比翼連理の異世界旅

小狐丸

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転生そして…

今世の妻もスパルタだった

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朝まだ日が昇る前の薄暗い中、小屋の前にマリアとまだ眠そうなユートが居た。

「鍛錬を始める前にユートに私からのプレゼントがあるの。」

マリアが握った手を差し出した。
プレゼント?なんだろう。
ユートが受け取った物は、翠色に光る丸い石だった。

「これは?」

「世界樹の精霊から頂いたの、ギフト石っていうのよ。」

「ギフト石?」

ギフト石とは、一人に付き生涯で一度だけ使うことができる世界樹の精霊からの贈り物らしい。
石を持って魔力を籠めるとギフトスキルがもらえる大変貴重な物らしい。
発現するスキルは、完全にランダムでどんなスキルが発現するかは分からないらしい。

「こんな貴重な物貰っていいの?」

「ユートの為に用意した物だから気にしないで。じゃあ、早速使ってみて。魔力は、感じることができる?」

「ちょっと待って。」

魔力、魔力、えーと。目を閉じて体内の魔力を感じようとするとそれは、以外にも直ぐに探す事が出来た。
その魔力を手に持つ石に集める様にイメージすると手の中の石が熱く感じて石を見ると強く光ってやがて光が消えた時、手の中の石は消えて無くなっていた。

「成功したみたいね。どんなスキルが発現したのかしら。あらっ!召喚魔法ってまたレアなスキルが発現したわね。まあいいわ、早速鍛錬を始めるわよ。」

「あぁ。」

「先ず走り込みから始めましょう。この森の中北に抜けると湖があるからそこまて行って帰って来て。
今日は、私も付き合うわ。」

「距離は、どの位あるの?」

「さぁ、キリキリ行くわよ。」

「ちょっと、待って、置いてかないで~。」




 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ハァハァハァハァッ、

薄暗い森の中を一人の少年が、青味がかった銀髪を揺らし疾走する。
アップダウンの激しい足場の悪い森の中を信じられないスピードで駆け抜ける。
時折、木の枝から枝へ飛び移りまた駆けて行く。

やがて小屋前まで帰って来ると、アイテムボックスの中から木刀を取り出し、素振りを始める。
素振りを終えると、木刀を真剣に持ち替えゆっくりと丁寧に型をなぞり始める。ひと通り型の稽古が終わったころ、

「お疲れ、朝御飯にしましょう。」

小屋の扉が開いて、マリアが声をかける。

「うん、わかった。」

汗を拭きながらマリアに続いて小屋に入る。
食事が済むと午前中は、槍・弓・投擲・体術等の武術系の鍛錬をしていく、昼食後にマリアと魔法の鍛錬。就寝前に魔力操作と内気を練る。
鍛錬の合間に狩りや森に出没する魔物の討伐をする。
これが転生から一年たったユートの1日だ。

濃密な1日が終わり、また別の意味で濃密な時間を過ごした後、シングルサイズのベッドで二人寄り添いながらマリアがユートに話しかける。

「ねぇ、ユートがこの世界に来て一年よね。そろそろ、此処を出て世界を見て周らない?私もエルフの集落を出ること無かったし。ユートも随分成長したでしょ。」

マリアに言われて一年を振り返る。
加護のお陰かスキルの上達が早く鍛錬が楽しかったのもあるが、それにしても内容の濃い一年だったと思う。
うん、俺頑張ったよな…。
ステータスを観てみる。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

名前        ユート

種族        上位人族ハイヒューマン
年齢        17歳
レベル      32
HP        620 (+80)
MP        480
体力        490 (+80)
魔力        360
筋力        485 (+80)
耐久        485 (+80)
俊敏        330 (+80)
器用        330
知力        340

ユニークスキル

比翼連理

スキル

剣術Lv.4  槍術Lv.4  棒術Lv.3  弓術Lv.4  体術Lv.4
投擲Lv.3  身体能力強化Lv.4  魔力操作Lv.4
気配察知Lv.3  索敵Lv.3  隠形術Lv.2  魔力感知Lv.3
火魔法Lv.3  風魔法Lv.2  土魔法Lv.3  水魔法Lv.3
雷魔法Lv.4  空間魔法Lv.3  回復魔法Lv.3  
闇魔法Lv.3  召喚魔法Lv.3  直感  夜目  鷹の目
鍛冶Lv.3  錬金術Lv.2  木工Lv.2  鑑定Lv.4  練気Lv.3
アイテムボックスLv.MAX

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「もう、レベル32のステータスじゃないわね。
スキルの数もレベルも凄いし。
ステータスを他の人に絶対見せちゃダメよ。」

ユートの胸に顔を擦り付けながらマリアが言う。

「あぁ、気をつけるよ。」

頭を撫でながら答える。


「先ず、アルドラン王国にある迷宮都市を目指さない?」

「迷宮都市?此処からだと距離は?」

「私たちだったら1週間もあれば最初の街に着くと思うの。其処から、迷宮都市ベタントスまで馬車で5日で着くわ。」

「じゃあ、明日朝から準備しようか。」

「大丈夫。準備は私がするから、ユートはいつも通り鍛錬してて。」

「……はい。」




翌朝、小屋や畑があった場所を見ながらユートが隣りにいるマリアに話し掛ける。

「僕は一年だけどマリアは四年暮した小屋を壊して良かったの?」

「もう戻る事もないでしょうし、ゴブリンやオークに住みつかれても困るでしょ。結界張ってまで残したい物もないし。」

「それもそうだね。…じゃ、行こうか。」

差し出したユートの手をマリアが握り小屋のあった場所に背を向けて森の中へ歩き出した。
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