっておいでです」
申し訳なさそうに肩を落とすミーミルに、バルザが慌ててフォローする。
実際、ミーミルが聞いた精霊の声は支離滅裂で、よく分からなかった。
それから、ミーミル達が精霊が激減した原因にたどり着くまで、ひと月以上かかった。
◆
「バルザ、原因は分かったのか」
ユグル王国内の精霊の減少は、国民を不安にしていた。そのため、フォルセルティは一刻も早く事態を収拾する必要があった。
宰相のバルザの隣にいる第三王女ミーミルの表情は優れない。
バルサが神妙な面持ちで答える。
「……はい、確定ではありませんが、多くの情報を集めた結果、どういう経緯かは分からないのですが、ユグル国外にて世界樹の種が芽吹き、精霊樹となったという噂がございます」
「なっ! そんなわけがあるまい」
フォルセルティが衝撃を受けるのは当然だろう。長年儀式を執り行い、それでも世界樹の種からは精霊樹を育てる事が出来なかったのだ。
それにもかかわらず国外に精霊樹が存在しているという。
「おそらく事実だと思われます。精霊の話を総合すると、精霊樹のあるその場所には、精霊が集まっている模様で……」
「……いや、待てバルザ」
衝撃から立ち直ったフォルセルティがバルザを制止する。
「精霊樹に精霊が集まるのは分かる。しかし、ユグル王国内の精霊が激減するのはおかしいのではないか。ここには世界樹があるのだぞ」
バルザは残念そうに答える。
「陛下、お忘れですか。世界樹は『全にして個、個にして全』なのです」
「どういう事だ」
「極端な話、このユグル王国の王都にあるユグドラシルに代わる個が現れれば、その精霊樹が世界樹になりえるのです」
「……」
あまりのショックに、気を失いそうになるフォルセルティ。
「陛下、ただちに世界樹が取って代わるわけではありません」
バルザは慌ててフォローしたが、フォルセルティは依然として放心状態だった。
しばらくして、気を落ち着けたフォルセルティが口を開く。
「……精霊樹の場所を特定するのだ。何としても探し出すように」
「かしこまりました」
その日から、ユグル王国の精霊魔術師は各地に散り、国外で育ったという精霊樹の探索に乗り出した。しかし、焦るフォルセルティを嘲笑うかのように、精霊樹は些細な痕跡すら見せる事はなかった。
◆
やっと怪しい場所を見つけた時には、二ヶ月が経っていた。
フォルセルティがバルザに問う。
「見つけたのか、バルザ!」
「陛下、怪しき場所を見つけましたが、そこに真に精霊樹があるかは分かりません」
「うん? どういう事だ?」
「実は、精霊魔術師が近づけぬのです」
「近づけぬとはどういう事だ」
さらにバルザは、エルフが立ち入れぬその場所に、精霊が入っていったのを目撃したという報告を伝えた。
「精霊だけが入れるという事か」
「はい。しかもそこからは、神聖な強い魔力を感じたという報告も受けています」
その時――
「私に調べさせてください」
ミーミルが名乗りを上げた。
しかし、バルザが慌てて止める。
「王女様、彼の地は未開地にあります。王家の姫が出向くには危険すぎます!」
「大丈夫です。これでも私も精霊魔術師ですから」
沈黙の後、フォルセルティが口を開く。
「……ふむ、近衛騎士団を護衛に付けよう。それならば万が一もあるまい」
「そうですな……姫様なら何か分かるやもしれません」
優秀な精霊魔術師で聖女と呼ばれるユグル王国の宝、ミーミルならば。フォルセルティとバルザは、渋々ながらもミーミルを送り出す事を決めたのだった。
6 拒絶する聖域
さっそくミーミル達一行は、精霊樹があるかもしれないと報告を受けた場所にやってきた。
そこには不思議な光景が広がっていた。それまで荒れ地が続いていたのに、唐突に緑の草原が現れたのだ。
さらに不思議な事に、護衛の騎士達が立ち入ろうとしても何故かそれ以上進む事が出来なかった。
ミーミルが近づき、そして呟く。
「これは……結界」
優れた精霊魔術師であるミーミルはそこに結界がある事、また結界から精霊の力が溢れている事を感じた。
騎士達が戻ってきてミーミルに報告する。
「姫様、やはりこれより先へは進めません」
ミーミルは覚悟を決めて告げる。
「……私が行ってみます」
「それはダメです。何があるか分かりません。危険です!」
騎士が慌てて止めるが、ミーミルは何となく自分なら進めるのではと感じていた。
「これは精霊の結界です。危険なものではありません」
「しかし」
「私も結界に阻まれる可能性も高いのです。出来るだけの事をやってみましょう」
ミーミルはそう言うと、一人結界の中へと歩き始めた。
◆
ウィンディーネとドリュアスが、何者かが聖域に近づこうとしているのに気がつく。しかし、彼女達はこれまでとは違った反応をした。
「あらっ、お客さんかしら。この子なら入れても大丈夫ね」
「そうみたいね~、タクミちゃんに知らせるわ~」
二人により、何故かミーミルは聖域に入れる事になった。
◆
「……」
ミーミルは言葉を発する事も出来ず、ただ立ち尽くしていた。
彼女の目の前に広がるのは、一面に広がる緑の絨毯に色とりどりの花々。そして、国を挙げて探していた高さ50メートルはあろうかという精霊樹だった。側には清らかな水を湛える泉があり、その向こうには青々とした林が見える。
泉の側には石造りの家が立っていた。その庭にテーブルと椅子を並べ、お茶を飲んでいる人達がいる。銀髪に端整な顔立ちの人族の青年。さらに、獣人族の女性と少女達、赤髪の人族の少女、そしてエルフの女性が席に着いていた。
それらに加えて、明らかにただならぬ雰囲気を漂わせる存在がいる。美しい女性が二人、少女が一人、小柄な老人が一人、赤い肌の少年が一人。
ミーミルは即座に彼らが大精霊だと気づいた。
どうしたら良いか分からず、おぼつかない足取りで近づこうとするミーミル。そんな彼女をウィンディーネがにっこりと迎え入れる。
「いらっしゃい。私達の地へ」
「ウィ、ウィンディーネ様ですか……お隣はドリュアス様、それにシルフ様、ノーム様にサラマンダー様、大精霊様達がどうして」
初めて目にした大精霊に混乱してしまい、ミーミルは腰が抜けて座り込んでしまった。
それも仕方のない事だろう。今のユグル王国に住むエルフで、大精霊を見た事のある者はいないのだから。
風の精霊シルフが、側にいた兎人族のメイド、マーニを振りあおぐ。
「マーニ、椅子を一つ用意してあげて」
「はい、シルフ様」
マーニが家の中から椅子を持ってきた。ドリュアスがミーミルを促す。
「エルフのお嬢さん、椅子にお座りなさい」
「は、はい、失礼します」
ミーミルがガチガチに緊張した身体を起こして、マーニが用意してくれた椅子に座った。
ウィンディーネがミーミルに尋ねる。
「それで、エルフのお嬢さんはどういったご用?」
「は、はい、あ、あの、ユグル王国から精霊達が大量にいなくなった原因を探していまして、そして国の外に精霊樹があると聞いたのです。でも、我が国の精霊魔術師は誰も入る事が出来なくて……」
「それはそうよ、ここはエルフの土地じゃないもの。勝手に入られたら困るから、私達大精霊が結界を張っているのよ」
ウィンディーネの言葉にミーミルは困惑してしまう。
エルフは精霊と共に生きていくもの、そう思ってきたミーミルにとって、それは精霊から拒絶されたという事だった。
◇
今日も今日とて、僕、タクミは土木作業に精を出していた。もちろん、精霊樹や大精霊達に頼まれたからだけど。
そんな時、結界外からこの地を訪ねて来た者がいると、ドリュアスから知らされた。
「エルフのお嬢さんよ。ウィンディーネが一人だけ結界を通すって言ってるから、お茶を飲んで待ってましょう」
「へぇ~、お客さんなんて珍しいね」
石造りの屋敷の前にあるテーブルに椅子を並べて、結界を抜けてくる人物を待つ。
現れたのは、綺麗なドレスに身を包んだエルフの女性だった。
なんと彼女はユグル王国の王女様で、ミーミルというらしい。何故こんな場所に来たのかなんて聞くまでもなく……目的は精霊樹だろう。
その後、ウィンディーネと会話し、何だかショックを受けて落ち込んでいる感じのミーミルにシルフが言う。
「貴女達エルフは勘違いしてるかもしれないけど、世界樹も精霊もエルフのものじゃないのよ」
「えっ……」
「ちょっと、シルフ、もうちょっと優しく」
シルフの言葉を聞いて、涙ぐむミーミル。ドリュアスが優しくフォローするものの、さらにシルフはきつく言う。
「いいのよ、最近のエルフは勘違いしている連中が多いから」
「シルフ、もっと柔らかい言い方でお願い」
これじゃあ、ミーミルが可哀相だと思ったんだけど。
「……ここはどういう土地なのですか? 大精霊様達が顕現し、清浄な気が溢れるこの土地は?」
あっ、立ち直りが早いなこの娘。
シルフが冷たく答える。
「ここは精霊の聖域よ」
「なっ!! どうして!! ユグル王国じゃなく、何故この場所なのですか?」
ミーミルは、聖域が自分達の国以外に出来た事が納得出来ないらしい。泣きそうな顔でシルフに訴えかけている。
「理由は別にないわよ」
相変わらず冷たいシルフに、ウィンディーネとノームが続く。
「そうね、どういったわけか、偶然ここに世界樹の種があって、偶然タクミがこの地を浄化してくれて、精霊樹が育つ環境を整えてくれた。それだけの事よ」
「そうじゃの。さらに付け加えるなら、儂ら大精霊が顕現出来る環境を用意出来なんだエルフと違い、タクミは損得勘定抜きで働いてくれるからの」
いや、そんな計算の入り込む隙なく働かされたと記憶しているんだけど。
それはともかく、ウィンディーネ達までミーミルに冷たい気がする。ミーミルがどんどん涙目になっていくよ。
「だいたい、エルフにはたまたま精霊魔法に適性があるだけで、精霊は無条件でエルフの味方なんてしない。今ある世界樹は絶対じゃない。エルフが傲慢であり続けたら、ここの精霊樹が世界樹に取って代わるんだ」
あぁ、もうやめてあげて。サラマンダーの言葉がミーミルにトドメを刺したみたいだ。ミーミル、真っ白になってるよ。
ソフィアは祖国の王女を前に、空気と化す事に決めたみたいだ。さっきからずっと気配を消していた。
その後ミーミルは――
「お父様になんて報告したらいいの……」
そう呟いて、一人トボトボと聖域を出ていった。
7 エルフの国に走る衝撃
ミーミルが結界から出てきたのを見て、護衛の騎士達が駆け寄る。
「姫様! ご無事でしたか!」
ミーミルは誰とも視線を合わせずに告げた。
「国へ帰ります」
「はっ、姫様?」
ミーミルは困惑する騎士達をよそに、そのまま馬車に乗り込んだ。騎士達は戸惑ったものの、指示された通り帰還の準備をする。
こうしてミーミルを乗せた馬車はユグル王国へ帰っていった。護衛の騎士達はミーミルに、結界の中で何を見たのか何も聞けなかった。
ミーミル一行が王都にたどり着いたのは、聖域を出て三日目の事。
世界樹が雲を突き破りそびえる、いつもミーミルの心を穏やかにしてくれる光景さえ、今の彼女には何ももたらさなかった。
大精霊達は、世界樹は絶対の存在ではないと言っていた。
さらには、エルフが傲慢であり続けるなら、精霊樹が世界樹に取って代わる可能性もあるのだと言っていたのだ。
世界樹の近くに建つ白い王城が近づいてもなお、ミーミルの心はざわついたままだった。この後、父である国王に報告するのが憂鬱でたまらない。
馬車が王城に到着し、謁見の準備に入る。
フォルセルティは、ミーミルの報告を謁見の間ではなく会議室で行う事に変更し、参加者をフォルセルティ、ミーミル、宰相のバルザの三人だけにした。ミーミルが持ち帰った情報によっては、貴族達が暴走する可能性を危惧したのだ。
会議室にやってきたミーミルが帰還を告げる。
「お父様、ただいま戻りました」
「ミーミル、とりあえずはご苦労だった」
そこへ、バルザが待ちきれないといった様子で尋ねてくる。
「それで姫様、精霊樹は見つかったのですか?」
ミーミルはバルザに頷くと、そのままフォルセルティの方へ顔を向ける。
「……お父様、世界樹の種が芽吹き、立派な精霊樹が育っていました」
「姫様は結界の中に入る事が出来たのですか!」
バルザが珍しく大きな声を上げる。ミーミルは首を横に振った。
「入れたというのは違うと思います。たまたま中に入れていただいただけで、次もあの場所へ入れるかは分かりません」
フォルセルティとバルザは揃って首をかしげた。フォルセルティが尋ねる。
「ミーミル、入れていただいたとはどういう事だ? 精霊樹が育ち始めた土地は未開地だと報告を受けておる。ミーミルは、誰かの許可を得て結界を抜けたという事なのか?」
ミーミルの話では、彼女の能力で侵入したのではないように聞こえた。フォルセルティが再び首をかしげているとミーミルが告げる。
「先ほどの言葉のままです。あの土地に張られている結界は、ユグル王国に張られたものよりもずっと高度な結界でした。私ごときが侵入するなど、千年かかっても無理でしょう」
「なっ!? 我が国の結界は、世界樹と精霊の力を使った、先祖代々のエルフの技術の結晶なのだぞ。その結界よりも高度なものなど存在するわけがあるまい!」
「お父様、その場所の結界は、エルフよりも上位の存在が精霊樹を中心に張り巡らせたものなのです」
世界樹と精霊の力を借りて、十数人のエルフが張るのが、ユグル王国の結界だ。
フォルセルティとバルザは、エルフより上位の存在と言われても、すぐに思いつかない。傲慢だが、これがエルフの一般的な思考なのだ。
「エルフより上位の存在だと……何者なのだ?」
「私はあの地で、五柱の大精霊様とお会いする機会をいただきました。あの地に大精霊様達が顕現されているのです」
「なっ……」
「……」
大精霊と聞いて、驚愕するフォルセルティとバルザ。
ミーミルが続ける。
「水の大精霊ウィンディーネ様、風の大精霊シルフ様、土の大精霊ノーム様、火の大精霊サラマンダー様、木の大精霊ドリュアス様が顕現され、精霊樹を中心としたあの土地を聖域としたようです。未開地に数多く点在していた魔境の一つ、瘴気溢れる土地が今では、清浄な水や空気に囲まれ、精霊も飛び交っています」
フォルセルティとバルザは既に理解不能に陥っていた。
本来、エルフは精霊と共に生きてきた。しかし、彼らは大精霊が顕現したと言われても信じる事が出来ないほど、精霊との繋がりを失っていたのだ。
ある日、背の低いおじいちゃんが精霊樹の側に現れた。
「ホッホッホッ、心地よい場所じゃな。気に入った、儂もここに住むぞい」
そう言って僕達が造った石造りの家を勝手に増築して住み始めたのは、ウィンディーネ曰く土の大精霊のノームだった。
そしてノームが現れた直後、鍛冶工房の炉に火蜥蜴が顕現した。
「火の因子が少ねえな、お前達もっと火を使え!」
火蜥蜴はそう言うと、少年の姿に変化した。彼が大精霊サラマンダーである。
これで、火、水、風、土、木の五人の大精霊が揃った事になる。
ウィンディーネをはじめ全員が精霊樹に集まり、精霊樹を中心に五芒星の形に並ぶ。次の瞬間、ウィンディーネ達の魔力が膨れ上がった。これにより聖なる力でこの土地が覆われたらしい。
千年ぶりに、地上に聖域が誕生した瞬間だった。
5 集まる精霊、出ていく精霊
その日、ユグル王国で異常な出来事が同時に起きた。
国内各地で精霊が激減したのだ。
世界樹の周りには辛うじて精霊が残っているが、ユグル王国の各所で明らかに精霊が見られなくなっていた。
ユグル王国に住むエルフは慌て、精霊に理由を聞こうと試みた。しかし、明確な答えを聞けたエルフは誰もいなかった。精霊との繋がりが薄れたこの国のエルフに、ユグル王国の外に精霊樹が育ち、その場が聖域となった事に気づけるはずがなかった。
世界樹と精霊樹は名前こそ違っているものの、その関係は「全にして個、個にして全」だと言える。
ユグル王国の中にも、世界樹の種から芽吹き精霊樹となった樹が三本ある。王家は長いユグル王国の歴史の中で、たった三本しか精霊樹を増やす事が出来なかったのだ。
タクミの力で新たに一本の精霊樹が誕生した時、世界樹とユグル王国内の三本の精霊樹は「全にして個、個にして全」であるため地脈を通じて繋がった。
この時、世界樹は果実をつけるのをやめた。タクミの作った聖域の精霊樹がそれを引き継いだのだが、それにユグル王国が気づくのは先の事だ。
◆
ユグル王国国王フォルセルティ・ヴァン・ユグルは、宰相のバルザから国内で突然起こった異変の報告を受け、頭を抱えていた。
「ふむ、精霊の激減か……こんな事は初めてであろう」
「はっ、長いユグル王国の歴史の中でも、これほど急激に数を減らしたのは初めてだと思われます」
深刻な表情で考え込むフォルセルティ。バルザも打つ手がないため、情報を集めるしか出来なかった。
そこに――
「お父様、ただいま戻りました」
美しさの中に神聖な空気をまとったエルフの美少女が入ってきた。
フォルセルティの三女、ユグル王国第三王女で光属性魔法の遣い手、ミーミルである。ミーミルはユグドラシルの様子を見て戻ってきたところだった。
フォルセルティがミーミルに尋ねる。
「で、どうであったミーミル?」
「……はい、ユグドラシルの周辺はいつも通り精霊達が飛び交っていました」
ミーミルの返答にバルザは混乱し、フォルセルティに問う。
「ふーむ、陛下、原因に心当たりはありませんか?」
「いや、我が王家の記録にもこのような事は記されてなかった」
「お父様、ユグドラシルの状態はむしろ近年になく元気を取り戻しています」
ミーミルが報告したように、世界樹はその力を増していた。
聖域にある精霊樹と地脈で繋がった影響を受けたためである。それを裏付けるかのように、ユグル王国を覆う結界も強固なものになっていた。
バルザはますます訳が分からなくなり、再びミーミルに尋ねる。
「ミーミル様でも原因は分かりませんか」
「精霊の声を聞いているのですが、どうにも要領を得ないのです。申し訳ありません」
「い、いえ、とんでもございません。ミーミル様はこれ以上ないほどユグル王国の力になっておいでです」
申し訳なさそうに肩を落とすミーミルに、バルザが慌ててフォローする。
実際、ミーミルが聞いた精霊の声は支離滅裂で、よく分からなかった。
それから、ミーミル達が精霊が激減した原因にたどり着くまで、ひと月以上かかった。
◆
「バルザ、原因は分かったのか」
ユグル王国内の精霊の減少は、国民を不安にしていた。そのため、フォルセルティは一刻も早く事態を収拾する必要があった。
宰相のバルザの隣にいる第三王女ミーミルの表情は優れない。
バルサが神妙な面持ちで答える。
「……はい、確定ではありませんが、多くの情報を集めた結果、どういう経緯かは分からないのですが、ユグル国外にて世界樹の種が芽吹き、精霊樹となったという噂がございます」
「なっ! そんなわけがあるまい」
フォルセルティが衝撃を受けるのは当然だろう。長年儀式を執り行い、それでも世界樹の種からは精霊樹を育てる事が出来なかったのだ。
それにもかかわらず国外に精霊樹が存在しているという。
「おそらく事実だと思われます。精霊の話を総合すると、精霊樹のあるその場所には、精霊が集まっている模様で……」
「……いや、待てバルザ」
衝撃から立ち直ったフォルセルティがバルザを制止する。
「精霊樹に精霊が集まるのは分かる。しかし、ユグル王国内の精霊が激減するのはおかしいのではないか。ここには世界樹があるのだぞ」
バルザは残念そうに答える。
「陛下、お忘れですか。世界樹は『全にして個、個にして全』なのです」
「どういう事だ」
「極端な話、このユグル王国の王都にあるユグドラシルに代わる個が現れれば、その精霊樹が世界樹になりえるのです」
「……」
あまりのショックに、気を失いそうになるフォルセルティ。
「陛下、ただちに世界樹が取って代わるわけではありません」
バルザは慌ててフォローしたが、フォルセルティは依然として放心状態だった。
しばらくして、気を落ち着けたフォルセルティが口を開く。
「……精霊樹の場所を特定するのだ。何としても探し出すように」
「かしこまりました」
その日から、ユグル王国の精霊魔術師は各地に散り、国外で育ったという精霊樹の探索に乗り出した。しかし、焦るフォルセルティを嘲笑うかのように、精霊樹は些細な痕跡すら見せる事はなかった。
◆
やっと怪しい場所を見つけた時には、二ヶ月が経っていた。
フォルセルティがバルザに問う。
「見つけたのか、バルザ!」
「陛下、怪しき場所を見つけましたが、そこに真に精霊樹があるかは分かりません」
「うん? どういう事だ?」
「実は、精霊魔術師が近づけぬのです」
「近づけぬとはどういう事だ」
さらにバルザは、エルフが立ち入れぬその場所に、精霊が入っていったのを目撃したという報告を伝えた。
「精霊だけが入れるという事か」
「はい。しかもそこからは、神聖な強い魔力を感じたという報告も受けています」
その時――
「私に調べさせてください」
ミーミルが名乗りを上げた。
しかし、バルザが慌てて止める。
「王女様、彼の地は未開地にあります。王家の姫が出向くには危険すぎます!」
「大丈夫です。これでも私も精霊魔術師ですから」
沈黙の後、フォルセルティが口を開く。
「……ふむ、近衛騎士団を護衛に付けよう。それならば万が一もあるまい」
「そうですな……姫様なら何か分かるやもしれません」
優秀な精霊魔術師で聖女と呼ばれるユグル王国の宝、ミーミルならば。フォルセルティとバルザは、渋々ながらもミーミルを送り出す事を決めたのだった。
6 拒絶する聖域
さっそくミーミル達一行は、精霊樹があるかもしれないと報告を受けた場所にやってきた。
そこには不思議な光景が広がっていた。それまで荒れ地が続いていたのに、唐突に緑の草原が現れたのだ。
さらに不思議な事に、護衛の騎士達が立ち入ろうとしても何故かそれ以上進む事が出来なかった。
ミーミルが近づき、そして呟く。
「これは……結界」
優れた精霊魔術師であるミーミルはそこに結界がある事、また結界から精霊の力が溢れている事を感じた。
騎士達が戻ってきてミーミルに報告する。
「姫様、やはりこれより先へは進めません」
ミーミルは覚悟を決めて告げる。
「……私が行ってみます」
「それはダメです。何があるか分かりません。危険です!」
騎士が慌てて止めるが、ミーミルは何となく自分なら進めるのではと感じていた。
「これは精霊の結界です。危険なものではありません」
「しかし」
「私も結界に阻まれる可能性も高いのです。出来るだけの事をやってみましょう」
ミーミルはそう言うと、一人結界の中へと歩き始めた。
◆
ウィンディーネとドリュアスが、何者かが聖域に近づこうとしているのに気がつく。しかし、彼女達はこれまでとは違った反応をした。
「あらっ、お客さんかしら。この子なら入れても大丈夫ね」
「そうみたいね~、タクミちゃんに知らせるわ~」
二人により、何故かミーミルは聖域に入れる事になった。
◆
「……」
ミーミルは言葉を発する事も出来ず、ただ立ち尽くしていた。
彼女の目の前に広がるのは、一面に広がる緑の絨毯に色とりどりの花々。そして、国を挙げて探していた高さ50メートルはあろうかという精霊樹だった。側には清らかな水を湛える泉があり、その向こうには青々とした林が見える。
泉の側には石造りの家が立っていた。その庭にテーブルと椅子を並べ、お茶を飲んでいる人達がいる。銀髪に端整な顔立ちの人族の青年。さらに、獣人族の女性と少女達、赤髪の人族の少女、そしてエルフの女性が席に着いていた。
それらに加えて、明らかにただならぬ雰囲気を漂わせる存在がいる。美しい女性が二人、少女が一人、小柄な老人が一人、赤い肌の少年が一人。
ミーミルは即座に彼らが大精霊だと気づいた。
どうしたら良いか分からず、おぼつかない足取りで近づこうとするミーミル。そんな彼女をウィンディーネがにっこりと迎え入れる。
「いらっしゃい。私達の地へ」
「ウィ、ウィンディーネ様ですか……お隣はドリュアス様、それにシルフ様、ノーム様にサラマンダー様、大精霊様達がどうして」
初めて目にした大精霊に混乱してしまい、ミーミルは腰が抜けて座り込んでしまった。
それも仕方のない事だろう。今のユグル王国に住むエルフで、大精霊を見た事のある者はいないのだから。
風の精霊シルフが、側にいた兎人族のメイド、マーニを振りあおぐ。
「マーニ、椅子を一つ用意してあげて」
「はい、シルフ様」
マーニが家の中から椅子を持ってきた。ドリュアスがミーミルを促す。
「エルフのお嬢さん、椅子にお座りなさい」
「は、はい、失礼します」
ミーミルがガチガチに緊張した身体を起こして、マーニが用意してくれた椅子に座った。
ウィンディーネがミーミルに尋ねる。
「それで、エルフのお嬢さんはどういったご用?」
「は、はい、あ、あの、ユグル王国から精霊達が大量にいなくなった原因を探していまして、そして国の外に精霊樹があると聞いたのです。でも、我が国の精霊魔術師は誰も入る事が出来なくて……」
「それはそうよ、ここはエルフの土地じゃないもの。勝手に入られたら困るから、私達大精霊が結界を張っているのよ」
ウィンディーネの言葉にミーミルは困惑してしまう。
エルフは精霊と共に生きていくもの、そう思ってきたミーミルにとって、それは精霊から拒絶されたという事だった。
◇
今日も今日とて、僕、タクミは土木作業に精を出していた。もちろん、精霊樹や大精霊達に頼まれたからだけど。
そんな時、結界外からこの地を訪ねて来た者がいると、ドリュアスから知らされた。
「エルフのお嬢さんよ。ウィンディーネが一人だけ結界を通すって言ってるから、お茶を飲んで待ってましょう」
「へぇ~、お客さんなんて珍しいね」
石造りの屋敷の前にあるテーブルに椅子を並べて、結界を抜けてくる人物を待つ。
現れたのは、綺麗なドレスに身を包んだエルフの女性だった。
なんと彼女はユグル王国の王女様で、ミーミルというらしい。何故こんな場所に来たのかなんて聞くまでもなく……目的は精霊樹だろう。
その後、ウィンディーネと会話し、何だかショックを受けて落ち込んでいる感じのミーミルにシルフが言う。
「貴女達エルフは勘違いしてるかもしれないけど、世界樹も精霊もエルフのものじゃないのよ」
「えっ……」
「ちょっと、シルフ、もうちょっと優しく」
シルフの言葉を聞いて、涙ぐむミーミル。ドリュアスが優しくフォローするものの、さらにシルフはきつく言う。
「いいのよ、最近のエルフは勘違いしている連中が多いから」
「シルフ、もっと柔らかい言い方でお願い」
これじゃあ、ミーミルが可哀相だと思ったんだけど。
「……ここはどういう土地なのですか? 大精霊様達が顕現し、清浄な気が溢れるこの土地は?」
あっ、立ち直りが早いなこの娘。
シルフが冷たく答える。
「ここは精霊の聖域よ」
「なっ!! どうして!! ユグル王国じゃなく、何故この場所なのですか?」
ミーミルは、聖域が自分達の国以外に出来た事が納得出来ないらしい。泣きそうな顔でシルフに訴えかけている。
「理由は別にないわよ」
相変わらず冷たいシルフに、ウィンディーネとノームが続く。
「そうね、どういったわけか、偶然ここに世界樹の種があって、偶然タクミがこの地を浄化してくれて、精霊樹が育つ環境を整えてくれた。それだけの事よ」
「そうじゃの。さらに付け加えるなら、儂ら大精霊が顕現出来る環境を用意出来なんだエルフと違い、タクミは損得勘定抜きで働いてくれるからの」
いや、そんな計算の入り込む隙なく働かされたと記憶しているんだけど。
それはともかく、ウィンディーネ達までミーミルに冷たい気がする。ミーミルがどんどん涙目になっていくよ。
「だいたい、エルフにはたまたま精霊魔法に適性があるだけで、精霊は無条件でエルフの味方なんてしない。今ある世界樹は絶対じゃない。エルフが傲慢であり続けたら、ここの精霊樹が世界樹に取って代わるんだ」
あぁ、もうやめてあげて。サラマンダーの言葉がミーミルにトドメを刺したみたいだ。ミーミル、真っ白になってるよ。
ソフィアは祖国の王女を前に、空気と化す事に決めたみたいだ。さっきからずっと気配を消していた。
その後ミーミルは――
「お父様になんて報告したらいいの……」
そう呟いて、一人トボトボと聖域を出ていった。
7 エルフの国に走る衝撃
ミーミルが結界から出てきたのを見て、護衛の騎士達が駆け寄る。
「姫様! ご無事でしたか!」
ミーミルは誰とも視線を合わせずに告げた。
「国へ帰ります」
「はっ、姫様?」
ミーミルは困惑する騎士達をよそに、そのまま馬車に乗り込んだ。騎士達は戸惑ったものの、指示された通り帰還の準備をする。
こうしてミーミルを乗せた馬車はユグル王国へ帰っていった。護衛の騎士達はミーミルに、結界の中で何を見たのか何も聞けなかった。
ミーミル一行が王都にたどり着いたのは、聖域を出て三日目の事。
世界樹が雲を突き破りそびえる、いつもミーミルの心を穏やかにしてくれる光景さえ、今の彼女には何ももたらさなかった。
大精霊達は、世界樹は絶対の存在ではないと言っていた。
さらには、エルフが傲慢であり続けるなら、精霊樹が世界樹に取って代わる可能性もあるのだと言っていたのだ。
世界樹の近くに建つ白い王城が近づいてもなお、ミーミルの心はざわついたままだった。この後、父である国王に報告するのが憂鬱でたまらない。
馬車が王城に到着し、謁見の準備に入る。
フォルセルティは、ミーミルの報告を謁見の間ではなく会議室で行う事に変更し、参加者をフォルセルティ、ミーミル、宰相のバルザの三人だけにした。ミーミルが持ち帰った情報によっては、貴族達が暴走する可能性を危惧したのだ。
会議室にやってきたミーミルが帰還を告げる。
「お父様、ただいま戻りました」
「ミーミル、とりあえずはご苦労だった」
そこへ、バルザが待ちきれないといった様子で尋ねてくる。
「それで姫様、精霊樹は見つかったのですか?」
ミーミルはバルザに頷くと、そのままフォルセルティの方へ顔を向ける。
「……お父様、世界樹の種が芽吹き、立派な精霊樹が育っていました」
「姫様は結界の中に入る事が出来たのですか!」
バルザが珍しく大きな声を上げる。ミーミルは首を横に振った。
「入れたというのは違うと思います。たまたま中に入れていただいただけで、次もあの場所へ入れるかは分かりません」
フォルセルティとバルザは揃って首をかしげた。フォルセルティが尋ねる。
「ミーミル、入れていただいたとはどういう事だ? 精霊樹が育ち始めた土地は未開地だと報告を受けておる。ミーミルは、誰かの許可を得て結界を抜けたという事なのか?」
ミーミルの話では、彼女の能力で侵入したのではないように聞こえた。フォルセルティが再び首をかしげているとミーミルが告げる。
「先ほどの言葉のままです。あの土地に張られている結界は、ユグル王国に張られたものよりもずっと高度な結界でした。私ごときが侵入するなど、千年かかっても無理でしょう」
「なっ!? 我が国の結界は、世界樹と精霊の力を使った、先祖代々のエルフの技術の結晶なのだぞ。その結界よりも高度なものなど存在するわけがあるまい!」
「お父様、その場所の結界は、エルフよりも上位の存在が精霊樹を中心に張り巡らせたものなのです」
世界樹と精霊の力を借りて、十数人のエルフが張るのが、ユグル王国の結界だ。
フォルセルティとバルザは、エルフより上位の存在と言われても、すぐに思いつかない。傲慢だが、これがエルフの一般的な思考なのだ。
「エルフより上位の存在だと……何者なのだ?」
「私はあの地で、五柱の大精霊様とお会いする機会をいただきました。あの地に大精霊様達が顕現されているのです」
「なっ……」
「……」
大精霊と聞いて、驚愕するフォルセルティとバルザ。
ミーミルが続ける。
「水の大精霊ウィンディーネ様、風の大精霊シルフ様、土の大精霊ノーム様、火の大精霊サラマンダー様、木の大精霊ドリュアス様が顕現され、精霊樹を中心としたあの土地を聖域としたようです。未開地に数多く点在していた魔境の一つ、瘴気溢れる土地が今では、清浄な水や空気に囲まれ、精霊も飛び交っています」
フォルセルティとバルザは既に理解不能に陥っていた。
本来、エルフは精霊と共に生きてきた。しかし、彼らは大精霊が顕現したと言われても信じる事が出来ないほど、精霊との繋がりを失っていたのだ。
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