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第四十八話 王女様とお茶を
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ベルンへ来て三日目の朝、宿で朝食を食べていた時、見た事のある白銀の鎧に身を包んだ騎士がホクト達を訪ねて来た。
「ヴァルハイム卿、朝早くから申し訳ありません。
私は第三騎士団のトーマスと申します。
フランソワ王女より、先日のお礼を兼ねてお茶会へお越し頂きたいとの事です。
今日の午後に馬車でお迎えにあがります」
学園ではクラスメートだが、一歩外へ出れば王族と臣下には違いなく、ホクトに拒否する選択肢はなかった。
「分かりました。
準備してお待ちしています」
そう言って騎士が去って行った。
「アニキ、今日は王都へ出発するんじゃなかったのか?」
「あのなカジム、王族からの誘いを滅多な事じゃ断れないんだよ。これでも僕も男爵なんだから」
「ふ~ん、面倒なんだな」
「でも何時出発するの?」
サクヤに聞かれてホクトが少し考える。
「……別に僕達なら夜通し走っても平気だよな」
それを聴いたカジムがギョッとする。
「ホクト、夜の闇を苦にしないのは全員そうなのだけど、カジムは夜通し走るのは辛いんじゃないかしら」
「そ、そうだよな。アニキ、姐さんもそう言ってるし、夜通し走るのは止めよう」
焦ったカジムが何とかホクトの無茶振りを止めようとする。
「まぁ取り敢えず朝食を食べ終えたら、午後に宿をチェックアウトする準備だけしておこう」
午後に豪華な馬車が宿の前に着けられ、騎士が迎えに来た。
「豪華な内装の馬車だなぁアニキ」
乗り慣れない豪華な馬車にカジムは居心地が悪そうだった。
「まぁ僕やサクヤもこのクラスの馬車は初めてだからね。分かるよその気持ち」
「そうよね、ヴァルハイム家は少し前まで男爵だったものね」
馬車に揺られながら取り留めもない事を話しながらベルンの領主館へと向かう。
領主が住むに相応しい城と呼んでも差し障りのない建物へ通されたホクト達三人は、ベルバッハ伯爵の財力に感心する。
「これ、ベルバッハ卿に挨拶は必須だよな」
「そうね、なんだか嵌められた気分よね」
「人族の貴族は無駄にデカイ家に住むよな」
三人が馬車から降りながらボヤく。
ロンレス・フォン・ベルバッハ伯爵は、フランソワの祖父にあたる。王家へ娘をねじ込む手腕を持つ強かな政治家だとホクトは認識している。
部屋に案内された三人は、フランソワ王女に迎えられた。
「改めまして、先日はご助力感謝致します。
ホクト様達が通り掛からなければと思うと、体が震えて来ます」
「いえ、本当に偶然通りかかっただけですから」
お礼を言われ、お茶を飲みながら話していた時、フランソワが疑問に思っていた事を聞いて来た。
「ホクト様達は、馬車や馬も使わずにベルンへ来たのですか?」
フランソワ達が盗賊に襲われていた時に、助けてくれたホクト達は、馬車はおろか護衛の姿も見えなかった。フランソワはホクト達が冒険者として活動している事を情報として知っている。注目のヴァルハイム家三男の情報は、詳しく王家に収集されているのだから。
フランソワの護衛する第三騎士団のウルドに聞いた所、いくら冒険者とはいえ、子供三人で王都からベルンへ馬車も使わず移動する事はあり得ないと言っていたが、逆に今回、実際に彼等を見てしまうと、納得してしまう実力者だと言った。
「それに、私達を先に行かせて後始末をされた筈のホクト様方が、ベルンに先に到着していたと聞いたのですが」
「そりゃずっと走り続けたからな」
フランソワの問いに答えたのは、出されたお菓子を食べていたカジムだった。
「は?……走る?」
「そうだぜ、俺達は王都からずっと走って来たんだ。俺達が走れば、馬よりも速く長い時間走り続ける事が出来るからな」
フランソワはカジムの言葉を聞いて、理解が及ばずポカンとする。
街道を歩いて移動する者は少なくない。乗り合い馬車と徒歩を併用して移動するのは、王都からベルンなどの主街道では平民の移動手段としては、どちらかと言えばポピュラーだった。そう、平民の移動手段とと言う注釈がつくが…………。
部屋の扉がノックされ、そこにベルバッハ伯爵家の家宰が先触れに訪れた。
「ヴァルハイム男爵様、サクヤ様、カジム様、旦那様がご挨拶と、フランソワ陛下をお救い下されたお礼を言いたいと申されています」
当然、男爵にすぎないホクトに断れる筈もなく、暫くすると、ホクトの父カインやアーレンベルク辺境伯とは対極に位置する、見るからに文官という雰囲気の壮年の男が入って来た。
「あゝそのまま掛けてくれたまえ。
儂はロムレス・フォン・ベルバッハ、伯爵を賜っておる。此度は孫娘を助けてくれて感謝致す」
「お初にお目にかかります。ホクト・フォン・ヴァルハイムです。
お礼は、もうフランソワ様から頂きました。私達は偶然その場に居合わせる事が出来ただけです」
「サクヤ・アーレンベルクです」
「……カジムです」
ホクトに続いてサクヤとカジムも自己紹介をする。
「ヴァルハイム卿ではお父上と紛らわしいので、ホクト殿と呼ばせて貰うがよろしいかな。
ホクト殿達には、此度の事で是非御礼をしたいと思っているのじゃが、それとは別に明後日開かれる晩餐会に招待したいと思っている」
「申し訳ございませんベルバッハ卿。
私達はこの後直ぐに王都へと発つので、お気遣い無用でお願いします」
「えっ!もう帰られるのですか?」
ホクトの話に反応したのはフランソワだった。まさか今日、王都へと発つとは思わなかったのだろう。ロムレスも驚いていたが、さすがにそれを顔にだす事はなかった。
「はい、私達も王都で夏季休暇中にして置きたい事があるので、フランソワ様とはまた学園でお会いしましょう」
予定があると言うホクト達を、余り長く引き留める事も出来なかった。
ホクト達もベルンにはもう用はないので、早く王都へと帰りたかった。
「フランソワ陛下、学園ではもっとヴァルハイム卿と、仲良くなるべきだと愚考しますな」
ホクト達が屋敷を去ったあと、ロムレスとフランソワが孫と祖父ではなく、王族と臣下の会話をしていた。
「お祖父様、いえ、ベルバッハ卿、そうですわね」
王族との婚姻でホクトを取り込む事は難しい。
それはアーレンベルク辺境伯との関係もあるが、ホクトがエルフだという事も大きい。
ロマリア王国は、種族間差別を否定する国家ではあるが、王族にエルフを迎い入れるには、まだまだ強固に抵抗する勢力が多い。
「現状、国王派、貴族派、中立派の勢力は拮抗していますが、ホクト殿との関係性を強化する努力は必要でしょうな」
人が集まれば派閥が出来るのは当たり前の事だ。
現在、国内貴族は三つの派閥に別けられる。
中央集権を目指す国王派。
逆に貴族の権利を強め分権を勧める貴族派。
どちらの派閥からも距離を置く中立派。
アーレンベルク辺境伯家やヴァルハイム子爵家は中立派で、ベルバッハ伯爵家は当然国王派だ。
どうすれば王都へ戻ってから、ホクト達との距離を近付けるか考えるフランソワだった。
「ヴァルハイム卿、朝早くから申し訳ありません。
私は第三騎士団のトーマスと申します。
フランソワ王女より、先日のお礼を兼ねてお茶会へお越し頂きたいとの事です。
今日の午後に馬車でお迎えにあがります」
学園ではクラスメートだが、一歩外へ出れば王族と臣下には違いなく、ホクトに拒否する選択肢はなかった。
「分かりました。
準備してお待ちしています」
そう言って騎士が去って行った。
「アニキ、今日は王都へ出発するんじゃなかったのか?」
「あのなカジム、王族からの誘いを滅多な事じゃ断れないんだよ。これでも僕も男爵なんだから」
「ふ~ん、面倒なんだな」
「でも何時出発するの?」
サクヤに聞かれてホクトが少し考える。
「……別に僕達なら夜通し走っても平気だよな」
それを聴いたカジムがギョッとする。
「ホクト、夜の闇を苦にしないのは全員そうなのだけど、カジムは夜通し走るのは辛いんじゃないかしら」
「そ、そうだよな。アニキ、姐さんもそう言ってるし、夜通し走るのは止めよう」
焦ったカジムが何とかホクトの無茶振りを止めようとする。
「まぁ取り敢えず朝食を食べ終えたら、午後に宿をチェックアウトする準備だけしておこう」
午後に豪華な馬車が宿の前に着けられ、騎士が迎えに来た。
「豪華な内装の馬車だなぁアニキ」
乗り慣れない豪華な馬車にカジムは居心地が悪そうだった。
「まぁ僕やサクヤもこのクラスの馬車は初めてだからね。分かるよその気持ち」
「そうよね、ヴァルハイム家は少し前まで男爵だったものね」
馬車に揺られながら取り留めもない事を話しながらベルンの領主館へと向かう。
領主が住むに相応しい城と呼んでも差し障りのない建物へ通されたホクト達三人は、ベルバッハ伯爵の財力に感心する。
「これ、ベルバッハ卿に挨拶は必須だよな」
「そうね、なんだか嵌められた気分よね」
「人族の貴族は無駄にデカイ家に住むよな」
三人が馬車から降りながらボヤく。
ロンレス・フォン・ベルバッハ伯爵は、フランソワの祖父にあたる。王家へ娘をねじ込む手腕を持つ強かな政治家だとホクトは認識している。
部屋に案内された三人は、フランソワ王女に迎えられた。
「改めまして、先日はご助力感謝致します。
ホクト様達が通り掛からなければと思うと、体が震えて来ます」
「いえ、本当に偶然通りかかっただけですから」
お礼を言われ、お茶を飲みながら話していた時、フランソワが疑問に思っていた事を聞いて来た。
「ホクト様達は、馬車や馬も使わずにベルンへ来たのですか?」
フランソワ達が盗賊に襲われていた時に、助けてくれたホクト達は、馬車はおろか護衛の姿も見えなかった。フランソワはホクト達が冒険者として活動している事を情報として知っている。注目のヴァルハイム家三男の情報は、詳しく王家に収集されているのだから。
フランソワの護衛する第三騎士団のウルドに聞いた所、いくら冒険者とはいえ、子供三人で王都からベルンへ馬車も使わず移動する事はあり得ないと言っていたが、逆に今回、実際に彼等を見てしまうと、納得してしまう実力者だと言った。
「それに、私達を先に行かせて後始末をされた筈のホクト様方が、ベルンに先に到着していたと聞いたのですが」
「そりゃずっと走り続けたからな」
フランソワの問いに答えたのは、出されたお菓子を食べていたカジムだった。
「は?……走る?」
「そうだぜ、俺達は王都からずっと走って来たんだ。俺達が走れば、馬よりも速く長い時間走り続ける事が出来るからな」
フランソワはカジムの言葉を聞いて、理解が及ばずポカンとする。
街道を歩いて移動する者は少なくない。乗り合い馬車と徒歩を併用して移動するのは、王都からベルンなどの主街道では平民の移動手段としては、どちらかと言えばポピュラーだった。そう、平民の移動手段とと言う注釈がつくが…………。
部屋の扉がノックされ、そこにベルバッハ伯爵家の家宰が先触れに訪れた。
「ヴァルハイム男爵様、サクヤ様、カジム様、旦那様がご挨拶と、フランソワ陛下をお救い下されたお礼を言いたいと申されています」
当然、男爵にすぎないホクトに断れる筈もなく、暫くすると、ホクトの父カインやアーレンベルク辺境伯とは対極に位置する、見るからに文官という雰囲気の壮年の男が入って来た。
「あゝそのまま掛けてくれたまえ。
儂はロムレス・フォン・ベルバッハ、伯爵を賜っておる。此度は孫娘を助けてくれて感謝致す」
「お初にお目にかかります。ホクト・フォン・ヴァルハイムです。
お礼は、もうフランソワ様から頂きました。私達は偶然その場に居合わせる事が出来ただけです」
「サクヤ・アーレンベルクです」
「……カジムです」
ホクトに続いてサクヤとカジムも自己紹介をする。
「ヴァルハイム卿ではお父上と紛らわしいので、ホクト殿と呼ばせて貰うがよろしいかな。
ホクト殿達には、此度の事で是非御礼をしたいと思っているのじゃが、それとは別に明後日開かれる晩餐会に招待したいと思っている」
「申し訳ございませんベルバッハ卿。
私達はこの後直ぐに王都へと発つので、お気遣い無用でお願いします」
「えっ!もう帰られるのですか?」
ホクトの話に反応したのはフランソワだった。まさか今日、王都へと発つとは思わなかったのだろう。ロムレスも驚いていたが、さすがにそれを顔にだす事はなかった。
「はい、私達も王都で夏季休暇中にして置きたい事があるので、フランソワ様とはまた学園でお会いしましょう」
予定があると言うホクト達を、余り長く引き留める事も出来なかった。
ホクト達もベルンにはもう用はないので、早く王都へと帰りたかった。
「フランソワ陛下、学園ではもっとヴァルハイム卿と、仲良くなるべきだと愚考しますな」
ホクト達が屋敷を去ったあと、ロムレスとフランソワが孫と祖父ではなく、王族と臣下の会話をしていた。
「お祖父様、いえ、ベルバッハ卿、そうですわね」
王族との婚姻でホクトを取り込む事は難しい。
それはアーレンベルク辺境伯との関係もあるが、ホクトがエルフだという事も大きい。
ロマリア王国は、種族間差別を否定する国家ではあるが、王族にエルフを迎い入れるには、まだまだ強固に抵抗する勢力が多い。
「現状、国王派、貴族派、中立派の勢力は拮抗していますが、ホクト殿との関係性を強化する努力は必要でしょうな」
人が集まれば派閥が出来るのは当たり前の事だ。
現在、国内貴族は三つの派閥に別けられる。
中央集権を目指す国王派。
逆に貴族の権利を強め分権を勧める貴族派。
どちらの派閥からも距離を置く中立派。
アーレンベルク辺境伯家やヴァルハイム子爵家は中立派で、ベルバッハ伯爵家は当然国王派だ。
どうすれば王都へ戻ってから、ホクト達との距離を近付けるか考えるフランソワだった。
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